【FIRE/老後】日本人は「働くこと=悪」と考えすぎ?
新NISA一括投資→即毎月定率取り崩し運用中のQ太郎です。
今回は、FIREしたい人が多いのは、日本人は「働くことは悪いこと」と考えすぎていることが問題なのではないかとのことについてです。
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FIREは「働くこと=悪」と考えすぎ?
このようなご質問をいただきました。
「世の中がFIREを目指したがることについてですが、そもそもの問題は「働くこと=悪」と考えすぎていることにあるのではないでしょうか?
FIREを目指す人のほとんどは、今の仕事が嫌でさっさと辞めたいという動機から来ているのではないかと思っています。
私はしがない会社員ですし、別に大企業でもありませんが、今の所は特に仕事が苦しいという訳でもなく、普通に働かせてもらっています。もし仕事が合わないのであれば、今の仕事にしがみつく必要はなくて、転職すればいいだけのことです。
仕事が嫌だから何十年も我慢してFIREではなくて、仕事を変えるなり何なりで今の状況を改善することの方が先なんじゃないかとは思いますがどうでしょうか? 日本人は他の国の人たちに比べて仕事を嫌がる人が多いのでしょうか?」
とのことです。
「日本人は他の国の人たちに比べて仕事を嫌がる人が多い」というか、むしろ日本人は仕事をまじめにし過ぎるのが問題なんじゃないかという気もします。日本人は生真面目な人が多いので、嫌な仕事でも熱心にしてしまうのですね。
スペインとか、仕事時間が終わった途端に全部投げ出して家に帰るみたいな感じですし、中国のスーパーとかコンビニだとスマホを横に置いて動画見ながらレジ打ちや客の対応してますし、「やることやってるからええやん」みたいに適当な感じで働いています。仕事中のおしゃべりも当たり前ですしね。
昔、中国へ行ったときにすごいと思ったのが、空港内の中央あたりにある円形のインフォメーションセンターで、職員がパソコンで堂々とオンラインRPGをプレイしていたことですね。壁際じゃないので画面とか丸見えなわけですが、遊びながら客に対応していたりと適当な感じで楽しそうでした。
ヨーロッパだとまとまった休暇が取れるので、バカンスのために働いているみたいな感じで、仕事とプライベートは完全に切り離された状態になっていますね。仕事は金を稼ぐところみたいな割り切りがあります。
「過労死」なんて言葉も日本にしかなくて、海外からすれば「なんで仕事で死ななきゃいけないの?辞めたらええやん」みたいな感じになります。
それで日本では仕事に対してネガティブな印象を持ってしまうのは、まじめな国民性という部分にあるとは思います。「働くことは尊い事」という考えですね。
それで長時間労働やサービス残業など、日本人のまじめさを利用した違法労働がはびこってしまっていて、会社のためにそれをしないといけないというマインドになってしまうのですね。
お金ももらえないのに残業するとか、海外から見れば「なんでお金もらえないのに働いてるの?」みたいに正直意味がわかりませんが、日本の場合は会社に対する忠誠心や周囲への気遣いみたいなものがあるので、平気でそういうことをしてしまうところがあります。
日本の労働文化的に、長時間労働や過度な献身を美徳とする傾向がありますしね。「定時で帰る=やる気がない」みたいな空気感があります。
こういう忠誠心とか気遣いみたいなのは、いまだに日本が武士文化的な封建社会みたいになっている感じはありますね。
ヨーロッパの昔の戦争は傭兵が中心になっていましたから、金で雇われて戦争して、金払わなくなったらさっさと逃げるみたいに、忠誠心もくそもないような状況です。
金くれるから仕事する、金くれないなら仕事しないみたいなのが徹底されている感じはあります。ヨーロッパはストライキも当たり前ですしね。
日本だとあまりストライキが起こらなくて、やるとしてもお客様に迷惑のかからない時間とかにやったりします。ヨーロッパのストライキとか、ラッシュ時間に電車を止めるとか、いかに客に迷惑をかけるかに全力を注いでいるのとは真逆なわけです。
それで日本人が実際に長時間労働しているかどうかですが、OECD加盟国の平均年間労働時間は1,716時間で、日本は約1,607時間ほどなので、平均で見れば突出して長時間労働しているわけでもありません。まあ、サービス残業のぶんが入っていないとかいう突っ込みもありそうですが、それを入れたとしてもそこまで労働時間が伸びているわけではありません。
ただ問題はこれが平均値ということで、個別で見ていくと、日本では労働者の約18%が週50時間以上働いており、OECD平均の11%を大きく上回っています。全体的には少ないけど、2割弱ほどはかなり多く働いているという状況ですね。
それから日本のフルタイム労働者は、1日のうち平均14.1時間を食事や睡眠、余暇に充てており、OECD平均の15時間を下回っている状況です。
生活満足度も、日本人は10点中5.9点で、OECD平均の6.7点を下回っています。ワークライフバランス評価も10点中4.8点で、OECD諸国の中でも低い水準になっています。
仕事満足度についても日本は下位にランクしており、特に欧米など先進国平均では60~70%が「満足」であるのに対して、日本の場合は49.1%と突出して低くなっています。
ここから見ると、日本では、平均労働時間は短い一方、一部の人達は労働時間がかなり多く、全体的に十分な休みをとってなく、生活満足度や仕事満足度も他のOECD加盟国に比べて低いという状況になっています。
先ほども言ったように、日本は「定時で帰る=やる気がない」みたいな文化で、周囲にも遠慮してしまうため有給がそもそも取りづらいというのがあります。有給は取れるのですが、周囲の空気的なものでとりづらいということですね。
あと昭和のころのように、「働けば働くほど豊かになれる」という時代でもなくなってしまったので、仕事満足度もどうしても落ちざるを得ない状況になっているとは思います。
それから上司の顔色をうかがったり、意味のない会議や残業をさせられたり、頑張っているのに正当に評価されない空気があったりなど、日本の場合はストレス要因が多くあります。
他国でもこのあたりはありますが、日本では、表向きには「長時間労働や過度な献身を美徳とする文化」があるので、外側と内側のギャップが大きすぎることでストレスをためやすいというのがあります。仕事中に動画見たりとかオンラインRPG遊んだりとか、定時になったら仕事全部捨ててさっさと帰るとかが許されない空気なわけです。
このあたりの、外と内のギャップが大きすぎることが、日本の労働環境の不幸を生んでいるのではないかとは思います。つまり内心では働きたくないのに、表向きの「長時間労働や過度な献身を美徳とする文化」を守らなければならないというギャップですね。
こういう外側の美徳文化と、実際の本心との間のギャップが他国に比べて日本はかなり大きいので、表向きは頑張るけど実際は仕事をしたくないし、転職してもだいたいおなじことになるだろうみたいな感じで、我慢しながら働いてしまう現状ができあがっているとは思います。
外側と内側がだいぶかみ合っていないので、仕事満足度が下がってしまうのも当たり前といえば当たり前でしょう。
そのため、FIREを目指して大金を稼ぐことよりも、生活コストを下げることによって、仕事時間を減らして自由な時間を確保することで、気軽な生活をするという方向にもっていくのも一つの方法とは思います。このあたりは大原扁理氏の書かれた「年収90万円で東京ハッピーライフ」が参考になるとは思います。けっきょく「FIRE=自由な時間の確保」であれば、我慢して働き続けるより、さっさとそれを確保してしまえばいいですしね。
まとめ
そんなわけでまとめると、
・他の国の人たちの方が仕事を悪と考えており、仕事とプライベートは完全に切り離された状態。金稼ぎの手段にしか過ぎないと割り切っている。
・日本人はまじめな国民性で、心とは裏腹に仕事をまじめにし過ぎるのが問題。
・日本は労働文化的に、長時間労働や過度な献身を美徳としてしまう。(これがサービス残業とか有給を取りにくい事とかにつながってきます)。
・外部の美徳文化と、実際の本心との間のギャップが他国に比べて日本はかなり大きいため、ストレスを感じやすい。
・日本の労働時間はOECD平均よりも低いが、労働者の約18%が週50時間以上働いており、OECD平均の11%を大きく上回っている。
・生活満足度、仕事満足度、ワークライフバランス評価、余暇の少なさも、OECD加盟国内では低い水準。
・上司の顔色をうかがったり、意味のない会議や残業をさせられたり、頑張っているのに正当に評価されないことが満足度低下につながる。
・表向きは頑張るけど実際は仕事をしたくないし、転職してもだいたいおなじことになるだろうみたいな感じで、我慢しながら働いてしまう現状。
・FIREを目指して大金を稼ぐことよりも、生活コストを下げることによって、仕事時間を減らして自由な時間を確保することも一つの方法。(「FIRE=自由な時間の確保」であれば、さっさとそれを確保すればいい)
となります。
そのため、「働くこと=悪」は日本よりも海外の方がその傾向が強いです。そもそも日本の労働文化は「長時間労働や過度な献身を美徳」としてしまいますし、むしろ「働くことは尊い事だ」という考えですしね。
ただそれはあくまで表向きの話であって、内心はあきらかにそうじゃないわけで、そのあたりのギャップが他国に比べてかなり大きいのでストレスになりやすいというのがありますね。
他人に迷惑をかけたくないというのもありますので、海外みたいに、「こんな働いてるのに賃金安いじゃねーか。客が一番困る時間帯でストやるぞ!」みたいになりにくいわけです。
そのためFIREを目指すよりも生活コストを下げることによって、そもそもの労働時間を減らすなり何なりで、自由時間を捻出するという考えも若い人たちには広がっていっている感じはあります。資本主義から距離を置くことによる経済からの独立ですね。
そんなわけで、日本にはもう少し気軽に働ける空気感ができあがっていけばいいんじゃないかとは思います。