【新NISA】なぜ「投資で1億円稼いだ」という話に人は飛びつくのか?

新NISA一括投資→即毎月定率取り崩し運用中のQ太郎です。
今回は、よくある「何年で1億円稼いだ」という短期投資の話に人は飛びつきがちなのかについてです。
本記事をYouTube動画で観たい方はこちらのリンクから。
「投資で1億円稼いだ」という話になぜ人は飛びつくのか?
こんなご質問をいただきました。
「Youtubeの投資詐欺広告の動画をありがとうございました(この動画のことですね)。
Youtubeの詐欺広告は結構あからさまなので引っ掛かる人は少ないと思うのですが、「普通のサラリーマンが投資で1億円稼いだ」みたいなのも、詐欺ではありませんが再現性がないという意味では、その情報や本を買わせることは詐欺に近い物があると思います。
これについてのご意見をお聞かせください。なぜこういうものに興味を持つ人が絶えないのでしょうか?」
とのことです。
けっこうそういう本多いですね。サラリーマンだけじゃなくて、主婦がFXや株で何億円稼いだみたいなのもあります。
サラリーマンとか主婦とかは、ようするに身近な存在だったり、自分自身と重なるところがあったりなので、そういう親近感で「自分と似たような境遇の人ができるんだったら自分もできるかも」と思ってしまって飛びついてしまうというのがあります。
逆に「大企業のサラリーンマンが40年かけて株で1億円儲けた」なんて本があっても、まず誰も買わないんじゃないかとは思います。40年もあったら、株をやらなくても毎年250万円貯金すれば1億円貯まりますしね。
そんな感じで、「自分でも短期間で簡単にできそう」みたいに思ってしまうことで、飛びついてしまうというのがあります。広告でよくある「誰にも、簡単に、すぐにできる」というやつです。
ダイエット本なんかもそうですけど、お手軽ダイエットとかそういう本がどんどん出版されてますけど、どんどん出版されているということは成功している人がほとんどいないということですね。そういう人たちが似たような本をまた買うわけです。いいお客さんなわけです。
この手の本は、読み物としては面白いかもしれませんが、実際のところはタイミングとか運とかありますし、特に数年とかの短期投資だと運用素がかなり高いですので、おっしゃるとおり再現性では難しい部分があります。
たとえば「3%で損切り、10%で利食い」みたいな投資ルールがあったとして、こういうのもタイミングによっては成功することもありますし、失敗することもありますので、投資の真理にはならないのです。
4%ルールもドルコスト平均法もタイミング次第では失敗します。お金が欲しいタイミングでズドンしてたらどうにもなりませんし、世の中そんなもので絶対はないわけです。
FXの自動売買などもそうですね。タイミング的にそのプログラムがうまく行くときもあれば、行かない時もあります。とくに多くの人がそのプログラムを使い始めたらうまくいかなくなるわけです。
そんなわけで、どういう手法で短期でそれだけ儲けられたかを読み物として楽しむエンターテインメント本として読むのはいいのですが、この手の「数年で何億円」みたいな本を買ってそのままやっても、当たり前ですがそのときと世界情勢とか状況とかタイミングとか違いますので、まず再現性はないでしょう。
一人の成功者の裏には、まったくおなじことをして失敗してきた人たちの死屍累々の屍の山があるということですね。
あと成功者は成功を運ではなくて、自分の努力と思いたがる部分があるので、いかにもその手法が正しい物であるかのように書き立てるわけです。たとえば「うちの会社が成功したのは、社員一人ひとりが自由に働いていたからだ」と言っている社長がいたとして、それとおなじことをしてつぶれている会社もたくさんあるわけです。
それでこの手の「投資で1億円もうかった本」というのは、この努力の部分だけを書いているわけで、その他の成功の様そうである運とかタイミングとかの部分についてはほとんど書かれていないわけです。
これらを全部総合して「成功」ができあがるのですが、そのうちの一要素である「努力」や「工夫」だけを取り出して本に書いても、それの一要素を真似したところで、その他の要素がおなじではないので再現性が無いわけがないのです。
そんなわけで、読み物としては面白いのですが、成功の1要素を取り出しているだけにすぎないわけで、それを真似をしても成功しづらいというがあります。成功は実力以外に運やタイミングなど、いろいろな要素が絡み合っての成功ですしね。
「何年も筋トレしたら力が強くなるよ」とか「食べなかったらやせるよ」とか言われても、みんな苦労したくないのでやらないわけです。なんか短時間で簡単にどうにかなることをやりたいわけですね。最近はとくにタイパとかが重視されてきてしまっているので、この「簡単に」の部分にますます磨きがかかってきた感じはあります。
投資の本質なんてのは、まず「投資に十分な元本を稼げ」という話で、元本が大きければ1億円なんて簡単に稼げるわけです。100億円あったら、1%上がっただけで1億円ですしね。年間配当3%あったら、3億円です。
でも働いて元本大きくする努力はあまりしたくないので、少ない資金で短期でお手軽になんとかしたいというタイパ・コスパの世界で生きていくと、そういうお手軽本にとびついてしまうわけです。
もっともそういう短期で1億円とか稼いでいる人たちは、運のいい人たちもいるでしょうけど、その時期にホットな企業とかいろいろ調べてその株を買ったりとか、情報集めとか、いろいろ努力しているわけです。
そういう情報収集能力とかもすっとばして、企業の決算すら読めないのに、人気企業だからとかそんなふわっとした理由でなんとなくで売り買いしていれば、それはうまくいかないとは思います。そもそも自分でなにやっているかもわかっていませんしね。
まとめ
そんなわけでまとめると、この手のお手軽本がいまだに出版され続ける理由は、
・サラリーマンや主婦など、身近な人の成功例によって「自分も成功できるかも」と思い込むから。
・「似たような本が出版され続ける」ということは、それだけ成功者がいないということ。(その本でみんなが成功していたら、その本が決定版になりますしね。成功者がいないから似たような内容の本が出て、前の本で失敗した人がまたとびつくわけです)。
・人は「自分でも短期間で簡単にできそう」みたいなものに飛びついてしまう(これはダイエット本とか筋トレ本とかもそうですね)。
・投資は手法以外に情報収集能力やタイミングや世界情勢などいろいろな要因がある。手法だけを取り出しても、うまくいかない場合が多い。(いろいろな要因が嚙み合って成功するわけで、たくさんの要因の中から一つの要因だけ取り出して本に書いても、それを真似しても再現性が無いのも当たり前といえば当たり前です)
・4%ルールもドルコスト平均法もタイミング次第では失敗する。絶対に成功する投資手法は基本的に存在しない。(あくまで結果論であって、これからどうなるかは別の話です。ドルコスト平均法は確率の高い方法とは言えますが、金が必要で取り崩す段階でズドンしてたら意味がありませんしね)。
・成功者は「自分の努力・才能によって成功した」と思いがちなため、本に書かれていることはそれらが中心になってしまう。(いわゆる成功者バイアスですね。努力・才能も一つの要因ですが、ほかにもタイミングとか運とかまわりの強力とか、いろいろな要因が絡まっての成功なのですが、そのことについては全部スルーされるわけです)。
・タイパ・コスパ重視の現代においては、「誰も、簡単に、短時間で」にさらに磨きがかかっていく(それで結局できなくて、また似たような違う本とかを買ったりすることを繰り返すわけです)。
となります。
そんな感じで、本に書かれていることは成功の一要因でして、いわゆる十分条件でしかないわけです。タイミングとか運とか世界情勢とか、いろいろな条件が噛み合って成功ができあがっているので、その一要因だけ取り出して真似てもなかなかうまくいかないわけですね。
で、うまくいかないから、また似たようなべつの本とか情報を買うことになって、みたいなループになってしまいがちとは思います。
そんなわけで読み物として楽しめばいいのですが、あくまでそれは成功の一要因を書いているだけでなので、物事というのはタイミングとか運とか世界情勢とか、いろんな要素が組み合わさった結果だということは意識しておいたほうがいいかなとは思います。















