「米国債・社債・外貨MMF・外貨預金」は無リスク資産?

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新NISA一括投資→即毎月定率取り崩し運用中のQ太郎です。

今回は質問の多かった「米国債や社債・外貨MMF・外貨預金は無リスク資産なのかどうか」についてをわかりやすく解説していきます。

本記事をYouTube動画で観たい方はこちらのリンクから。

米国債・社債・外貨MMF・外貨預金は無リスク資産?

アセットアロケーションに関連した動画で、よく「米国債は無リスク資産ですか」「社債は無リスク資産ですか?」のような質問をいただきます。

アセットアロケーションは、たとえば「株60%:債券40%」みたいに、リスク資産と無リスク資産の割合を決めることですね。

株はあきらかにリスク資産ですが、債券のほうは自国の国債以外に、社債と外国債とか外貨MMFとかいろいろありますので、判断が難しいというのがあるとは思います。

それで今回、これらの無リスク資産の考え方について話していきます。

無リスク資産の定義

それでまず無リスク資産の定義ですが、大雑把にいえば「元本が保証されているもの」です。

ここでいう元本保証というのは、「現金換算」がベースになりますね。「投資した現金に対して、投資した現金以下にはならない」ということです。これが元本保証です。

さらに「現金」を定義すれば「自国通貨」のことになります。日本人の場合は日本円が自国通貨=現金になりますね。

つまるところ、日本人から見た場合の無リスク資産とは、「投資した「日本円」に対して、投資した「日本円」以下にはならない」ということになります。

ただ国外に住んでいる日本の方もいますし、給料をドルなど外貨でもらっている方もいますので、もっと厳密に定義すれば「自分の生活の基軸通貨」ということになります。自分がどの通貨をメインで使っているかですね。

日々の食料品や生活費などの支払いをしたり、給料をもらったり、税金を払ったりしている通貨ということになります。生活の基盤で使っている通貨ですね。

日本で生活している以上、日本円で生活している人が多いと思いますので、ここでは日本円を基軸通貨として考えます。

それで無リスク資産の定義ですが、「元本が保証されること」です。

それでまず現金というか日本円ですが、これはベースとなるものなので元本が保証されているというか元本そのものなので「無リスク資産」と考えます。

外貨

次に外貨です。たとえば米ドルとか中国元とかですね。これは日本円に対して為替変動がありますので、場合によっては元本を割り込むことになります。

わかりやすくするために、たとえば1ドル=200円のときに2万円を100ドルに変えたとします。

これが1ドル=100円の円高になった場合、日本円換算だと100ドルは1万円になるわけです。

そうなると、日本円換算では-1万円となるため、投資した2万円を割り込んでしまっているため、元本割れになってしまっているわけです。そうなるとこれは元本保証されているとは言えないため、米ドルは「日本円に対してリスク資産」ということになります。

逆に米ドルが主軸通貨の人だったら、日本円は「米ドルに対してリスク資産」になりますね。

そんなわけで、外貨は為替リスクにより元本割れがありますので、リスク資産ということになります。

外貨預金

つぎに外貨預金についてです。最近円安ということもあって、銀行が外貨預金をすすめてくることも多くなった感じがあります。

日本円で預けるのに比べると、高利回りで魅力的なものが多いですね。一時期、トルコリラの外貨預金が流行っていて、知り合いもやっていたことがありました。年利10%とか20%とかすごい利回りでしたね。ただ通貨の下落がそれ以上だったので大損こいていました。

そんなわけで為替リスクによって元本を割り込む可能性があるため、これもリスク資産と考えることができます。

米国債

米国債などの外国債ですが、日本国債に比べて利回りは魅力的ですが、当然これらも為替リスクがあるので、利回り以上に円高が進んでしまった場合、元本割れを起こす可能性はあります。

そのため日本円から見た場合は元本が保証されているわけではないので、リスク資産と見なすことができます。

もちろんアメリカで生活している方が米国債を買う場合は無リスク資産になりますが、我々は日本円が基軸通貨なので為替リスクを背負う必要があります。

逆にアメリカの方が日本国債を買う場合は、日本国債がリスク資産になりますね。

外貨MMF

外国債券に近い形の外貨MMFも、外貨運用なので為替リスクがあります。

ただ外貨MMFは投資対象というより、米国株の配当金や、満期になった米国債のドル受け取りを一時的に保管する場所という使い方が多いとは思います。

例えば米国債が満期になったタイミングで円高だった場合、円安になるまで一時的に外貨MMFに置いておくことで為替リスクを緩和するという方法ですね。

いいタイミングでまた外貨MMFから日本円に戻すということで、為替リスクが抑えられます。

ただ投資対象としては、やはり為替リスクを受けるので、外貨預金などとおなじくリスク資産となります。

社債

次に社債ですが、海外企業は先ほども述べたように為替リスクもありますので、外国債とおなじでリスク資産になります。

そこで為替リスクの無い日本企業の社債ならどうかと言えば、これは人によっていろいろ考え方があります。

そもそも社債が必要ということは、投資をして事業拡大したい以外に、赤字補填のためというのもあります。

なにか画期的な商品やサービスを提供しなくても、国民から税金を吸い上げて維持できる政府が運営する国債と違って、企業はつぶれれば終わりです。お金を貸して、企業がつぶれれば、最悪貸したお金は戻ってこないわけです。

ただ大企業とか、「まあつぶれないだろう」みたいな企業の社債はOKじゃない?みたいな考え方もあります。

ちなみに昔、Q太郎はシティバンクだったかの社債を買ったことがあったのですが、実は仕組債で、ノックインして損したということがありました。こういう社債の皮をかぶった仕組債みたいなのもあるので注意したほうがいいでしょう。この場合、会社がつぶれなくても株価によって損する場合があります。こういう仕組債買うぐらいだったら、株を直接買った方がいいですね。

まあ、こういうこともあるので、社債を買う場合は仕組債になっていないかどうか、注意書きはちゃんと読んでおいたほうがいいですね。というか、ちゃんと読まなかったQ太郎が悪かったという話です。

そんなわけで、社債をリスク資産と見るか無リスク資産と見るかは投資対象によっても変わってきますし、これは人それぞれ判断が違うとは思います。

ちなみにQ太郎は、社債はリスク資産と考えています。会社がつぶれたら0ですしね。国債と比べるとリスクは高いです。

あと社債に似たようなもので優先株というのがあります。ふつうの株式より配当多めで、そのかわり議決権がないというものです。配当や利息は、社債への利息支払いが最優先で、それから優先株の配当、最後に株式の配当という優先順位で払われます。

優先株は基本的に企業の借金を他の企業が肩代わりするのにつかわれるので、一般人が買うようなものではないのですが、米国ETFのPFFDとかで間接的に買うことができます。ただこれは為替リスクが入ってきますので、これもリスク資産と見ていいでしょう。

無リスク資産

「それじゃあ、日本円での無リスク資産って何?」という話ですが、まずは銀行預金です。基本的に元本が保証されています。

正確には、銀行が倒産した場合、利息の付く普通預金などで預けていた場合の保証は1000万円までですが、利息の付かない決済用預金で預ければ1000万円超えても全額保証されます。

デラックスマツコさんは元本割れが嫌なので、決済用預金に現金を預けているという話を聞いたことがありますね。稼ぎや貯金が十分な人は、元本さえ減らさなければいいというのも一つの考え方とは思います。足りているのであれば、べつに増やさなくてもいいですしね。

何にしろ、三井住友銀行とか大きなところに預けておけばそうそうつぶれないので、普通預金や定期預金は元本保証された無リスク資産と言っていいとは思います。不安な人は1000万円ずつ別々の銀行に預けるか、1000万円を超える分は、利息は付きませんが決済用預金で預金しておくのがいいでしょう。

次に日本国債ですが、これも10年債なら1年以上キープすれば途中解約しても元本保証されますので、これも無リスク資産といっていいとは思います。日本国が滅びることになったら、そもそも投資とか言っていられませんしね。

そんなわけで、日本で無リスク資産というと、日本国債と銀行預金ぐらいになるとは思います。

利回り低すぎ問題

それでちょっといろいろと疑問が湧いてきます。日本国債も銀行預金も利回り低すぎ問題です。

前回の動画で紹介したFIRE本の著者は債券40%:株式60%で運用しています。

それでこの著者の債券利回りですが、内容を見てみると国債・社債・優先株合わせて平均4.4%もあります。この利回りの高さが日本との大きな違いなのですね。

日本の場合、異次元の金融緩和によって、国が無限買いオペで無理やり利回りを低くしています。

そのため、海外の投資家がやるような、株式と債券を組み合わせるというイメージを、日本国内でやる場合、「債券部分、全然増えないやんけ。ほぼ現金で持ってるのと変わらんやんけ」みたいな状態になるわけです。

欧米圏だと「ほぼ元本保証で4%以上当たり前」みたいな世界とはまったく違うのですね。無リスク資産がほとんど増えないのです。

そのため、仮に無リスク資産40%:リスク資産60%にしても、無リスク資産から得られるリターンがあまりに低くて、面倒くさいから株式に全ツッパしたくなるのもわからないでもないというような状況です。

無リスク資産で4%以上も入ってくるんだったら、逆に日本人の場合は株やらなくなるんじゃないかという気もしてきます。

そんなわけで、日本は世界から見れば特殊で、国が無理やり利回りを低く保ってしまっているため、今後のインフレに対応する場合、利回りの低い無リスク資産だと弱すぎるのですね。

日本も今後利上げはあるとは思いますが、それでも大した利回りにはならなそうなので、無リスク資産はインフレによって、長期的にはどんどん価値を落としてしまうという問題もあります。

日本国債の個人向け10年債の利回りが0.5%ぐらいなので、現在の日本のインフレ率2~3%にはまったく勝てないわけです。日本国債買っても価値は毀損していくわけですね。銀行預金なんかそれ以下ですしね。

そんなわけで、海外のFIRE環境と日本とでは話が違ってきて、日本株のほうも安定して右肩上がりみたいな感じでもありませんし、米国株投資も為替リスクが付きまといますし、難易度は高くなるわけです。

今後も円安が続くと考えるのであれば、米国債や外貨MMFも無リスク資産に含めてしまえという考え方もOKとは思いますが、正直為替は本当にどうなるかわかりません。トランプ氏が大統領になった場合、大きな変化があるかもしれませんしね。

 

まとめ

そんなわけでまとめると、

・無リスク資産は、基本的には元本保証されたものを指す。投資した主軸通貨(日本円)が、投資額より下回らないことを言う。

・外国債券・外貨MMF・外貨預金などは為替リスクがあり、(日本円から見れば)元本割れを起こすこともある。そのため無リスク資産にはならない。

・社債は投資対象によってリスクが変わる。また人によって無リスクかリスクかの判断も変わる。(Q太郎はリスク資産だと思っている)。

・日本は人為的に金利が低く抑えられているため、海外のような債券のアドバンテージ(高利回り)が無い。海外の例をそのまま日本に持ってくることは難しい。

・今後も円安基調が続くと思うのであれば、米国債や外貨MMFは無リスク資産に含めるという考え方もありと言えばあり(ただ為替ほど読めないものはない)。

となります。

そんなわけで、今後も円安だと思うのであれば、米国債や外貨MMFを無リスク資産として扱うのもありといえばありですね。

ただ為替は変動要因が多すぎて、何が起こるかわからないというものあるので、米ドル全ツッパよりも日本円は日本円として持っておくというのも安全策としてはいいとは思います。近年の為替のボラティリティが高すぎて、海外からの利息も簡単に消し飛ぶ可能性がありますしね。

バケツ戦略の短期バケツと中期バケツは、日本円で運用したほうがいいとは思いますね。前回のFIRE本のやり方だと、短期バケツは今年使う生活費1年分(現金)、中期バケツは暴落対策の5年分の生活費(現金)という形になっています。長期バケツには債券40%:株式60%のアセアロですね。

そんなわけで、我々は為替リスクを抱えつつ投資する形になるので、自分にとって安心のできる方法を見つけていくしかないかなとは思います。