国民民主党、金融所得課税を30%に?国民全体への大増税にも

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kokumin zouzei

新NISA一括投資→即毎月定率取り崩し運用中のQ太郎です。

今回は国民民主党の金融課税30%案についてです。

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国民民主党、金融所得課税を30%へ

こんなご質問をいただきました。

国民民主党ですが、今年の税制改革案に金融所得課税を30%にすることを盛り込みました。

「103万円の壁」問題など現役世代の減税に動いているはずなのに矛盾した行動に思われます。

これについてどうお思いでしょうか?

とのことです。

どう思うかと言われても、Q太郎は減税には賛成ですがべつに国民民主党を熱烈に支持しているわけではないので、どんな政策を打ち出しているのかの細かいことまではわかりません。

いちおう党のホームページで確認してみたところ、「令和7年度税制改革と財源についての考え方」のPDFに書いていましたね。

PDFの7ページ目の「5.行き過ぎた格差を是正する「金融所得課税改革」 」の項目内にありますが、大きな目的としては「1億円の壁の是正」になります。

具体的には

金融所得課税については分離課税を 30%に上げ、総合課税と選択できるよう目指します。

また、総合課税を目指す前に各所得も損益通算を認めます。

所得税の累進度の見直しなども検討し、行き過ぎた格差を是正します。

となっています。確かに書いていますね。

総合課税と選択できるということは、低収入の人は分離課税を確定申告しろってことですかね。株式の損失を使って給料の利益を相殺できるとかは面白そうな気はします。

ちなみにこのあとに、

暗号資産雑所得(最大 55%)について、申告分離課税(20%)制度に移行します。」

とも書いています。

そもそも暗号資産も金融所得の一種と考えていいのですが、暗号資産だけ20%で、その他の株式とかの金融所得が30%というのは整合性的に問題があるんじゃないかという気もします。なぜ暗号資産だけ特別扱いで20%になっているのかですね。株式投資をやめて暗号資産投資をしろみたいな話にもなりかねません。

なんで一つの章の中にこんな食い違った政策があるのかがかなり意味不明なのですが、とくに深く考えずに株式と暗号資産をバラバラのものとして考えてしまった結果とは思います。

株式はもうけ過ぎてるやつがいるから上げろ、暗号資産は税金高いから落とせみたいな感じですね。ただどちらも金融所得には変わらないので、書くのであれば「暗号資産は金融所得の分離課税として扱う」だけでよかったような気がします。これまで雑所得扱いでしたしね。

この書き方なら、金融所得は現行では20%ですし、将来的には30%になるかもしれませんが、わざわざ暗号資産を株式とかの金融所得と分けて考える必要がなくなります。書き方が悪いとは思います。

暗号資産だけ20%で、その他の金融所得が30%だと「なんで暗号資産だけ特別扱い?」ってなってしまうので、シンプルに「暗号資産は金融所得として扱う」だけでいいと思います。まあ、書き直したほうがいいですね。

それとこれまでの政策との整合性ですね。103万円の壁など減税政策をおこなおうとしているのに、なぜか金融所得に対して積極的に30%にしようというのは方向性としてどうなのかという気もします。

なぜ金融所得30%がやばいのか

なぜ金融所得30%がやばいかと言えば、そもそも1億の壁といっても、毎年1億円も収入がある人はそんなに多くないのですね。

するとけっきょくこの30%というのは、収入が低くて投資してる人からも30%を取るという話になってきてしまい、つまるところ収入の低い人を狙い撃ちにした増税になってしまうのですね。

30%だと所得税25%、住民税5%みたいな感じになるとは思いますが、所得税25%というのは、累進課税では課税所得900万円未満までが23%なので、それ以上の収入の人が払う税金と同等になるというわけです。900万円っていうのは収入が900万円じゃなくて、保険料控除とか全部の控除入れて残った金額が900万円という意味なので実際の収入はもっと大きいと考えてください。

それと同等の金額を、それ以下の収入の人から取ろうという話なわけです。それで、所得900万円以下の人がほとんどです。何度も言いますが、収入じゃなくて所得の900万円ですよ。いろいろ控除後で900万円以上あるという話です。

そのため金融所得課税増税は1億円の壁の少数の人たちを対象にしているように見えて、低収入も含めて国民全体からがっつり取るような政策なので、これはだまされないほうがいいでしょう。「金持ちへの課税」ではなくて、あなたたちへの課税です。

「ほとんどの人には関係ない」という人もいますが、ほとんどの人にめちゃめちゃ関係あります。

まず銀行預金です。これの利息は金融所得課税が源泉で取られています。自分の通帳を見ていただければわかります。いま金利が上がっていますので、銀行預金している貧乏人からも30%も取ってしまえるわけです。日本人全体から取れてしまうのですね。これはかなりえげつないぐらいの増税になります。

とくに金利が上昇している局面ではもらえる利息も多くなりますので、そこからがっつり30%の税金を取れるわけです。源泉徴収なので逃げようがありません。貧乏人だろうが関係ないです。これはかなりえぐいです。

あとは特定口座で短期取引をしたい人たちですね。べつに所得900万円以上でなくても株の売買をしたい人たちはいますので、それの人たちが30%を払うのは払い過ぎなわけです。

そんなわけで、「何人いるねん」というレベルの少数の「1億円の壁」のために、所得900万円以下という日本国民の大多数が銀行利息をはじめとして増税になるというおそろしい状況ができてしまうわけです。いまどき銀行預金していない人も少ないですしね。

そんなわけで金融所得課税増税は大多数の人に関係ありすぎるというか、むしろ貧乏人からもお金をむしる増税なので注意が必要になります。いかにも金持ち課税のように見せかけての幅広い増税ですしね。

そもそも30%だと、億貰っている人に対してはまだまだ安いですしね。累進課税だと45%取らないといけませんしね。

もしQ太郎が金持ち優遇是正をしようとしたら、配当に関しては総合課税のみで確定申告必須にしますね。それだったら億単位の配当をもらっている人から累進課税で45%取れますし、年収低い人からは年収に合った累進課税で税金が取れます。社会保険料が増えてしまう問題がありますが、ここは以前の「住民税申告不要制度」を適用する形で解決できるとは思います。

でもQ太郎が国民民主党だったら、いまこれを議論するべきではないとは思いますね。現役世代のために減税路線で進んでいるのに、増税の話を入れていくのは党の方針としてどうかなという気がします。

そもそも銀行の利息にかかる税金が増えるので、すべての日本人にとっては増税にしかなりませんしね。現行の20%でも多いのに、30%になったら党のイメージを悪くするだけとは思います。

まとめ

そんなわけでまとめると、

・国民民主党の「令和7年度税制改革と財源についての考え方」のPDF7ページ目には、「金融所得課税については分離課税を 30%に上げ、総合課税と選択できるようにする」と書かれている。

・暗号資産については20%にすると書かれているが、「金融所得課税」が30%で、金融所得の一種である暗号資産が特別扱いで20%とする意味がわからない。単に「暗号資産は金融所得扱いとする」でいいのでは。

・税率30%は、所得900万円以上の税率になるので、ほとんどの国民にとっての増税となる。

・仮に分離課税を30%に上げた場合、銀行の利息の税金も上がるので、国民全体に対する増税。

・たんに配当を総合課税のみにするだけで、収入が低い人からはそれなりに、億単位の配当をもらっている人から累進課税45%取れるので、これでいいのでは。社会保険料に関しては「住民税申告不要制度」を適応させる形で対処。

・そもそも現役世代への減税をうたっている国民民主党が、いまこの議論をする意味があるのかが問題。党のイメージ悪化にもなる。

となります。

金融所得課税は銀行の利息にもかかってくるので、「一部の人のための増税」どころか国民全体に対する増税になります。

減税をうたっている国民民主党としては、まだろくに議論もしていないしかたまってもいない増税案を打ち出すのは党イメージを悪化させるだけにしかならないので、仮に増税したいとしてもいまは保留しといたほうがいいんじゃないかとは思います。103万円の壁にまず集中した方が良いですね。

そんなわけで金融所得課税増税は国民全体に対する増税ですし、所得900万円以下の人たちにとっては大増税になってしまいます。けっして一部の人のための増税ではないというか、むしろ低所得層の方が負担が多くなるので、そこは注意しておいた方が良いでしょう。