中国AI「DeepSeek」は米国株投資の脅威?ー米ハイテク株は反発
新NISA一括投資→即毎月定率取り崩し運用中のQ太郎です。
今回は中国AI「DeepSeek」が米国株投資の脅威になるかどうかについてです。
本記事をYouTube動画で観たい方はこちらのリンクから。
中国AIは米国株投資の脅威?
さて、DeepSeekショックから一夜が明けて、米国市場はハイテク株を中心に反発しました。
DeepSeekショックで約17%ほどズドンして、トヨタ2社分の時価総額を吹き飛ばした謎の企業NVIDIAですが、昨夜は+8.82%と半戻し。「半戻しは全戻し」という格言もあるように、このまま戻していく可能性もあります。そうなると、むしろ絶好の押し目買いという状況でしたね。
約3%落ち込んだNASDAQ100ですが、こちらも半戻しの+1.59%となりました。ブルームバーグによれば、みんな大好きNASDAQ100ETFのQQQには押し目買いで43億ドルが流れ込んだとのことで、過去3年でもっとも多い流入金額となります。
また約1.5%落ちたS&P500は+0.92%と、こちらも半分以上戻していますね。
思ったより市場は早く冷静さを取り戻したようですが、長期的にどうなるかは今後の動きを見はっておく必要があるでしょう。
ちなみに今回のDeepSeekショックでおいしい思いをしているのがメタ社で、株価は674.33ドルと過去最高値を更新しました。メタ社はDeepSeekと同様のオープンソースAIの「LLaMA(ラマ)」を展開しており、今回のDeepSeekショックで奇しくもメタ社のオープンソースAIが評価された形になりましたね。
そもそもアメリカが中国のAIを、オープンソースとはいえ公式の場で組み込んでいくとはあまり思えず、そうなるとメタ社のオープンソースAIへ期待が高まっていくのも無理はありません。棚ぼたのメタ社にとってはDeepSeek様様といったところでしょう。
一方、全然オープンじゃないオープンAIに投資しているマイクロソフトですが、「AIにカネかけ過ぎじゃね?」ということでズドンしていましたが、昨夜下げ分を取り戻しての上げとなりました。
DeepSeekがゲームチェンジャー的な存在だとしても、やはり中国ということでいろいろ不安があるため、けっきょく安全そうなメタ社のオープンソースAIの方がメインになるんじゃね?という話ですね。
ただ現在主流で使われているオープンソースじゃないオープンAIのCHATGPTですが、「AIごときに毎月20ドル払いたくない」勢が一定数以上いますので、DeepSeekのサービスはそういう無課金勢を取り込んでいけるんじゃないかとは思います。というか、すでに取り込みはじめていますね。Appleのアプリのダウンロード回数はCHATGPTを抜いて1位になっています。やはり無料は強いですね。
「普段使いで、GPT4レベルのものが無料で使えるんだったらそれでいいんじゃね?べつに天安門とか検索したりしないし」という人たちにはよいサービスになるとは思います。ただアプリの場合は個人情報が抜かれますので、そのあたりを受け入れられるかどうかの問題もありますね。
アメリカの動きですが、オープンソースである以上、全面禁止というのは難しいですね。禁止するとしたら、DeepSeekが展開するAIアプリの使用禁止ぐらいになるとは思います。TikTokとおなじ感じですね。
DeepSeekは、半導体輸出を規制している状況で、NVIDIAの最新GPU「H100」が使えず、型落ちの「H800」を使って開発したことで安くAIをつくるというブレイクスルーを果たしました。中国が日本へレアメタルの輸出制限をしたときに、日本がレアメタルに代わるものを開発したときと似たような状況ですね。
安くできた理由としては、OpenAIのGPT-4oを教師役としてパラメータなどをそのまま引き継いでいく、いわゆる「蒸留」することで開発コストを落とすということも行われていたようです。ちなみにDeepSeekのPCの入力画面はCHATGPTとほぼおなじというか、すがすがしいぐらいにパクってますね。
画面もCHATGPTとおなじで無料なら、どうしてもユーザーは流れていくとは思います。CHATGPTも値段の見直しが必要になってきますね。
またオープンソースによって、これまでオープンじゃないオープンAIが独り占めしてきた状況が無料で使えるようになり、産業が発展していくという期待もあります。
AI利用者が増えれば、むしろ半導体産業も活性化しますので、個人的にはそんなに心配はないかなという気はします。
この価格破壊によって、世の中がどう変わっていくかを見守っていきたいとは思います。
まとめ
そんなわけでまとめると、
・DeepSeekショックから一夜、市場は冷静さを取り戻しての半戻し反発。
・同様のオープンソースAI「ラマ」を展開するメタ社が棚ぼた的に評価されて最高値更新。
・CHATGPTのGPT4oと同等レベルのものが、20ドル払わないで無料で使えるのはなんだかんだで強い。アプリランキングもCHATGPTを抜いて1位に。PC版もCHATGPT丸パクリのインターフェース。
・オープンソースだが、アプリ自体は中国開発なので個人情報が抜かれる懸念も。
・DeepSeekはOpenAIのGPT-4oを教師役として蒸留することで開発費を抑えた可能性も。
・アメリカはオープンソースを禁止するのは難しいが、アプリの使用禁止はTikTokと同様にありえるかと。
・オープンAIがクローズドで独り占めしていた状況は終わり、安価なAIを利用することで様々な産業が発展していく可能性も。
・AI利用が増えれば、むしろ半導体産業も活性化する可能性が高いかと。
となります。
そのため、DeepSeek自体がどうなるはわかりませんが、今後はオープンソースのAIが主流になっていく可能性は高く、オープンじゃないオープンAIがモノポリーしていた時代は終わりを迎えていくとは思います。
そんなわけで、金のない企業もAIを取り入れやすくなり、誰でも気軽にAIを使う時代が来ているとは思いますね。そういう意味では、DeepSeekショックが新たな産業の活性化になる可能性は高いとは思います。
AI利用者が増えれば、むしろ半導体産業も活性化しますので、個人的には経済の追い風になるんじゃないかという気はします。