
こんなご質問をいただきました。
「営業実績がほぼゼロの38歳営業マンです。もう会社に貢献できず、危機感を持ってます。良い転職先も見つからず、どうすれば良いかわからない状況です。心構えだけでも良いので、教えて頂けますか。」
とのことです。ありがとうございます。
まず、今の状態に危機感を持ち、こうして相談されていることは、現状を変えるための第一歩だとQ太郎は思います。
ただ、その危機感で、毎日自分を追い込む必要はありません。
Q太郎も若い頃はやりがちでしたが、何とかしなければいけないと思うほど、全体の視点が抜け落ちて、目の前の結果が成功したかどうかだけが気になります。
今日も契約が取れなかった。自分は会社の役に立っていない。このままでは駄目だ。
そう考えていると、今度は、何を改善すればよいのかまで見えなくなってしまいます。
Q太郎が一番気になるのは、結果が出ないことに追い詰められ、やけになって、自分の進む方向まで失うことです。
ここで参考になるのが、プロゲーマーの梅原大吾さんの著書「1日ひとつだけ、強くなる。」で語られている、成長と勝敗の考え方です。
格闘ゲームは完全に勝者と敗者しかいない世界ですが、その世界においても、梅原さんは一試合ごとの勝利にこだわったり、大会の優勝にこだわったりしないほうがいいと言います。
一試合ごとの勝利にこだわると、ろくなことがありません。セオリーのない、やけっぱちの攻撃で運よく大会に優勝したとしても、次につながらないので、それは良い勝ち方ではないわけです。
それよりも、自分の方向性を決めて、そこで策を考えて、その成果を実戦で試すことへ目を向けるのですね。試す過程で負けたら、それは得るものがあるので、それは良い負け方なわけです。
悪い勝ち方をするより、良い負け方をして、長期的に勝ち続けられるようにしないといけないのですね。むしろ悪い勝ち方することを、本書ではかなり戒めています。
そんなわけで、ようこそ、Q太郎のお金の哲学へ。お金に飲み込まれないための生存戦略を独自の視点で解説します。
今回は「仕事で結果が出ないときの心構え」を深掘りしていきます。
・三つの話
今日は大きく三つ話します。
一つ目、営業成績だけで自分の全部を測らないこと。
二つ目、焦ったときほど、自分の進む方向を失わないこと。
三つ目、小さな成長を実践で試すことです。
最後に、苦しいときに何を支えにするか、Q太郎なりの見立てを置いて終わります。
・一つ目・一つの数字で全部を測らない
それでは一つ目、営業成績だけで自分の全部を測らないことです。
営業として働いていれば、成績を求められます。
そこは現実としてありますが、営業成績が出ないことと、会社への貢献が一つもないことは、同じではありません。営業成績という物差し一つで物事が決まっているわけでは無いのです。ここは混ぜない方がいいでしょう。
サッカーにも、いろいろなポジションがあります。
点を取る人もいれば、守る人もいますし、周りが動きやすいように支える人もいます。
会社でも、情報を共有したり、同僚を助けたり、その人がいることで話しかけやすい雰囲気になったり、貢献にはいろいろな方向があります。全員がシュートを狙いにいく必要はないわけです。
これは会社だけではなく、社会自体がそうであって、なにか一つの物事だけで貢献しているわけではないのです。いろいろなものが絡み合っているわけです。数字だけで考えない方が良いわけです。
質問者さんが実際にどんな働き方をされているかは分かりませんが、成績が出ないという一つの事実から、自分には何の役割もないと、全部を否定しなくてもよいと思うのですね。
そのうえで、営業のやり方を変える余地はあります。
うまくいっている人が、何を準備し、どんな聞き方をしているのかを見せてもらう。
営業という仕事自体が合っていないなら、部署を替える可能性を相談する。
転職先が今すぐ見つからなくても、今の場所で相談できることが残っているかもしれません。
ただ、今回は具体的な営業指導より、そういう選択肢を考えるためにも、自分を全否定する状態から少し離れることを考えたいと思います。「営業成績」という数字だけに固執すると、視野が狭くなってしまうのですね。
会社からの評価と、人間としての自分の全部を、一つにしないことです。
・二つ目・追い詰められると方向を失う
それでは二つ目、焦ったときほど、自分の進む方向を失わないことです。
梅原さんの話では、追い詰められたとき、多くの場合、人はやけくそになってペースを崩すといいます。
たとえば100人の兵士どうしが戦って、相手は100人のまま、自分の兵士が30人になってしまいました。
すると多くの場合、30人の兵士は、「このままだとどうせ負ける」と思って、全員突撃を仕掛けてくるのですね。やけくそになって攻撃してくるわけです。これが一番良くないといいます。
これは格闘ゲームの状況そのままで、体力残りわずかの敵は、一発逆転を狙って、大きなリスクをとって一気に攻めてくる訳です。
投資やギャンブルもそうですね。負けが続くと、やけくそになってハイリスクな賭けに出て、さらに負けを広げます。
逆に大勝ちしているときも、一気に勝とうとして、ペースを崩します。
たとえばこちらが兵士100人、相手が兵士30人になったら、一気に勝負を付けようと、ペースを崩して総攻撃してしまうのですね。普通に戦っていれば勝てる状況を、あせって自分で崩してしまうわけです。
投資で言えば、バブル期に勝ちまくっている状況で、調子にのって、「現金など不要」などと言い出して、さらに資金をどんどん投入していくようなものです。それでバブルがはじけたときに、財産を大きく損ねるのですね。実際に、日本の多くの銀行や企業が、バブル期にやらかしています。
仕事に関しても、逆に仕事がうまく行き過ぎているときも、調子に乗ってイバリ散らかして、まわりの人への気遣いができなくなるアレな状況です。それでうまくいかなくなったときに、全員から見放されるわけです。
つまり極端な状況になると、人は極端な行動をとりやすくなる。
負けていると、早く取り返したくなる。
大きく勝っていると、早く決着をつけたくなる。
状況は反対ですが、どちらも目先の勝負を焦り、それまでの進め方を変えてしまいます。
普段、インデックス投資だけで、個別株を買わないようにして成功している人が、「スペースXの株が上場する」と聞いて、一気に資産を増やそうとして、急に買いだすみたいな感じですね。
落ち着いて相手を見ていたのに、急に一気に攻めたくなるのですね。勝つことがあるかもしれませんが、梅原さんは、それを悪い勝ち方だと言います。
勝っていても負けていても、平常心を保つことを意識することが重要なのですね。兵士が30人になっても、しっかり自分の戦い方を冷静に最後までできて負けたのなら、それはよい負け方なわけです。あくまで負けたのは結果ですしね。自分の中では、最後まで落ち着いて自分の戦い方ができたという納得があるわけですし、ロジックが組み立てられているので、次に活かせるわけです。
あせって突撃して運よく勝っても、それは悪い勝ち方なわけです。なんのロジックもありませんので、長期的には通用しないわけです。たんにそのとき運よく勝てたというだけの話です。
営業でも、焦りで自分のやり方が崩れることはあるでしょう。
契約を取りたい気持ちが強くなりすぎて、相手の事情を聞く前に、商品の説明を続けてしまう。
一件で取り返したくなり、普段ならしない無理な約束をする。
そうなると、結果が出ないことへの危機感が、次の仕事まで難しくしてしまいます。
ここで、焦るなと言われても、すぐ落ち着けるわけではありません。
だからこそ、自分はどういう方向へ進むのかという、一貫した方針が必要になります。目先の勝敗ではなく、自分のロジックやセオリー通りにやっているのかということですね。そのためには、毎日、「達成可能な小さな目標」を作っておくのがいいと梅原さんは言います。これがタイトルの「1日ひとつだけ、強くなる。」ですね。
今月の成績を一気に取り返すという目標だけでは、目先の勝ちへ気持ちが全部持っていかれます。
今日は、相手の困り事を一つ聞く。
このくらいの、自分が実践できるところへ戻るのです。
苦しいときにも、戻れる場所を小さく作っておくわけですね。
梅原さんは、目標は低ければ低いほどいいと言っています。低いから毎日実行できるのですね。
それで、その日の気づきを一つメモしていくみたいな感じです。ここでいう成長というのは、その日の気づきですね。
「この話し方はよくなかった」とか、「このやり方はよかった」とか、そういうちょっとした気づきを積み重ねていくわけです。
ちなみに梅原さんは、ジャスティンという選手と戦ったときの、背水の逆転劇の動画で有名ですが、梅原さん自身は、あの試合はあんまり印象に残っていないと言っていました。梅原さんにとっては、あれは逆転ではないのですね。追い詰められても、自分のペースを崩さずに試合をしただけなわけです。
Q太郎もこの試合を観てみましたが、むしろ、体力で有利をとっているジャスティン選手が、あと一撃で倒せる梅原さんを相手に、一気に勝負をつけるために、あせって大技を仕掛けてしまったことのほうが問題のように感じられました。
これも梅原さんの言う通りで、大きくリードしている相手は、あとちょっとで倒せる相手に対して、普段通りのやり方をせずに、あせって試合に一気に勝とうとしてくるというやつですね。
仮にあそこで梅原さんが負けていたとしても、梅原さんの中では、ペースを崩さずに最後まで戦えたので、良い負け方になっていたとは思います。
・三つ目・よい負け方を持ち帰る
それでは三つ目、小さな成長を実践で試すことです。
梅原さんの考え方では、外から決まる結果と、自分で評価できる成長を分けて考えます。
大会で優勝できるかどうかには、相手の強さなど、自分だけでは決められない条件も入ります。
そこだけを支えにすると、勝てなかった日は、何も得られなかった日になってしまいます。
しかし、自分で課題を決め、少し改善し、実戦で試すことなら、別の評価ができます。
昨日より一つ気づけた。練習したことを、試合の中で使えた。
目標が小さければ、そういう変化を見つけやすくなります。
むしろ小さな変化は、本人以外には気づきません。だから外の評価じゃなくて、自分で自分を評価しないといけないのですね。
営業なら、今日は、うまくいっている人の聞き方を一つまねしてみる。
実際に試してみたら、いつもより相手が事情を話してくれた。
そうじゃなかったとしても、「そうじゃなかった」ことがわかった。
契約にはならなかったとしても、自分には持ち帰るものがあります。それで一日ひとつ、気づきをメモをすればいいわけです。
これが、よい負け方に当たるのではないでしょうか。
そして、この一日ひとつの気づきが、梅原さんの言う「成長」なわけです。
反対に、やけになって強引に売り込み、たまたま契約になったとします。
数字だけ見れば勝ちですが、それが自分の育てたい方向と違い、次に何をすればよいかも分からないなら、成長の面ではよい勝ち方とはいえません。
しかも、「追い詰められたら無茶をすればよい」と覚えてしまったら、その成功が次の仕事を崩す理由にもなります。悪い勝ち方ですね。
大切なのは、何を試して、どうなったのかを、一日ひとつ、気づきを得て、メモしていくわけです。これが梅原さんの言う成長なわけです。営業が成功したとか失敗したとか、その場かぎりの、単純な数字の話では無いのですね。長期的にどうやって勝っていくかのスキルを身に着けるわけです。
そういうのが無いまま、勝った、負けたと数えているだけでは、毎回、相手や状況や気分に決められてしまいます。毎回、サイコロを振って、運試しをしているようなものです。何も残らない。
目先の勝ちや数字にこだわり、自分を育てる方針を捨てた時点で、成長という目的からは外れています。
その試合に勝っても、自分を育てるという長い勝負では、進む方向を失っているのですね。
仕事では、成績を確認することも、方法を見直すことも必要です。
その確認と並べて、自分が何を試し、何が少し変わったかも見ておく。
それなら、結果が出ない期間にも、明日やることを見つけやすくなると思います。
・まとめ・Q太郎の見立て
最後に、苦しいときに何を支えにするか、Q太郎なりの見立てを置いて終わります。
質問者さんは、今の自分を何とか変えたいと思っているのだと思います。
その気持ちは大切ですが、危機感だけで自分を動かし続けるのは、なかなか厳しいでしょう。
成績が出るまで、自分には何も価値がないと考えてしまったら、毎日の仕事が、自分を否定する時間になってしまいます。
会社への貢献にも方向はいろいろありますし、仕事との相性を変える余地もあります。
その可能性を見失わないためにも、今の結果だけで、自分の全部を決めなくてよいと思います。
そして、今日の自分ができる、小さな課題を一つ試す。
小さければ小さいほどいい。自分にしか評価ができないからです。
そして一日ひとつ、気づいたことのメモをとる。
Q太郎は、苦しいときに必要なのは、一発逆転することより、自分の進む方向を失わないことだと思います。
目先の勝利を焦って、自分を育てる方針まで捨ててしまうと、その場で勝ったとしても、次へつながらなくなります。
結果へ向かう道の途中に、自分で評価できる小さな変化を置いておく。
そのほうが、今日うまくいかなかった自分とも、明日また仕事をしていけるのではないでしょうか。
皆さんは、他人が気づかないような、毎日の小さな目標はあるでしょうか?
仕事でも趣味でも、よろしければ経験をコメント欄で教えてください。全部読ませていただいています。
数字を味方に。そして、誰の欲望でもない自分の人生を、自分の手で耕していきましょう。
ではまた、Q太郎でした。この動画を気に入っていただけましたら、高評価・チャンネル登録をよろしくお願いいたします。
