【新NISA】1,000万円の余剰資金、さっさと特定口座で運用した方がいい?
新NISA一括投資→即毎月定率取り崩し運用中のQ太郎です。
今回は、1,000万円の余剰資金があるので、来年の新NISAを待たずに、特定口座にさっさと突っ込んでしまった方がいいかどうかについてです。
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余剰資金は特定口座に突っ込んだ方がいい?
さて、このようなご質問をいただきました。
「突然のご連絡、大変失礼いたします。 今後の資産運用についてご相談させていただきたく、メールをお送りいたしました。
現在、私は39歳(独身)で総資産は約2,300万円ございます。
内訳は以下の通りです。
* 現金:1,000万円
* 株式投資:1,300万円(VTI、S&P500、個別株など)
また、毎月の投資については、
* 新NISA枠で30万円
* 特定口座で10万円
合計40万円をS&P500の購入に充てています。
今回ご相談させていただきたいのは、今後の資産運用についてです。現在、以下の2通りの方法で迷っております。
① 現状通り
新NISAの非課税制度を活用し、毎月特定口座分と合わせて40万円をコツコツ積み立て購入する。
② 一括購入
現金で1,000万円を保有しているのは勿体ないため、そのうち700万円を特定口座にて一括でS&P500を購入する。(なお、毎月の新NISA買付も続行する。)
Q太郎様であれば、①と②のどちらの方法を選ばれますでしょうか?
長々と申し訳ございません。お忙しいところ恐れ入りますが、もしご意見をいただけましたら幸いです。 どうぞよろしくお願い申し上げます。
いかがでしょうか? 必要に応じて、さらに調整できますのでお知らせください。」
とのことです。
ちょっといくつかわからないことがありますが、まず毎月積み立てている40万円というのは現金1000万円から取り崩して入れているのでしょうか。それとも給料から40万円入れているので、現金1000万円は手つかずということなのでしょうか。
質問内容としては給料だけで40万円出せているような感じですが、他の方も利用できるように2つのケースにわけて答えを出しておきます。
まず1つ目は1000万円を一部取り崩して運用しているケースです。
現金1000万円を取り崩して40万円入れているのであれば、年間で480万円ですので、2年ちょっとで1000万円使い果たすことになります。新NISAの枠1800万円も埋めきることができませんので、NISA枠を埋めることをメインに、急がず積み立てた方がいいでしょう。
ウォーレン・バフェット氏も言っているように、あせってお金持ちになろうとするとだいたいろくなことにならないとは思います。あせると自分のリスク許容度を超えた投資になる場合が多いため、株式市場がズドンしたときにあせってろうばい売りをしてしまうなど、判断を間違えてしまうことが多いです。
いままだ冷静にいろいろ判断できているのも、その現金1000万円があるおかげかもしれません。案外自分のリスク許容度ってわからないものですし、順調に資産が増えている局面だとどうしてもリスク許容度以上のリスクを取りやすくなるのですね。
昨年は株式市場が好調でしたから、その含み益を見て「もっと投資しておけばよかった」と思ってしまうかもしれませんが、これはすでにリスク取りすぎの兆候が出ているとメタ認識しておいたほうがいいとは思います。株式市場は毎年好調とはかぎりませんので、せめて新NISAの枠を埋め終わる4年後まで、あせらずゆっくりコツコツやった方が良いでしょう。
あと、よく50代60代の人が数千万円の退職金もらって、それを一気に投資に突っ込んで老後資金が無くなったみたいなニュースとかありますが、これも大きな資金を持っていると、このまま置いておくのももったいないと思ってあせって投資したくなるという、よくある心理です。
年を取ればとるほど時間を利用することが難しくなるので、あせって一気に儲けようとしてしまいがちなのですね。これは誰にでも起こりかねないことですし、今まさにそのような局面に来ているとは思いますので、むしろ慎重に行動した方が良いでしょう。
どちらにしろ新NISAの枠は、昨年360万円をフルで使っていたとしても、今年合わせてあと4年分の1440万円あります。1000万円だと足りないことになります。そのため、Q太郎であれば、ご質問にあった1の現状通りコツコツやる方が合理的とは思います。まだ40歳前ですし、時間はまだありますので、そんなにあせる必要はないでしょう。
あと質問者様の投資方針もわからないのですが、短期投資で増やしたいならさっさと特定口座に入れて運用してもいいとは思います。増えるかどうかは腕前や運次第ですが、ここは考え方や投資スタイルの問題です
ただ今後10年20年という単位での長期運用するのであれば、直近数年程度は誤差程度なので、あわてずにしっかりNISA枠を活用していったほうがいいとは思います。
とにかく長期投資したいのであれば、まずはあわてない・急がない心をつくっておいた方が良いでしょう。そうじゃないと毎日の株価の値動きが気になって、上がったときには「さっさと全額突っ込んでおけばよかった」と思いますし、下がったときには「もっと慎重にやればよかった」と思って、ずっと安心のない生活を送ることになります。
10年20年30年後を考えれば、まずは新NISAの枠をしっかり埋めることを当面の目標にした方が良いとは思います。
バケツ戦略の利用
それで毎月の40万円を給料からフルで出していて、1000万円にはまったく手を付けていないケースでは、戦略が変わってきます。この場合、NISA枠をすべて埋めた場合でも1000万円残ることになります。
ここではバケツ戦略を使って資産配分を考えておいた方が良いでしょう。
まずはっきりさせておかなくてはならないのは、自分が月にいくら生活費を使っているかです。
FIREしているなら1年分の生活費を短期バケツに、5年分の生活費を中期バケツに、残り全部を長期バケツに入れてリスク資産で運用するというのが4%ルールの運用方法ですが、まだ現役世代で働いているのであれば短期バケツは半年分ぐらいでもいいかなとは思います。いざというときの生活防衛資金ですね。
中期バケツには、直近数年で使うまとまったお金を入れておきます。たとえば車を買うとか家を買うとかなら頭金を貯蓄しておかなくてはなりませんし、子供がいるなら学費とかになりますね。独身で、とくにまとまったものを買う予定もないというのであれば、アセットアロケーションとして、長期バケツにあるリスク資産との現金比率を考えた金額を置いておけばいいでしょう。
たとえばリスク資産と現金が7:3なら、7を長期バケツに、3を中期バケツに入れておけばいいとは思います。ここは自分にとって心地よい比率を決めておいたほうがいいでしょう。
ただここまで話したことは、毎月の40万円が給料から全額出せることが前提での話なので、毎月の40万円を給料と合わせて1000万円から取り崩して捻出している場合は、やはりコツコツとNISA枠優先に積み立てて埋めていった方が良いでしょう。5年で埋められるように調整しておいて、それでも余るなら先ほどのバケツ戦略と組み合わせればいいとは思います。
まとめ
そんなわけでまとめると、
・40・50代以降、まとまった資金ができるようになると、一気に投資したくなる心理に陥るのでそれをまず認識しておく。とくに年を取ればとるほど投資時間が短くなるので、あせった投資行動に出やすい。特に退職金が出るタイミング。(これは誰にでも起こることなので、それをメタ的に認識しておくことが必要です)。
・あせってお金持ちになろうとするとリスク取りすぎでだいたいろくなことがない。
・下手に含み益が多いと、自分のリスク許容度を超える投資をしやすくなる(人間はそういう生き物なので、自分はいつでもそういう行動に出る可能性があると認識しておいてください)。
・毎月積み立てている40万円が給料から全部出せるのか、1000万円から一部を取り崩しているのかで戦略が変わる。
・1000万円を取り崩して積立している場合は、新NISAを満額埋めるには足りない。長期投資をするのであれば、コツコツ積み立てて、残り4年でしっかり新NISAを埋めるように計画しておいたほうがいい。それでも余るなら、次のバケツ戦略を併用。
・積立金額を給料から全額出せる場合は、バケツ戦略を利用。
短期バケツ:半年分ぐらいの生活防衛資金
中期バケツ:アセットアロケーションの現金部分
長期バケツ:アセットアロケーションのリスク資産部分
・とにかくNISA枠埋め終わる4年後までは計画的に。
となります。
そんなわけで、NISA枠を埋めるにもあと4年もありますので、長期投資をするのであれば、あまり焦らない方が良いとは思います。まだ40代前ですし、ここであせると退職金を全額わけのわからんの投資に突っ込んで老後資金がなくなったみたいな状況に陥る可能性もあります。
あと20年とか30年とか投資していくのであれば、直近の4年はそんなにあせらなくてもいいとは思います。年初一括しても4年かかりますし、どちらにしろ強制分散投資になります。むしろこの4年を我慢できないと、メンタル的に長期投資はうまくいかないんじゃないかとは思います。
そんなわけで、バフェット氏もいうように、急いで金持ちになろうとせず、NISA枠を利用しつつゆっくり計画的に投資していく方がメンタルに良いとは思います。
そんなわけで、NISA枠を埋め終わる4年間はコツコツやって、それでも余るならバケツ戦略を取ればいいでしょう。