
取り崩し投資運用中のQ太郎です。
今回は、資産五千万円達成の「その先」における具体的な話についてです。
Youtubeで観たい方は以下のリンクから。
資産5000万円の出口
こんなご質問をいただきました。
「質問です。仮に5000万円到達した後、Q太郎さんならどのような出口戦略を取るでしょうか。具体的にお願いします。」
とのことです。ありがとうございます。
所有というアイデンティティ
投資を続けている多くの方が、「まずは資産五千万円の準富裕層になれば、お金の不安から解放されて幸せになれるはずだ」と信じて、日々の仕事や節約を頑張っていらっしゃると思います。
しかし、いざその五千万円という目標が目の前に近づいてきたり、実際に達成したりすると、不思議なことに新たな不安に襲われることになります。それは「せっかく貯めたこのお金が、減っていくのが怖い」という強烈な恐怖です。
以前の動画でも述べましたが、資産を積み上げた後の出口戦略の難しさは、「お金の問題」以上に、苦労して積み上げた資産を崩すという「メンタル的な問題」が結構大きいですね。
長年かけて苦労して作った芸術作品を崩すようなものですし、自分の一部が失われる怖さがあります。
「人はその所有物によって自分のアイデンティティをつくる」と言われますが、資産5000万円持っているということは、「5000万円を持っている準富裕層の自分」を作ることができるわけです。日本人口の上位6%のポジションですね。
これが取り崩しで4000万円に減ってしまった場合、自分のアイデンティティは「4000万円を持っているアッパーマス層の自分」というふうに、以前よりアイデンティティの格下げになってしまうわけです。上位6%から上位13%にポジションがさがってしまうわけです。
3000万円以下になれば「マス層の自分」になってしまうため、さらにアイデンティティは下がります。人口の約8割がここなので、アイデンティティが「その他大勢」になってしまうわけですね。
つまり単に金額が減るわけではなく、自分のアイデンティティも減ってしまうわけですね。だから取り崩すのが怖いわけです。「お金が減る」というだけの単純な話ではないのが、人間のやっかいなところです。
ここで「自分のアイデンティティは自分の外には無い。あくまで自分自身の中にある」という強いメンタルがあればこういう問題はありません。
しかし案外人は所有物で自分のアイデンティティをつくりたがるので、やはりアイデンティティを減らしたくない人は多いと思います。この「アイデンティティの喪失」が、毎年4%を取り崩す4%ルールの実行がなかなか難しい理由にもなってきますね。
結局のところ、人はお金ではなく、自分のアイデンティティを取り崩したくないわけです。これが取り崩しの、本質的な難しさになります。
今回は、この呪縛から抜け出すために、まずは具体的な「取り崩しの数字と仕組み」で安心感を得ていただき、その上で、五千万円という武器をどう振るうべきかという「人生の考え方」について、セットでじっくりとお話ししていきます。
実践:五千万円の「賢い」取り崩しシミュレーション
まずは、「数字」と「仕組み」の面から、お金が減る恐怖を打ち消していきましょう。
五千万円という資産を、私たちがよくお話しする「四パーセントルール」で取り崩した場合をシミュレーションしてみます。五千万円の四パーセントですから、年間で二百万円。月に直すと約十六万円を引き出せる計算になります。
ここで強力な武器になるのが「新NISA」です。通常、投資の利益には約二十パーセントの税金がかかりますが、新NISAの口座で運用している分に関しては、この税金が一切かかりません。つまり、成長した資産を取り崩す際も、国に手数料を取られることなく、まるまる自分の生活費として使えるわけです。月に十六万円の非課税の不労所得があれば、年金と合わせることで、生活が破綻するリスクは極めて低くなります。
「でも、投資だから毎年確実に四パーセント増えるわけじゃないでしょ?暴落したらどうするの?」と不安に思う方もいらっしゃるでしょう。
また、五千万円といっても、五千万円をフルで株式などのリスク資産にぶっこんでいる人はいないとは思います。当然一部を現金で持っているでしょう。
それで考えなければいけないのは、この現金比率とリスク資産の比率で、ここで必要になるのが、このチャンネルで何度も出てきている「バケツ戦略」という仕組みです。
全額を投資に回すのではなく、数年分の生活費を、絶対に目減りしない現金の「生活防衛資金のバケツ」に分けておきます。そして、残りを「リスク資産のバケツ」に入れて運用する。もし市場が大暴落して株価が半分になったとしても、現金のバケツから生活費を出せばいいので、一番安い時に株を泣く泣く売る「狼狽売り」を避けられます。
生活防衛資金は短期バケツ。ローンや子供の学費など、直近で使うまとまったお金は中期バケツ。この二つのバケツは現金などの元本割れしない資産で運用します。
現金は長期的にはインフレ負けして価値が減るとは言え、直近数年という短期的な変動には強いので、直近で使うお金は必ず元本を毀損しない形で運用する必要があります。これが短期バケツと中期バケツです。
それで残ったお金というのは長期的に使わないものなので、インフレ負けしないように全部長期バケツに入れるわけです。逆に言えば、短期バケツと中期バケツが潤っていれば、残りは全部長期バケツにぶち込んで株式とかのリスク資産を買っていいということになります。
ちなみに国内債券は中期バケツで運用していいですが、海外債券は為替変動があるためリスク資産になるので、これは長期バケツで運用します。
新NISAによる非課税の恩恵と、バケツ戦略による暴落への備え。この二つの「数字と仕組みの安心」をしっかりと構築することが、減る恐怖を克服するための第一歩になります。
株式の暴落が怖いのは、資産全体に対して株式の保有比率が高すぎるのが原因です。つまり株式の変動が自分の生活を脅かす状態になっているのですね。当然、生命維持につながる部分なので、暴落が怖いのも当たり前です。生命維持に直結する状態になってしまっているからです。
そのため、短期バケツと中期バケツはしっかりと用意して、残ったお金でリスク資産を買ってください。働いていたり年金をもらっていたりという人は、短期バケツと中期バケツのお金をその分減らすことができますので、自分が年間いくら必要なのか、そのあたりも計算しておくといいでしょう。
例えばフルFIREなら短期バケツに生活費1年分、中期バケツに生活費5年分ぐらいは欲しいところですが、働いているのであれば、短期バケツは三カ月から半年分ぐらいもいいとは思いますし、中期バケツも生活スタイルに合わせて調整すればいいとは思います。
資産管理で「脳のMP」を浪費する悲劇
さて、ここからが今回のメインテーマです。数字や仕組みで安心を作ったとしても、実はそれだけでは本当の幸福には辿り着けません。最後は「あなた自身の哲学」が必要になります。
一つ目の哲学は、「自分の脳のMP、つまりマジックパワーを資産管理に浪費しない」ということです。
資産が五千万円という規模になってくると、日々の株価の値動きによる影響がとんでもなく大きくなります。たとえば、市場がたった一パーセント動いただけでも、一日にして五十万円も資産が増減するわけです。数パーセントの暴落が起きれば、一日で数ヶ月分の給料が吹き飛ぶ計算になります。
Q太郎が毎月このチャンネルで公開している取り崩し投資実験の結果も、元本2000万円程度にもかかわらず、毎月百万円とかの単位で上下しているわけです。最近はいろいろと世界的なイベントも多くて、株式の結構動きはかなり激しいのですね。
この時、もしあなたが毎日毎日、スマートフォンの株価アプリを一日十回も二十回も開いて、「ああ、今日は三十万減った」「今日は二十万戻った」と一喜一憂していたらどうなるでしょうか。お金は減っていなくても、あなたの大切な脳のMPが、資産管理のストレスだけでゴリゴリと削り取られてしまいます。
以前の動画でもお話ししましたが、人間の気力や意志の力には一日の上限があります。せっかく五千万円という大金を築いたのに、毎日株価のアップダウンに心を支配されて、新しいことに挑戦する気力も、趣味を楽しむMPも残っていない。これでは完全に本末転倒ですよね。
現金のバケツで生活防衛資金を確保しているなら、日々の値動きなんて本来気にする必要はないんです。五千万円というお金は、あなたのMPを無駄な不安から解放し、もっと楽しいことや有意義なことに使うためにあるはずです。アプリを見るのは月に一回だけにするなど、意識的にお金から距離を置く哲学が絶対に必要になります。
そもそも資産の数字を見たところで、何か変わるわけではありません。見て資産が増えるならQ太郎も毎日見ますけど、そうでなかったら時間の無駄とは思います。Q太郎も毎月の取り崩し投資実験報告の時以外はほとんど見ていませんね。
目的のない五千万円はただの「数字の羅列」
二つ目の哲学は、「死ぬ時に一番金持ちになっても意味がない」ということです。前述したように、アイデンティティとしての金持ちのまま死ぬことに意義を感じるのであれば、それの生き方の一つなのでいいとは思いますが、そうでなければ「そこそこに使って、そこそこに残す」みたいな、そこそこな感じでいいとは思います。
資産形成を長く続けていると、いつの間にか「お金を貯めること」自体がゲームの目的になってしまう病気にかかりやすくなります。減るのが怖いからといって、五千万円に一切手をつけず、欲しいものも我慢して毎日スーパーの見切り品ばかりを買い、そのまま寿命を迎える。
通帳に「五千万円」という立派な数字が印字されたまま、この世を去るわけです。準富裕層のアイデンティティを保ったままこの世を去ることはできますが、それは果たして、本当に幸せな人生だったと言えるのかという問題ですね。
アイデンティティではなく、実利的な部分で言えば、お金の本質というのは、あくまで「価値のある経験やモノと交換するためのチケット」でしかありません。使わなければ、ただの画面上の数字の羅列です。「このお金を、いつ、何のために使うのか」という明確な目的意識がないと、一生お金の数字の奴隷として生きることになります。
健康で体力があるうちに、家族と旅行に行く。やってみたかった趣味に没頭する。そうした「自分の人生を豊かにする経験」に、勇気を持ってお金のチケットを使っていく。
準富裕層というアイデンティティを削り、減る恐怖に打ち勝ち、「使うためのルール」を自分の中で確固たるものにすることが、準富裕層の罠から抜け出すための重要なマインドセットです。
言う程簡単ではないかもしれませんが、アイデンティティという形の無いものと、「交換チケット」という実利のどちらを取るかという問題にもなってきますね。
「足るを知る」という究極の防御力
そして三つ目の哲学、これが一番重要かもしれません。それは「足るを知るという最強の戦略」を持つことです。言うほど簡単ではありませんが、このマインドを手に入れられれば最強とは思います。
世の中を見渡せば、五千万円どころか、一億円、二億円と持っているのに、ちっとも幸せそうじゃない人がたくさんいます。なぜかというと、彼らは常に「上を見て比較競争をしているから」です。
今の時代、SNSを開けば「同級生がタワーマンションの最上階に引っ越した」とか「知り合いが何百万円もする高級外車を買った」といった情報が、嫌でも目に入ってきます。それに張り合って「自分も負けてられない、もっと稼がなきゃ、もっといいものを買わなきゃ」と見栄を張り始めたら、どれだけお金があっても一瞬で溶けてしまいます。他人と比較している限り、心の中の「もっと欲しい」という不足感の穴が塞がることは一生ありません。
この底なし沼から抜け出す唯一の答えが、「足るを知る」ことです。これは決して「お金を使わずに、貧乏くさく我慢しろ」という意味ではありません。「自分にとって、何をしている時が一番幸せで、それには一体いくらかかるのか」を正確に把握するということです。
ドラクエやファイナルファンタジーは人気ですが、Q太郎にとってはRPGは時間がかかりすぎますし、ストーリー中心なら動画とか小説観た方が速いと思っていますので、ゲーム好きでもこれらは自腹では買いません。スルーしています。
現実問題、ドラクエもファイナルファンタジーも最後までクリアしている人は2~3割ぐらいしかいません。ほとんどの人が買ってしばらく遊んで放置みたいな状態です。
タダでもらえるならもらいますけど、自腹だと絶対にそこには投資しませんね。結果がわかっていますしね。それにストーリーを知りたいだけだったら、何時間もレベル上げとかしなくても、Youtubeとかを観ればいいだけですしね。
世間の流行りと自分の趣味が一致していればそれでもいいんですが、そうでなければ自分が必要なものをちゃんと把握する必要があります、
自分はこれだけあれば、十分に楽しく生きていける。この確固たる自分自身の基準、「自分の幸せの適正サイズ」を知っている人こそが、最強なんです。
五千万円という数字やアイデンティティに振り回されるのではなく、そのお金を、自分だけの幸せを守るための城壁にする。自分にとって本当は何が必要で何が不要かを見極め、お金に依存しない生活の楽しさを知っておくこと。これが、資本主義のバグである比較競争から降りて、本当の意味での精神の独立を果たすための、究極の防御力になるんです。
まとめ
それでは、今回のまとめです。今回は「五千万円の賢い取り崩しと、人生の哲学」についてお話ししてきました。
まとめその一。所有物は人のアイデンティティをつくります。お金が減ることは、準富裕層というアイデンティティの喪失にもつながることになります。お金が減る怖さは、単に数字上の問題だけでなく、準富裕層というアイデンティティの喪失という問題もあるのですね。
まとめのそのニ。「数字と仕組みで安心を作る」。新NISAの非課税枠をフル活用した四パーセントの取り崩しと、暴落に備えるバケツ戦略を組み合わせることで、「お金が尽きるかもしれない」という物理的な不安と恐怖をコントロールしましょう。
まとめのその三。「脳のMPを浪費せず、使う目的を持つ」。毎日株価をチェックして気力を使い切ってしまっては意味がありません。五千万円はあなたの心に余裕を持たせるためのツールです。死ぬ時に一番の金持ちになることを目指すのではなく、人生を豊かにする経験にチケットを使いましょう。
まとめのその四。「足るを知り、比較競争から降りる」。他人の資産や世間の見栄と比較している限り、一生不安は消えません。お金に依存しない自分だけの幸せの基準を持ち、五千万円という数字に支配されるのではなく、その数字を使いこなしてください。
資産五千万円というのは、あなたを自由にするための強力な武器です。どうか減る恐怖や世間の見栄に縛られず、地に足の着いた、あなただけの最高の人生を歩んでいってください。
皆さんの『そんなにお金をかけなくても最高に幸せを感じる瞬間や趣味』って何でしょうか?皆さんの『足るを知る』エピソードがあれば、ぜひコメント欄で教えてくださいね。

