預貯金500万円超で損する!? 介護保険の落とし穴【老後/FIRE】
新NISA一括投資→即毎月定率取り崩し運用中のQ太郎です。
今回は預貯金500万円以上で、介護保険の軽減措置が無くなることについてです。
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預貯金500万円以上は軽減措置が無くなる?
こんなご質問をいただきました。
「老後問題も扱っているということで質問させていただきます。
現在預貯金を貯め込む人が多くなっていますが、預貯金500万円以上になると介護保険施設に入所するときに食費や居住費の軽減措置を受けられなくなります。
食費や居住費は馬鹿にならないので、下手に預貯金があると損をするのではないかと思います。
この辺りの最適解について解説頂けると幸いです」
とのことです。
介護保険施設への入所による食費・居住費の軽減措置ですが、軽減措置があるとないとで自治体によっては金額の差がけっこうあったりします。どんな人にも長生きすれば老後は訪れますので、頭の片隅にでも知識を置いておいたほうがいいとは思います。
まず介護保険施設への入所による軽減措置というのは何かといえば、いわゆる 介護老人福祉施設とかに泊まるときの、毎日の食費や宿泊費を安くしてくれるという話です。
ただこれらは自己申請なので、自治体に申請しないと受けられません。日本は申請しないと受けられないサービスがけっこうあるので、知らないと損みたいなのはけっこう多いですね。
高額医療費制度なんかも申請しなかったら受けられません。昔、父が通院していて、しょっちゅう高額医療費制度の申請を代わりにやっていたのですが、どうせいくら使ったか把握しているんだから、自治体のほうで自動的に処理してくれとは思っていました。最近はマイナカードの保険証をつかえば手続きなしで高額療養費制度を使えますので、便利になったとは思います。
介護保険施設の軽減措置ですが、自治体によって微妙な違いもありますが、基本的なことは知っておいたほうがいいでしょう。
まず軽減措置を受けられるかどうかは、世帯全員が住民税非課税でないといけません。これは以前もいったように、配当金で何億円受け取っていようが、源泉徴収されていれば確定申告に配当金を記載する必要はありませんので、収入がなくて、年金が基礎控除の範囲以内であれば億万長者でも非課税世帯にすることができます。国民年金しか受け取っていない人なら楽に非課税世帯にできるとは思います。なんだったら繰り上げ受給で調整することもできますしね。
それでこの住民税非課税のハードルを突破したあとに受けられる介護保険施設の軽減措置ですが、負担段階が3段階あります。ここであなたの持っている預貯金額を調べられます。
第1段階は世帯全員が老齢福祉年金を受け取っているか、生活保護の世帯ですね。この場合、単身だと預貯金が1,000万円以下、夫婦だと2,000万円以下の預貯金が条件になります。
この第1段階に入れれば、一番手厚い軽減措置を受けられます。基本的には生活保護用だと思ったほうがいいでしょう。
つぎの第2段階・第3段階ですが、ここが令和3年以降に改悪されてしまいました。以前までは第一段階とおなじ単身1,000万円以下、夫婦2,000万円以下の預貯金が条件でしたが、現在は非課税世帯は最低限の条件で、
第2段階
年金等収入80万円以下
単身:650万円以下、夫婦:1,650万円以下
第3段階①
年金収入等が 80万円超120万円以下
単身:550万円以下、夫婦:1,550万円以下
第3段階②
年金収入等が 120万円超の方
単身 500万円以下、夫婦 1,500万円以下
となります。
ここでいう預貯金は現金だけでなくて、有価証券も全部含めます。つまり株式とかもぜんぶ預貯金の一部になります。そうなると非課税世帯でも株とか投資信託とか買って貯め込んでいる人は対象外になってしまうわけです。
それでFIREとかしている人たちは、非課税世帯で年金収入が80万円以下でも、単身で650万円を超える預貯金がある場合は第2段階の軽減措置の対象者にならないのですね。
それでこの軽減措置でどれだけ金額が違ってくるかですが、これも自治体や施設によって異なってきます。ざっくりな目安ですが、ベッドがたくさんある多床室の居住費の場合、
食費 居住費 合計
実費:4.5万円 6万円 10.5万円
第1段階:9,000円 9,600円 18,600円
第2段階:11,700円 12,600円 24,300円
第3段階①:19,500円 24,600円 44,100円
第3段階②:40,800円 39,300円 80,100円
第1段階は生活保護者なのでよいとして、FIREしている人たちがとれそうな第2段階ですが、実費の10.5万円と比べて毎月24,300円で済むので、毎月8万円もお得になります。年間だと96万円とけっこう馬鹿にならないですね。
第2段階の条件は、年金等の収入80万円以下で、ここはクリアできる可能性はありますが、預貯金が単身で650万円以下、夫婦で1,650万円以下というところが難しいとは思います。
仮に預貯金が1000万円あったとすれば実費になるわけで、そうなると第2段階の人と比べて毎年96万円多く消えていくことになりますね。4年経てば自動的に預貯金の1000万円が650万円以下にはなりそうです。
「そんなんだったら先に使って650万円以下にしてから入所したほうがいいじゃん」という人もいますが、1000万円ぐらいならそのほうが得かもしれません。
そんな感じで預貯金があることで軽減措置が受けられなくて、実費を払い続けることで無意味に預貯金が削られるみたいなこともあります。
対策としては、実費で払っても気にならないレベルまで預貯金増やすか、調整するかの2択になりそうな感じはありますね。実際、軽減措置を受けるために相続を拒否するみたいな話もあります。中途半端な預貯金額の人が一番ダメージを受けやすい制度とは思います。
今後は預貯金も含めて計算するみたいな方向は増えてきそうな感じもします。日本は人口が減ることが確定している以上、政治家や公務員の生活を守るためには国民から搾り取るしかありませんしね。
そんなわけで頑張ってくださいとしかいいようがないとは思います。日本人が選挙で選んだ結果なので仕方ないとは思いますね。制度を利用できる側になるというのも一つの手とは思います。
まとめ
そんなわけでまとめると、
・介護保険施設の軽減措置には1~3の段階があって、住民税非課税世帯であることが最低限の条件。
・第1段階は基本的には生活保護者用。
第2段階
年金等収入80万円以下
単身:650万円以下、夫婦:1,650万円以下
第3段階①
年金収入等が 80万円超120万円以下
単身:550万円以下、夫婦:1,550万円以下
第3段階②
年金収入等が 120万円超の方
単身 500万円以下、夫婦 1,500万円以下
・実費と第2段階とで、月額で8万円、年間で96万円の差も。
・中途半端な預貯金だと損する場合もあるので、実費で払っても気にならないレベルまで預貯金増やすか、調整するかの2択になるかと。
・今後は預貯金も含めて計算するみたいな方向は増えてきそう。
となります。
そんな感じで、こういうのは個人の力でどうしようもないので、制度を理解してどう使うかということにもなります。
こういう制度も、今後もどんどん条件が厳しくなっていくので、いっそのこと預貯金を持っていないほうが暮らしやすい国みたいになるかもしれませんね。働かない方が正解みたいな感じにはなってくるとは思います。
まじめに働いている人には受け入れられないかもしれませんが、制度がそうなっているのですから不満をいっても仕方がないわけで、制度を把握して逆に利用するか、選挙行くなりなんなりで地道に現状を変えていくしかないとは思います。
現在の選挙は高齢者有利とはいいますが、以前もいったように、年金を十分にもらっている高齢者にとっては、年金は雑所得扱いなので給付より減税のほうがお得だったりします。
まあ、そんなわけで、制度を理解しておかないとけっこう大損する社会なので、知識をつけてうまく切り抜けていくのがいいとは思いますね。