日産、ホンダとの経営統合破談についてーそもそも無理なのでは

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nissan honda

新NISA一括投資→即毎月定率取り崩し運用中のQ太郎です。

今回は、ホンダと日産の経営統合破談についての話題です。

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ホンダと日産の経営統合破談

こんなご質問をいただきました。

とうとうホンダと日産の経営統合が破談してしまいました。

日産としては自分で自分の首を絞めてしまったように思えます。

やはり日産の経営陣はプライドが高すぎて、ホンダなんかの下にいたくないと考えているのでしょう。

今後日産はどうなっていくのでしょうか。ホンハイに買われてしまう未来があるのでしょうか。

Q太郎様のご意見お聞かせください

とのことです。

個人的にはそもそも無理があると思っていましたが、やっぱり無理があったようですね。

というのも、日産側の要求としては「対等な関係を望んでいる」というのは聞こえのいい言い方ですが、結局のところは「資金だけよこせ。関係は対等だから、こっちの経営はこっちでやる」みたいな態度でしたし、ホンダの方は「そもそも構造変えるの前提だよ。こっちの言うこと聞かないなら金出す意味ないじゃん」という話でして、まあそりゃうまくいかないだろうとは思います。これまでのやり方を変える気がない以上、ホンダ側としても「売上減ってる上に、構造を変える気もない企業に、なんで金出して協力しないといけないの?」みたいな話にもなってきます。

しかも社員の平均年収も、いま調べたところ日産が約850万円に対し、ホンダが約822万円にです。

役員報酬の総額も、昨年は日産自動車が約29.3億円、ホンダが約17.9億円、社長報酬は日産自動車の内田社長が6億5700万円で、ホンダの三部社長は3億4800万円と、日産のほうが2倍ぐらいもらっているわけですね。日産側というか内田社長としては、ホンダに経営権を渡して自分の給料を減らされたくありませんし、ホンダの三部社長側からしたら「なんで俺の2倍もらっとんねん。子会社化したらリストラもするし、給料も減らすにきまっとるだろ」としかならないとは思います。本当にそうなのかは知りませんが、日産側の給料がホンダに合わせる形になるのは間違いないでしょう。

さらにうがった見方をすれば、経営陣はなんか車にあんまり興味がないんじゃないかという気もしており、ぶっちゃけ退職まで会社が持って給料が入ってくれば、あとはどうなろうと自分の老後は年金やらなんやらで安泰という考え方もできます。子会社化してしまうと、ホンダの給与水準に合わせることになる可能性があるため、残り数年の自分の給料を億単位で下げてしまう結果にもなりかねません。他の役員もそんな感じだとなれば、そりゃ必死で経営権握られたくないとは思います。

しかしホンダ側からすれば、経営悪い癖になんで俺たちより給料高いねんみたいな話になってきますし、時価総額的にもホンダは日産の5倍ぐらいありますので、それで対等とか言われても「いやいやいやいや、ふざけんな」としかならないでしょう。

昔、似たようなケースとして、ゲーム会社で「ファイナルファンタジー」とか出しているスクウェアと、「ドラゴンクエスト」とか出してるエニックスが合併してスクウェアエニックスになったことがありました。

一般的には「対等な合併」のように見られていますが、実のところはスクウェアがファイナルファンタジーのよくわからん海外映画を作って巨額の赤字を抱えこんでしまい、経営が悪化していたところを、エニックスが救済する形で合併しています。ちなみにこの映画は観たことありますが、なんかSF的な内容でファイナルファンタジー要素がほとんどないですし、そもそもただの映画として観ても面白くなかったです。

そんなわけで現在の会社名は「スクウェアエニックス」ですが、実のところエニックスが存続して、スクウェアは解散して吸収された形なのですね。

このときに新会社の株式の割り当てが行われたのですが、エニックス株の場合は1:1で交換できていたところ、スクウェア株は1:0.81と低いレートになっています。このことからも力関係の違いがわかるとは思います。

ただスクエニがはじまったばかりのころは、エニックス側が力を持っていましたが、現在は融合が進んで一つの会社という形にはなっています。

ホンダと日産もそんな感じで、日産がいったんホンダの子会社になってくっついてのち、やがて一つの会社としてやっていくという形が理想的だとは思いますが、目先の給料とかリストラとかのことを考えると、経営陣は保身とか給料的な問題とかのために統合したくないというのはあるかもしれません。とくに内田社長は三部社長の2倍貰っているので、子会社化したら億単位でカットされる可能性はあります。というか、たぶんホンダからそういう条件が出ていたんじゃないかという気もします。

そんなわけで、会社の存続自体はともかく、役員たちの楽しい老後のためにも、あと数年は会社の金を吸い取りたいというインセンティブも働きそうなので、ホンダに経営権を奪われて、ホンダの給与水準にされたりリストラされたりを防ぎたいというのもなんかありそうな気がします。

まあ、完全に勝手な想像ですが、ホンダと日産で給料の差がけっこうあるので、子会社化したらこのあたりを是正される可能性が高いため、なかなかうまくいかないんじゃないかとは思います。役員も自分たちがリストラされるかもしれませんしね。

まとめ

そんなわけでまとめると、

・時価総額で5倍の差があるホンダに、日産が「対等な関係」を望むのは難しい。

・平均給与は日産の方が高く、社長や役員にかぎってはなぜかホンダの2倍ぐらいある。子会社化によって経営権を奪われ、減給・リストラにあうリスクを取りたくないというインセンティブが働きやすい状況。

となります。

ホンダと関係が切れた以上、次にホンハイあたりがまた出てきそうですが、ホンハイもシャープを買収したあと、役員報酬を55%削減しましたので、なんにしろ減給やリストラは避けられないんじゃないかとは思います。

そんなわけでどうなるかわかりませんし、正直そこまで興味もなかったりしますが、いざというときは日本政府が助けてくれそうですし、それ込みでの余裕なのかもしれません。そんなことに税金使われたくないので、なるようになっていただければとは思います。