暴落相場は「リスク許容度」を見直す絶好のチャンス!具体的な方法についても
新NISA一括投資→即毎月定率取り崩し運用中のQ太郎です。
今回は暴落相場におけるリスク許容度見直しについてです。
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暴落相場での「リスク許容度」見直し
こんなご質問をいただきました。
「昨年は新NISAでS&P500やNASDAQやFANG+に積立投資しました。年初一括に比べて利益が少なかったことから、今年は年初一括で投資しました。
結果、現在手痛い目にあっています。自分には投資の才能が無いと思いました(笑)昨年のルール通り、積立でやればよかったですね。
日米ともに下落続きの証券市場ですが、資産全体の株式の割合が多すぎる気がして、ちょっと怖くなってきました。
Q太郎さんのおっしゃられるように、今回は金融業界の問題であるリーマンショックとは違って、ベースとなるアメリカの問題になっているため、今後アメリカが高関税と製造業を自国に戻すことで、旧共産圏のような貧困国まっしぐらになる可能性も否めなくなってきました。
日本も含めて、先進国の人たちはそもそも低賃金労働をしたくはありませんし、そんな製造業をアメリカに戻した所で誰が働くのかという問題が出てきます。こんなことが実現すれば、低賃金で高コストなものを買わされる貧乏国家が誕生するだけです。そもそも物不足になるでしょう。
これまでのアメリカと状況が違うとなると、長期投資が成功しない可能性も出てくるので、怖くなって現在S&P500やNASDAQへの投資を引き揚げたくなりますが、ぐっとこらえています。
この辺りの判断はどうすれば良いのでしょうか?アメリカ自体がこれまでと違ってくる可能性もあるため、このまま投資し続けても良いのでしょうか?」
とのことです。
まず質問者様は、昨年は積立で、今年は年初一括でとのことですが、年初一括でも積立でも、どちらにしろ5年間は投資しなければならないので、単に年単位で積み立てをやっているか、月単位で積み立てをやっているかの違いでしかありません。
年初一括は、言い換えれば年単位で積立しているだけですね。
しかも毎月積立と年初一括でどちらがもうかるかや損するかという話も、これは結果論にしかすぎませので、昨年積み立てをやって、今年年初一括したからといって、5年のスパンで考えればそんなに大きな差にはならないでしょう。年初だろうが毎月積立だろうが、どちらにしろあと3年はやらないといけないのです。
あくまで結果論なので、投資の才能とかそういう問題ではありません。どちらにしろ5年間は分割で積み立てしなければならないので、それが年単位か月単位かの違いだけです。
それでアメリカがどうなるかですが、投資に絶対はない以上、これまでどおりのようにS&P500に投資していれば勝てるみたいな状況ではなくなる可能性も無きしもあらずです。
アメリカの高関税や排外主義によって人とモノが集まらなくなれば、これまでのように世界トップクラスの優秀な才能がアメリカに集まるみたいなのもなくなってきますので、世界での影響力がどんどん落ちてじわじわ衰退していく可能性もあります。
これまでのように米国のハイテク企業が世界の労働力をつかってもうけるみたいな構図も、高関税によってできなくなってきますので、NASDAQに投資して大きくもうけるなどという話も過去のものになるかもしれません。
ただこれらはあくまで可能性の一つなので、インフレ対策として余剰資金はやはり投資しておいたほうがいいとは思います。
なぜかと言えば、現金の価値は、長期的にどんどん落ちていくからです。余剰資金をそのまま寝かせてしまうと数十年後には価値が無くなってしまう可能性もあるのですね。もうけるためというよりは、長期的なインフレに対するヘッジのためです。
それで余剰資金というのは何かと言えば、生活上において数年の間で必要のないお金ですね。
バケツ戦略の話をよく出していますが、例えば現役で働いている人なら、短期バケツに生活防衛資金、中期バケツにローンの頭金や子供の学費など、数年で使う分を現金などの無リスク資産で確保しておきます。子供の学費を株式なんかで運用したら、いざ必要なときに暴落とかあったら子供の人生まで変わってしまいますしね。
そしてこれらを無リスク資産で確保した上で、あまったお金は使う予定のない余剰資金なので、長期バケツで投資にまわします。
もちろん余剰資金がないのであれば、長期バケツは必要ありません。まずは生活を成り立たせることのほうが先です。あるかないかわからない未来に希望をもって、資金が足りないのに投資にまわしていまをないがしろにするようなまねをせず、まずは生活の維持を最優先にしてください。
あくまで投資に使うのは長期バケツにある余裕資金です。短期バケツ、中期バケツを埋めたうえで残ったお金なので、お金が残らないか足りないのであれば、長期バケツはつくらないほうがいいでしょう。
それで投資が怖くなるというのは、投資金額が自分のリスク許容度を超えている可能性があります。
このリスク許容度というのは、自分が思っている以上に低いと思ったほうがいいでしょう。
とくに株式の調子がいいときは、リスク許容度をかなり大きく見積もってしまうため、FANG+とかレバナスとかビットコインとか、ボラティリティの高い物へガンガン投資したくなるとは思います。
逆に暴落相場などになれば、本来のリスク許容度が露呈します。そのため、逆に言えば暴落はリスク許容度見直しのよいチャンスとも言えます。
それでリスク許容度や投資資金の考え方ですが、これも先ほど言ったようにバケツ戦略で短期バケツ・中期バケツに十分な資金があるかどうかが重要になります。
短期バケツ・中期バケツが十分であれば、あとは数年間はどうでもいいお金なので、それがどうなろうとそんなに気にしなくてすむとは思います。怖くなっているのであれば、短期バケツ・中期バケツが十分でない可能性があります。ここが十分じゃないということは、自分の生活が脅かされていることになりますので、当然怖くなるわけです。自分の生存にかかわることですし、生物的にも恐怖を感じるようになります。
例えば、FIREした人のバケツ戦略としては、短期バケツに生活費1年分、中期バケツに5年分の生活費を入れておいて、残りを長期バケツで資産運用する形になります。
毎月15万円で生活したい場合、年間で180万円ですから、短期バケツは180万円です。中期バケツはズドン対策のための5年分の生活費なので、180X5=900万円ですね。合わせて1080万円です。
そのため、月15万円で生活したい人は、この1080万円という数字をよく覚えておいてください。数字をちゃんと認識しておくことは重要です。
例えば今年初めに1080万円の現金があれば、株が暴落しようが何が起ころうが、少なくとも今年から6年間は毎月15万円の生活が確実にできるわけです。ここ、すごく重要です。
つまり年初に現金で1080万円あれば、6年間心配しなくていいのですね。この数字を覚えておけばいいわけです。
たとえばいま50歳なら、56歳まで生きられるわけです。とにかく数字で具体化してください。
それで来年になったときに長期バケツから取り崩しを行って、それで短期バケツと中期バケツで合わせて1080万円あったら、つまりまた6年間生きられるわけです。
そのため、毎年はじめに1080万円の現金があれば、そこから6年間生きられると安心できるわけです。それ以外のお金は6年後以降からしか使いませんので、どうなろうとも6年後まで知ったことではないのですね。
実際6年後まで使わないわけですしね。50歳だったら56歳まで使わないわけです。
つまりは6年間は気にしなくていいお金ということになりますので、暴落しようがどうなろうが知ったことではないわけです。だって使わないお金ですしね。
このリスク許容度を生み出しているのが、短期バケツと中期バケツなわけです。
そのためリスク許容度の見直しというのは、短期バケツ・中期バケツの見直しとも言えます。これが十分でないから、投資が怖くなるわけです。
生活が成り立たない状態で投資していたら、当然暴落したら売りたくなるのは当たり前です。生存がおびやかされているのですから、生物としては当たり前の反応と言えます。
そのため、怖いと感じるのであれば、短期バケツ・中期バケツの見直しをすることをおすすめします。
まとめ
そんなわけでまとめると、
・新NISAは少なくとも5年投資しないといけないので、毎月積立も年初一括も、単に月単位か年単位での積立投資をしているのとおなじ。
・投資に絶対はない。
・アメリカが高関税を維持すると、外国の労働力を使って稼いでいるハイテク企業への影響は大きくなる。
・ただ現金の価値自体は減っていくので、長期間使わない現金(余剰資金)はインフレ対策で投資にまわしたほうがいい。
・リスク許容度というのは、自分が思っている以上に低いと思ったほうがいい。
・株式が上昇しているときは、リスク許容度をかなり大きく見積もってしまいがち。
・暴落しているときに本当のリスク許容度が露呈するので、むしろ見直しのチャンス。
・投資は、短期バケツ・中期バケツを埋めたうえで、残った資金(余剰資金)をつかって長期バケツで運用する。
・毎年の初めに、無リスク資産でいくらあればあと何年安全に生きられるかを数字で具体化しておく。
・暴落で怖くなるのは、短期バケツ・中期バケツの資金が十分でないから。(十分でない状態だと、暴落が直接生活をおびやかすことになりますしね)
・短期バケツ・中期バケツの大きさはリスク許容度の大きさにもなる。
・恐怖を感じるのであれば、短期バケツ・中期バケツを見直そう。
となります。
そんなわけで怖くなっているのはリスク許容度を超えているという状態なので、ようは無リスク資産が足りない状態になっている可能性があります。
いまの状況で恐怖を感じるのであれば、短期バケツ・中期バケツを見直しておいたほうがいいとは思いますね。