新NISAでリバランスは必要?

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新NISA一括投資→即毎月定率取り崩し運用中のQ太郎です。

今回はバケツ戦略など無リスク資産を使った投資方法のリバランスについて、わかりやすく解説していきます。

本記事をYouTube動画で観たい方はこちらのリンクから。

リバランスは必要?

さて、バケツ戦略など無リスク資産を使った運用に対して、リバランスが必要かどうかの質問がいくつかあったので、それにまとめてお答えしていきます。

まずリバランスについてですが、基本的にはリスク資産と無リスク資産の割合を決めることから始めます。これを決めることが投資で大損しないために重要なこととなります。

ここでのリスク資産は株式などになりますね。無リスク資産は自国通貨や自国債券、銀行預金など、元本保証のされているものです。無リスク資産の話については、前回の動画を参照してください。

それでたとえば株式60%:債券40%といったアセットアロケーションをつくります。実際に投資家がやることは、この割合を決めることですね。

ちなみにこのアセットアロケーションの無リスク資産部分には、基本的には生活費などを含めません。バケツ戦略でいうところの長期バケツの中身なので、生活防衛資金は短期バケツ・中期バケツで確保しておきます。投資用の無リスク資産と生活用の資産は分けてください。

たとえばFIRE本であるのは、短期バケツに直近1年分の生活費(現金)、中期バケツに暴落に備えた5年分の生活費(現金)、長期バケツに株式60%:債券40%といった感じですね。

株式60%:債券40%の部分ですが、日本からの投資の場合、外国債券はリスク資産になってしまいますし、日本国債など国内債券は人為的に利回りがおさえられてしまって現金とあまり変わらない感じなので、この債券40%のところはリバランスのしやすい現金や銀行預金でもかまわないかと思います。

それで日本からのケースの場合、株式60%:債券40%というよりも、株式60%:現金40%みたいな形になるとは思います。ここでは現金で話をすすめます。日本国債もリバランスに使うには使いにくいですしね。

アセットアロケーションの意義

なぜアセットアロケーションをつくるかといえば、基本的にはボラティリティのコントロールです。

たとえば株式100%のときのばらつきが14%だとすると、これを株式50:現金50にすれば、アセットアロケーション全体のばらつきは半分の7%に抑えられます。このことにより、暴落時のダメージを半分に抑えることができます。この割合で、ボラティリティをコントロールするわけです。

以前、レバナスを使った元本保証レバナス実験をおこなっていましたが、あのときのアセットアロケーションの割合はレバナス10%に対して、現金が90%となっていました。レバナス10万円に対して、90万円の現金を用意するという設定でしたね。

アセットアロケーション全体で考えたときには、ボラティリティは、レバナスだけのときに比べて10分の1に抑えられていることになります。ボラティリティの激しいレバナスを、アセットアロケーションで抑え込むという形になっています。

リバランスの意義

ここでリバランスの意義を考えます。

リバランスというのは、たとえば株50%:現金50%のアセットアロケーションが、株の値上がりによって株60%:現金40%となったとします。そうすると、株を売却することによって、株50%:現金50%に戻すというものです。

もう少し具体的にすると、株500万円:現金500万円だとして、株が600万円に増えたとすると、50%:50%に戻すためには、株式を50万円売却して、株550万円:現金550万円にするという話です。実際、株式で50万円きっかり売却することは難しいので、あくまでだいたいの目安です。

逆に株式が暴落して、500万円が300万円になったとします。このときは現金から100万円もってきて株式を買い、株式400万円:現金400万円にします。

なぜリバランスをするかといえば、もうかるかもうからないかという話ではなくて、アセットアロケーション全体のボラティリティを一定に保つためですね。

もうけたいのでしたら、株式はずっと売却せずに長期ホールドしておいたほうが効率的です。あえてリバランスをするというのは、ボラティリティを安定させて安全な運用をするためです。

それと株式をいつ売ったらいいのか、いつ買ったらいいのかということの自動化という意味もありますね。自分の感覚にしたがって売り買いするのではなく、リバランスによって機械的に売り買いすることで、株が高い時に高値掴みで購入したり、株が安い時にろうばい売りをしたりといったことを防ぐことができます。

リバランスの頻度ですが、基本的に1~2年に1回ぐらいで十分とは思います。リバランスを1年に1回やることで、15年でならすと年平均1.5%ぐらいパフォーマンスが上がると言われています。逆に言えばその程度なので、資産が少なければ自分の時間を削ってまで一生懸命やらなくてもいいかなという感じはあります。

あくまで「だいたいこれぐらいの割合でいいや」みたいな感じでやるのがいいですね。毎月毎月とかやる必要はないとは思います。

さらにいえば、30年スパンで株式60%:債券40%をリバランスしなかったばあいとリバランスし場合での、アセットアロケーション全体のパフォーマンスを比べると、一度もリバランスしなかった場合のほうがパフォーマンスが高くなります。売却していないのですから、当たり前といえば当たり前ですね。

短期・中期的にはリバランス効果というのはありますが、長期的にはガチホの方が強いというのは、株式が右肩上がりであるという前提なら、ある意味当たり前といえば当たり前です。

ただもちろん、30年後に自分が生きているかどうかという問題もありますし、株式がかならずしも右肩上がりかという問題もありますので、短・中期的なリスク回避のためにリバランスをおこなうのも戦略的には正しいとはいえます。

新NISAでのリバランス

ここで新NISAでのリバランスを考えてみましょう。

たとえば新NISAで買った株式が50%で、現金が50%だとします。ここでいう現金は、あくまで投資用の現金です。生活に使うお金は含めません。

それで新NISAの株式が値上がって、60%:40%になったとすると、新NISAにある株を売却する必要があるのかというご質問がありました。

結論からいえば、売却する必要はありません。

そもそも新NISAは「貯蓄としての投資」のために用意されています。あくまでインフレ対策の長期バケツのための資産なのですね。年間の投資額上限もありますし、売ったり買ったりを繰り返すような場所という設計にはなっていません。

そのため、リバランスのために売却する必要性はないでしょう。そもそも新NISAはそういう場所ではないのです。長期的な貯蓄用に設計されたものです。「Just keep buying」ですね。

それでもリバランスしたいというのであれば、株式を減らすのではなく、現金部分を増やしてリバランスしてください。株式500万円:現金500万円の割合で、株式が増えて600万円になっていたら、現金も600万円に増やします。

あくまで長期バケツにある投資用の現金なので、収入があればそこから持ってくるだけでいいでしょう。とにかく株式を減らすのではなく、現金部分を増やすという形でリバランスすればいいとは思います。現金じゃ増えないという方は、たとえば定期預金や日本国債を買うというのでもいいでしょう。

株式部分でのリバランス

株式部分でのリバランスをするという方もいます。

たとえば株を10種類買って、それぞれ10%ずつ投資するというものですね。

それで年末か年始に減っている株は買い増し、増えている株は売却で、それぞれ10%に戻すというものです。

これを新NISAでやっている場合は、売却はやらずに、買い増しだけしてすべて10%に戻したほうが計算の手間も省けていいとは思います。

ただどれかの株が突出的にすごく値上がりしてしまったとすると、それに合わせるために他の株式への投資金額も大きくなるので、その場合どうすんねんという話ですが、投資できる金額だけで投資すればいいとは思います。「株式を売らない」というコンセプトを崩さなければ、きっちりリバランスする必要もなくても、あとはだいたいでいいでしょう。

たとえば10種類株があったら、一番評価額の低い3銘柄に均等に投資するとかそんな感じですね。こういうのはそもそもきっちりは無理なので、だいたいでやればいいです。

他にもゴールドとか不動産とかいろいろなアセットがありますが、とくに不動産とか流動性の低いものは売り買いしてリバランスするとかリートでもなければ無理に近いので、本当にだいたいでいいとは思います。「不動産はこれぐらいの割合でー、ゴールドはこれぐらいでー」みたいな感じですね。

 

まとめ

そんなわけでまとめると、

・リスク資産と無リスク資産の割合を決めることで、アセットアロケーション全体のボラティリティをコントロールすることができる。

・リバランス頻度は1~2年に1回ぐらいで、ひんぱんにする必要はない。また割合通りにきっちりそろえなくてもいい。だいたいでやる。

・リバランスは短・中期的にはリスク回避策となる。30年などの長期的にはインデックスのガチホのほうがパフォーマンスが良くなる。

・新NISAは貯蓄用なので、売買するために設計されていない。リバランスする場合、売却するより無リスク資産部分を増やしてそろえたほうがいい。

・株式どうしでのリバランスも、基本的には買い増しで対処したほうが計算が楽。割合の突出した株が出て資金が足りない場合は、評価額の少ない3銘柄に投資するなど、柔軟に対応する。

となります。

30年スパンとかのインデックス長期投資であれば、リバランスは気にせずひたすら積み上げていくのがいいとは思います。新NISAもそのためのものなので、リバランスのために売却するとかはしなくてもよいでしょう。

基本的にインデックスは、使う必要がなければ取り崩さずに置きっぱなしにするのが一番合理的な運用方法になります。

そんなわけで新NISAとリバランスは正直相性のいいものではないというか、そもそもの目的やコンセプトが違うので、使う必要がなければそのまま積み立てていけばよいとは思います。