
Q太郎のお金の哲学チャンネルへようこそ!
今回は、資産5000万円を超えるとお金を使わなくなっていくことについてです。
Youtubeで観たい方は以下のリンクから。
なぜ資産5000万円を超えるとお金を使わなくなるのか?
こんなご質問をいただきました。
「「お金持ちほどケチ」と言いますが、資産5000万円を超えると「準富裕層」のアイデンティティを維持したいために、お金を使わなくなるというのは納得しました。ただデータ的に、それを裏付ける物はあるでしょうか?」
とのことです。ありがとうございます。
お金持ちほどケチになる
「おカネ持ちほどケチになる」というのは昔からよく言われることですが、「せっかく手に入れた『準富裕層』というステータスや数字を減らしたくないから、アイデンティティ保持のために使わなくなる」というのは、確かにあるとは思います。
それで「そういうデータはあるのか」という話ですが、結論から言うと、あったりします。 資産5000万円を超えた人がおカネを使わなくなるのは、単なる個人の心理やプライドの問題だけではありません。
実は、私たちが思っている以上に「統計データ的な裏付け」がはっきりと存在します。さらに言えば、おカネを貯め込んだ人が自動的に陥る「資産構造の罠」でもあるのです。
「おカネが増えれば、自由になって人生の選択肢が増えるはずだ」
そう信じて、新NISAやS&P500のデジタル数字を必死に増やしている方が大半だと思いますが、現実はまったくの真逆です。
システムを理解しないままこの5000万円の壁を越えると、あなたは高確率で、自分の人生を豊かにするためではなく、「おカネを減らさないため」に生きることになります。
今回は、国が発表している最新の統計データと、おカネの「流動性」という2つの冷徹な視点から、5000万円を超えた人が陥る「使えない資産の呪縛」の正体を解き明かします。
・データが示す「相続の呪縛」(64%の壁)
まず、年齢を重ねて資産を持つようになると、人間の心理にはある「バグ」が発生します。それが「自分の人生で使い切る」という目的から、「誰かに残さなければならない」という義務へのすり替わりです。
特に60歳以上になると、せっかく貯めた資産を「子どもや孫に相続させたい」と考える人が急増し、それに比例して日々の支出がガクンと減っていきます。
ここで非常に興味深いデータがあります。 内閣府が発表した昨年度の「高齢者の経済生活に関する調査」のデータです。
将来的な財産の使い道を尋ねたところ、金融資産が1000万から2000万円未満の層では「遺族に残したい」と答えた人は42.4%です。
Q太郎的には、これでも結構高い数字だとは思うのですが、これが「5000万円以上」の層になった途端、なんと64.6%に跳ね上がります。一気にプラス20%以上ですよ。
資産5000万円以上を持つ、およそ3人に2人の高齢者が「遺族に財産を残したい」と回答しているのです。これ、結構すごいことですよね。
資産が多いと残したくなる
資産が少なければ「自分のために使おう」と思えるのに、5000万円というまとまった数字が見えた瞬間、人間の脳のブレーキは完全に破壊されます。「これは自分の人生を耕すための道具、期限のない商品券だ」という認識を失い、代わりに「減らしてはならない、次の世代へ運ばなければならない聖域」に仕立て上げてしまうのですね。
その結果どうなるか。死ぬ間際までデパートの商品券の山を握りしめ、画面の数字の多さという信頼にしがみつき、今しかできない経験をケチって人生を終えることになりかねません。
一般的な世帯では、「子供に財産を残したい」と考える割合はそれほど高くありませんが、保有資産が5000万円を超えた途端、全体の64%の人が「相続をさせたい」と考えるようになる。
「自分の人生を豊かにするための道具」という認識を失い、代わりに「我が家の家産として守り、次の世代に引き継ぐべき神様」に仕立て上げてしまうのですね。家系を守るお守りになってしまうわけです。
自分の遺伝子を長く残したいという、リチャード・ドーキンス氏のベストセラー本「利己的な遺伝子」をそのまま踏襲する様な行動とも言えます。
Q太郎的には、「子供は自分で稼げ」と思いますし、Q太郎もそうしてきたというのもあって、親には「お金は残さなくていい。自分で使って」と言っています。
ただそれでも、多くの高齢者が、相続のためにお金を残したいと考えてしまうのですね。
資産の罠。増えているのは「使えない数字」
お金を使わなくなるもう一つの理由は、極めて物理的かつ構造的な問題です。 資産5000万円を超えている人の多くは、5000万円分の現金を銀行口座に眠らせているわけではありません。
その資産の大部分は、米国株やオルカンといった「株式」、あるいは「ゴールド」「不動産」といった形で保有されています。
つまり、資産が多くなればなるほど、手元にあるのは「流動性の低い財産」ばかりになり、今すぐ財布から出して使える「現金」が少なくなっていくのです。資産が大きくなるとお金を使わなくなるのは、この部分も大きいですね。使えるお金自体は手元にあまりない状況なのです。
以前の動画で、「お金の本質は流動性である」というお話をしました。物やサービスと交換するための、商品券としての機能ですね。 画面の向こう側の「評価額 5,300万円」というデジタル数字が増減するのを見て、夜な夜なスマホを開いてウットリしている。しかし、それは明日、コンビニでパンを買える現金ではありません。そのままでは使えないお金です。
株を切り崩すには手数料や税金がかかり、何より「せっかく増えた数字を減らしたくない」という本能のブレーキがかかります。
資産が増えれば増えるほど、自由に使える流動性は逆にガチガチにロックされ、心の中は「いつ暴落するか分からない恐怖」と「現金不足の不安」で満たされる。これこそが、資本主義が仕掛ける最大のエレガントな洗脳です。
数字のコレクターから「道具の主人」へ
資産5000万円を突破した後に待っているのは、世間が妄想するような「豊かで快適な時間」ではありません。
むしろ、この資本主義の本質を理解していない人は、単なる「デジタル数字のコレクター」や、「次の世代へ富を無償で運ぶだけの無料の運び屋」として、通帳の数字に心身をすり減らして人生を終えるだけです。
もしあなたが、本当の意味での経済的自由を勝ち取りたいのであれば、やるべきことはこれ以上、画面の数字を増やすだけの「終わりのない蓄財ゲーム」にしがみつくことではありません。
以前から何度もお伝えしているように、私たちがやるべきことは、 「バケツ戦略」などを実行して生活を守る一方で、自分の人生の「今、この瞬間」に本当に必要な「現金」という最高の流動性を、しっかりと手元に引きずり下ろすことです。
資産形成する一方で、お金という存在を「神様」と考えずに、道具や商品券ぐらいに考えるマインドを身に着けることです。道具箱にあるドライバーやニッパーとおなじように、その中の一つに「お金」があるという感じですね。
お金を貯めること自体は大切ですが、その一方で「しょせんは道具」という、ある意味「舐めた態度」が必要になってくるとは思います。そうじゃないと、人生をお金に振り回されます。人間が道具に振り回されるのではなく、道具を振り回して使いましょう。
「ドライバーはネジを絞めるときに使う」というのと同じように、お金も道具として適切に使えばいいだけです。ドライバーを大切にして、ネジを絞めないとか無いですしね。
商品券には商品券の使い方がある
多くのインデックス投資家は、株価の評価額という「期限付きの架空の商品券」の山を眺めて安心しています。しかし、その商品券は、あなたが年老いて寝たきりになった未来では、何の価値も持たないただの電子データです。
別に数字を増やすのが楽しいという人は、それでいいのです。
ただ問題は、数字を減らしたくないという理由だけで我慢している状態ですね。今しか買えない家族との思い出、今しか体験できないこと、今しか耕せない自分の知性――それらの貴重な機会をケチってまで、死ぬ瞬間に通帳の数字を過去最高額にすることには、あまり意味があるとは思えません。
それはお金をただの「道具」や「商品券」から、「神様」へと格上げする行為でもあります。
大企業が仕掛ける歪んだ承認欲求や、見栄のための消費には1円たりとも出す必要はありません。とくに読みたくもないのに、「流行っているから」という理由でベストセラー本を買ったり、とくに遊びたくもないのに、なんとなく惰性や義務感で「なんちゃらクエスト」とか「なんちゃらファンタジー」とかを買う必要はないのです。
実際、それらを買って、最後まで読んだり、クリアまでプレイした人は3割もいません。流行りや惰性や義務感で買っている人、多すぎなわけです。
しかし、自分や家族の安全、日々の快適な時間、そして自身の知性を上機嫌に保つための「自らの意志に基づいた消費」には、喜んでその商品券を道具として使うべきです。商品券は、交換しないと価値を生み出さないのです。
他人が作った「幸せのテンプレート」や、他人の欲望のコピーを追いかけて、使えもしない死に金を残して死んでいくラットレースから、エレガントに降りましょう。 デジタル数字という現代の神様に、あなたの人生の品格まで支配させてはいけません。おカネは主人ではなく、あなたを豊かにするためのただの「スコップ」なのですから。
最後にお聞きします。皆さんは、もし自分の資産が5000万円を超えたら、それを必死に抱えて「守るための神」にしますか? それとも、自分の人生を豊かに耕すための「最高の道具」として、スマートに、エレガントに使い切りますか?
ぜひ、コメント欄で皆さんの「おカネの哲学」を教えてください。
数字を味方に。 そして、誰の欲望でもない自分の人生を、自分の手で耕していきましょう。

