「経験」にお金を使うより、FIREめざして貯金や投資?
新NISA一括投資→即毎月定率取り崩し運用中のQ太郎です。
今回は、「経験」にお金を使うことより、FIREめざして貯金や投資をしたほうがいいかどうかについてです。
本記事をYouTube動画で観たい方はこちらのリンクから。
「経験」より貯金?
こんなご質問をいただきました。
「初めまして。現在FIREを目指して貯金・投資をしている30代です。Q太郎さんの動画であったバケツ戦略も参考にさせていただいています。
それで以前の「お金は死ぬまでに使い切ったほうがいい?」という動画で、「お金は使ったら減る。それ以上のリターンが得られるかどうかが重要」との話をしていました。
現在は貯金や投資を頑張っているので、できるだけ節約した生活をしていますが、ただ「DIE WITH ZERO」にもあったように、その時期にしかできないことにお金を使うということも重要だと思っています。
しかしここで疑問に思うのですが、例えば「いい経験」のために旅行に行ったり、いろいろなことにチャレンジしまくったりすることは、現在節約をしている身としては「何か違うんじゃないか」という気がします。
実際に行けばいい経験になるかもしれませんが、その一方で、「で、それがどうしたの?」みたいに冷めた目で見ている自分がいます。
いい経験だからといって、今月ハワイに行って、来月タイに行って・・・みたいにやってたら、いくらお金があっても足りません。しかし行かないと、そのぶんの経験は入ってこないわけです。ここがなんだか矛盾しているように感じます。
「人生いろいろな経験をした方がいい」とは言っても、働きながらだとそんなに時間があるわけでもないですし、旅行へ行ったとしても、「お金をかけたわりには悪い経験だった」みたいなこともあるかもしれません。
「DIE WITH ZERO」の経験に投資するという考え方に一定の理解は示しますが、自分にとって旅行は大金をかけてまでやりたいことではありません。
Q太郎さんが豪華客船を「豪華な刑務所」のように言っていて嫌っているように、私にとっても旅行にそんなにお金をかけたくないというのが本音です。べつに海外とかそんなに行きたくありません。
かといって、何かやりたいことや趣味があるかと言われれば、それも別にありません。ゲームとか映画にも興味ありませんし、今はただFIRE目指して貯金や投資をすることのほうが楽しく感じます。旅行とかに使うのは無駄遣いと感じるのです。
「経験にお金を使ったほうがいい。貯金は悪だ」みたいな風潮が、どうにも自分にはしっくりきません。文章がつたなく、伝わりづらいかもしれませんが、ご意見お聞かせ願えれば幸いです。」
とのことです。
ご質問の内容を整理させていただくと、
・旅行は行ったら楽しいかもしれない。けれど、そもそも興味のないことに対して、「経験」を得るためにお金を使う必要性はあるのか。
・「いろいろな経験をしたほうがいい」とは言うが、仕事もあるので、「経験」のために使う時間がそんなに無い。
・現在はFIREが優先。趣味はとくにない。貯金や投資が楽しい。
・良い経験のために、お金をつかわないといけないのか。そうする必要性を感じない。
ということとは思います。
経験は必要?
まず「経験」の必要性ですが、人は生きているだけで毎日いろいろな経験をしていきます。
仕事をしても、仕事上でいろいろな経験をすることでしょう。
ただ自分にとってよい「経験」をしたいのであれば、お金や時間を投じることでそれを手に入れられるのなら得ておいたほうがいいとは思います。
ここで重要なのは「自分にとっての良い経験」ですね。
たとえば行きたい国があって、現在それに対するモチベーションも高ければ、「お金がもったいない」という理由で行かないのはもったいないでしょう。
「若い頃はどんな経験でもしておけ」というのは一理あるのですが、ただなんでもかんでもしていられるほど、我々には時間もお金もありません。
これは若い人だろうが、老人だろうがおなじです。我々は一日に24時間しかありません。
若い人は時間がたくさんあると思われている風潮がありますが、若い時期だってそんなに長くはありません。
友達に誘われて、その流れでとくに興味もなかったところへ旅行に行って、「けっこう楽しかったな」となるのはいいのですが、ただこれもやりすぎると、ただただ人生が他人に振り回されまくるだけみたいになります。
それにいまはネットでいろいろ調べられますし、旅行関連の本もたくさん出版されているわけで、旅行へ行くにしてもだいたいどんなところなのかは事前にある程度はわかるわけです。
現地でしかわからないこと・体験できないことというものもありますが、「だいたいこんな感じだろうな」みたいなのは事前にあるていどつかめるとは思います。
小学生のころ、ファミコンのゲームを買うときも、ファミ通とかマル勝ファミコンとかのゲーム雑誌で事前情報を調べてから買うというのも当たり前だったので、事前にあるていどは調査できるわけです。
実際ゲーム買ってみてつまらなかったというのはありますが、少なくとも有限のお金と時間を使って、行き当たりばったりのギャンブルをする必要性はありません。
なんでも手を出せるほど、我々には時間もお金もありません。何かに手を出して時間とお金を使えば、そのぶん何かに手を出せなくなります。
有限の時間を生きるというのは、つねにトレードオフの繰り返しなのです。
そのため、まずは自分の興味のあることを中心に、優先順位を決める必要があります。
「旅行はいい経験が積める」と言われても、現時点で興味がなければそれは優先順位が低くなります。まず自分のやりたいことや興味があることを優先的におこない、余裕があれば他のことにも手を出すといった感じですね。
質問者様の現時点での興味は「貯金・投資・FIRE」のようなので、しかも貯金が楽しいといっているようなので、とりあえずはそこに集中すればいいんじゃないでしょうか。
べつに投資や貯金が趣味でもいいとは思います。
Q太郎も節約大好きです。お金を使わず、自分の知恵やスキルで切り抜けられることに快楽を感じます。
ただ友達に誘われたら、経験として最初の一回ぐらいは付き合ってみてもいいとは思います。そのあとに関しては、行くか行かないかは自分で判断すればいいでしょう。
以前もどこかの動画で言いましたが、Q太郎としては同じことに対して「1回目は経験、2回目は消費」と考えています。
人気のあるおいしいお菓子があったとして、「経験」として1回はお金を払って食べてみてもいいですが、おいしかったからといってリピートする場合は「消費」になります。すでに「経験」は得ているので、おなじ経験を何度もする必要はないのですね。
ただ他人がくれるといった場合はもらいます。あくまで同じ経験に、自腹でお金を払いたくないというだけです。くれるならもらいます。
そんなわけで、いまの優先順位が貯金や投資ならそれをやればいいですが、ただ友人から誘われたり、興味のあることが出てきた場合は、1回目はお金をケチらずにつかって経験を得てみてもいいとは思います。
それで何か新しい進展があるかもしれませんしね。
経験の類推
次に自分のつかったお金が無駄遣いだったかどうかの見分け方ですが、先程も言ったように、どんな事柄でも1回目は「経験」になるので、無駄遣いにはならないでしょう。
良い経験も悪い経験も、質問者様の血肉となります。悪い経験をしたなら、「今後は気を付けよう」となりますしね。
ただ先ほども言ったように優先順位がありますので、そこまで興味のないことで、友達から誘われているわけでもないのに、「なんとなく」でお金を投じてしまうのはどうかとは思います。
「なんとなく」でコーヒーを買うとか、「なんとなく」で缶ジュースを買うとか、「なんとなく便利そう」で100円ショップの適当なものを買うとか、こういう「なんとなく」で使うお金は減らしたほうがいいです。
Q太郎が豪華客船に乗りたくないみたい話をしたことで、「実際に乗ってみたら楽しいかもしれないし、富豪と仲良くなれるかもしれない。決めつけるのはよくない」のようなコメントをいただきました。
たしかにそのとおりであって、乗ってみたら楽しいかもしれませんし、富豪とやらと仲良くなれるかもしれませんが、ただ自分でお金を出してまで乗りたいかという話だと、優先順位はかなり低くなるわけです。
ちなみに豪華客船に近いものは乗ったことがあります。昔スキューバダイビングをやっていたことがあったのですが、それで大型客船に乗りながらフィリピン周辺をクルーズしつつダイビングをするというツアーに知人と参加しました。
船の客室もホテルみたいにきれいで、レストランの料理も無料食べ放題で、ダイビングポイントにつくと酸素ボンベの準備とかもぜんぶやってくれるという、いたれりつくせりな感じのツアーですね。いわゆる殿様ダイブというやつです。
8日ぐらいのツアーなのですが、正直2日ぐらいできつくなりました。
ダイビングポイントへの移動がけっこう時間がかかって、ダイビング以外の時間はけっこう暇なのですね。いちおうエンタメ的なものはあるのですが、そこまで興味がないというか、あまり楽しめなかったです。知人たちとUNOとか大貧民やってるぐらいでした。けっこう良い船乗ってるわりに、やってることは自宅とあまり変わらなかったりします。
それとまわりが海なので景色も変わり映えがしませんし、そもそも海の上に何日もいるというのがやたらと閉塞感があってきつかったです。どこにも脱出できない場所にいるという感じですね。
そんなわけで、豪華客船にかぎらずこの手のツアーは避けたいかなというのがあります。
ちなみにQ太郎は豪華客船は乗ったことがありませんが、祖父母は3か月ぐらいかかる世界一周の旅に参加していました。祖父は退職後にやらたと旅行ばかりしていた感じです。
それでその豪華客船ですが、当時で一人1000万円以上かかったそうです。
この時点で、Q太郎は誘われても自腹では絶対行かないとは思います。いくら経験のためとは言え、出せる限度額みたいなものがありますしね。3か月という期間も長すぎていろいろ無理です。
それでその豪華客船ですが、船内にはたくさんのレストランがあって、24時間いつでも食べ放題状態で、時差もあることからだんだん時間間隔が狂ってくるとのことでした。
とくの祖母は子だくさんで、若い頃から家事に明け暮れる毎日がデフォルトだったので、船の上で家事をやらなくていい、何もすることがないという状態がけっこうきつかったようです。きつかったというか、戻ってきてからボケがかなり進行してしまいました。
そんなわけで、Q太郎もこの環境は耐えられないなとは思った次第です。3か月も拘束されるのはきびしい。「豪華な刑務所」というわけです。
ここでの問題は、Q太郎は豪華客船に乗ったことはありませんが、ダイビングツアーに行った体験とか、祖父母の状況とかで、実際に乗ったらどうなるかはある程度類推できるわけです。これまでの経験と情報を使えば、自分がどうなるかはだいたい想像がつくのですね。豪華客船に対して、まったくの想像でしゃべっているわけではないのです。
それで質問者様が、
いい経験だからといって、今月ハワイに行って、来月タイに行って・・・みたいにやってたら、いくらお金があっても足りません。しかし行かないと、そのぶんの経験は入ってこないわけです。ここがなんだか矛盾しているように感じます。
とおっしゃっていましたが、ハワイとタイで違いはありますが、先程も言ったように経験から類推することはできますので、ハワイへ行って「旅行という経験」自体が自分に合っていて、さらにタイへ行きたいモチベーションがあればタイへ行けばいいですし、「べつにいいや」と思ったら行かなくてもいい。
ハワイへ行った時点で、経験はあるていど獲得できているとは思います。似たようなことを連続でやっても、そこまで大きく経験が増えるわけでもありません。というか、経験に執着する必要性はまったくありません。
何度も言うように、我々は永遠に生きられると錯覚して「なんでもやってみたいほうがいい」と思いがちですが、それをやって時間とお金を失ったぶん、なにかがやれないのです。つねにトレードオフなのです。
時間は有限で、人は必ず死にます。それがこの世の真理です。
「時間もお金も有限であり、自分はいつか必ず死ぬ」ということを意識しつつ、自分がどうしたいかの優先順位を考えたほうがいいでしょう。
まとめ
そんなわけでまとめると、
・なんでもかんでもできるほど、我々には時間もお金もない。トレードオフの世界に生きる以上、自分のやりたいことや興味を中心に優先順位をつける必要がある。(貯金と投資が好きならそれをやればいいでしょう)
・1回目は経験、2回目は消費。時間もお金も有限ですが、節約のためになんでもかんでも断っていたら自分の世界が広がらなくなる。誘われたら最初の1回ぐらいは行ってみてもいいかと。
・「経験」は、経験と情報によってあるていど類推できる。似たようなことは重ねてやってもあらたな驚きみたいなものは少ない。(ゲームとかでも、RPGとか似たようなジャンルばかり遊んでいたらそんなに驚きはないですしね。子供のころにファミコンが楽しかったのも、「初めての体験」みたいなゲームばかりだったからだとは思います。『ドラゴンクエスト』もRPGを遊んだことがない身からすればすごい体験でしたが、いまはゲームに慣れてしまって、あのときの楽しさみたいなものはなくなっていますね。『スーパーマリオ』も「土管入れるんだ、すげー」「泳げるんだ、すげー」とか思いながら遊んでいましたが、いまはそんな体験では驚かなくなりましたしね)。そんなわけで経験というのは類推でき、似たようなことを重ねてやっても新たな驚きはないわけです。
・「経験」に執着しなくてもいい。(貯金や投資が楽しければそれをやればいいとは思います。それも「経験」です)。
・ただ貯金や投資、FIREへの強い執着にも注意。執着自体、人の視野を狭くする。
執着しちゃうと、「その道しかない」みたいな考えてしまい、うまくいかないと苦しみ続けることになります。
外に出たいハエが、窓ガラスのおなじところに何度もぶつかって外に出られないみたいな状況ですね。ちょっと横に目を向けられれば、窓が開いている隙間があってそこから出られるのに、それに気づかず、同じところにぶつかり続けるといった状況です。
そんなわけで貯金や投資が楽しく、自分にとって優先順位が高ければ、世間を気にせずそれをやればいいですが、ただそれに執着しすぎず、何かの機会で旅行に誘われたりすれば、1回ぐらいは行ってみて視野を広げてみるのもいいとは思います。
とにかく物事に執着しすぎることなく、「これが正しい、これが間違っている」みたいな考えにとらわれないほうがいいでしょう。