【新NISA】減税が米国株を壊す?

人生・FIRE関連投資お役立ち情報

genzei kabu

新NISA一括投資→即毎月定率取り崩し運用中のQ太郎です。

今回は、トランプ減税と米国市場についてです。

本記事をYouTube動画で観たい方はこちらのリンクから。

トランプ減税が米国株を壊す?

こんなご質問をいただきました。

夏にトランプ関税の延期解除ということで、株式の下落や円高が進むとの予測ですが、それだけではなく、トランプ減税(「1つの大きく美しい法案」)の方もかなり問題があるのではないかと考えています。

そもそもトランプはアメリカへの産業回帰など考えておらず、ただ自分やその一族のために減税がしたいので理由をつけて高関税で財源を短期的に確保したかっただけなのではないでしょうか?

それに騙されて、高関税で一番被害を受けるはずの低所得層がトランプに投票するという行動に出ていました。アメリカの共和党支持者へのアンケートだと、約55%の人が「関税は外国が払う物」という認識でした。

海外から物を買ったことがある人ならわかると思いますが、関税は物を受け取る時に払うものなので、購入者が払わなければなりません。共和党支持者の半分以上の人がこんな当たり前のことも理解できていないこと自体が理解できません。わざと理解しようとしていないのではないかとも思います。

現在のハイテク企業のトップは、イーロンマスクをはじめほとんどの移民の方ばかりで、アメリカ国内の連中は本当に無学が多いとは思います。そんな連中が主導してアメリカ産業を支えるという話になれば、米国株も終焉を迎えるのではないかとも思います。このことについてどう思われますでしょうか?」

とのことです。

減税の名前の「1つの大きく美しい法案」と仰々しい名前も、完全に北朝鮮や中国みたいな独裁政権のプロパガンダのやり方を真似ていますね。

無学な民衆にはどうせ法案の内容なんか理解できないので、「偉大」とか「美しい」とか壮大なイメージだけ植え付けておけばいいわけです。中国や北朝鮮は偉大な祖国とか美しい祖国とか使いますが、なんかロシアはあんまり使わないイメージがありますね。ロシアは「強い」とか「誇りある」みたいな強さや軍事面を前に出すイメージです。

そんなわけでトランプ氏はあえてこれらプロパガンダの真似をしているわけですが、「どうせ民衆は馬鹿だから強い言葉でだまされる」ということを良く知った上でやっているので、トランプ氏自身はまあ賢いんじゃないかとは思います。選挙のときもトランプ氏は「関税を中国に払わせる」とか、わかっててウソツキまくってましたしね。

それで関税を外国企業が払う物と勘違いしている人は、共和党支持者だけでなく、アメリカではけっこう多いようです。

日本の場合は、海外のサイトで物を買った場合、商品価格に0.6をかけた価格が1万円以上であれば関税を払う必要があります。つまり商品価格が16,666円以下なら免税ということですね。

昔、大学の頃に、日本からeBayで4万円ぐらいのものを購入したときに、家の玄関口で配達員に直接手渡しで関税払ったことがありますね。ちょっと忘れましたけど、当時で5%か10%ぐらいで、そのときに「こういう払い方するんだ」とちょっと感動したことがあります。

アメリカの場合、個人だと800ドル以下まで免税なので、日本円で11万円ぐらいまで免税なのでけっこうゆるいです。

これを利用したのが中国のオンラインサイトのSheinとかですが、800ドルまで免税なので利益を出せるわけです。中国から一方的に輸出して、関税を払わなくていいわけですから、アメリカ側にはまったく利益がないわけです。

そのため、中国をもうけさせるだけなので、文句の一つもいいたくなるというわからんでもないですし、それが理由でトランプ氏を支持したくなるのもわからなくはないです。

ただこれは企業から個人へのBtoCの話であって、トランプ関税で大きな影響を受けるのは企業から企業へのBtoBでの巨額な取引のほうですね。

中国などから送られてきた商品をアメリカの企業が関税を払って引き取り、それをまた企業が買ったり、個人が買ったりといったことになるので、関税を払うのは受け取り手であるアメリカの企業になります。

値段が上がれば売れ行きは落ちますし、売れ行きを減らしたくなければ、アメリカ企業がマージン圧縮をして、これまでどおりの値段で売るしかないわけで、そうなるとアメリカ企業の業績が落ちてしまいますので、高関税での企業の影響はどうしても大きくなるわけです。

それで今回は高関税のほうではなく、トランプ氏の減税のほうですが、財源がどうなっているかよくわからない状態での導入なので、そうなると株式のほうではなく、米国債のほうがやばいことになりますね。国の信用問題ですので、米国の信用が薄らいだら当然国債利回りは上がりますので、さらにその利息を払うために財政赤字がどんどん拡大するという方向にすすむ可能性があります。

実際にトランプ減税が実行されると、10年間で財政赤字を340兆円押し上げるという試算が出ています。年間にして34兆円ですね。

トランプ氏はいかにも庶民の味方のように、「チップを非課税にする」みたいなことをいっていますが、そもそもアメリカでチップ収入で稼ぐ人は米国の全労働者の2.5%程度しかいませんし、そのうちの40%近くがそもそも所得税を払えないレベルの収入なので、そもそも税金を払っていないわけです。ようするに、減税の恩恵なんかほとんどないわけです。

しかも減税の財源ねん出のために医療や社会保障などの分野の、政府補助の削減を押し進めてましたから、そのぶん医療や社会保障のコストが上がるわけです。

けっきょくこういう減税の恩恵が大きいのは、やっぱり金を稼いでいる金持ちなのですね。ようするに税金を多く払っている人たちです。

ペンシルベニア大学の試算だと、年収2万2000ドル未満の世帯、日本円で320万円以下の世帯は税引き後収入が1500ドル(約22万円)減少するのに対し、年収520万ドル超の世帯、日本円で7.5億円超の世帯は10万4000ドルの増収(約1500万円の増収)につながるとしています。

そうなるとトランプ氏を支持している低所得層のほうがダメージが大きいわけで、自分で自分の首をしめにいったという感じになってくるとは思います。

「そもそも税金払ってないやん」みたいな人たちがトランプ減税に賛成したりとか、もはや行動としても意味不明です。

そんな感じで、アメリカの格差はさらに開いていくとは思いますし、その格差を広げたのが低所得層の方々というなんだかなーという感じになっているとは思います。

まとめ

そんなわけでまとめると、

・アメリカでは800ドル以下の個人輸入だと関税を払わなくていいので、関税をアメリカ側が払うということを知らない人が案外に多い。(Sheinなど中国ネットサイトはこの制度を利用していましたね)

・日本の個人輸入は、商品価格の60 %が1万円を超えると関税を配達員に直接払うので、受け取り手が関税を払う事を知っている人は多いかも。

・トランプ氏は選挙のときに「中国に関税を払わせる」とあえて嘘をつき続けた。

・トランプ減税が実行されると、10年間で財政赤字を340兆円増加させるという試算も。

・この減税によって米国の信用が損なわれ、米国債が大きな影響を受ける恐れあり。

・チップ労働者は米国労働者の2.5%程度。そのうちの40%は所得税も払えないレベルの収入なので、ほぼ恩恵はない。

・減税で得をするのは、税金をたくさん納めている金持ち。

・減税のための財源確保で、医療や社会保障などをカットしてきたため、低所得層ほど家計への圧力は大きくなる。

・ペンシルベニア大学の試算だと、年収2万2000ドル未満の世帯(約320万円)以下の世帯は税引き後収入が1500ドル(約22万円)減少するのに対し、年収520万ドル超(約7.5億円)の世帯は10万4000ドルの増収(約1500万円の増収)

となります。

そんなわけで高関税で影響が出るのは米国株ですが、減税で影響が出るのは米国株よりも米国債のほうとは思いますね。

ただ減税政策とセットになっている政府支出の削減ですが、これによって社会保障が弱くなることで、低所得層や中所得層の購買力が弱くなる可能性もあるため、結果的に経済が落ち込む可能性もあります。

なんにしろあまりよい方向には動いていない感じなので、アメリカがさらなる格差大国になるのかどうか見守っていきたいとは思います。