FIRE後は年金繰り上げ受給一択?
新NISA一括投資→即毎月定率取り崩し運用中のQ太郎です。
今回は、FIRE後の年金受給は繰り上げ一択なのかどうかについてです。
本記事をYouTube動画で観たい方はこちらのリンクから。
FIRE後の年金繰り上げ受給一択?
こんなご質問をいただきました。
「元会社員で数年前にFIREして、現在57歳です。
年金受取についてですが、繰り上げて60歳で受け取った方が良いという意見が大多数とは思います。
ただ現在の資産状況だと65歳まで受け取らなくても特に困ることがないため、長生きリスクに備えて繰り上げしない方がいいとも考えています。
Q太郎さんは年金についてはどのような戦略を取るのでしょうか。もし私の立場だったらどうするのかを教えてください。」
とのことです。
年金を繰り上げするか繰り下げするかについては以前動画を出していてますので、細かいことはこちらを参考にしてください。
それと繰り下げのメリットとして、国民年金だけとかで年金を合わせた年間収入が78万9,300円以下だった場合、最大で毎月5,310円を受け取れる老齢年金生活者支援給付金というのがあります。国民年金保険料を満額払っていれば、申請すれば毎月5,310円受け取れますね。
65歳で国民年金を受け取ると年間81万6,000円でちょっとオーバーしてしまうので、あえて繰り上げ受給して老齢年金生活者支援給付金を満額もらうということもできます。
60歳で年金を受け取ると24%の減額となって、81万6,000円が62万円ほどになりますが、支援金が年間で6万3,720円なので、実際のところ68万3720円ほどになり、年間で13万円程度の差になります。この場合、60歳で受け取った場合と、65歳で受け取った場合の損益分岐点は82歳ほどになりますね。詳しくはこちらの動画を参照してください。
それで質問者様の場合は会社員だったとのことなので、厚生年金もあるため、金額からしておそらくこの給付金をもらう戦略は使えないとは思います。57歳で数年前にFIREということであれば、厚生年金はそこそこ多いと思われます。
年金の受取額がいくらなのかがわからないので何ともいえないのですが、以前の動画でもいいましたが、お金に困っていないのであればあえて繰り上げしてしまった方が良いとは思います。
年金に頼らなくていいのであれば、むしろ早くもらってしまった方が良いでしょう。
第一の理由としては、年金は現在の日本の人口形態とインフレ率から考えれば、基本的に実質受給額がどんどん減っていくものです。高齢者が多くなって、現役世代が少なくなって、インフレも進んでいくのですからあたりまえです。こればかりは止めようがないです。日本からめちゃくちゃ石油が出てきて各地が石油温泉状態みたいなミラクルがないかぎりは、100%と言い切っていいレベルで実質年金受給額は減っていくでしょう。
年金は仕組み上、破綻することはありませんが、改悪されるしかありません。年金を1円でも払えば払ったことになるので、年金の破綻は絶対にありえません。問題はいくらもらえるかですね。
現在、年金保険料の支払いは60歳までですが、ルール変更で65歳まで払うことになりかねないので、現在57歳であれば繰り上げしたほうがルール変更に巻き込まれなくて済むのではないかとは思います。65歳まで払うことになれば、日本人の平均寿命だと多くの人が払い損になってしまうでしょう。とくに独身男性の寿命の中央値が67歳ですしね。
理由その2ですが、インフレに加えて日本円の価値低下速度がやたらと速いことです。
いまから5年前は1ドル110円ぐらいでした。それで今現在1ドル158円です。5年でだいたい30%ぐらい価値が落ちているのですね。年金は60歳受取で24%減りますので、むしろ円の価値減少の方が速くなっています。
今から5年前に、受け取った年金をS&P500というかeMAXIS Slim 米国株式に突っ込んでいれば、+183%と円安込みで3倍近くになっているわけです。どうせ使わないお金なら、年金の増額や改善というありえないことに期待するより、さっさと投資に回してしまったほうがQ太郎としては気が楽です。ルールのころころ変わる日本の年金を信用するより米国経済を信用した方がまだ安心感があります。
理由その3ですが、真の意味で精神的にも経済的にも独立するためです。
FIREしているのでしたら年金への依存を減らしたほうがいいでしょう。「繰り下げした方が多く受け取れる」とか、日本政府や年金に何かを期待したり依存したりするのは本当にやめた方が良いとは思います。精神的にも経済的に独立しましょう。
そもそも繰り下げして多く受け取れる保証なんてまったくありません。先ほどのも述べたように、たった5年で日本円は30%ほど価値が下がりました。100万円が70万円になったようなものです。
年金をさっさと受け取って、それ元手になにかするでもいいですし、投資するでもいいですし、とにかく年金に依存する生き方から離れられるようにしたほうがいいでしょう。そもそもFIREしているのでしたら、年金に依存しなくていいはずです。
質問者様は年齢的に逃げ切りができますが、若い世代だと年金を65歳まで払わなければならない可能性はかなり高いです。しかも106万円の壁撤廃で全員厚生年金払えみたいな状態にもなってきています。
政府的には「たくさん払った方が将来の受け取り年金が増える」のようなことを言いますが、これは完全に詐欺だと思っており、現在進行形で実質受給額が減っていく状態なので、それを補填するために無理やり保険料を集めているというのが実態です。そもそも国民年金の資金が足りなくて、厚生年金から無理やり資金をひっぱってくるようなことをしています。こんなもの、将来どうなるかなんてだいたい想像つくとは思います。現在進行形でこの状態なのです。
とはいえ、気持ちの問題もあるので、質問者様が65歳から受け取った方が安心感を感じるのであれば、65歳から受け取るのがいいでしょう。結局人間は安心感を求めるものなので、ここは合理性よりも安心感を重視したほうがいいとは思います。
まとめ
そんなわけでまとめると、あくまでQ太郎ならという話ですが、
・FIREしたのであれば、年金は60歳繰り上げ受給した方が良い(とQ太郎は思う)。
・理由1は、年金は改悪するしかない現状。現在の人口形態とインフレからして、実質受給額はどんどん減っていく。
・理由2は、日本円の価値減少速度が速い。5年前からドルベースで-30%。日本政府を5年間信用して繰り上げ受給しないより、さっさと受け取ってS&P500にでも5年間突っ込んでおいたほうが安心感がある。
・理由3は、真の意味で精神的にも経済的にも独立するため。そもそもルールのコロコロ変わる年金に依存しない。
・ただ人間は合理性より安心感のほうが重要。65歳から受け取った方が安心と考えるのであれば、そうした方が精神的には良い。
となります。
あくまでQ太郎の場合という話なので、繰り下げのほうがいいという人もいますし、そこは自分の方針で年金を受け取るのがよいでしょう。
そんなわけで毎年毎年これでもかというぐらいに改悪しつつ、年金保険料はどんどん上がっていく年金ですが、正直なところ5年後とかまったく信じられませんし、実際ルールがころころ変わって改悪しているので、日本政府を信用して5年待って65歳受給はけっこうなリスクかなとは思います。
しかし「年金保険料を65歳まで払え」みたいになったら繰り上げもできなくなるので、その時点で基本的にはゲームオーバーとは思います。そうなる前に、受け取れるのであれば受け取ってしまったほうがいいとQ太郎は思います。
何度も言いますけど、あくまでQ太郎の考えなので他人にすすめているわけではありません。合理性よりも自分に合った安心できる年金の受け取り方法を考えたほうがいいとは思います。