
取り崩し投資運用中のQ太郎です。
今回は「有事なのに金が暴落したのはなぜか」「そもそもインフレヘッジとして金投資は正しいのか」についてです。
本記事をYouTube動画で観たい方はこちらのリンクから。

いただいたご質問
こんなご質問をいただきました。
「『戦争・インフレ=金の上昇』のはずが、今回のイランの戦争で金価格が一時急落したのはなぜでしょうか。金はリスクヘッジになりえるのでしょうか。」
とのことです。
現在の情勢
まず現在の状況を整理します。イランのガス田(サウスパルス)への攻撃とホルムズ海峡の封鎖により、ブレント原油が一時110ドルを超えました。
1970年代のオイルショックに近い規模の供給破壊が起き、世界は「スタグフレーション」、つまり不況下の物価高という最悪の組み合わせへの懸念に直面しています。
「戦争=金が上がる」というのが多くの人のイメージだと思いますが、今回はそうはなりませんでした。なぜなのかを順番に説明します。
急落の理由その一・ドルと金利のダブルパンチ
金が売られた理由の一つ目は、ドルと金利の「ダブルパンチ」です。
インフレを抑えるためにFRB、つまり米連邦準備制度が利下げ観測を後退させたことで、ドルが安全資産として買われました。
その一方で、利息を生まない金はどうなるかというと、相対的に魅力が薄れて売られます。
金利が高い局面では、金を持つ機会コストが大きくなるためです。これが今回の急落の一番大きな要因のひとつです。
急落の理由その二・換金売りが殺到した
二つ目の理由は「換金売り」です。
株や債券が暴落する中、損失補填や現金確保のために投資家は何かを売らなければなりません。そのとき真っ先に売られるのが、最も利益が乗っている資産です。
2025年に金は年間で約70%という驚異的な上昇を見せていました。つまり含み益が大きかった分、いざというときに真っ先に利益確定の標的になったわけです。
「有事に金が売られる」というのは、逆説的ですが、金が強すぎたがゆえの現象とも言えます。
急落の理由その三・産油国の換金売りの可能性
三つ目は産油国の動きです。
戦争当事国や周辺の産油国が、戦費の調達や経済対策のために保有する金を市場で売却した可能性があります。
こちらは明確なデータが出ているわけではないので、あくまで「そういう見方もある」という話ですが、今回の急落の一因として指摘する専門家もいます。
金投資は正しいのか
では、インフレヘッジとして金投資は正しいのでしょうか。
短期的な視点で見ると、有事直後は値動きが激しすぎて、刺激に弱い投資家にとっては毒になります。
今回の急落のように、「ヘッジのつもりで買っていたのに暴落した」というケースが起きえます。
一方で長期的に見ると、円やドルの信認が揺らぐ中で実物資産としての価値は不変です。歴史的には今のような調整局面が「絶好の仕込み時」になることも多いです。
ただし大事なことがあって、金はそれ自体が配当や利息を生み出すものではありません。
株のように企業が利益を積み上げて価値を高めるわけでもない。本質的には投機商品です。その点は理解した上で向き合う必要があります。
まとめ
まとめです。金はアセットアロケーションに「保険」として少量組み込むのがQ太郎の考えでは良いかとは思います。
全資産を金に突っ込むような話ではなく、あくまでポートフォリオの一部として持つ、という位置づけです。
「刺激を求めて絶叫マシンに乗るような投資」は避けて、散歩のように淡々と積み立てるスタイルが、今のような激動の時代には一番適しているのではないでしょうか。
金の急落に慌てて売ったり、急騰に慌てて買ったりしない。そのためには最初から「これは保険だ」と割り切って持つことが大切です。
