サイドFIREは危険?コーストFIREとの比較も

人生・FIRE関連FIRE

side fire

新NISA一括投資→即毎月定率取り崩し運用中のQ太郎です。

今回はサイドFIREはけっこう危険ではないかということについてです。

本記事をYouTube動画で観たい方はこちらのリンクから。

サイドFIREは危険?

さて、このようなご質問をいただきました。

コーストFIREの動画をありがとうございます。

私見ですが、コーストFIREは定年後に完全な退職ができるという意味では、フルFIREと言えると思います。

一方のサイドFIREやバリスタFIREですが、こちらは足りないFIRE資金を労働でまかなう必要があるので、いつまで働けばいいかという問題が出てきます。

こうなると、サイドFIREより定年後にフルFIREできるコーストFIREの方が、労働を伴わない分FIREらしいとも言えます。

サイドFIREをしてしまった場合、60歳以降も働き続けなければならないので、一生労働に追われ続けることになるのではないでしょうか。

年金ですが、個人事業主であれば国民年金のみになってしまうことから、年金受け取りの時期になっても6万円ぐらいしか受け取れませんし、今後もっと減っていく可能性があります。生活できる金額ではありません。

物価も上がっているのに年金が減っていくことから、サイドFIREした場合、さらに将来の労働が増えていく可能性もあります。

また個人事業主は収入が不安定なので、将来の見通しをつけにくいというのもあります。そう考えると、バイトやパートをするバリスタFIREの方がまだましですが、年齢が高くなればパートやバイトも探しにくくなる可能性があります。

安易にサイドFIREをする人が増えているような気がしますが、もっと危険性を発信した方が良いのではないでしょうか。

とのことです。

補足というか言葉の定義をしておくと、サイドFIREというのは個人事業主的な仕事で資金を補いながらFIREすることで、バリスタFIREというのは賃金労働をしながらFIREすることですね。「分ける必要はなくて、どちらもサイドFIREでいいんじゃない?」という人もいますが、とりあえずここでは分けて考えておきます。

それとコーストFIREは定年まで働いて、定年後はフルFIREというものですね。定年前に資金が貯まったら、定年まで適当に働いて準FIRE生活をするというものですが、日本だとそううまくいかないのは前回の動画で述べています。

まずサイドFIREはコーストFIREに比べて危険かどうかについてですが、確かに60歳以降も働き続けなければならないという意味では、コーストFIREのほうが安全性が高いとは思います。

とくに会社に所属していない場合、厚生年金がありませんので、老後は国民年金に頼るしかありません。この国民年金を40年間フルで払い続けたとしても、現在では約6.5万円ほどになります。6万円ぐらいだと絶対に生活できないというほどではありませんが、けっこうきついですね。家賃をいかに抑えるかにすべてがかかってくるとは思います。

日本人の平均寿命は、男性が約81歳、女性が約87歳と、男女でけっこう離れていますが、安全性を考えて仮に90歳まで生きるとして、65歳から約6万円の年金を受け取るとする場合、90歳まで25年ありますから、これを乗り切らないといけません。けっこう長いですね。

それで家賃とか全部込々で月10万円必要だとすると、年金は6万円なので、不足分は4万円です。これを労働なり貯金なりでまかなう必要があります。

仮に貯金だけでまかなう場合、年間の不足分は4万×12=48万円、これが25年間なので1200万円を用意する必要があります。これはけっこういけそうな感じとは思います。問題は、65歳以降に月10万円生活ができるかどうかですね。

ちょっと生活レベルを上げて月15万円にした場合、年間の不足分は9万×12=108万円、25年間で2700万円になります。一時期老後2000万円問題みたいなので騒がれていましたが、2000万円でも足りないですね。毎月不足の9万円を労働で稼ぐのにもそこそこ働く必要のある金額なので、月10万円でなんとか抑える生活の方がまだ現実的ですね。

会社で働くメリットとしては、厚生年金を受け取れるという点です。コーストFIREだと定年まで会社で働くので、厚生年金をフルで受け取ることができますね。ここのメリットはけっこう大きいとは思います。

現在の厚生年金受取額の平均は14.4万円ほどです。10年前の平均は15万円以上あったのですが、毎年どんどん減ってますね。ただそれでも14万円以上はあるので、なんとか年金だけで生活することができなくもありません。この厚生年金狙いで定年まで働くコーストFIREは、老後の安全性の面で言えばアリと言えばアリです。

ただその一方、「年金なんか信用できるか」という方は、個人事業主として生計を立てていくのも一つの道と言えるでしょう。賃金労働であるバリスタFIREの場合、雇い主次第なところがありますが、個人事業主であるサイドFIREの場合は、自分が働きたい年齢まで働くことができます。

まあ、バリスタFIREでも「タイミー」みたいなマッチングアプリがあるので、ああいうのを利用すれば効率的に仕事を探せるかもしれません。ただやはり、基本的には雇い主次第ですね。

シルバー人材センターの利用というのもいいですが、実際やっている方の話を聞いたところ、月4万円とかそんな程度だとのことです。しかも肉体労働系が多く、危険も伴うので、体力に自信がない人には難しいとのこと。梯子で高いところに上っての作業とかもありますね。仕事も必ずあるわけではありません。

あと年会費として2000円ほどかかるので、まったく仕事をしなかったら会費分損します。基本的には労働あっせんではなく、地域貢献という意味合いが強いものだそうです。あくまでボランティアに毛が生えたようなものといったところですね。老後に地域貢献したいという人には良いとは思います。

そんなわけで、コーストFIREのメリットとしては定年まで働くことによって、厚生年金を多く受け取れるというのがありますので、老後の労働を減らしたい方はコーストFIREも一つの選択肢になるとは思います。

ただサイドFIRE・バリスタFIREも、自分で稼ぐことができれば定年という概念はなくなりますので、貯蓄・投資をおこないつつ、自力で財産を増やしていく方向で対処すればいいとは思います。これは個人の力次第とは思います。

サイドFIREの危険性

それでサイドFIREが危険とされているのは、やはり個人事業主になることでしょう。正確にはサイドFIREが危険なのではなく、見通しもなくて個人事業主になるのが危険ということですね。

たとえば会社を辞めて、急に個人事業主をはじめるケースだと、失敗する人は結構多いです。それでまた会社に再就職するケースですね。

何で失敗するかと言えば、一番大きいのはメンタルが持たなくなるのですね。

個人事業主の場合、仕事をしたとしても、そのお金を受け取れるのが結構先になったりする場合が多いです。半年先、一年先とかになる場合もあったり、苦労していろいろやったり企画書を作っても採用されなくて1円も受け取れなかったりみたいなのはざらです。

これまで会社で毎月給料を必ず受け取れていた状態から、いくら働いてもお金がいつもらえるのかわからないみたいな状況に急に置かれてしまうので、「このままお金が無くなったらどうしよう」みたいな不安を常に抱え続けなければなりません。毎月毎月、支出だけで収入がまったくないみたいな状況もざらにあります。

そのためサイドFIREするのであれば、最低限の生活費がFIRE資金でまかなえる状態にしておいた方が、精神衛生上いいとは思います。労働の方はあくまで「娯楽費を稼ぐため」ぐらいでやった方が良いですね。生活費の一部を労働で稼ぐのは、リスクが大きいとは思います。

もしくはバリスタFIREと併用して、賃金労働をして心とお金の安定を得つつ、副業として個人事業主的なことをやるのが良いでしょう。

そのため、会社員からいきなりサイドFIREへ行くのではなく、いったん賃金労働のバリスタFIREを挟みつつ、個人事業主的なことが軌道に乗ったときにサイドFIREに移行していくのが合理的かなとは思います。

ただそれだと「副業が軌道に乗るまで、会社で働いた方が厚生年金も増えるので合理的じゃない?」という人もいるとは思います。

実際それが合理的とは思いますが、「お金どうこうよりも、もうこれ以上会社で働きたくない」という人もいるとは思いますので、転職するか、バリスタFIREするかした方が良いでしょう。この場合、個人的には転職の方をおすすめしますね。キャリアをそのまま活かせますし、「転職したとたん、急にハッピーになった」みたいな人も結構見ています。

ただ転職する場合は、転職先が決まるまでは会社に勤めた方が良いでしょう。会社辞めてから職探しをすると、サイドFIREとおなじような「お金がどんどん減っていく。転職先決まらない」みたいな恐怖でメンタルがやられて、結果まともに職探しすることもできず、どうしようもないブラック企業に勤めてしまうというケースも無くはありません。

人はお金がない恐怖やストレスで頭が悪くなるという研究結果もありますし、追い詰められてさらに間違った判断をしてしまうという危険性があります。そのため、安定した状態で、転職や副業をやっていくのがメンタル的にも一番いいとは思います。

サイドFIREの危険性というのも、会社員から、見通し無しにいきなり個人事業主へ移行してしまうことの危険性という部分が大きいとは思います。そのため、サイドFIREするのであれば、最低限の生活資金は確保したうえで、労働によるお金はあくまで娯楽費ぐらいのサイドFIREにした方が安全でしょう。労働収入が消えたとたんにFIREが破綻してしまっては、そもそもそれは経済的独立と言えるのかという気もしますしね。

 

まとめ

そんなわけでまとめると、

・定年後も働き続けなければならないサイドFIREやバリスタFIREと比べて、コーストFIREはフルFIREになる。

・個人事業主は国民年金のみになる場合が多い。国民年金は40年間フルで払っても、受け取れるのは月6.5万円ほど。6万円ぐらいで考えておいたほうがいい。

・月10万円で暮らし、90歳まで生きるとすると、不足額は1200万円。

・月15万円で暮らす場合は、90歳までの不足額は2700万円。

・厚生年金受給者の平均受け取り額は14万円ちょい。

・コーストFIREは定年まで勤めることにより、厚生年金の受取額も増やすことができる。

・ただ「年金が信用できない」という人は、サイドFIREして定年のない個人事業主を目指すのもあり。

・毎月給料を受け取れる会社員から、いつ収入があるのかわからない個人事業主へ急に移行すると、「お金がどんどん減っていく恐怖」でメンタルがやられやすい。

・会社勤めが嫌な場合、キャリアを活かせる形で転職するのも一つの手。もしくはバリスタFIREで安定収入を確保しつつ、副業を育てていく。

・ただし転職も副業も、会社勤めをしながら確立していった方がメンタル的には良い。

・見通しも無くいきなり会社をやめると、お金が無い恐怖とストレスで頭が悪くなり、さらに間違った判断を下しやすくなる。

・サイドFIREをするなら、最低限の生活資金を確保したうえで、労働によるお金はあくまで娯楽費にあてるぐらいで考えた方が良い。

・労働収入が消えたとたんにFIREが破綻するのは、そもそも経済的独立とは言えない。

となります。

そんなわけで、サイドFIREするにしても、娯楽費以外の資金に関してはFIRE資金でまかなえるようにしておいた方がいいとは思います。そうでないと、生活費が足りなくなってメンタルやられて、さらに頭の悪いことをやり始めるという負のループに入っていく可能性が高いでしょう。

会社にいるうちに、副業で全然稼げているという方はサイドFIREに移行してしまってもいいとは思いますが、「たんに個人事業主になっただけでFIREじゃなくね?」という突っ込みも入りそうな気がします。

あくまで生活費をまかなえる資金、ようは経済的独立が果たせたうえで、サイドFIREなりバリスタFIREなりして娯楽費を稼ぐというのが一番安全でしょう。まあ、経済的独立をしても、仕事をしないというのもやっぱりメンタル的にきついとは思いますので、何か世の中とのつながりは持っておいた方が良いとは思います。

年金については繰り下げ需給とかありますが、これも結構難しくて、ばくち的なところがあります。70歳に繰り下げ受給しようとした人が69歳で亡くなって1円も使えなかったみたいなケースもありますしね。そもそも税金が高くなるとかデメリットもありますし、繰り上げ・繰り下げ需給についてはまた別の機会で述べたいと思います。