旧NISAは期限前に売った方がいい?新NISAへの移し替えや注意点についても
新NISA一括投資→即毎月定率取り崩し運用中のQ太郎です。
今回は旧NISAで買った株や投資信託は、期限前に売ってしまったほうがいいのかどうかについてです。
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旧NISAは売ったほうがいい?
こんなご質問をいただきました。
「私は2021年に楽天証券で旧NISAで高配当株などを買って、来年には期限の5年目になります。再来年には払い出しになります。
旧NISAは新NISAへのロールオーバーができないため、特定口座に払い出される前に、売ってしまったほうがいいでしょうか。ちなみに現在含み益で+84%ぐらいあります。」
とのことです。
旧NISAですが、積立のほうじゃなくて、年間120万円のほうの話ですね。積立のほうは期間が20年あるのでそのまま放置でいいとは思いますが、旧NISAは期限が5年なので、2020年に買った人は来年で特定口座に払い出しになるので、今年が最後の売却機会になります。今年というか、もうあと一か月ですね。
質問者さまは2021年に購入なので、払い出しは再来年のため、まだ来年いっぱいは売却するかどうか考える猶予があります。来年の年末までゆっくり考えればいいんじゃないかとは思います。
それで売却したらいいかどうかですが、どういう戦略を取りたいかによります。
新NISAで継続
おなじものを新NISAで継続投資したい場合、たとえば来年、旧NISAの株を売却して、その資金をすぐに新NISAに突っ込んでおなじ株を買い直すということもできます。旧NISAで高配当株を100株持っていたら、100株売却する注文と同時に、新NISAで100株購入するということですね。株でしたら一日のうちに反対売買が可能ですので、評価額に大きなずれを生じずに移し替えができるとは思います。
継続した投資をしたいのであれば、たぶんこれが一番いい方法とは思いますね。来年のうちに売却して、新NISAでつないで継続投資したほうがいいでしょう。これをやるのでしたら、特定口座に払い出される前にやったほうがいいです。特定口座に払い出されてしまうと、そこから売却して新NISAに移し替えた場合、評価額によっては税金を取られてしまいますしね。新NISAへの移し替えをするなら、来年中にやったほうがいいでしょう。
投資信託の場合は、楽天証券では一日のうちに購入と売却を同時設定できませんので、一日ずれることになります。それでも一日ぐらいならそこまで大きな評価額の差は出ないので、一日ずらしてやるといいとは思います。
もしくはS&P500とかオルカンでしたら、たとえばeMaxis slimのオルカンを買っていたらそれを売却し、同時に楽天オルカンの購入注文を出せば、1日で売り買いができます。おなじインデックスの違う投資信託を使うという方法ですね。
それと含み損の方も、売却して新NISAで買い直したほうがいいでしょう。含み損状態で特定口座に移った場合、その含み損金額からスタートになるので、もとの評価額に戻ったとしてもその分税金が発生してしまいます。
たとえば旧NISAで100万円で買ったものがズドンして80万円になったとします。これが特定口座に払い出された場合、80万円で買ったことにされてしまうので、もとの100万円に戻ったとしても、それを売却したら20万円分の利益が出ているとみなされてしまうため、税金として4万円取られてしまいます。
これを防ぐためにも、含み損であれば特定口座に払い出される前に売却して、すぐさまおなじものを新NISAで買い直したほうがいいでしょう。元本より減っているのに税金を取られるとか、ちょっと意味がわかりませんしね。
特定口座で継続
新NISAはすでに買うものが決まっているので、旧NISAの株を移し替える予定がなく、含み益なのでそのまま特定口座で投資を続けたいというのであれば、そのまま放置すれば再来年には特定口座に移ります。スタート金額も、含み益の評価額からになるので、無税分の恩恵は受けられますね。
ただ注意してほしいのは、証券会社でちゃんと特定口座を開設しているかどうかです。一般口座しかなかった場合、自動的に一般口座に払い出されてしまうので注意が必要です。NISA口座を開設しただけで、まだ特定口座を開設していないのであれば、再来年までに特定口座を開設しておくといいでしょう。
もちろん一般口座でもいいという人はそのままでいいですが、今年から確定申告で住民税申告不要制度が使えなくなったので、税金的には厳しいことになります。国民健康保険料の基礎控除43万円を超えてくると、分離課税だろうがえげつないレベルの税金取られますし、さらに住民税は約10%ですしね。所得税とか安いものです。103万円の壁がなくなっても、国民健康保険料のほうがかなりきついのですね。
とくに配当控除のない米国株はきついことになります。外国税控除なんてスズメの涙ですし、全然ペイしないどころか数万円税金が増えるみたいな事態にもなります。
所得税は103万円超えてもせいぜい5%ですが、国民健康保険料は基礎控除を超えると、所得に関係なく払わなければいけない均等割りとか加えると、基礎控除超過分に対して24%とかえげつない税率になります。さらに住民税の10%+所得税の5%を合わせて税率40%みたいな感じにもなってくるので、特定口座のままのほうが全然ましじゃんみたいな話にもなってきたりしますね。これに消費税と年金保険料を加えれば、50%ぐらい取られていることになるので、みごとな5公5民状態になるわけです。
正直、所得税は累進課税ですし、税金大したことないんですね。本当に怖いのは国民健康保険料とかの社会保険料なのですね。そのため、103万円の壁が撤廃されても、このあたりの社会保険料の基礎控除も上にあげないとあまり意味がないというがあります。所得税はせいぜい5%ですしね。
そんなわけで、へたに確定申告しないほうが税金というか社会保険料が減らせる場合があるので、できるかぎり特定口座を開設しておいたほうがいいかと思います。
そもそも一般口座だと「いくらで買ったか」も自分で記録しないといけませんし、証券会社での売買記録は10年ぐらいしか保存してくれないので、もしわからなくなったら自分で調べないといけないというかなり面倒くさいことが発生します。長期投資をするなら特定口座はつくっておいたほうがいいですね。
まとめ
そんなわけでまとめると、
・新NISAで継続したい場合は、株なら旧NISA期間中の同日中に旧NISAを売却して、すぐに新NISAで買い直せばいい。
・特定口座に払い出されてから売却して新NISAに移すと、無駄な税金が発生する可能性がある。
・投資信託だと同じものを同日に売り買いできないので、1日ずれることになる。ただおなじインデックスの投資信託を使えば、同日に売り買いがおこなえる。(たとえばeMAXIS Slimオルカンを売却して、楽天オルカンを購入する注文を同時におこなえばいいということですね)
・旧NISAが含み損の場合も、特定口座に払い出されると含み損の金額からスタートになるため、元本回復してもよけいな税金を払わされる。この場合も期限前に売却して新NISAで買い直した方が良い。
・旧NISAが含み益で、特定口座で続けたいという方はそのまま放置で。
・特定口座を持っていないと、旧NISAは一般口座に払い出されてしまう。特定口座を持っているかどうかは要確認。
・一般口座だと確定申告が必要になる。税金的にも国民健康保険料の増加で不利になる場合が多い(とくに配当控除のない米国株)。
となります。
そんなわけで、旧NISAで含み損の方は、期限内に売却して新NISAで買い直したほうがいいでしょう。新NISAに移したいという方も、期限内でやったほうが無駄な税金を発生させずにすみます。
質問者様の状況であれば、新NISAで買うものがとくに決まっていないとか枠が空いているのであれば、今年か来年に旧NISAの株を売却して新NISAに移してしまったほうがいいですね。新NISAのほうは無期限ですから、旧NISAの期限ぎりぎりまで粘る必要性もないとは思います。
そんなわけで税金的に損しないように、期間内にうまく売却するのがいいとは思います。