【FIRE悲報】金融所得課税強化&国民全員確定申告ー石破茂・河野太郎

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新NISA一括投資→即毎月定率取り崩し運用中のQ太郎です。

今回は自民党総裁選を前にした、石破茂氏による金融所得課税増税案と、河野太郎氏による年末調整を廃止して国民全員が確定申告をする案についてです。

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金融所得課税強化&国民全員確定申告

さて、金融所得課税増税案と国民全員確定申告案についてです。

聞いただけでやばそうな話で、とくに国民全員確定申告案の方は書き方の指導とか含めて税務署や自治体が悲鳴をあげそうな案件ですが、まずは石破茂氏の金融所得課税増税案についてです。

金融所得課税増税案

金融所得課税増税案ですが、Q太郎はネットニュースで知りましたが、これの元となる情報源は、9月2日に放送された『深層NEWS』に石破氏が出演したときの発言です。

石破氏はそこで、銀行預金の利息や、株式の利益などに対して、「(金融所得課税の強化を)実行したい」と断言したとのことです。

金融所得課税の増税自体は、以前に岸田首相も発言しており、その後株価が大きく落ちるという、いわゆる「岸田ショック」が起こりました。その後に発言を撤回して事なきを得たような得ていないような感じになっていましたが、それをまた再開させるみたいな話になってくるわけです。

政治家が金融所得課税増税をしたい理由ですが、稼ぎによって税率が増えていく累進課税とは違って、金融所得課税は一律20%です。現在はこれに復興支援の0.315%を加える形ですね。

累進課税だと、

195万円未満:5%
~330万円未満:10%
~695万円未満:20%
~900万円未満:23%
~1800万円未満:33%
~4000万円未満:40%
4000万円以上:45%

となっており、最大で45%とられます。日本の場合はこれに加えて、所得からさらに住民税約10%、国民健康保険料約10%+介護保険&支援金5%の合わせて25%ぐらいも併せて取られますので、年間所得が330万円以上(税率20 %)の人は45%で、稼ぎの半分ぐらいは税金取られているわけです。

さらに国民年金や厚生年金の保険料も払っているわけで、それらを足せばまさに五公五民の世界で、一般国民は可処分所得がほとんどないわけです。世界的にも類を見ないぐらいの重税国家とは思います。

しかも今年の確定申告から住民税申告不要制度もなくなりましたので、これ自体も実質的な金融所得課税増税になります。

たとえばFIREして、年間の配当金200万円で暮らしていたとします。金融所得課税は一律20%で、15%の所得税と5%住民税という形になっています。

15%というのは、累進課税では所得が330万円の人の税率が20%なので、これより5%低いことになります。

ただこの330万円というのはあくまで基礎控除などもろもろを引いたあとの金額なので、年収に直すと640万円以上の人に該当します。330万円未満が10%なので、200万円の利益に対して15%は、累進課税から見れば払い過ぎになります。

つまりFIREして配当200万円だと、税金を払いすぎている状態になるのですね。しかもVYMとかの米国ETFでの配当だとすると、これに外国税も加わってきます。

ここに金融所得課税の増税が来てしまうと、ただでさえ払いすぎなものが、さらに払い過ぎになるわけです。

金持ちに対しては一律課税の所得税15%が安いという話になりますが、先ほども述べたように、これを超える所得税20%は所得330万円以上で、年収に直すと640万円以上です。

国税庁が2023年9月に発表したデータによれば、年収600万円以上は15人に1人、つまり6%しかいないのです。労働者全体で見ても23%ですね。

つまり金融所得課税が増税された場合、もともと払い過ぎだった94%の国民がさらに増税になるわけです。

労働者で言えば、もともと払い過ぎだった77%がさらに増税ということになるのですね。

6%ぐらいしかいない人たちから微妙な金額を取るために、94%の国民がさらなる増税を課されることとなるのですね。

つまり一見金持ちに対する増税のように見えて、実際は日本国民全体への増税になっているわけです。

これを理解していないと、「1億円の壁をただすために増税だ」とのことで、「よし、金持ちからバンバンお金をとれ。政府は一般国民の味方だ」みたいに政府案に乗っかってしまうのですが、実際は一般国民へのさらなる増税になっているわけです。

年収1億円以上なんて全労働者の0.03%程度の人数しかいません。このために全国民が増税を受け入れるとか、わけがわからないわけです。

そもそも源泉の20%が30%に増えても、累進課税で45%とられる0.03%の金持ち側からすればまだまだ安いわけで、それをするためにすでに払いすぎている94%の一般国民がさらなる増税を受け入れるとか、わけがわからないのです。超少数の金持ちと国民全体、トータルでどちらから多くの税金が取れるかと言えば、当然国民全体からの方が多くの税金が取れます。

この「1億円の壁」で金持ちVS一般国民の対立構造に持っていきつつ、「金持ち憎し」で増税を納得させ、実際はすでに払い過ぎの一般国民へのさらなる増税になっているというのは、ステルス増税としてはうまいやり方とは思います。

イギリスも昔インド統治のために、自分たちの方に矛先が向かないようヒンドゥー教徒とイスラム教徒を対立させていましたし、対立構造をつくりつつ政府が利益を得るというのは歴史上何度もあったことです。今後この「金持ち(0.03%。海外へ逃げる可能性もあり)への対立構造を利用した国民全体への増税」は何度も持ち出されそうな感じです。

というか、極少数の金持ちを微妙に増税するぐらいなら、政治家のパーティ収益とかに税金かければよっぽどとれるんじゃないかと思います。

国民全員確定申告

源泉徴収の20%でも、90%以上の一般国民にはすでに払い過ぎな金融所得課税ですが、「それなら確定申告で取り戻せばいい」と思うかもしれませんし、これまではそれで通用していたのですが、今年から住民税申告不要制度が無くなりました。

特定口座源泉徴収ありで確定申告しなかった場合、200万円の金融所得課税は40万円になります。米国ETFだとおよそ30%だと考えて60万円取られています。実質手元に残っているのは160万円か140万円です。ひと月の生活費が10万円ぐらいみたいな感じですね。

税金を取り返そうと思って確定申告をやったらどうなるかと言えば、基礎控除48万円を引くと200万円の所得は152万円になります。そうなると所得税は195万円未満なので5%になりますね。源泉徴収で15%払うところが5%の7.6万円になるので一見お得なように見えます。これまでは実際にお得でした。

ところが、住民税申告不要制度が使えなくなりましたので、152万円に住民税の10%と、介護保険などを合わせた健康保険料の15%がかかってきます。ざっくり計算で、合わせて152万円の25%で38万円ぐらいになります。住民税の方は昨年払った健康保険料分の控除が使えますが、話が複雑になるのでここでは考えないことにします。健康保険料は基本、基礎控除の48万円しか使えないと思った方が良いでしょう。

そうなるとどうなるかと言えば、

200万円
確定申告無し(源泉)
40万円(外国税ありは60万円)

確定申告あり(従来)
7.6万円

確定申告あり(現在)
7.6万円+38万円=45.6万円

となり、わざわざ確定申告した方が5万円以上多く払うことになってしまうのですね。外国税額控除や、日本株の場合は配当控除を利用してなんかとちょっとお得かどうかみたいな微妙なラインでしょう。これもちゃんと計算しておかないと、けっこうなケースで多めに払うことになってしまうとは思います。還付金が戻ってきて喜んでいる一方、ちゃんと計算したら健康保険料で損してたみたいなケースですね。

さらに言えば、自治体によっては所得が少ないことで給付金が10万円ぐらい出たりしますので、それも考えると下手に確定申告しない方がお得になるケースも多くなります。給付金ももらえないうえに、税金も多く払っているというわけのわからない状態ですね。「日本に貢献したい」と考えている人にはいいと思いますが、お偉いさんの無駄遣いやポケットマネー、豪華な会食費に消えている場合の方が多い可能性もありますので、本当に貢献しているかどうかも謎な部分があります。

何にしろ、住民税申告不要制度の廃止は実質増税になってしまいます。

それで石破氏は金融所得課税増税発言によってたたかれていますが、その裏でもっとやばそうなのが河野太郎氏の「国民全員確定申告」案です。

河野氏の案ですが、これまで国税庁、市町村、日本年金機構などに、勤務先から今バラバラに提出している所得関連のデータを、国の窓口機関で一元管理するというものです。

これをすることで、副業による雑所得以外は自動計算ができるようになるとのことです。

そのため、「年末調整を廃止して、すべての国民に確定申告をしていただきます」とのことになるそうです。

これは河野氏が総裁にならなくてもやりそうなことなので、石破氏と比べるとこちらの方が深刻度が高いです。

例えばこれがさらに進むと、これまで源泉徴収されていた金融所得税に、介護保険を含めた保険料の自動計算がついてくる可能性もあります。実質的なステルス増税ができてしまうのですね。マイナンバーで証券会社の口座がすでに紐づけされていますので、技術的には全然可能な話になります。

 

まとめ

そんなわけでまとめると、

・年収600万円以上は国民の約6%。労働者全体で見ても23%。

・金融所得課税の所得税15%は、年収640万円未満(所得税10%)の国民(国民全体の94%)にとっては払い過ぎ。

・金融所得課税のさらなる増税は、払い過ぎだった94%の国民へのさらなる増税。

・年収1億円稼いでいるのは国民全体の0.03%ほど。金融所得課税が20%が30%になっても、累進課税45%から考えるとまだ安い。むしろ大多数の払いすぎている国民へのさらなる増税にしかならない。

・「1億円の壁」で「金持ちVS一般国民」の対立関係を作ることで、よくわかっていない国民が「金持ち憎し」で増税を支持してくれる(実際は自分たちへの増税)という優秀なステルス増税方法。

・特定口座源泉徴収ありを確定申告をした場合、健康保険料や住民税によって、税金をさらに多く払うケースも多い。さらに給付金がもらえなくなるケースも。

・国民全員確定申告によって、源泉徴収された金融所得課税に対する健康保険料の自動計算で、さらなるステルス増税も可能。

となります。

そんなわけでまとめてしまうと「手を変え品を変え、今後も増税はひたすら続く」ということになるとは思います。正直政府もお金足りませんしね。高齢化社会で医療費もうなぎ上りですし、税金が増えることはあっても、減ることはほぼない気はします。

国民全員確定申告については、どれだけ税金を払っているのかを可視化できますので、ある意味国民が納税意識を持つためにもやってみてもいいとは思うのですが、書き方を教えたりなどでしばらくは行政の手間やコストが増えそうな感じはありますね。