資産1億円突破したけどFIREできない【FIRE/退職】
新NISA一括投資→即毎月定率取り崩し運用中のQ太郎です。
今回は1億円貯まったけどFIREできないことについてです。
本記事をYouTube動画で観たい方はこちらのリンクから。
https://youtu.be/KUmp5JNiXo41億円突破したけどFIREできない
こんなご質問をいただきました。
「いつも動画を拝見しています。
インデックス投資をし続けていたところ、このたびの円安や株高によって現在資産が1億円を突破しました。（おめでとうございます！）
4％ルールで取り崩していけば、理論上毎年400万円ほどの収入を得ることができます。税金を考慮しても320万円ほどになります。もともとそれほどお金を使わないので、年間300万円以上もあれば、理論上は問題なく暮らしていけると思います。
しかし金融危機で資産が一気に目減りしてしまったりする危険性もあるので、怖くてFIREに踏ん切りがつきません。
さらにいえば現在会社勤めで、年収も1400万円ほどあります。仕事は大変ですが、やめるほどかと言われれば、そういうレベルでもないのがやっかいです。職場に嫌な上司もいませんし、人間関係は良好です。
いまインフレでお金の価値が下がることも考えると、FIREするよりこのまま働いていたほうがインフレ対策になるのではないかとは思います。
会社をやめて今後お金が足りなくなってしまうことを考えると、やはり1億でもFIREは難しいのではないかと思います。
FIREしたあとに週に2日ぐらいゆるく働くということも考えましたが、金銭的な不安を抱えながら低収入で働くぐらいだったら、いまの会社で働いていたほうがまだましなのではないかという気もします。
このような状況であれば、Ｑ太郎さんはどうするでしょうか。できればFIREの背中を押してもらえれば幸いです」
とのことです。
年収1400万円だとコンサル系とか大手メディア系とかでしょうか。何しろ、今の時代に会社勤めで1億円はすごいとは思います。
そもそもＦＩＲＥは必要？
それでご質問の内容ですが、要約すると、
・1億貯めたけどFIREする決心がつかない。背中を押してほしい。
ということとは思います。
質問者様の年齢や家族構成、配偶者がいる場合は共働きなのかどうかとか、子供がいるのかどうかとか細かい部分がわからないので正直なんとも言えないのですが、迷っているということは、そこまでFIREしたいわけでもないのではないかとも思います。
そんな状態で背中を押しても、崖に突き落としてしまうだけのような気もします。というか、仮に「ＦＩＲＥしちゃいなよ、1億あったら十分だよ」と言ったとして、それでなにかあってＱ太郎のせいにされても困ります。自分が何をしたいのかをまずよく考えたほうがいいでしょう。
現在、「お金を貯めたら会社を辞めてFIRE」みたいなムーブメントがありますが、個人的には仕事に不満がなければ働いていたほうがいいんじゃないという気もします。仕事を辞めると人間関係の再構築とか面倒ですし、そもそも不満もないのにやめる意味がよくわかりません。
以前からも言っていますが、「ＦＩＲＥ」の「ＦＩ＝経済的独立」は良いとして、「ＲＥ＝早期リタイア」部分にＱ太郎は必要性を感じません。
そもそも「会社辞めてＦＩＲＥ」というのは、いまの会社に不満を持つ人が多いからそういう流れになってしまっているだけで、不満のない会社にいるなら無理にＦＩＲＥすることもありません。ＦＩＲＥしても逆にやることなくなるだけでしょう。世間とのつながりが無いと、精神病むとは思います。
職場への不満
ここで日本人の職場に対する不満について考えてみます。
日本人は勤勉な民族だと言われていますが、ギャラップ社の調査では、調査対象の145カ国中、日本の「仕事満足度」は5％と最下位でした。
それで日本人が仕事に抱える不満ですが、
1位「給料が低い」（49.8％）
2位「給料が上がらない」（38.4％）
3位「キャリアップの道筋がみえない」（28.2％）
4位「評価基準が不明瞭」（21.4％）
5位「仕事内容がつまらない」（20.6％）
となっています。1位・2位・3位を給料関係というか低賃金関係が独占していますね。「働けど働けどわが暮らし楽にならざる」が数字として表れた形になっています。
逆に「仕事内容がつまらない」は5位で、仕事内容自体にはそこまでこだわりがないようにも思えます。
それで質問者様は年収1400万円と、一般的にはかなりの高給取りです。キャリアアップもしているからこの給料になっているのでしょう。そして仕事内容にも不満がないようなので、逆にわざわざ仕事を辞めてＦＩＲＥしたい理由がよくわかりません。この職場への不満の1位から5位まで、すべて問題ないように思われます。
例えば会社は悪くないとしても、何かすごくやりたいことがあれば、それに挑戦するために会社を辞めて取り組むのはぜんぜんありです。
「1日中ゲーム遊んで暮らしたい」とか「1日中ごろごろしたい」とかに対して強いモチベーションがあれば、それを理由にＦＩＲＥして楽しく暮らすのも全然ありとは思います。
しかし質問内容にはそのような「なぜＦＩＲＥしたいのか」ということも書かれていませんし、ＦＩＲＥブームに踊らされて漠然とＦＩＲＥしたいみたいになっている気もします。
最近は「働いたら負け」みたいな空気感がありますが、Ｑ太郎的には「とくにやりたいこともなくて、仕事に不満がなかったら働けば？」としか思いません。「仕事＝悪」みたいな考えになってしまっている気もします。
高年収を捨てる
ここでもう一つ考えてほしいのは、高年収というかキャリアを捨てることです。
1400万円という年収になったということは、それだけのキャリアを積み上げてきたことにもなります。
それを捨てて、週2回ほどゆるく働くということですが、やりたいことがあったり、会社自体が嫌だったりならば、べつにそれ自体は悪いことではないとは思います。
ただ気の迷いでＦＩＲＥしようとして、そのキャリアを全部捨ててしまうのはちょっともったいないかなという気もします。
独立する道があるのでしたら、会社を辞めたあとにフリーで仕事を受ける形にして、おなじような仕事を少しゆるい形で続けていくのはありとは思います。Ｑ太郎も実際そんな感じでやっています。
ただキャリアを捨てて、完全の別の業種やアルバイトで週2回やるとなると、ただたんに高収入を捨てて低賃金労働に切り替えているだけになりかねないので、あまりおすすめはしません。そもそもその週2回が本当にゆるいかどうかもわかりません。ここは現実的に考えたほうがいいとは思います。
4％ルールは理想論
それと4％ルールについてですが、これはあくまで「インデックス投資を長期でならしていけば、だいたい年平均4％ぐらい増えているよね」みたいな話なので、ご質問であるように「金融危機で資産が一気に目減りしてしまったりする危険性」はじゅうぶんにあります。
毎年かならず4％増えるわけではありません。Ｑ太郎はドットコムバブルもリーマンショックも経験してきたので、４％ルール自体も「可能性は高いけど、そうならない場合もある」ぐらいのとらえ方をしています。
そのため、ズドンしたときに「回復まで待つ」ことができるように、現金のような無リスク資産も持っておく必要があります。このあたりについてはバケツ戦略の動画を参考にしてください。
https://hikou.syowp.com/bukket-torikuzushi/あとよく質問がありますが、社債は、Ｑ太郎的にはリスク資産と考えていますので、無リスク資産には含めていません。会社潰れたら終わりですしね。しかも社債に見せかけた仕組債も多いですし、注意が必要ようです。日本国債は無リスク資産でいいとは思います。
そんなわけで「1億円を毎年4％で運用して～」みたいなのはあくまで理想論であって、そうならない場合もあるということをつねに想定しておかなくてはなりません。
資産1億円で、そのうちのどれぐらいでインデックス投資をしているのかわかりませんが、1億円全部インデックスに突っ込んでいるわけではないとは思います。
そんなわけで市場にはつねにブラックスワンが存在し、過去にはなかったような動きをする可能性もあるので、バケツ戦略のようにズドンしたときに回復まで待つための資金というのも必要になります。
働いていれば給料がありますので、ズドンしても「まあ、べつにいいか」とゆっくり待つことができますが、ガチでインデックス投資の取り崩しのみからの収入しかないとなると、そんな状況でズドンしてしまうと毎日心が休まらないとは思います。そこしか収入減がありませんし、目減りを抑えるために損切りというかろうばい売りしてしまう可能性も高いですね。
インフレ対策
あとご質問の中で、「インフレ対策に働いたほうがいい」とありますが、これはおっしゃるとおりです。
インフレ対策としてゴールドを買うという方法もありますが、働くのが一番手っ取り早いですし、資産が減ることもありませんしね。
そもそも質問者様自身が、
「金銭的な不安を抱えながら低収入で働くぐらいだったら、いまの会社で働いていたほうがまだましなのではないかという気もします。」
とご自身で結論を書かれているので、まだまだ働きたい気持ちが強いんじゃないかなとは思います。
まとめ
そんなわけでまとめると、
・そもそもFIREする必要性があるのかどうかを考える（会社を辞めてまでしてやりたいことがあるかどうかなど、FIREするための強いモチベーションですね。仕事に不満がなければ、いまのままでもいいような気がします）。
・新しい仕事よりも、積み上げたキャリアをつかって独立する道はないのかどうか。（目的もなく高収入を捨てて低賃金労働に切り替えているだけだと、あまり意味のあることとは思えません）
・4％ルールは理想論（未来は何が起こるかわかりません）。
・働くことはインフレ対策にもなる。
・不安があるなら無理してFIREする必要性もないかと。（そもそも経済的独立はいいとして、早期リタイアの必要性はあるのかというFIREの根本的な問題ですね）。
となります。
そんなわけで質問者様は日本人の抱える仕事への不満の1～5位までとは無縁の存在のようですし、キャリアを積み上げてきたからこその高収入なわけなので、早期退職に強いモチベーションないのであれば普通に働いていたほうが幸せなんじゃないかと思います。「FIREしたはいいけどやることがない」とかのほうがはるかに不幸ですしね。
「1日中ゲームがやりたい」とかいう理由でも、それが本当にやりたいことで、それに対して強いモチベーションがあるのであればFIREするのもいいとは思いますが、そういうわけでもなさそうなので、このままでもいいのではないでしょうか。
そもそも、質問者様ご自身が、
「金銭的な不安を抱えながら低収入で働くぐらいだったら、いまの会社で働いていたほうがまだましなのではないかという気もします。」
と結論を出していますし、この結論を振り切ってでもFIREしたいという新たなモチベーションが生まれるまではいまのままでもいいんじゃないかとは思います。
もちろん、ただ書いていないだけで、じつはやりたいことがあるというのであれば、それをやればいいとは思います。
正直、お金が足りないと思う人は、2億になろうが3億になろうが、いくらあっても足りないと感じ続けますし、逆に「2千万しかないけどやりたいことがあるから会社辞めてセミＦＩＲＥする」みたいな人もいます。
極論を言えば、頑張って生活保護をとって、毎日楽しくゲームして遊んで暮らしてもＦＩＲＥになりますしね。お金の心配をしなくていいですし、それもそれで全然ありとは思います。
そんなわけでＦＩＲＥ云々以前に、自分が何をやりたいかをまず考えたほうがいいとは思います。
