日銀、長期金利1%許容のサプライズードル円は乱高下

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QYLD全力太郎ことQ太郎です。

昨日、日銀の金融政策決定会合で、植田総裁が長期金利の1%までの上昇を許容する発言をしました。これによってドル円は乱高下。今回はその話題です。

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日銀金融政策決定会合とドル円

さて、昨日の日銀の金融政策決定会合において、植田総裁が長期金利を1%まで許容する発言をしました。

これによって、7年にわたって無理やり抑えてきたイールドカーブコントロール(YCC)が形骸化する可能性が出てきました。実質的な緩和修正ですね。というか、これが普通なんですけどね。

現在日本では、他国と同様にインフレが進んでいます。食品価格が上がっているので、消費者にはダイレクトにインフレが感じられているとは思います。

食品という誰にでもわかりやすいところがインフレしているので、国民からの大きな不満が出るのを避けるためにも、日銀としてもこれ以上金利をおさえるのが難しい状況になっているとは思います。

金融緩和の弊害

今回の決定では、政策委員9人のうち、1人が反対をしており、満場一致というわけではありません。

反対した理由は「企業の稼ぐ力が高まったのを確認してからのほうが望ましい」と述べています。

正直、そのどこにあるのかわからない「企業の稼ぐ力」を理由に、これまで金融緩和が続けられてきました。

しかしこの金融緩和自体が、企業にとってよろしくない影響をあたえているのですね。

ざっくりいうと、たとえば金利4%の場合、企業としては4%以上稼がないといけない態勢をつくらなければなりません。借りているお金の利子より稼がないと赤字になりますしね。

そうなれば企業も必死であれこれ考えるわけです。金利以上に稼げない企業はつぶれていき、優秀な人材の移動も起こって、業界再編にもなります。

ところが金利が1%以下の状態というのは、つまるところ「1%ぐらいの利益でいいや」という話になってしまいます。

つまり低利益でも企業がやっていけてしまうのですね。ちょっと利益を出せば、それでペイできてしまうのです。

このことによって企業はずっとこれまでどおり、だらだらと現状維持を続けてきました。低金利なのでそれでも全然困らないわけです。

Q太郎的には、日本企業が成長しないのも、むしろこの金融緩和が一番問題なのではないかと思っています。

「企業の稼ぐ力」とやらがなくても、現状維持でやっていけるのです。こうやってゾンビ企業が生き残り、ゾンビ状態のまま低利益で市場のシェアの一部を占有し続けることになります。そしてゆっくりと衰退していくわけです。

ちなみに植田総裁は、0.5%を超えても容認するという姿勢をとっていますが、マイナス金利政策やETF買い入れ自体は今後も続けるとのコメントをしていました。

さらには「金融政策の正常化へ歩み出すという動きではなく、YCCの持続性を高める動き」と、あくまで現状維持を強調していましたが、現在の状況で、短期間で1%まで一気に上がるという可能性は低いため、どんな言い方をしても、もはや実質的な正常化への動きでしょう。

債券の動き

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これを受けて債券市場では長期金利が0.5%を突破。0.575%まで急上昇しました。一気にズドーンといきましたね。チャートがすごいことになっています。日本国債の投げ売り状態です。

ドル円

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ドル円も乱高下。会合で一気に円安して141円つけたかと思えば、そのあとにズドンして138円台前半まで下落。さらにその後に一気にまた141円台突破と、短時間で円高円安を繰り返す地獄のような動きをしています。ジェットコースターにもほどがありますね。

FXをやっていたらロスカットの往復ビンタでとんでもないことになってそうです。

そして「金利が上がったんだから円高へ進むだろう」という安直な考えをあざ笑うかのように、現在は141円台になってしまっています。

今回は長期金利についてなので、短期金利自体はまだ0にはりついているような状況ですね。そのため、短期的には円安か円高かは判断のむずかしいところがあります。これだから為替の短期取引は怖いです。

緩和修正の影響

今回の実質的な緩和修正で、「金利上がるんだかったら、金を貸している銀行がもうかるだろ」という発想で、地方銀行も含めて銀行株が伸びています。

その一方で、借り手側は厳しいことになりますね。わかりやすいところだと住宅ローンが影響を受けます。

固定金利のほうですが、来月から0.1%〜0.2%程度上昇する可能性はありますね。というか、昨年からすでに各銀行が軒並み固定金利を上げています。

逆に変動金利のほうですが、低金利自体はしばらく続きますので、短期金利に大きな変化はないかと思われます。

逆に客を確保するために、変動金利を下げてくる銀行もあるとは思いますね。日銀が今後利上げしたら「じゃあ、金利上げます」といって変動金利を上げればいいだけの話なので、べつに損することはありません。

銀行が変動金利を安くするのは、まず客の確保をして、あとでがっぽりとるという思惑も働いているような気がします。そもそも金利が今後も上がると思っているから、銀行は固定金利を上げているわけですしね。

 

まとめ

米国のほうですが、6月の米個人消費支出(PCE)が前月比+0.5%と、予想の+0.4%を上回りました。まだまだ景気がいいですね。

FOMCにとっては、現在の引き締めを長期にわたってつづけなければならないという指標にもなりました。そのため、年末あたりに成長減速を招く可能性もあります。

米国市場のほうは昨夜反発し、S&P500が1%、NASDAQ1.9%と2%近く上がりました。

GAFAMなど大型ハイテクは上昇し、とくにテスラとメタが4%以上の上昇と大きく上げてきました。

あとこれまで苦難の道のりだったインテルさんは、決算を受けて+6.6%と大きく上げています。

企業決算がよかったことに加え、インフレの低下や景気の底堅さなどが意識され、市場全体に買いの安心感が広がっていますね。

ただ米国市場にとって鬼門の、夏枯れの8~9月がやってきますので、あまり過信もしない方がいい気がします。毎月定額投資しつつ、まったりと投資していけばいいとは思います。