【新NISA】40代後半・50代以降は投資に注意!アセットアロケーションで資産を守る
QYLD全力太郎ことQ太郎です。
今回は前回の動画で述べていたアセットアロケーションについてです。とくにまとまったお金を持っている一方、時間を活かしづらくなる40代後半・50代にかけては注意が必要になります。
本記事をYouTube動画で観たい方はこちらのリンクから。
40代後半からのアセットアロケーション
時間が活かしにくい
さて、若いころは時間もたっぷりありますし、株全力でよかったのですが、40代後半・50代にもなると老後が近づき、時間が活かしにくくなります。
若い人とおなじ感覚で投資することは、時間的にできなくなります。
変なタイミングで株式がズドンすれば、その回復まで時間が足りずに人生終了という可能性もあります。
たとえばインデックス投資は20年続ければだいたいプラスといわれていますが、50歳の20年後は70歳です。
日本人の平均健康寿命は男性で72歳、女性で75歳ぐらいといわれていますので、実質的に楽しめる老後は60歳になってから10年ちょいぐらいしかない可能性もあります。
インデックス投資は、未来へ資産を送る行為にもなります。
50歳からいろいろ我慢して耐えてインデックス投資をし、健康寿命も尽きてきそうな70歳になったときに大金を受け取ってもどうなんだろう的なところがあります。
自分の人生が、金をため込んで増やすだけの人生になってしまう後悔ですね。
大金抱えて後悔するならまだましで、「高齢で現金が必要なタイミングでズドンして資産半分になりました」みたいな状況はもはや救いようがない不幸になるでしょう。
そのため、若い人のまねをして高齢で株全力だと、なにかあったときに「時間がない・お金も稼げない」でリカバーがきかなくなります。
まとまったお金を投資した願望
もう一つの危険性として、40代後半・50代というのはまとまったお金がある人が多かったりします。そのため投資行動が大胆になりやすいです。
そんな人たちが、「年率8%の社債買わないか? 有名会社の債券だから安全だよ」とか「みんなで不動産出資して、年率5%もらえるよ。預金感覚でできるよ」みたいな話にのっかって、数千万円を詐欺られるという事件はいくらでもあります。
とりあえず最初の何年かは、預かったお金から配当金を払って、信用させて加入者が多くなったところで逃げるみたいなポンジスキームですね。古典的な手法なのにいまだにだまされる人が多いのが、この詐欺の強さをあらわしています。
とにかく「まとまった金がある」→「なにか投資したい」の行動から、ヤバい投資話に乗りやすくなる時期でもあります。
とくに、若い人以上に、短期で一気に増やそうと考えやすくなる時期でもありますね。
ブラックスワン
ここで投資におけるブラックスワンという考え方があります。
ブラックスワンとは白い白鳥の中に、まれにひそむ黒い白鳥ですね。
「これまで白い白鳥しかみたことがない」からといって、「黒い白鳥が存在しない」とは言い切れないのです。
逆に、黒い白鳥が一羽でもいれば、「白鳥は白い」の前提はすべて崩れます。
「これまでインデックス投資は、長期運用すればプラス」みたいな言われ方をしていますが、これはあくまで過去のデータからの話であって、これからそうであるとはかぎりません。
「これまでがそうだから」といって、「これからもそうだ」とはかぎらないのです。
ブラックスワンの発生、つまるところ例外が発生する可能性があるわけです。まだ誰も見ていないだけで、発生しないと証明されたわけではないのです。
インデックス投資しても、20年運用してマイナスである可能性もあります。未来のことは誰にもわかりません。
そのため、株式に全突っ張して、老後にお金が必要なタイミングでズドンして、それでもお金が必要だから崩さないとならないみたいな状況になるのは危険といえます。
「投資家の多くは偶然を甘く見積もりすぎている」と言われますが、時間を活かしづらい年齢になれば「偶然」の存在、すなわちブラックスワンの存在に対して謙虚である必要があります。
インデックスの長期投資が成功すると思う一方で、成功しなかった場合への備えもしておかなければなりません。時間のない老後では、一度の失敗が命取りにもなります。
インフレにも注意
じゃあ、現金かかえていたほうが安全かといえば、そうでもありません。
投資をせずに現金だけで抱え込んでいるとインフレに対応できなくなります。現金の価値が減っていくのですね。
株式のズドンにも対応しつつ、インフレにも対応するために考えなければならないのは、現金・債券ーーここではまとめてキャッシュと呼びますーーと、株式の比率です。
つまり資産の比率、アセットアロケーションです。
アセットアロケーション
アセットにはキャッシュ(現金・債券)・株式以外に金とか不動産とかありますが、正直老後に複雑なアセットを組んでも運用が難しいので、ここはキャッシュと株式だけで単純に運用することを考えます。
それでこの比率をどれぐらいにするかですが、これは人それぞれなのでなんともいえません。
一般的にいわれていることは「年齢分の比率をキャッシュにする」ということです。
40歳なら「キャッシュ40%:株式60%」
60歳なら「キャッシュ60%:株式40%」
みたいな感じですね。
そもそも高齢になればなるほどお金を使える時間も短くなるので、子孫に残すというのでなければ、未来のために株式で増やす必要性は低くなっていくわけです。そのためキャッシュポジション多めになっていきます。
実際、多くの人が老後に資産の25%ぐらいしかつかっておらず、75%もの資産を残して死んでいくといいます。
そして老後は思ったよりもお金を使わなかったりします。旅行行ったりイベント行ったりとかも少なくなりますしね。
つまるところ、老後が近づいてきたタイミングでは、無理して増やす必要性がそもそもなかったりします。
少なくとも、普通に考えて高齢なのに株式100%は悪手だというのはわかるでしょう。
みなさんがやっているインデックス投資を開発したバンガード社の創始者である「インデックスの父」ことジョン・ボーグル氏ですら、株式50%:債券50%の比率でやっています。インデックスの父ですら、老後にまで株式全突っ張はやりません。
それとウォーレン・バフェット氏は遺言で資産運用を「インデックス90%:債券10%」と指示していましたが、これは彼の子孫、さらに子孫と延々と受け継いでいく数百年単位の超長期資産なので株式90%なのです。一代で終わる投資の比率の話をしているわけではありません。
バフェット氏自体は大量のキャッシュを抱えて、タイミングが来るまで株を買わないみたいなことをしています。つねに株全突っ張とかはやっていません。
株式の達人たちですらそんなものですから、40代後半以上でまとまった資金がある場合は、株式全突っ張ではなく、ブラックスワンという偶然の発生にある程度は謙虚になっておく必要があります。
人間は間違えます。そしてキャッシュは、「間違える」ということを許容するための保険の役割を果たします。
キャッシュと株式の比率
それで株式とキャッシュの比率ですが、先程も言ったように、若い時は時間があるので株100%でもキャッシュ部分は稼げばなんとかなります。そしてそもそも投資できる金額が少ないので、ダメージも少ないでしょう。せいぜい数十万円・数百万円です。稼いでなんとか回復できる金額です。
しかし40代後半・50代になるとまとまったお金があるため、若い人とおなじ感覚で投資すると痛い目にあう可能性が高くなります。数千万円とか大金の投資は、引退間際で稼いでも時間的にリカバーしきれなかったりします。
とくに老後に入ってしまったら、その数千万円をリカバーする手段は、時間的にも無くなっていきます。
だからいま数千万円とか持っている人は、若い人の数十万円・数百万円の全突っ張と同じ感覚で投資をするのはかなりのリスクだと思ったほうがいいでしょう。減らした数千万円の回復は簡単ではありません。というか年齢次第ではもう回復不能です。
そのため老後資金をしっかり守るためにも、インデックス投資の成長を信じつつも、ブラックスワンにも備えたアセットアロケーションを組んでおかなくてもなりません。
先程もいったとおり、「年齢=キャッシュの比率」というのが一般的ですが、これも人によって考え方の違いや心地よさがあります。
現在、Q太郎は株式70%:キャッシュ30%ぐらいにしています。今後キャッシュの比率が上がるかもしれませんが、現在はこれぐらいが心地よいです。
ただ「キャッシュを30%も使わないのは逆に安心できない。20%か10%だ」という人もいるとは思いますので、このあたりは人によりますね。
財産全体で決める
もう一つの方法としては、財産が多い方は、自分が生きられる分だけとっておけば、あとは全部投資に突っ込むというものです。
数年分の生活防衛資金を残して、残りは投資というやつですね。
株100%でいっさい現金持たなくても、たとえば4億円あれば、全額株に突っ込んで半額になったとしても、「2億円あれば生きられるから半分になってもいいや」みたいな考え方です。
ニュージーランドの知人で、数千億円の資産を持つ富豪の資産を管理している方がいます。その方にどういう運用しているかを聞いたところ、「年の初めに今年生活費でいくら使うか決めて、残りはぜんぶ投資にぶっこむ」という極めてシンプルなものでした。
たとえば年のはじめに「今年は生活費で1億円つかう」と決めたら、その富豪に1億円渡して、残り数千億円は投資にぶっこむということです。富豪は1億円で1年間やりくりしなければならないので、あほな買い物も少なくなり、無駄な出費も減ります。
資産額が大きくなると、投資は株だけではなくて不動産とか企業買収・企業運営とかに使われる形ですね。株の比率は全体からするとそんなに多くないです。もちろんキャッシュもポジションとしては厚めに持っています。
そんな感じで財産自体が大きければ、生活費を確保して、残り全部を投資というのも可能です。
ただ生活費などを確保できない状況で、全部投資にぶちこむのはさすがに大富豪でもやらないので、そのあたりはちゃんと考えたほうがいいでしょう。
まとめ
そんなわけでまとめると、40代後半・50代からの注意点は、
・まとまったお金があるので投資に大胆になる。
・そして変な投資話が舞い込んでくる時期でもあり、それに乗りやすい時期でもある。
・健康寿命的には、残り時間はそんなにない。
・数千万円単位の金額を減らすとリカバーが利かない。
というふうになっており、数十万・数百万円程度の少額で時間もたっぷりある若い人とおなじ感じに投資をするのはリスクが高いといえます。
とくにまとまったお金があることで大胆になりやすく、知り合いとか親戚とかが持ってきた変な投資話に乗りやすいので注意が必要です。これについては長くなりそうなので、べつの動画で述べていきます。以前アップした「米国株投資のオンラインサロン入会に50万円払った親戚の話」も参照してください。
そしてアセットアロケーションですが、
・ブラックスワンに注意。インデックス投資は将来のリターンを約束しない。キャッシュは間違えたときのための保険。
・株式とキャッシュの比率はひとそれぞれ。Q太郎は現在7:3。インデックスの父のボーグル氏は5:5。バフェット氏も待機資金として現金比率30%とかで運用しているので実質7:3(投資できるものがあったときにそれをぶっこむ)。
・生活防衛資金を確保し、残りをすべて投資するという方法も。
・年齢が上がるとお金を使える時間も減っていく。効率的に資産を使いたければ、株式の比率を減らしキャッシュを増やしていく必要がある。
となります。
とにかく数千万円とかになっていくと、稼いで取り返すが難しくなります。
アセットアロケーションの決め方
最期にアセットアロケーションの決め方ですが、老後いくら必要かをあらかじめ計算しておき、資産が十分であれば株式の比率を上げすぎないなどの選択も必要になります。
世の中、株式で数億円稼いだみたいな再現性皆無の話がとびかっています。それにつられて、老後じゅうぶんたりるのに、お金をさらに大きくしようみたいなマインドになることには十分注意が必要になります。いわゆる「乗り遅れ恐怖症」ですね。
そんなわけで、まとまったお金があると投資行動も大胆になるうえに、変な投資話も多くなってくる時期なので、いま一度、そこまで積極的に増やす必要があるのかどうか、株式への比率が多すぎないかどうかはチェックしておいたほうがいいでしょう。
インデックス投資でもブラックスワンは発生します。偶然の力を過小評価せず、一方でインフレにも対応するために、自分の納得いく資産配分を、時間をかけてしっかり決めていくのがよいでしょう。いろいろ試していけば、どこかで心地よい配分に出会えるとは思います。