
取り崩し投資運用中のQ太郎です。
今回は、米国株が2030年から「失われた10年」に突入するという予測と、Q太郎の見解についてです。
Youtubeで観たい方は以下のリンクから。

定期的に登場する「米国株オワコン論」
今回は、米国株が2030年から「失われた10年」に突入するという予測と、Q太郎の見解についてです。
こんな質問をいただきました。
「ビジネスインサイダーの記事で、「2030年から米国株の『失われた10年』が始まる」との予測が出ています。S&P500は今後、リターンがほぼゼロになる20年間の長期弱気相場に突入するとのことです。これについてのQ太郎さんの見解をお聞かせください。」
とのことです。ありがとうございます。
新NISAが始まって以来、インデックス投資で順調に資産を増やしている方も多いと思いますが、ここ最近、ウォール街や大手メディアから不穏なニュースが飛び交うようになってきました。
質問者様の掲載したアドレスから記事を読んでみましたが、この予測の元になるのは、サンクチュアリ・ウェルスのチーフ・インベストメント・ストラテジスト、メアリー・アン・バーテルス氏の予測ですね。
一応補足しておくと、このサンクチュアリ・ウェルスという資産運用会社は、以前からS&P500に対しては、強気な発言をしているところです。昨年の7月ごろに何を言っていたかと言えば、年末にS&P500が7,000ポイントに到達するとの予測でした。実際は6,900ぐらいでしたが、基本的には強気派ですね。
それで今回の記事を読んでみると、「2030年からは横ばいになるけど、それまでは今から75%上昇する」というような、結局やはり強気発言なわけです。あと4年でプラス75%ですしね。かなり強気だとは思います。
「2030年から横ばいになる」の根拠ですが、「バブルが終わるサイクルに入る」ということですね。そこから「15〜20年にわたる長期弱気相場が続き、S&P500は横ばいになる」という予測です。「下落する」とは言っていないわけで、やはりQ太郎的には「結局、強気発言やん」という感じです。
ちなみに、バンク・オブ・アメリカの、昨年末のクライアント向けレポートでは、「今後10年の間にS&P500が0.1%下落する」との見通しを示しています。「2030年までは爆上がり」みたいな先ほどの予想とは真逆ですね。
また、ゴールドマン・サックスは、今後10年間のリターンで米国市場が最下位になると予測しています。
そんな感じで、みんなそれぞれ好き勝手に予測しているわけです。そして現時点では答え合わせのしようがないわけです。
米国市場の衰退予測
ただいろいろな予測があるにしろ、「米国市場の衰退」というテーマ自体は、大なり小なり、どのアナリストも述べていることです。
「2030年から米国株の『失われた10年、あるいは20年』が始まる」「リターンはほぼゼロになる」といった予測を発表し、投資家たちの不安を煽っています。
2026年現在まで驚異的な右肩上がりを続けてきたS&P500ですが、「そろそろバブルが弾けて暗黒の時代が来るのではないか」と思うのは、ある意味、自然な流れです。株価が上がりすぎて、バブっているという懸念もありますしね。
ただ、実際のところは、「そうなるかもしれないし、そうならないかもしれない」というだけの話であって、これのどちらかに賭けるというのはギャンブルでしかありません。
今回は、なぜプロの市場予測がこれほどまでにアテにならないのか。その構造と、私たちが淡々と実行すべき「資産防衛戦略」をお話しします。
予測は「変化がないこと」を前提にしたファンタジー
そもそも、なぜこの手の「未来予測」は毎度毎度、好き勝手なことばかり言われるのでしょうか。 それは、専門家たちのシミュレーションが「現状のトレンドが、このまま何の変化もなく、一本調子で進んだ場合」という、現実にはあり得ない前提で作られているからです。
私たちが生きている現実の世界は、過去のデータの延長線上だけで動くような単純な「線形の世界」ではありません。 途中で無数の新しいファクターが複雑に絡み合う、「非線形の世界」です。絡み合ったファクターが、また次の結果を創り出すのですね。
ちなみにQ太郎が大学院でやっていた研究が、こういう非線形の数値計算です。「ソリトン」という非線形なのに厳密解を出せる方程式も存在したりしますが、基本的にはワンステップずつ計算していく形になります。前の結果を使って、次の結果を出すのですね。厳密解ではなく、近似計算になるわけです。
それで、ちょっと初期値が違うだけで、時間とともに結果が大きく変わってしまいます。当然、途中から新たなファクターが差し込まれたら、結果は大きく変わっていきます。遠めの未来の天気予報が当たりづらいというのも、これが理由です。
例えば、政治的な要因による突発的なイベント。 最近の「ホルムズ封鎖」による原油価格や物流への影響を見れば分かる通り、世界を揺るがす大事件というのは、常にアナリストたちのエクセルシートの外側から、予告なしに突っ込んできます。
1ヶ月後の天気予報すら外れるのに、5年後、10年後の世界経済にどんなファクターが入り込んでくるかなど、神様でもない限り予測しようがないのです。予測できないものを「予測できる」と思い込むこと自体が、最大の戦略ミスと言えます。
かといって、まったく無視していいわけでもないので、「今の状態だと、将来そうなるかもしれないよねー」ぐらいに聞いておくのがいいとは思います。あくまで「方向性の一つ」としての話ですね。
というか、2030年までにS&P500が75%上がるのであれば、「おまえの財産、全ツッパしたらいいやん」と言いたくなります。
対策①:おカネの置き場所を散らす「地域分散」
では、未来が予測できない以上、私たちはただ指をくわえて暴落を待つしかないのかというと、そんなことはありません。
「米国株の失われた20年」が本当に来るかどうかは誰にも分かりませんが、「アメリカ一国に資産を集中させるのが怖い」と感じるなら、ルールに従って分散すればいいだけです。
アメリカを信じているであれば、S&P500一択でも全然問題はありません。むしろ、新興国の方が信用できないという人もいますし、「自分が安心して長期投資できるかどうか」が一番重要なのですね。投資は正直、マインドの方が重要とは思います。特に長期投資になると、「怖くて途中で売ってしまう」みたいなのも発生しますしね。
一番シンプルなのは、投資先をアメリカだけに偏らせず、オルカンとか買っておくとかですね、あるいは自分自身で他の地域に「地域分散」を行うことです。インドとか、中国とか、まあ好きな国を買えばいいでしょう。
もしアメリカの成長が本当に止まったとしても、その間に他の国や地域が台頭してくれば、全世界分散のポートフォリオが自動的にその果実を拾ってくれます。特定の国と心中するようなリスクの取り方を避けたければ、地域分散も一つの手です。
ただ分散先が安全かどうかはまた別問題なので、「市場が正常に機能している」という意味では、アメリカはその辺りの強さがありますね。
対策②:「アセット分散」と「バケツ戦略」
そして、さらに重要なのが「株式以外」にも目を向ける「アセット分散」です。
株式は、全体で見ればやはり同じ動きになります。S&P500も、オルカンも、基本的には似たような動きです。オルカンの大半は米国株ですしね。
アセット分散というと、ゴールドとか不動産とか、お金持ち向けな分散の仕方と思わがちですが、「現金」もまた、立派なアセットの一つです。

前回の動画で、「おカネの本質は流動性であり、道具である」というお話をしました。 どれだけ株価が暴落して画面の数字が減ろうとも、手元に十分な「現金」という流動性があれば、日々の生活は脅かされません。
基本的には「バケツ戦略」をベースにして、自分の生活を守ることを最優先にした方がいいでしょう。短期バケツで生活防衛資金を確保。中期バケツで直近数年で使うまとまったお金を確保。そして残ったお金を長期バケツに入れて、リスク資産を購入すれば、生きていく上での余裕は生まれます。短期バケツ・中期バケツをろくに作らずに、長期バケツに全ツッパしたら、いざという時に、ろくなことにならないのは目に見えています。
バケツを明確に切り分けておけば、仮に2030年から米国株が横ばいになろうが暴落しようが、あなたの直近の生活は守られます。株価が回復するまでの時間を、現金バケツを使いながら落ち着いて待つことができるでしょう。
結論:他人の予言ではなく、自分の生活に主権を持て
メディアが報じる「失われた20年」という不穏な予言。 それは、彼らがアクセス数を稼ぐために仕掛けている「感情の消費」の罠とも言えます。基本的にニュースは、悪い話が多いですしね。
未来が右肩上がりだろうが、横ばいだろうが、私たちのやるべきことは何も変わりません。 「周りの雑音に振り回されず、正しく分散して自分の資産と生活を守っていく」ことです。
数字の増減に一喜一憂するのをやめ、おカネをただの「道具」として、生活をコントロールする主権を取り戻す。バケツ戦略というバッファを組んでおけば、世界がどう転ぼうが、あなたは落ち着いて対処する「猶予時間」を与えられることになります。
皆さんは、こういった「未来の暴落予測」のニュースを見たとき、自分のポートフォリオをどう守ろうと考えていますか? ぜひ、コメント欄で皆さんの「資産防衛の哲学」を聞かせてください。
数字を味方に。探りようのない未来に怯えず、誰の欲望でもない自分の人生を、自分の手で耕していきましょう。
