FIRE後、4%ルールで生活している人がほぼいない件

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4per

新NISA一括投資→即毎月定率取り崩し運用中のQ太郎です。

今回はFIRE後に4%ルールなどの取り崩しだけで生活している人がほとんどいないんじゃないか、そもそも現実的な方法なのかという話についてです。

本記事をYouTube動画で観たい方はこちらのリンクから。

机上の空論「4%ルール」

このようなご質問をいただきました。

現在FIREを目指してインデックス投資をしていますが、Q太郎さんの以前の動画で「4%ルールの取り崩しはあくまで理想論」のような話をしていました。

株式自体が毎年上がったり下がったりするものなので、私自身もなんとなくそう思っており、いわゆる「年利4%を複利で回すと30年後にこの金額になる」みたいな話は「ふーん」程度にしか思っていません。

投資は投資として続けていますが、ただこれまでインデックス投資をすすめてきたFIRE達成者たちも、インデックス投資の取り崩しで生活しているわけではないとは思います。

厚切りジェイソンさんもFIREを達成していると言いながら、けっきょくは仕事をしているわけですし、他のFIRE達成者も著作やYoutubeなどで収益を上げていたり、けっきょくは何かしらの収入減があって、投資の取り崩しに頼っているわけではありません。

Q太郎さんも働いているようですし、Youtubeもやっていますし、けっきょく4%ルールを実践して、それだけで生活している人はほとんどいないのではないかと思います。

そうなると、4%ルールはあくまで理想論であって、FIRE達成したといいながらけっきょく働いている人たちばかりのように思えます。そのため、あまり参考になるようなことではありません。

4%ルールというのは、やはりあくまで理想論なのでしょうか。質問内容がまとまっていな感じですが、お答えいただければ幸いです

とのことです。これと似たような質問もいくつかいただいているので、まとめて返信する形にしたいと思います。

4%ルールの問題点

まず4%ルールについてですが、これは

「インデックス投資は平均で年率7%ぐらいあるから、インフレ率の3%を加味すると、7-3で毎年4%ずつ取り崩せば元本ずっと減らさずに生活できるんじゃね?

という話です。

ただ実際のところ、株価は上がったり下がったりしますし、取り崩しのみに頼ると資産がどんどん減っていくという恐怖もありますので、相当達観していないと現実的には無理があるのではないかという批判も多く出ています。

ちなみにFIREや4%ルールを日本に知らしめたことで有名な著書に、「FIRE 最強の早期リタイア術――最速でお金から自由になれる究極メソッド」という本があります。いろいろなユーチューバーが紹介していたりして、読まれた方も多いとは思います。

それでこの著者ですが、ここで注意したいのは、本に書かれているのはFIRE後の最初の何年かの話です。

本には普通に4%取り崩しをして、そのお金で暮らしつつ、資産は以前よりも増えているとの話を書いていましたが、この著書自体が売れたことによって巨額の印税が入ってきますので、当然いまでは取り崩す必要もなくなっているとは思います。

他の投資系ユーチューバーとか節約系ユーチューバーとかも、「けっきょくYoutubeで稼いでるからそれが収入になるし、投資も節約も4%ルールもくそもないんじゃね?」という疑問が湧いてくるとは思います。

ちなみにQ太郎のYoutubeチャンネルですが、現在登録者数が1万2000人を超えました。それで毎月の収入ですが、だいたい2万円ちょいぐらいなので、これで生活するのは無理なことはまず言っておきます。

さらにいえば本チャンネルはいっさいバズったりしないので、似たような状態がずっと続いている感じです。案件とか証券会社のアフィリエイトとかも面倒なのでいっさいやりません。完全に趣味でやってる感じです。

ただ有名投資ユーチューバーとか有名節約系ユーチューバーとか、動画時間が長いこともあってそこそこ稼いでいるんじゃないかとは思いますね。

Youtubeの場合、動画時間が長ければ長いほど広告をたくさん入れることができるので、あえて20分30分以上とかの長い動画を投稿する傾向が強くなってきています。

なんかグーグル自体が長い動画や長いブログを好むようで、グーグル検索の上位に出てくるサイトも不必要な情報だらけのやたら文書の長いサイトばかりになってしまって、最近は本当に使いづらくなりました。

たとえば某ETFのことを調べようとしても、サイトを見てみると「そもそもETFとは」みたいな基礎的な話から長々とはじまって、欲しい情報になかなかたどりつけないみたいなのがあります。こういう金儲けのためだけにユーザーの利便性を犠牲にするのは本当にどうかとは思います。

そんなわけで話を戻しまして、「4%ルールを紹介しているFIRE連中は、そもそも4%ルールをやっていない説」はけっこう正しいというか、そもそも印税やYoutubeや仕事やらからの収入源があるので取り崩す必要がない形になっています。

このあたりに質問者様が感じているような「おれたちは収入源あるから4%ルールやってないし、投資信託は取り崩さないけど、4%ルールならFIREできるよ。頑張ってね」みたいな矛盾というか理不尽さを感じているとは思います。

Youtubeで取り崩し投資をしているのも、いまのところQ太郎ぐらいじゃないかとは思います。ほとんどの人が投資信託をガチホしているか、せいぜい高配当投資で配当金を得ているかみたいな感じでしょう。高配当投資もけっきょくは取り崩さないガチホですしね。

そんなわけで最近FIREが下火になってきているのも、「4%ルールをすすめて人に希望を持たせるけど、自分自身は4%ルールをやってない系インフルエンサー」みたいな、「客にクソ高い投資信託をすすめるけど、自分自身は買わないで会社から高い給料をもらっている銀行員」みたいな理不尽さにそろそろいろいろな人たちが気付いてきているのかもしれません。

そもそも株式だけのFIREは無理

それで先程の「FIRE 最強の早期リタイア術」ですが、ちゃんと読んでいただければわかるのですが、著者も「株式だけの4%ルールでのFIREは無理」と認めています。

Youtubeで本要約だけ聴いているとこの部分がすっとばされているとは思いますが、まず30年間ポートフォリオが毀損しない確率は95%であり、いいかえれば5%の確率で資産が底をつきます。

そのため著者も「すべてが運に左右されます」と述べています。そのため暴落からの回復待ちのためには「5年分の現金」が必要としています。

ただ配当金を組み合わせれば、もう少し少なくてすみます。これを「現金クッション」と「利回りシールド」と呼んでいます。

そのため、ちゃんとこの著書を読めば「インデックス投資をして4%ルールで取り崩して」みたいな単純な話をしているわけではないのですね。しっかり5年間の生活防衛用の現金確保も考慮しています。

あとこの著者のアセットアロケーションですが、著書の中では債券40%:インデックス投資60%とけっこう保守的になっています。「インデックス投資全ツッパで、そこから4%取り崩す」というようなシンプルなイメージではないことは理解しておいてください。

本要約的なものによって、イメージが単純化されすぎている部分があります。実際はアセットアロケーションもしっかり組まれています。

著書では、ズドン時の資産防衛のため、というかろうばい売りを防ぐために、5年分の現金が必要なことも述べています。資産をインデックスに全ツッパして、4%ルールで取り崩して完成という単純な話ではないのです。

そんなわけで、実際は暴落時の現金クッションや、債券も混ぜたアセットアロケーションがつくられており、いまは著者は印税とかで取り崩す必要はなくなっていますが、仮に取り崩しだけで生活するとしてもこの保守的な方法ならうまくいくんじゃないかという気はします。アセットアロケーションの調整もしていますしね。

逆にいえば、暴落のことまで考えもせず、アセットアロケーションも考えずに「インデックス取り崩すだけでどうにかなる」と思っていると、暴落時にうろたえることになるとは思います。資産が激減している状態で、さらに取り崩して生活費にしなければならないのですから、資産がさらに減ることになります。

生活のために資産がガンガン削られていきますので、メンタルが強くないとまず無理でしょう。

このFIRE本の著者は、取り崩し自体はもうやっていないとはいえ、暴落時の想定はしており、インデックス投資を過信したり、現金の貯蓄をなめたりしていないので、普通に取り崩し生活をつづけても成功するんじゃないかとは思います。

さらに言えば、このチャンネルでも何度か紹介しているバケツ戦略もつかっています。株や債券などアセットアロケーション用の長期バケツ以外に、暴落に備えた5年分の現金である中期バケツ、直近1年で使う現金分の短期バケツの3つが用意されています。直近1年で使う分の現金を、長期バケツから毎年取り崩して持ってくる形です。かなりがっちりやっています。

そんなわけで「インデックス投資を4%で取り崩して~」だけだと完全に理想論ですが、アセットアロケーションに債券を40%も入れて保守的にしたり、暴落時の資産防衛のための現金クッションを用意したりなど、暴落対策をしておくことで現実的になるとは思います。

 

まとめ

そんなわけでまとめると、

・インデックス投資全ツッパからの4%ルールだと暴落に耐えるのは困難。場合によっては資産が尽きる可能性もある。

・取り崩しでの生活をしたい場合、現金クッションや利回りシールド、アセットアロケーションの組み合わせを活用し、インデックス投資のみに頼らない態勢をつくる必要がある。

・バケツ戦略として、アセットアロケーション用の長期バケツ以外に、暴落に備えた5年分の生活資金用の中期バケツ、直近1年でつかう現金の短期バケツの、合わせて3つのバケツを用意する。(そのためインデックスを4%で取り崩してーみたいな単純な話ではないわけです。バケツ戦略もしっかりつかっています)。

となります。

そのため、4%ルールが現実的かそうじゃないかについては、インデックス投資のみで4%ルール取り崩しだったら暴落時になすすべもないため非現実的とは思いますが、暴落時に備えた現金や、アセットアロケーションを考えた投資ならできないこともないといったところです。

現在働いていて資産形成期であれば、仕事からの収入があるので株式全ツッパでもいいとは思うのですが、FIRE後に資産の取り崩しだけで生活しようとなると、暴落で財産を激減させ、さらにそこから取り崩して生活するみたいになると、まずメンタルが持たないとは思います。怖くなってFIREをやめ、再就職する可能性が高い気はします。

そんなわけで本気で取り崩しFIREをしたいなら、暴落時も想定して現金も準備し、株式一辺倒な感じのアセットアロケーションを避ける必要があるでしょう。

そうでないなら、やはり何か仕事をしたほうがいいとは思いますね。資産がどんどん減っていくことに耐えられる人のほうがまれでしょう。そう考えると、ゆるい仕事をするサイドFIREとかのほうがまだ現実的ですし、持続可能性は高いとは思います。