【米イラン協議決裂】真の標的は「人民元経済圏」かードル覇権を自ら壊すアメリカの戦略的失敗

doru zinmingen

取り崩し投資運用中のQ太郎です。

今回は停戦後の米イラン協議が合意に至らなかったことについてと、その裏でちらついている人民元台頭のシナリオです。

Youtubeで観たい方は以下のリンクから。

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米イラン協議、合意に至らず

予想通りというかなんというか、アメリカとイランの停戦後の協議において、今日の午前に「合意に至らなかった」との報告がバンス副大統領からありました。

これまでに揉めに揉めていたのですから、ちょっと話し合って「はい、合意」とはいかないわけです。

アメリカとイランの停戦合意における認識のずれも当初からあって、イラン側は「こちらの再提出した10項目の計画をアメリカが受け入れている」と認識している一方、アメリカ側は「再提出された10項目については交渉の基盤になる」といっていて、あくまで「交渉の基盤になる」だけであって、受け入れたわけではないという主張ですね。あくまで努力するという話です。

レバノンの扱いについても、アメリカというかイスラエル側は「レバノン攻撃は停戦合意に入ってない」という認識である一方、イランは「レバノン攻撃は停戦合意の条件」だという認識です。

核開発についても、イランは「核濃縮の権利は容認したはずだ」といっている一方、アメリカは「核濃縮は認めない」としていて、いろいろと食い違っているわけですね。

言ってることが最初から噛み合っていないので、そりゃまとまるわけないといった感じです。停戦に入るときも、アメリカもイランも勝利宣言していたりとか、もうわけのわからん状態です。

しかも昨日に、中国がイランに武器供給をしようという動きも報道されていて、今回の停戦がたんなる時間稼ぎで終わりそうな感じもあります。

アメリカがイランを攻撃する理由

それでアメリカがイランを攻撃する理由ですが、イスラエルに乗せられたというのもあるとは思いますが、真の目的としては中国の力を削ぎたいというのがあるとは思います。

イランの輸出している原油の約90%が中国に向けられているので、中国への依存度が極めて高いのですね。

アメリカが先に攻撃したベネズエラも同様で、原油の中国への輸出量は約55%〜80%と言われており、かなり高い割合になっています。

そんな中国依存の状態であるうえに、さらにイランもベネズエラもドル建てではなくて人民元建てで決済をしています。

つまり「ドルを使わない貿易圏」を構築し始めているのですね。

アメリカの強さというのは、やはりドルの強さなのですが、そのドルを通さなくて決済ができるということになってくると、アメリカのいう事を聞かない国は増えていくわけです。

ウクライナ戦争の初期も、アメリカは経済制裁としてドル決済からロシアを弾くということをやっていましたが、中国がじわじわと「人民元貿易圏」を広げていくと、そういうことがだんだんとやりづらくなっていくのですね。

そんなわけでアメリカとしては、中国依存度が高く、人民元で決済しているイラン・ベネズエラを叩いて政権転覆し、新たな政権をドル経済圏に引き込みたいというのがあるとは思います。ようするに中国の影響力を削いでおきたいわけです。

一方でイランはこれに反発しており、ホルムズ海峡に通行税を課して、ドルではなく人民元か暗号資産で支払うように要求しているわけです。ホルムズ海峡は世界の石油輸出量の5分の1が通過する場所なので、そこで人民元や暗号資産のやり取りが活発化していくと、これまでのドルによる世界支配がどんどん弱められていき、人民元が世界的な通貨になっていく可能性もあるわけです。

しかしドルの世界覇権を揺るがせないようにする一方で、トランプ氏はむちゃな利下げを要求したりで、「弱いドル」を望んでいるなど、矛盾しまくりな行動をとっていて、本人も為替とか経済とかの仕組みをよくわかってないんじゃないかという気もします。

イランも一枚岩ではない

ただイラン側も一枚岩ではなく、現政権に反対する者たちもいます。

現在アメリカとの戦いの中心になっているのは、いわゆる革命体制を守る革命防衛隊ですが、その一方で正規軍もあって、対立関係にある部分もあります。

そんなわけでイランもイランでけっこう複雑なことになっています。

最終的にホルムズ海峡の通行料としての人民元決済が広まることになれば、最終的にはアメリカが力を削ごうとしていた中国の影響力をさらに強めてしまう結果になるんじゃないかとは思いますね。

もともとホルムズ海峡は自由に通行できていたのに、アメリカがイランを攻撃したことで、ホルムズ海峡の通行税をとっていいという口実をイランに与える結果になってしまってますし、それで人民元決済が広まれば、もともとは中国の影響力を弱めようとしたのに、逆に中国が得をしたという結果になってしまいます。完全に失敗なんじゃないかという気はしますね。

まとめ

そんなわけでまとめると、今回の米イラン協議の決裂、そしてアメリカによる強硬姿勢ですが、俯瞰してみると非常に皮肉な結果を招いているように見えます。

もともとはイスラエルとの関係や、中国の影響力を削ぐためにイランやベネズエラを叩いていたはずが、結果として「ホルムズ海峡の通行税を人民元や暗号資産で払え」という、最強の反撃口実をイランに与えてしまいました。

世界の原油の5分の1が通過する場所で「ドル抜き決済」が常態化してしまえば、それはアメリカが最も恐れていた「ドルの世界覇権」の崩壊を、自らの手で加速させていることになります。

中国からすれば、自分たちが手を汚すことなく、アメリカが勝手に暴れてくれたおかげで人民元の国際化が進むという、これ以上ない漁夫の利を得ている状態です。

ドルの強さを守りたい一方で、トランプ氏のように「弱いドル」を望む矛盾した動きもあり、もはやアメリカ自身がどこへ向かっているのか分からなくなっている。そんな混沌とした時代に、私たちは直面しています。

投資家としては、単なる有事の金(ゴールド)買いだけでなく、この「通貨のパラダイムシフト」が資産価値にどう影響するのか、よりマクロな視点で注視していく必要がありそうです。

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