【新NISA】トランプ氏「2.5%利下げ」要求で株価暴騰?実行されたらどうなる?

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新NISA一括投資→即毎月定率取り崩し運用中のQ太郎です。

今回は、トランプ氏の2.5%利下げ要求について、実行したら株は暴騰するのではないかというご質問です。

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2.5%利下げで株は暴騰?

こんなご質問をいただきました。

今回のFOMCでアメリカの金利据え置きが決まりました。

トランプはすでに何度もパウエル議長に対して利下げを要求していますが、今回は2.5%もの利下げを要求しています。

そもそも独立機関であるFRBに対して大統領がこのような要求をするべきではないとは思いますが、それにしても2.5%はあまりにも大きすぎます。

次のFRB議長を選ぶのはトランプですが、高関税でインフレが進む可能性もあります。仮に2.5%の利下げをした場合、どうなってしまうのでしょうか?一般的には利下げ=株価上昇だとは思いますが、2.5%も一気にやれば株価暴騰する可能性もあります。

また長期的にはどのような影響が現れるでしょうか?Q太郎さんのご意見をお聞かせください。

とのことです。

今回の6月FOMCですが、多くの人の予想通りに金利は据え置きになりました。トランプ氏の高関税が経済にどう影響するかがわからない状況ですし、しかもトランプ氏も関税の税率をころころ変えるので予想しようがないわけです。各国との交渉も全然終わっていませんし、FRBからすると「どないすりゃえーねん」みたいな状況です。こんな局面で下手な利下げをしたらスタグフレーションとハイパーインフレになりかねません。

ただFOMCの金利見通しについては、年内の2回利下げもそのまま据え置きにされています。多くの予想だと年内利下げを2回から1回に減らすと見られていましたが、このあたりは従来通りになっていますね。ただ今年はもうあと半分なので、どうなるかといったところです。

市場予想だと10月で一回利下げして、年末の12月にもう一回利下げするみたいな感じになりそうです。アノマリー的に株価の上がりやすい12月に利下げがくれば、そのときの状況にもよりますが、株が大きく上げそうな感じもありますね。逆に円高のほうも進みそうなので、それで相殺されてトントンになる可能性はあります。

日本からの投資だとこういうところも問題になりますね。アメリカの利下げのメリットを受けにくいというのもあります。そう考えれば銘柄にもよりますが、日本株も一つの選択肢になるとは思います。

FOMCでのアメリカ経済見通しについては、実質GDP成長率が減速し、失業率が緩やかに悪化することが予測されています。さらにトランプ関税によって物価が上がるため、個人消費支出は一時的には増加するとされています。直近の経済自体はあまりよい方向にいかないという予想ですね。

アメリカの実質GDP成長率の減速は、当然世界経済にも大きな影響をあたえます。アメリカがたくさん物を買ってくれるから世界経済がまわっているところもありますしね。

ただ中長期的にはトランプ氏の不確実性が薄れていくため、要はトランプ氏が退陣することによって、アメリカへの投資加速、FRBの利下げサイクル再開、AIやロボティクスをはじめとする強力な産業革命の追い風などを受け、堅調に推移していくと見込まれています。

トランプ氏のころころ変わる関税政策で、企業もアメリカに投資して工場つくっていいのか、次の大統領になったら関税もとにもどるから意味無いんじゃないかみたいな感じで、様子見状態になっているのが現状です。そもそもそんなに関税の数字がコロコロ変わっていたら、企業計画も立てようがありません。

そんな感じで、企業はトランプ氏の任期が切れるまで我慢するみたいな感じになっているとは思います。そもそも数字が決まっていない以上、計画立てようがないのでどうにもなりません。

それでS&P500の今後の予想ですが、現在の強気相場はコロナ明けの2022年をスタート地点としているので、一般的に過去の強気相場は平均5~6年程度継続していることから、5年で見積もれば2027年ごろまで上昇するのではないかという予想ですね。あと来年と再来年ですね。

ただそこから先はサイクル的に弱気に入っていく可能性もありますし、2027年まで持たずに弱気相場入りする可能性もあります。今年すでに停滞していますしね。

トランプ氏の任期は2029年1月20日までなので、まだけっこう時間があります。それまでアメリカ経済持つのかみたいな話にもなります。

今回トランプ氏は具体的な数字として2.5%の利下げ要求をしました。FOMCだと毎回0.25%か、多くても0.5%の段階で徐々に動かしているので、2.5%という数字は相当大きなものになっています。一気にここまで変えると、経済がハレーションを起こすレベルになりますね。

これはトランプ氏のいつものやり方で、最初に大きな数字を吹っかけていくというやつです。トランプ関税でもおなじことをやっていました。

不動産取引だったら相手と自分という1対1の関係なので、そのやり方でもいいのですが、国家となるとそういうわけにはいかなくなります。多くの企業が関税率にもとづいて生産計画を立てていますので、その関税がいくらになるかわからないという状況だと計画を立てようがなくなるわけです。

しかもサプライチェーンは一方向ではなく、モノが世界中を行ったり来たりしているわけです。自動車つくるにもその部品を輸入するだけでなく、輸入したものを加工してまた輸出してみたいな感じで、世界中をとびまわっているわけです。

そんな状況の中で、関税がいくらになるかわかりませんみたいな不明瞭な状況が続くと企業も投資を控えてしまいますし、トランプ氏が望んでいるような、アメリカに工場がバンバンつくられるような状況にはなりづらいわけです。不動産取引のような1対1という状況ではないので、こういう取引は国家間でやっていいようなものではないのです。

当然そんな不確定な状況なので、金利も動かしようがありません。どうなるかわからないのですから、なにを根拠に動かすのかもわかりません。

トランプ氏が、高かろうが低かろうが関税を確定させてくれさえすればまだやりようはありますが、そうでなければ根拠がないのでどうにもならないわけです。そんな状況で利下げとかは、ただのギャンブルになります。

そもそもトランプ氏はこれまで6個ぐらい会社を倒産させてきましたし、不動産業にしても自分の代で築いたものではなく、たんに父親の不動産事業を引き継いだだけなので、経営の才能自体はあまりないんじゃないかとは思います。根拠とか数字とかはいっさい関係無くて、その場の思い付きだけでやっている感じですね。

そんな不確定な状況の中で、仮に今年一気に2.5%も利下げしてしまったらどうなるかについてですが、株価は短期的には上がると思います。

2.5%もの利下げは、言い方を変えればお金の価値がそのぶん減ることにもなりますので、企業の価値自体が変わらなくても、お金の価値が減っているぶん相対的に株価は上がります。そういう意味ではゴールドも上がります。

金利差で円高は進みますね。そのため、株価の上昇を為替が帳消しにする可能性もあって、日本からの投資が難しくなるところがあります。また円高によって、日本国内が下がりやすくなるとは思います。日本市場は円安になったら上がって、円高になったら下がるみたいな、企業業績うんぬんよりもほぼ為替で動いているようなものですしね。完全にコモディティ化しているとは思います。

逆に債券のほうは、長期債は将来の利上げを織り込んで金利が上がる可能性がありますね。そうなるとアメリカの債務がさらに増えることになりますので、長期的には赤字が拡大することになるとは思います。中長期的にはあまりよい結果にならないとは思います。

トランプ氏の2.5%発言はいつもの大きな数字の吹っかけとは思いますが、本気でこんなレベルで数字を動かしていたらあとあとの修正が難しくなるとは思います。経済は急に方向転換なんてできませんので、0.25%とか少しずつ動かして、様子を見ながらやらないと致命的なハレーションを起こす可能性もあります。米経済がやばくなれば、世界中がやばくなりますしね。

そもそも金利政策はパウエル議長一人で決めているわけではないので、仮にパウエル議長が2.5%に賛成したとしても、他のメンバーが反対すれば実行できませんので、このあたりの勘違いがあるとは思います。FRBはパウエル議長が独裁でやっているわけではないですしね。

今後経済悪化が懸念されているので、とりあえずパウエル議長というわかりやすい敵をつくって、支持層の団結をかためるというやり方とは思います。「これから経済が悪くなるのは自分のせいじゃなくてパウエルのせいだ」みたいにいいたいのでしょうね。

まとめ

そんなわけでまとめると、

・6月FOMCでは金利据え置き。ただ年内利下げ回数予測の2回も据え置き(市場予想では10月と12月に利下げの可能性)

・米経済は、短期的には実質GDP成長率が減速、失業率が緩やかに悪化することが予測。中長期的には不確実性がなくなることから投資しやすい環境になり、堅調になるのではないかと(ようはトランプ氏の退陣で好転するという見方ですね)

・S&P500の強気相場は2022年を起点とすると2027年あたりまでは続く可能性。

・トランプ氏の2.5%利下げという数字は根拠があるわけではなく、いつもの高い数字を吹っかけるというやり方。

・仮に2.5%の利下げをした場合、株・ゴールドは短期的には上昇。円高が進むので、日本からの投資はトントンになる可能性も。長期債は金利上昇で下落。米国の赤字幅は拡大、中長期的にはあまり良い結果にはならなそう。

・経済はすぐに方向転換できないので、少しずつ数字を動かして様子見しないと致命的なハレーションが起こる可能性。(米経済がやばくなれば、世界経済もやばくなりますしね)

・今後経済悪化が見込まれるので、パウエル議長を敵にして責任を回避し、支持者の結束を固めるのが目的かと。

となります。

そんなわけで、一気に2.5%も動かしたらそれこそ取り返しのつかないことになりますので、トランプ氏のいつもの大きな数字をいうというやり方ということになります。

とりあえず敵をつくって、支持層の団結をかためるというやり方とは思います。「これから経済が悪くなるのは自分のせいじゃなくてパウエルのせいだ」みたいにいいたいのでしょうね。高関税で経済が悪くなってもパウエル議長のせいにできるわけです。そもそもパウエル議長一人で金利決めているわけでもありませんし、彼に決定権があるわけでもありませんけどね。

そんな感じでFRBはトランプ氏を相手にしていないとは思いますが、アメリカで文化大革命レベルのあほみたいなことが起こっている感じはあります。社会実験として見ていきたいとは思います。