「Tracers S&P500ゴールドプラス」は長期投資に向いてない?【ゴルプラ】

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golpura long

新NISA一括投資→即毎月定率取り崩し運用中のQ太郎です。

「Tracers S&P500ゴールドプラス」は長期投資に向いているかどうかについてです。

本記事をYouTube動画で観たい方はこちらのリンクから。

「Tracers S&P500ゴールドプラス」は長期投資に向いてない?

こんなご質問をいただきました。

あけましておめでとうございます

昨年は、台湾観光地を紹介していただきありがとうございました。(こちらの記事ですね)

うかうかしてたら台湾燈会時期の茨城→台北便が満席になり、再検討しています。

昨年は良いNISA元年になりましたが、今年も続くか不安もあり、Q太郎さんの2022年の記事を読み返し、今こそ参考になるものが多いなあ、と感じます。今も続いているウクライナ問題の始まり時期でもあったんですね。

最近流行りのsp500ゴールド+をさらっと取り上げてましたが、長期ではどう思ってますか。

直近数年は株価金共に上昇してたから株単体より好調でしたが、2013〜2018などは金下落基調だったから株単体の方がが良いのではないか、と考えます。

長期では概ね2000年を境にして金の昇降が変わってますね。

所詮、レバレッジ商品だから主流に置くのは疑問で、Q太郎さんの中の投資位置付けをお聞かせください。

とのことです。

Tracers S&P500ゴールドプラスことゴルプラですが、どんな投資信託かについては以前の動画でも述べているのでこちらを参照してください。

基本的にはゴールドとS&P500を単純に組み合わせたものではなくて、先物を使ってレバレッジ2倍の取引をおこなっています。そのため期限付き取引を繰り返す形になるため、微妙に為替ヘッジがかかる感じになっていますね。とはいっても、保証金代わりになっているS&P500はドル預かりなのでそこはもろに為替の影響を受けることになります。

VOO GLDM

以前の動画でも示しましたが、あくまで現物での話ですが、S&P500のETFであるVOOと、ゴールドETFのGLDMを組み合わせると、ボラティリティを落としてシャープレシオを改善することができます。

   年率   ばらつき Sharp Sortino
VOO 17.88%  17.46%    0.90  1.43
GLDM 12.95% 14.11%  0.77    1.46
1:1 15.76% 12.21%  1.07    1.90

具体的にはVOOとGLDMを1:1で組み合わせた場合にシャープレシオが改善しますね。ゴールドの動きでS&P500の暴落時のボラティリティを抑えるということです。ただリバランスしないと意味ありませんので、それを勝手にやってくれるという点では便利だと思います。

便利だと思いますが、問題はゴルプラは現物ではなくてレバレッジ商品なのですね。そのため、暴落時の動きがこのとおりにならない可能性が結構高いとは思います。

なぜかというと、近年の暴落が起こるときの初期段階は、債券もゴールドも一緒に落ちる場合が多いので、そのときにレバレッジがかかっている場合は下落率も大きくなります。そうなると、戻す時にかなり大変なのですね。

たとえば100万円の株が暴落によって半分の50万円になった場合、50万円から100万円に戻すためには2倍にならなければならないわけです。これが結構大変ですし、かなり時間がかかります。つまり暴落時の落ち込みが大きければ大きいほど、回復にもそれだけ時間がかかるということになります。

Q太郎がボラティリティの高いものを避けるのも、暴落時の戻しが大変だからというのがあります。結果的にボラティリティが低くて利益率が高いという商品のほうが、ボラティリティも利益率も極端に高いという商品よりも、長期的には利益が安定するのですね。シャープレシオというのはそれをはかるための指標にもなります。

だからボラの大きなインドや中国、さらに言えば日本もリターンに合わない高ボラなので、投資を避けたいというのがあります。いいときはいいけど、悪いときは悪いみたいな感じで、短期投資ならいいのですが、長期投資としては安定感的に難しいのですね。

うまく売り買いできるならいいのですが、長期的に持っておくのは結構難しいものがあります。いざお金が必要で取り崩したいときにズドンしてたみたいなことにもなりかねません。長期投資に必要なのは、やはりきれいな右肩上がりです。

それでS&P500もゴールドも、現時点ではどちらも長期的にきれいな右肩あがりになっています。

gold g

ゴールドのグラム単位の価格推移ですが、ご質問の内容にもあったとおり2013年から2018年までは4000円台の横ばいの期間がけっこう長かったですが、2019年以降から上昇傾向になりました。ウクライナ戦争を境に、近年は急激に上昇していますね。

ただ2020年から2022年まではまた横ばいだったりと、ゴールドはけっこう停滞する時期も多いし、年単位で停滞する場合があるということは一応理解しておいたほうがいいでしょう。

それで現物なら別にいいのですが、ゴルプラは先ほども言ったようにレバレッジ商品です。

レバレッジ商品は、横横の場合は現物よりも株価がどんどん下がっていってしまうのですね。

leva

たとえばゴールドがプラスマイナス10%を繰り返す場合と、2倍レバでプラスマイナス20%を繰り返す場合ですが、青がプラスマイナス10%で赤がプラスマイナス20%ですが、プラスマイナス20%のほうがどんどん落ちていくわけです。先ほども述べたように大きく落ちた場合は、それを戻すのが大変なのです。青を現物だと考えていただくと、赤は2倍レバなので、動きがそもそも違うのですね。

先ほど、2013年から2018年までの5年間でゴールドの停滞が起こりましたが、このときにレバ2倍だった場合、チャートは横ばいではなくて、5年間下降トレンドを描く可能性があります。

当然S&P500が停滞した場合も、レバレッジをかけた場合に同様なことが起こります。高ボラティリティというのはそれだけ怖いのですね。そのため、この手のレバレッジ商品は上昇トレンド時に順張りで短期決戦した方がいい結果になる可能性は高いです。一回ズドンすると、回復に必要な時間がかなりかかることになります。

ここまでの話を聞けば、レバをかけたS&P500に対して、レバをかけたゴールドをぶつけるというのは、現物とは違う動きになるということは理解しておいたほうがいいでしょう。

昨年のパフォーマンスが良かったのはS&P500もゴールドも上昇していたので、それにレバレッジが加わってよいパフォーマンスになったというだけのことで、今後ズドンした場合、S&P500もゴールドもレバレッジ分大きくズドンしますので、それの回復には時間を要する可能性があります。

つまるところ、S&P500のズドンをゴールドでカバーという戦略がつかえず、それどころか一緒にズドンして回復が大変という話になりかねないのです。

leva

別にズドンしなくても、先ほど言ったように横ばいの停滞期に入っても株価は現物よりも落ちていきますので、上昇以外すべてリスクになる可能性もあります。あくまで昨年は、S&P500もゴールドもどちらも上昇していたので結果がよかったということは理解しておいた方が良いでしょう。

自家製ゴルプラ

このレバレッジリスクを避けるために、現物の組み合わせで自家製ゴルプラを作るという手もあります。

たとえばみんな大好きeMAXIS Slim米国株式と、取り崩し投資でも使っているゴールド投資信託のゴールドファンドを1対1で買うとかです。

投資信託なら100円以上ならいくらでもいいのですが、たとえばどちらも100万円一括購入して、半年か一年に1回リバランスします。たとえば一年後にS&P500が90万円、ゴールドが120万円になっていたら、S&P500を105万円、ゴールドを105万円にするのがいいですね。投資信託だったら100円以上なら1円単位で売ることができますしね。

もしくは現金があればS&P500に30万円足して120万円:120万円にするという手もあります。少ない方にお金を足すという方法ですね。こちらのほうが面倒がないとは思います。

自家製ゴルプラについては機会があれば実験してみようとは思います。

まとめ

そんなわけでまとめると、

・S&P500とゴールドは、現物どうしで組み合わせた場合は、シャープレシオを改善する働きがある。

・ただしゴルプラはレバレッジ商品なので、この通りにならない可能性はある。

・レバレッジ商品は下落時に大きく落ち、回復に時間のかかる場合がある。また横横の場合、現物よりも大きく下落していく。

・レバレッジ商品は基本的に順張りの商品である。

・昨年のゴルプラのパフォーマンスが良かったのは、S&P500もゴールドも上昇していたから。

・現物がいいという方は、eMAXIS Slim米国株式とゴールドファンドを1:1で組わせるなどして、半年か1年に一回リバランスすればよい。

となります。

あくまでゴルプラの去年の高パフォーマンスはS&P500もゴールドも上昇していたからという話であって、今後一緒にズドンする局面ではどうなるかはわかりません。

現物なら下落を食い止める効果が期待できますが、レバレッジだと一緒に大きく落ちて、そのあとの回復が大変というパターンにもなりかねません。下落後に停滞期が続いてしまったら、レバレッジだとさらにどんどん落ちることになりますしね。

そんなわけでゴルプラはあくまでレバレッジ商品であり、昨年はどちらも上昇していたことからのパフォーマンスだということは理解しておいたほうがいいでしょう。長期的な防御力としては、レバレッジである以上、一緒に大きくズドンという可能性があるんじゃないかとは思います。

そういうのが嫌な方は、投資信託など現物を1:1で保持して、リバランスをするのがいいとは思います。自家製ゴルプラ実験については、楽天証券ではすでに取り崩し投資用のゴルプラをすでに買ってしまっているので、やるのであればSBIのほうになるとは思います。やる段階になったらまた動画を出そうとは思います。