FIREは子供部屋おじさんが最強?【こどおじFIRE】
新NISA一括投資→即毎月定率取り崩し運用中のQ太郎です。
今回は子供部屋おじさんのFIREである「こどおじFIRE」についてです。
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こどおじFIREが最強?
こんなご質問をいただきました。
「最近「こどおじFIRE」が話題になっています。
(ちょっと補足を入れておきますと、「こどおじFIRE」というのは「FIREした子供部屋おじさん」の意味です。子供部屋おじさんは実家を出ないで暮らしている人のことですね)。
ただFIREの観点から考えると「こどおじFIRE」が最強なんじゃないかと思います。
人生の大きな出費である住居費用を払わなくていいですし食費も抑えることができるため、結婚をしないのでお金も貯まりますし、まじめに貯金や投資をすればFIREにもっとも近い存在とも言えます。
世間ではこどおじFIREを叩く人がいますが、ニートのように働いていないわけでもないのに叩かれている意味がわかりません。
Q太郎さんはこどおじFIREについてどうお考えでしょうか」
とのことです。
最近話題になっているかどうかは知りませんが、家賃は確かに支出の大部分を占めてしまうので、その家賃を払わなければ貯金は容易になるでしょう。家に何万円か入れている人もいるとは思いますが、大勢で住むぶんは生活費を低く抑えることができるとは思います。
しかし生活費を抑えるという意味だったら、たとえば家賃の安いところに住むとか社宅に住むとか、友達と部屋をシェアリングするとかで生活費は抑えられますので、べつに子供部屋おじさんじゃなくてもお金を貯めやすい環境を自分でつくることはできます。
実家暮らしのほうが有利は有利かもしれませんが、自分自身の環境づくりでも生活費を抑えることはできるとは思います。
「結婚をしていないことでお金が貯まる」という部分にしても、べつに一人暮らしで結婚していない人もいますので、子供部屋おじさんが特別有利というわけでもないとは思いますね。
そもそもの話ですが、実家暮らしの人は昔からいましたし、何なら昔のほうが多かったとは思います。
日本で核家族化が進んだのは1950~70年代あたりからで、それ以前とか戦前は大家族で住むというのは当たり前でした。
「サザエさん」とかもそうですけど、2世帯3世帯が一緒に住んでいるほうが普通だったのですね。そもそも貧しかったですし、みんなで協力しないと生きていけないというような環境というのもあります。サザエさんなんか結婚して実家暮らしなので、いまだと子供部屋おばさん扱いされるかどうかよくわかりません。
今でもタイやインドネシア、ベトナム、インド、中国、台湾とかの地方に住んでいる人たちは、大家族で住んでいるのは当たり前です。中国は都市部でも祖父母が孫の世話をして、父と母は働きにいくというような共同生活スタイルになっていますね。
日本で核家族化が進んだのは、日本の高度経済成長期に若い人が東京とかに働きに出ていったことから、大家族的な生活がだんだんと崩れていったというのがあります。
あとは結婚後に自立した生活をしたいことから、両親と一緒に暮らしたくないというのもあって、核家族化が進んでいったという面もあります。
ただこういうのを支えていたのは、やはり日本の経済成長なのですね。
それでいまの日本ですが、ご存じのように経済成長してませんので、そもそも一人暮らしや核家族化が経済的に困難な状況になってきています。
奨学金などで借金を背負った状態からスタートしている方も大勢いますし、税金やら社会保険料とかで手取りはほとんど残りませんし、そもそもがいろいろと無理ゲーになってきてしまっているのですね。
経済成長期だったらどんどん給料が上がりますから、さっさと実家を出て、好きな所に住んで自分の生活をエンジョイするぜというメンタルになりやすいですけど、経済成長しなくてどんどん手取りが減ってしまったらエンジョイもくそもないわけで、「これだったら実家にいて生活費節約したほうがよくない?結婚しないほうがよくない?」みたいな緊縮財政メンタルになってしまいがちとは思います。それが理由で実家暮らしが増えてきているんじゃないかと思います。
そんなわけで、実家暮らし自体はべつにめずらしい話でもありませんし、昔はむしろそっちが当たり前だったのですが、西洋的な独立の価値観や核家族化が進んだことによって、「実家暮らし=自立できない=悪」みたいに思う人が増えたんじゃないでしょうか。それで実家暮らしの蔑称として「子供部屋おじさん」が出てきたんじゃないかとは思います。
ただこの子供部屋おじさんの定義がいろいろ調べてもあいまいで、ニートとは違って働いているということなら、ただの実家暮らしと何が違うのかという、そのあたりが本当によくわかりません。
部屋に閉じこもってニート生活をしているのまで「子供部屋おじさん」になるのであれば、こどおじFIREが最強という話にはならない気はします。そもそも稼いでないので貯金も投資もできません。
そんなわけで言葉の定義を厳密化すれば、「こどおじFIRE」ではなく「実家暮らしFIRE」が正しいんじゃないかとは思います。
実家暮らしFIREですが、生活費の面では一人暮らしよりは有利になる可能性はあるとは思います。逆に言えば、メリットはその程度ぐらいじゃないかという気もします。先ほどもいったように、自分でコストを抑える環境をつくるという方法もありますしね。
それに会社が実家から通える距離にあるかどうかの問題もありますし、自分のキャリアやライフスタイルと実家暮らしがマッチするかどうかの問題も出てきます。
例えば給料のいい仕事が実家から遠く離れたところにあれば、実家に住んで家賃浮かせるより、給料の良い仕事をとった方がお金が貯まります。働く場所が海外だったら、そもそも実家暮らしなんかできませんしね。
そんなわけで生活費ぐらいの話で、FIREに近づけるかどうかはその人次第になるとは思います。けっきょくのところ、投資するにしても何するにしても種銭が必要になるので、やっぱり稼ぐことが重要になります。稼いだうえで節約をすることですね。
それで稼げるチャンスがあるなら、わざわざ実家にいる必要性もないので、稼げるところに移ったほうがいいですし、そのほうがFIREにも近くなります。
そのため「こどおじFIRE」というか実家暮らしFIREが有利かどうかについては、社会に出たばかりとかのスタート地点では有利かもしれませんが、そのあとキャリアを積んでいくにあたっていろいろ移動も増えていきますし、実家にこだわることで逆に収入が減ることもありますので、長い目で見ればそこまで有利かなという気もします。
有利は有利なんですけど、すごく有利かと言われれば仕事が限定されるデメリットもあるので、どうなんだろうという気もします。
高配当株で、配当は多いけど株価はガンガン下がっていくのだったら、トータルリターンとしては意味がありませんしね。
「FIRE後に実家暮らし」なら、生活費を抑えつつ、両親の世話をして親孝行するなりして仲良く暮らせばいいんじゃないかとは思います。FIRE後はどこ住もうが自由ですしね。好きなところに住めばいいとは思います。
まとめ
そんなわけでまとめると、
・そもそも実家暮らしは昔からあることで、めずらしいことではない。(そもそも経済的に苦しかった時代はそうしないと暮らせませんでした)。
・核家族化が進んだのは高度経済成長期。経済的成長が個人のライフスタイル確立のモチベーションを後押し。
・核家族化の価値観により、「実家暮らし=悪」のような固定観念ができている。
・現在の経済衰退期では、一人暮らしや核家族化へのモチベーションが上がりづらい。(そもそもそんな余裕が無い人も多い)
・実家暮らしでFIREを目指すのは、スタート時点ではメリットはある場合も多い。
・ただやはり稼ぐ金額を優先させないと、トータルとしてのお金は貯まらない。(実家暮らしで生活費を抑えても、収入自体が少ないとトータル的な貯金は少なくなりますしね)。
・「FIRE後に実家暮らし」なら、生活費を抑えつつ、親孝行をして暮らせばいいかと。
となります。
まあ、いまはいろいろライフスタイルがありますし、そもそも実家暮らしは日本以外の発展途上国やアジア諸国では全然めずらしくもなんともないので、やりたい人はやればいいじゃないかとは思います。
ただFIREに有利かどうかは、稼ぐ金額と支出のバランスの問題で、生活費を抑えたからといって収入が低ければ、トータル的には一人暮らしで稼いでいる人のほうが貯金はできることになります。
子供部屋おじさんが批判される理由には、「自分は自腹で家賃払ってるのにずるい」みたいな気持ちもあるとは思いますが、こういうのは全部主観的な問題とは思います。ぶっちゃけただの実家暮らしでしかないですし、そんな人は世界で観ればいくらでもいますしね。
日本も経済的にだめになってきて、「生活コストの抑えられる実家暮らしずるい」みたいな感じになってきてるんだとは思います。経済成長期でしたら、「さっさと実家出て、お金稼いで好き勝手生きるぜ」みたいなテンションだったのですけどね。
そんなわけで、けっきょくどれだけ稼ぐかと、どれだけ支出を減らせるかの問題なので、トータルで考える問題のため、実家暮らしで支出が減ることだけをクローズアップするのもどうかなとは思います。さらに言えば、実家暮らしなんて本当にめずらしいことでもなんでもないですし、そっちのほうがアジア型のライフスタイルなんですけどね。