【FIRE/老後】若者の節約は悪?「経済が回らない」論を考える

人生・FIRE関連投資お役立ち情報

wakamono okane

新NISA一括投資→即毎月定率取り崩し運用中のQ太郎です。

今回は、若い人がお金をつかわないから経済が回らないということについてです。

本記事をYouTube動画で観たい方はこちらのリンクから。

若い人がお金をつかわないから経済回らない?

こんなご質問をいただきました。

現在の日本の経済的な停滞についてですが、若い人がお金をつかわなくなったことも大きな要因になっていると思います。

高齢になればなるほど医療費は増えていきますが、消費自体は減っていくので、実際の経済をまわしているのは若い人たちの旺盛な消費によるところが大きいとは思います。

ただ現状、増税に次ぐ増税で、労働者の可処分所得が減りまくっており、そもそも消費したくてもできないというのが実際の所では無いでしょうか。

それなのにマスコミは「若者の車離れ」や「若者のマイホーム離れ」など、悪い事のように書き立てます。お金があれば車を欲しい人もいるとは思いますが、車を買うのにつかうお金もないのが現状です

現在日経平均は上がっていますが、日本は少子化に加えて社会保障費が膨らみ続けているため、将来的には衰退していくしかないとは思っています。

この状況を打破するには積極財政と減税で経済を盛り上げていかないといけないと思いますが、現在すでに円安でインフレ状態にあり、この状態で高市政権によるさらなる積極財政をしてしまうとさらにインフレが加速しそうで怖いところがあります。よけい財布のひもをきつくする結果にもなりそうです。

若者の消費を上げていくのに積極財政は本当に適しているのでしょうか? この辺りをどうお考えかお聞かせください。」

とのことです。

結構年配の方々は、昔の日本の好景気のときの感覚で「今の若者はあまり消費をしない」や「若者の車離れ」とか「若者の〇〇離れ」とかを言ったりしますが、車を欲しい人はやっぱり一定数いますし、「買えるんだったら買いたい」という人も多いとは思います。

昔と違って、給料が同じでも税金とか社会保険料の負担とかが違いますので、実際につかえるお金は少ないのですね。そのあたりを全然考慮しないで、「若者の〇〇離れ」と言われても、「べつに金有ったら買いたいわ」という人も多いとは思います。

そもそも自分から離れているわけではなくて、金銭的に離れざるを得ないような状況なのですね。そのため質問者様がおっしゃるように、そもそも消費したくてもできないというのが実情とは思います。

それと、昔と大きく違う点としては、現代の若者は将来不安が昔より大きいというのがあります。Q太郎的にはこれが一番大きいんじゃないかと感じます。

やはり情報が手に入りやすい時代なので、自分の未来がある程度見えてしまうのですね。

20代ですでに老後の心配をしているような人たちがいたりしますし、それで貯金したり、新NISAはじめたりと、20代からいろいろと老後にそなえて手を打ち始めているわけです。それ自体は悪いことではないのですが、経済成長期だと、「今日より明日の方がよくなる」と信じることができました。給料は年功序列で上がっていくので安心して働ける環境でもありましたし、退職金や年金も十分な額が支給されるのであまり不安というものがありませんでした。良くも悪くもとりあえず会社に入ってしまえばあとは安泰みたいな感じですね。

手取り自体も多くて、テレビ、冷蔵庫、洗濯機とか生活が便利になる新製品がどんどん出てきて、車を買ってマイホームを買って、一億総中流みたいな感じでみんな似たような消費をしており、人生のモデルケースのようなもの確立していたので、あまり頭を悩ませることがなかったというのもありますね。目的ががっちり決まっていますので、それを目指して進めばいいだけという感じでした。

ただ現在は電気製品なんか生まれたときからそれらが全部あるような状況で、べつになんかすごい欲しい物があるわけでもなくなっているため、お金を稼ぐモチベーションもかなり低くなっているとは思います。

ゲームなんかもそうで、昔はファミコンからスーパーファミコン、さらには3Dポリゴンのプレイステーションに進化したことで、どんどんゲームが進歩していくというのが感じられて、ゲームへの消費も多かったのですが、いまは3Dやリアルなグラフィックが当たり前で、べつにグラフィックがきれいで感動するみたいなこともほとんどなくなっているとは思います。

ファミコン時代なんか「忍者ハットリくん」のゲームとかでも100万本売れていましたが、いまだとゲームが1万本も売れれば御の字、10万本もいけば大成功みたいな感じになっていますしね。あとはほとんどスマホの基本無料ゲームに客をとられているみたいな感じになっているとは思います。

そんな感じで、今はそもそも選択肢が多すぎて、何にお金をつかっていいのかも自分で考えないといけない時代になってしまった感はあります。昔みたいに、とりあえず家電買って、車買って、マイホーム買ってみたいなロードマップのようなものがなくなったのですね。

生まれたときから物が豊富なので、逆にミニマリストみたいに持ち物をどんどん減らしていくみたいな行動に新鮮さを感じられる時代になってきています。物が無かった時代の人達は、とりあえずなんでもかんでも捨てずにとっておくという貯め込み癖がありましたが、それはモノがすぐに手に入らなかったという問題もあったのですね。

今だったら供給過剰で物が手に入らないという心配は少なくなりましたし、Amazonとかでポチれば玄関先まで届けてくれますので、モノが少なくても問題ないような状況になっているとは思います。

そんな感じで、昔のように消費のモデルケースみたいなものがなくなってしまったので、売る方も何を売っていいのかよくわからんみたいな状況になってますし、買う方も何買っていいのかよくわからんみたいな状況になっているとは思います。そんな状態だとなかなか消費は増えていきません。

それと現在は日本は株高ですが、問題は株高で資金が集まったとしても、企業がそれをどこに投資するかということです。国民は株に投資をしますが、企業はそれらの資金を日本国内で活かしにくいというのがありますね。

そうなると、金だけは集まるけど、企業は大して投資しないので、けっきょくのところ株高だけど経済成長はしないという状況に陥ってしまいます。

イーロン・マスク氏のスペースXとかのように、「やりたいことがたくさんあるので、いくらでも投資してくれ」みたいな状況には、日本企業はなっていないのですね。投資より現状維持みたいな感じにはなっているとは思います。つまるところ、国民が企業に投資しても、企業はお金の行き先がないような状況です。

企業も経済成長を信じていないような現状維持の状況なので、今後日本が伸びていくかと言えば、目前は株高ではありますが、その資金の行き場がないという意味では今後は厳しくなるんじゃないかという気もします。

この状況で積極財政をしても、企業は人口の減る日本国内への投資はあまりしそうにないので、積極財政であっても経済成長自体はそこまで期待できないかなという感じはありますね。

それでひたすら円安になって、インフレが進んでみたいな状況になっていくと、国民生活もいろいろ厳しくなるんじゃないかとは思います。

若い人の問題だけではなく、企業自体がそこまで日本国内での成長を目指していないというのも問題はあるとは思いますね。

まとめ

そんなわけでまとめると、

・増税と社会保険料増加で、昔と比べてそもそもの可処分所得が減っている(昔と給料比較だけしてもあまり意味が無いのですね)。

・「若者の〇〇離れ」というが、「買えるんだったら買いたい」という人も一定数いる。(けっきょくはお金の問題が大きいです)

・現代の若者は昔に比べて将来不安が強い。情報が手に入りやすいことから、自分の未来がある程度見えてしまう。(それで20代から老後の心配をして貯金したり、新NISAしたりという状況になっています)

・昔は人生のモデルケースのようなものがあったが、今は選択肢が多いことから、売る方も買う方も何を売っていいのか買っていいのかよくわからない時代。(自分で考えなければいけないので、消費が難しくなっているのですね。ゲームだったらドラクエ買っておけみたいな状況じゃなくなっているわけです)。

・株高で企業に資金が集まっても、企業はその資金を日本国内の投資に活かせない状況。(我々が投資しても、企業がそれを活かしにくいという状況にはなっています。とくに大企業は現状維持を好みますしね)。

・この状況で積極財政をしても、経済成長自体はそこまで期待できそうにないかと。結果、ひたすら円安になって、インフレが進んでいくみたいな状況にもなりかねない。

・そもそも若い人の問題ではなく、企業自体がそこまで日本国内での成長を目指していないというのもある。

となります。

そんな感じで、積極財政自体はいいのですが、集まったお金を企業がしっかり活かしていけるかの方が重要で、当たり前ですが現状維持を続けても経済成長はできないわけです。

それでひたすらお金の量だけが増えていけば円安とインフレが進んで、将来的にちょっとヤバいんじゃないかという感じもあります。

そんなわけで若者だけの問題ではなく、日本企業がどう資金を活かして成長していけるかの方が、実際の経済成長には重要になってきます。じゃないと、本当にひどいインフレが待っているだけみたいになりますしね。