【新NISA】「腐るお金」とインデックス投資
新NISA一括投資→即毎月定率取り崩し運用中のQ太郎です。
今回はインデックス投資の本質についてです。
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「腐るお金」とインデックス投資
こんなご質問をいただきました。
「50代男です。最近、投資と言えばインデックス投資が当たり前になっています。
ドットコムバブルやリーマンショックの頃は、投資と言えば個別株で、インデックス投資などという知識もありませんでした。雑誌もおすすめの株の紹介はありますが、インデックス投資の話題など一切無かったと記憶しています。米国株を買うことなども、思い付きもしませんでした。
私はその時期に個別株投資で400万円ほどやられてしまっているので、もしあの時にインデックス投資の知識があったらと後悔しています。現在はインデックス投資(オルカン)で毎年新NISA満額入れることにしています。昔は本当に投資=個別株だったので、こんな便利なものを何でメディアや証券会社は紹介してくれなかったのかと思います。
ただ投資家のテスタさんは、インデックス投資はもうからないからやってもあまり意味がないとのことを言っていました。何十億も設けられる人からするとインデックス投資は避けるべき物なのでしょうか。考えをお聞かせください」
とのことです。
昔、インデックス投資が日本で一般的でなかったのは、抵コストの投資信託を売っても証券会社にうまみがないからですね。ドットコムバブルとかあのころの投資信託は、買っただけで5%とか取られて、さらに毎年3%とか取られるとかいうぼったくり商品が息を吐くように大手証券会社から売られていました。経費率1%以下の投資信託なんか売っても金にならないのですね。
しかも証券マンは「投資信託の乗り換え」の提案をしてきたりしますので、インデックス投資だと乗り換えもくそもないですからね。
現在は消費者が賢くなったこともあり、eMAXIS Slimとかがその流れにうまく乗っかったり、NISAがはじまったりしたというのがあります。日本人の金融リテラシーがここ数年で大きく向上したというのもありますね。
それでインデックス投資がもうからないかどうかですが、当然分散が多ければ多いほどボラティリティは減っていきますので、個別株で一発充てるのに比べればもうからないと言えばもうからないです。個別株だと上手くいけば短期で5倍とか10倍とかいきますしね。ただその逆に、下手すれば0にもなるので、そういうリスクを取った結果の大儲けだと考えた方が良いでしょう。基本的にハイリスク=ハイリターンです。
それでインデックス投資の本質というのはお金をもうけるということではなくて、あくまでインフレへの対策ですね。
お金というのは置きっぱなしにすればどんどん価値が落ちていきます。日本はデフレが長かったのでお金の価値が落ちていくという感覚が肌感覚で理解しづらいとは思いますが、以前も言いましたが、海外のインフレの激しい国だとお金の価値が落ちてモノが高くなっていくから、お金をさっさと使った方が良いのですね。
アメリカとかもそんな感じで、大金を現金で置いておくぐらいなら株買うか、買い物してモノに変えるかをしておいた方がいいわけです。アメリカの経済がやたらと回るのもこの「お金の価値なんて減っていくからどんどん買え買え」マインドみたいなのがあるとは思います。
ドイツの思想家シルビオ・ゲゼルは、「お金に使用期限があればよりよい世界になる」という説を主張し、「腐るお金」の概念を提唱しました。肉とか野菜は時間とともに腐って価値を失っていくのに、お金だけが価値を失わないのはおかしいという話です。
それでお金が時間とともに価値を失っていけば、金持ちが大金を貯め込むことや金利だけで暮らしていくことはできなくなりますし、みんなお金を使うようになって経済がまわるだろうということですね。
それで1932年、実際にオーストリアのヴェルグルという小さな町で腐るお金の実験が行われました。毎月1%価値の減る地域通貨を発行したのです。年間12%減ってしまうのですね。この町は失業率が30%ほどあり、経済が停滞していたのですが、この腐るお金を発行したところ、みんな積極的にお金を使うようになって経済が持ち直しました。失業率も30%から数%台まで一気に落ちたそうです。
それからどうなったかといえば、1年で実験が強制終了してしまいました。というのも、オーストリア政府や中央銀行はこの腐るお金を自国通貨政策への脅威とみなし、ヴェルグルの地域通貨を違法にしてしまったのです。
強制終了したあとどうなったかといえば、あっさりとまた不況のころに状態に戻ってしまったわけです。そのまま続いていたらどうなったのかは知りたい所です。
腐るお金レベルでないにしろ、基本的に通貨は年々価値を落としていくことは間違いありません。国がどんどん通貨刷っているので、当然どんどん価値は落ちていきます。
そのため余剰資金が多い人は、使わない分のお金はゴールドとか株とか何かに変えておかないと価値が保存されないわけです。Q太郎的には、インデックス投資はそういうときに使うものという感覚ですね。長期的に使わないお金の置き場所という考え方です。
よく取り上げているバケツ戦略ですが、短期バケツには生活防衛資金、中期バケツには数年後に使うまとまったお金、長期バケツには残ったお金をリスク資産に入れます。
例えばFIREした人なら、短期バケツに生活費1年分、中期バケツに生活費5年分を無リスク資産で確保し、残ったお金は全部長期バケツに入れます。
これは逆に言えば直近数年で使うう金以外は、現金の形で置いておくと目減りしてしまうので、ゴールドやら株やら不動産やらの何かしらの物体に変えておくことで価値を保存するという考え方です。
そのため、インデックス投資は増やすというよりも、余剰資金の価値が減ることへの対策と言えますね。ずっと置きっぱなしにするので0になるのはこまるため、個別株ではまずいのです。
基本的にはそういう使い方なので、増えないと言えば増えないですね。あくまで老後の貯蓄で、ただ現金で貯蓄すると価値が落ちていくし、個別株だと0になる可能性があるので、メンテナンス不要のインデックス投資が便利というわけです。
爆発的に増やそうと思えばやっぱり個別株になりますが、こちらは運と才能が必要です。あと短期でお金を増やそうとすると、あせってだいたいろくなことにならないので、Q太郎は長期投資メインですね。
まとめ
そんなわけでまとめると、
・昔インデックス投資が一般的でなかったのは、日本人の金融リテラシーが低かったことと、証券会社などが高い投資信託を売りたかったから。
・オーストリアのヴェルグルで行われた「腐るお金」実験で、実際に経済が活性化したが、政府と中央銀行が脅威に感じて止められた。
・お金の価値は長期的には落ちていく。長期間使わないお金はゴールドや株・不動産などに変えないと価値を保存できない。
・バケツ戦略では、短期・中期バケツで数年間に必要なお金を無リスク資産で確保してしまえば、残った余剰資金は長期間置きっぱなしにすると腐っていく。長期バケツでリスク資産を買うことで目減りを防げる。
・インデックス投資は0にはならないので、長期バケツに置きっぱなしにするのに最適。
・インデックス投資は基本的に老後に備えた貯金などの長期インフレ対策。資産を爆発的に増やしたければ個別株投資。ただし運と才能が必要。
となります。
老後資金を現金で貯めてたら、長期的にはどんどん価値が目減りしますので、やっぱりゴールドでも株でも不動産でも何かしらに投資しておく必要があります。
ただこれはあくまで直近のお金を確保したうえでの話なので、生活防衛資金も用意せずにひたすら投資するのはリスキーです。あくまで投資は余剰資金ですね。
個別株投資は攻めの投資なので、これはほったらかしではなくちゃんと見張ってないといけません。下手すれば0になりますしね。
そんなわけでインデックス投資の本質は、長期的に使わないお金の置き場所なので、爆発的に増やしたければ個別株投資をやるしかないとは思いますね。そこまであせってお金増やそうとするとだいたいろくなことがないので、Q太郎は短期投資を避けていますけどね。