コーストFIRE後に「働く量を減らす」は非現実的?

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新NISA一括投資→即毎月定率取り崩し運用中のQ太郎です。

今回はコーストFIRE達成後に働く量を減らすというのは現実的ではないのではないかという話についてです。

本記事をYouTube動画で観たい方はこちらのリンクから。

コーストFIRE後は働く量を減らす?

さて、コーストFIREがらみの動画をいくつか出してきましたが、やはりコーストFIREの定義自体に納得できない人は多いようで、いろいろとコメントをいただいております。

コーストFIREを簡単に説明しておくと、定年まで会社につとめ、定年後にフルFIREするというものです。定年前までに定年後のFIRE資金が貯まったら、あとは定年まで気楽に働いていればいいというものですね。

FIRE資金が貯まった時点でそれ以上の貯蓄をする必要はないので、あとは毎月貯蓄に振り分けていた資金を自分の好きなことに使えばいいだけです。そして仕事量も減らして、定年まで悠々自適の生活を送るというものですね。

これだけ聞くと、「定年まで働くとか普通じゃね?」「定年まで働いたらFIREじゃなくね?」などいろいろと突っ込みを入れたくなるとは思います。少なくとも定年まで働いていたらFIREの定義である「経済的独立と早期リタイア」の「早期リタイア」に当てはまらないと思う方は多いでしょう。

しかし、ゆるい仕事をしながらFIREするサイドFIREやバリスタFIREも、けっきょくは仕事をしているわけで、「仕事を減らす」という意味では、コーストFIREも仕事を減らす方向のFIREなので同類といえば同類です。

それでもやはりなんかいろいろとモヤモヤが残ってしまうのは、これまでの会社勤めの日本人のライフプランとほとんど変わりがないということですね。

定年まで働いて、定年後は年金と貯金で暮らしていくというのは、これまでの日本では一般的な生活スタイルでした。近年は高齢化と増税による労働世帯の可処分所得の少なさから、この一般的なスタイルも難しくなってきています。

それで一番の問題なのが、やはり「退職後資金を貯めたあとに、現実的に仕事量を減らせるかどうか」です。

たとえばサイドFIREやバリスタFIREといった、少ない労働をしつつFIRE生活をするというケースにおいては、働く時間を自分で調整することができます。たとえば週3日だけ働くとかですね。自分で調整が可能なわけです。そうやって自分の時間を確保することができます。

ところがコーストFIREの場合、会社という組織の中にいますので、「仕事を減らす」というのがけっこう難しいのですね。

会社にいる以上、仕事はいろいろ降ってくるわけで、会社の社長とかでもないかぎりは、自分の一存だけでどうにかできるようなことでもありません。

そのため、コーストFIREの言うような「50歳までに退職後資金を貯めてしまえば、50歳以降は定年まで適当に働いて人生を謳歌すればいい」というのがそう簡単にはできないわけです。

出世競争をやめて適当に働くぐらいはできますが、逆に言えばせいぜいできることはそれぐらいでして、やっぱり仕事はいくらでも出てきますし、自分の勝手で「コーストFIRE達成したので、明日から週3日勤務にします」とかは、会社にいる以上は無理なわけです。無理というか現実的ではありません。

仕事量を減らすにしても、急にそんなことも難しいわけで、けっきょく今までどおりになるだけのような感じになります。

ここの「コーストFIRE達成後は会社の仕事を減らす」というのがどうにも非現実的なわけです。

それで海外でこのコーストFIREがもてはやされるのは、日本との働き方の違いという部分が大きいとは思います。

日本の長期休日はせいぜいお盆休みとか年末年始ぐらいで、しかも実家に帰るとか子供を遊ばせるとかでけっこう忙しかったりします。交通渋滞にもなりますし、あまり休めている感じがなかったりします。休むというよりはイベントをこなしている感じですね。

一方、ヨーロッパとかだと長期休暇でがっつり3~4週間休むことができるので、このときに自由に使えるお金が多ければもっと楽しむことができるわけです。そうなると、50歳でコーストFIREを達成した場合、この3~4週間の長期休暇に、貯蓄に回していた資金をぶち込んでいくことができるわけですね。

例えばフランスだと10日以上継続勤務した場合、1ヶ月につき2.5日の有給休暇を取ることができます。1年間で30日の有給休暇を獲得できるのですね。そのため、がっつり働いてからがっつり30日の有給を取ることができるわけです。

あとスペインだと、年次有給休暇は30日間とることができて、しかも金銭で代替させるのは禁止という法律があります。しかも結婚するとさらに15日の有給休暇も別にあたえられます。出産の場合は16週間の有給産休があたえられ、このうちの6週間以上を産後に充てなければならないことになっています。さらにこの資金は給付金として100%支給されるのですね。

あとシエスタという昼寝する習慣もあり、経済はそんなによろしくありませんが、平均寿命だと日本を抜く勢いになっています。

そんなわけでヨーロッパだと休暇が多いので、それに伴ってバカンスを楽しむためにお金を使う機会も増えるわけです。それでしたら、早めにコーストFIREを達成して、あとはバカンスに投入できるお金を増やせば人生を謳歌できるということにもなります。向こうの人はそもそも仕事にあまり重きをおいておらず、バカンスのために仕事をしているようなものとまで言っていますしね。スペインとか仕事時間が過ぎたとたんに、作業中でもさっさとやめて家に帰ります。

そんなわけで日本と欧米とでは休暇に対する意識や、休暇の過ごし方がそもそも違うので、コーストFIREにピンとこないというのもあります。日本だとがっつり休むのも難しいですしね。50歳でコーストFIRE達成したといったところで、がっつり休めるかといえば、日本の会社の場合はそう簡単ではないでしょう。

メンタルが強い人なら、「定時なのでさっさと帰ります。最低限の仕事以外はしません」みたいにできるかもしれませんが、お金では推し量れない社内の人間関係とかもありますので、現実的には難しいでしょう。コーストFIRE達成したからといって、急に性格を豹変させてしまうとか、サイコパスでもないかぎりは無理とは思います。

というか、急に性格が変わって仕事をしなくなったら周囲からも不審がられますし、自分自身でも「おれ、何してるんだ」「お金関係なしに、人の役に立つことをやって何が問題なんだ」と素に返って恥ずかしい感じになったりもします。50歳も過ぎて、中学二年生みたいな自分中心の言動してたらヤバいですしね。

そんなわけで、欧米のような長期休暇が取りにくいため、仮にコーストFIRE達成したとしても、浮いたお金を投入する時間も場所もないというのが現状とは思います。それでけっきょくいままでどおりか、ちょっと少なめに働いて、いままでどおりに貯蓄をするという感じになってしまうとは思います。がっつり仕事を減らすとは本当に難しいとは思います。

 

まとめ

そんなわけでまとめると、

・サイドFIREと違って、コーストFIREは会社に所属するため、自分の一存だけで休暇を決めることが難しい。

・社内の人間関係もあり、コーストFIRE達成したからといって、現実的に仕事を減らすということも難しい。

・日本は欧米と違って一か月ぐらいのがっつりとしたバカンスが取りにくい。

・長期バカンスが取りにくいことから、仮にコーストFIRE達成したとしても、浮いた資金の行き場や使う時間がそもそも無い。

・急に性格が変わったように仕事しなくなるというのも、サイコパスでもないかぎりは常識的には難しい。

・けっきょくのところ、いままでどおりかそれよりちょっとゆるく働き、いままでどおりに貯蓄するぐらいになる可能性が高い。

となります。

これも正直会社によるとは思いますが、日本人の性格的にも、コーストFIRE達成したからといって、これまでの生活スタイルをいきなり崩すのは難しいとは思います。

人のために仕事をするのも悪いことではありませんので、個人主義というか俺様至上主義の欧米風でやっていくのも、文化的には難しいでしょう。

そんなわけでコーストFIREするにしろ、無理に自分のペースを崩さずにやったほうがいいとは思います。お金関係なしに、人の役に立つのも悪いことではありませんしね。