FIRE・年金生活なら減税より給付金?

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nenkin kyuufu

新NISA一括投資→即毎月定率取り崩し運用中のQ太郎です。

今回は、FIREしたら減税より給付金のほうがいいのかどうかについてです。年金生活についても述べていきます。

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FIREしたら減税より給付金?

こんなご質問をいただきました。

非課税世帯の解説ありがとうございます。

FIREして仕事をせずに収入を0にして、特定口座源泉徴収有りで配当金を受け取れば、何億円もらおうと住民税も国民健康保険料もほとんど払わなくていいというのは理解できました。

それで石破首相が2万円を配ると言っていますが、非課税世帯であれば4万円もらえるそうです。配当で何億もらっている人でも、源泉徴収なら確定申告をしなくていいので、非課税世帯として4万円もらえます。

正直何か変とは思いますが、ルール上そうなっていますし、法律的にまったく問題ありませんし、そもそも源泉されているのにわざわざ税金や社会保険料が増える上に面倒な確定申告をする人がいるとも思えません。制度としての不公平感はあると思いますが、法律上そうなのでどうにもなりません。

それでこういうモラル的なことは無視して、経済的な得か損かだけで言えば、給付金を受け取った方が良いと考えた方が良いのでしょうか? つまりFIREした人は、自民党を支持した方がいいという事になるのでしょうか?

働かない以上、減税によるメリットはまったくありません。給付金をもらった方が得です。

国民民主党は金融所得課税増税を考えているので、あまり信用できません。また党首の人柄も信用できません。日本で投票できる政党が無いので、結局自民党に投票するしかないのかなという結論になってしまいます。

ただ自民党もあまり好きではありません。こういう場合はどういう投票行動をすればいいのでしょうか。FIREしている人は給付金狙いでやっぱり自民党でしょうか。それとも投票に行かないのも一つの選択肢でしょうか。長文失礼します。」

とのことです。

収入0で特定口座の源泉徴収有りで配当を受け取っていれば、確定申告する必要はないので、何億円の配当をもらおうが住民税非課税世帯にはできます。仮に収入があったとしても、基礎控除以内に収めてしまえばやはり住民税非課税にはできます。

そのため、給与控除と国民健康保険料の基礎控除の範囲内で働いておけば、所得税は払わなくていいですし、住民税と国民健康保険料も均等割りのさらに3割払うだけで済んでしまいます。しかも給付金を多めにもらえるという、ある意味働いている人からすると「なんだかなー」みたいな制度なわけです。働かないで配当もらえて、しかも給付金多めにもらえますしね。

これはFIREだけでなく、年金を受け取っている人にもいえることで、配当をたくさん受け取っている人は、むしろ年金を繰り上げ受給して、できれば住民税非課税世帯におさまるレベルにしておくことで、いろいろなメリットが受けられます。

現在の年金の非課税金額ですが、65歳未満の人の年金基礎控除が60万円、65歳以上の人が110万円です。

これに国民健康保険料の基礎控除の43万円を加えると、

65歳未満:60万円+43万円=103万円
65歳以上:110万円+43万円=153万円

となります。ここで注意しなくてはならないのは、所得税の基礎控除48万円や住民税の基礎控除45万円ではなくて、国民健康保険料の基礎控除43万円で考えないといけないのですね。国民健康保険料で取られる金額が一番えげつないですからね。

この金額以内に収めれば、住民税非課税世帯なうえに国民健康保険料も均等割の7割減で済みます。

配当をたくさん受け取っている人は、繰り上げなどして年金をこのあたりで調整しておくと、住民税非課税世帯のメリットを受けられます。配当のほうは源泉徴収なので確定申告は必要ありませんしね。

国民年金しかなくて働きたい人は、60歳の繰り上げでうけとった場合はだいたい年間60万円ぐらいなので、43万円以内で働けばこれらのメリットが受けられます。このあたりをうまく調整しておくといいでしょう。

そんなわけで、働いている人は減税を目指す政党に投票したほうがいいとは思いますが、働いていなくて配当収入や年金収入のある人は、質問者様のおっしゃるように、モラルとかを無視すれば、給付金ばらまいてくれる政党に投票しつつ、年金やバイト・パートなどを調整して住民税非課税世帯にしておくのが経済的には得とは思います。

ただ年金受給者でも、控除金額を超えてるのでしたら減税は効果があるので、年金受け取っているから給付をもらったほうがいいと単純に考えないほうがいいとは思います。

たとえば年金が300万円だった場合、130万円超~410万円未満の控除額は収入金額×25%+27.5万円になるので、300万円だと102.5万円が基礎控除になります。ここに所得税の基礎控除48万円を足すと150.5万円になりますので、約150万円と考えれば、超えた分の150万円は雑所得扱いになるのですね。これに所得税がかかってきます。この範囲だと税率5%ですから単純計算で、7.5万円と、さらに住民税の10%である15万円とられることになりますね。住民税はさらに均等割・平等割がありますが、いまは考えないでおきます。前年払った社会保険料分の控除なども考えません。

それで国民民主党の案だと所得税と住民税の基礎控除を75万円に引き上げるという案なので、これで計算すると雑所得分は約122万円になるので、所得税は6.1万円、住民税は12.2万円になるので、差は4.2万円になります。2万円もらうより減税で4.2万円節税したほうがお得なのですね。

なんにしろ年金とは雑所得なので、年金が多ければ減税のほうが効果があります。そのため、「年金受け取ってるから給付金出す政党に投票しよう」とは単純に考えない方がいいです。年金が多い場合は減税の方が効果がある場合もあります。高齢者だからと言って、給付金貰うのが正解なわけではないのですね。

そのため、高齢者=自民党というのも変な話なわけです。いまの高齢者はけっこう年金受け取っているので、減税してもらったほうがいいのですけどね。まあ、ちゃんと計算しましょうという話です。

今回の給付金は、税収が上振れしているから還元するという話ですが、日本の税収が増えているのは、たんに円安になっているからなだけであって、経済成長しているわけでもなんでもなかったりします。まあ、2万円や4万円もらえてうれしいのでしたらそういう政党に投票したらいいんじゃないかとは思います。

実際このお金は政府が払っているわけではなくて、働いている人たちから巻き上げたお金なんですけどね。それなのになぜかお金を出している働いている人は感謝されずに、お金を配っているだけの政党が感謝されるという謎状態になっています。しかも働いている人たちはさらに絞りとられる状況です。正直日本はすごいことになっているなと、日本に帰るたびに思います。

もう嫌がらせで労働世代はミニマリスト目指して、基礎控除以内で生活して税金も健康保険料もほとんど払わないようにしたほうがいいんじゃないかとは思います。必要最低限の仕事と生活をすれば全然実現可能とは思います。東京90万円でハッピー生活している人もいますしね。90万円なら国民健康保険料の基礎控除以内です。生活が立ちいかなくなったら生活保護を取ってください。国に使われるより国を使い倒した方がいいんじゃないかとは思います。

なんかそういう、武力をつかわない静かな反乱を起こすような時代になってきた感じはあります。

日本の名目GDPですが、昨年600兆円を初めて突破して約617兆円になりました。石破首相がなんか最近、2040年に名目GDP1000兆円を目指すとか言い出しているようですが、実質じゃなくて名目なので、いまのペースでインフレが続いたら何もしなくてもそれに近い数字ぐらいはいくとは思います。

しかも15年後とか、だれも覚えていないとは思います。そもそも10年前に誰が何をいったかなんて誰も覚えていませんし、15年なんていったら記憶の外過ぎます。いまから15年前だと2010年なので、スマホが普及し始めたばかりときですね。いまあたりまえにスマホをつかっている状況から考えると、相当な大昔ともいえます。効果の検証のしようがない、長期続けないといけない健康食品並みの不確かさとは思います。

しかもこれからどんどん人口が減っていくので、普通に考えて衰退しかしていかないので、どうなるかといったところです。

そんな感じで、給付を受け取ったとしても、あとあと回収される形にはなりそうですし、配当金とかで高をくくっていてもそのぶんを金融所得課税増税で回収されるかもしれませんし、あまり小銭のために安心しないほうがいいんじゃないかとは思います。

まとめ

そんなわけでまとめると、

・特定口座の源泉徴収有りで配当金の税金を納めていれば、確定申告の必要がない。収入がなければ非課税世帯にすることができる。収入がある場合でも基礎控除以内におさめれば非課税世帯。

・基礎控除は所得税の基礎控除48万円ではなく、国民健康保険料の基礎控除43万円で考えた方が良い。(国民健康保険料の均等割・所得割が一番えぐいです)。

・年金収入の場合、配当が多くて住民税非課税にしたい場合は、

65歳未満:60万円+43万円=105万円
65歳以上:110万円+43万円=155万円

を目安にすれば、国民健康保険料・住民税の均等割も安く済ませることができる。(微妙に多い人は繰り上げ受給などで調整するといいでしょう)。

・年金の基礎控除を超えた分は雑所得になる。そのため、年金額の多い人は減税の方が効果が高い。高齢者=給付有利と単純に考えないほうがいいかと。(とにかく計算した方が良いです。高齢者でも国民民主の基礎控除75万円に乗っかったほうがお得な場合もありますしね)。

・そろそろ若い世代がミニマリストになって、最低限の仕事と生活で税金を払わない静かな反抗が始まる可能性も。

・税収の上振れは円安要因が大きい。

・15年後のことはだれもおぼえていない。

・給付してもかならず何かの形で回収される。将来的には金融所得課税増税などでの回収の可能性もあるので、あまり安心しない方が良いかも。

となります。

そんなわけであくまで減税は収入で効果が出てくるので、たくさん年金をもらっている方は給付よりも基礎控除を引き上げる減税のほうが利益が大きいとは思います。FIREした人も、仕事をしているならやはり減税のほうがいいので、単純にFIRE/高齢者=給付という考えはどうかなとは思います。

まあ、収入がいっさいないとかだったら給付のほうがいいかもしれませんが、けっきょく金融所得課税増税とかべつの方向で回収されそうな気はします。