コーストFIREに年金を組み込むのは危険?

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新NISA一括投資→即毎月定率取り崩し運用中のQ太郎です。

今回はコーストFIREに年金を組み込むのはどうなのかという質問についてです。

本記事をYouTube動画で観たい方はこちらのリンクから。

コーストFIREと年金

こんなご質問をいただきました。

年金の動画、私も60歳で受け取ろうと思っていましたので参考になりました(こちらの動画ですね)。

政府が繰り下げ受給年齢を75歳まで引き上げたのも、年金を払えなくなるのをごまかすために先延ばしさせようとしているだけのようにしか思えません。損益分岐点や、多くもらう分税金の増額で結局手取りが減ってしまうことを考えれば、繰り下げ受給にメリットはありません。

そもそも2025年問題を考えれば、高齢者が増える一方で、若者は減ります。高齢者の年金を支える若者はどんどん減っていき、今後年金の受け取り額が少なくなっていくことは避けられません。

そもそもの年金制度が持つかどうかという問題もあり、もらえるときにもらっておくことは重要だと思います。

私は現在40代に入ったばかりで、60歳で年金を受け取るとしても、あと20年もあります。

会社を辞める気はないのでコーストFIREを目指していますが、あと20年もあるとなると、年金制度自体が破綻する可能性が高いのではないかと思っています。

コーストFIREに年金収入を組み込んで考える人がいますが、経済的独立という観点から考えれば、年金を組み込むこと自体間違いではないでしょうか。そもそも年金に頼ってしまっていたら、経済的独立にはならないとは思います。

以前のコーストFIREで「これまでの日本の働き方と変わらない」とおっしゃっていましたが、これは年金を組み込んで考えているからであって、正しいコーストFIREはあくまで年金を除外して考えなければいけないのではないでしょうか。

年金制度の存続自体が危ぶまれている昨今、年金を頼りにしたコーストFIREは危険性が高いと思いますが、お考えをお聞かせください

とのことです。

ご質問の中に出てきた2025年問題ですが、補足しておくと、これは2025年というか来年になると、団塊の世代が75歳以上になるため、国民の約5人に1人が後期高齢者、約3人に1人が65歳以上の高齢者という超高齢化社会になってしまいます。

2022年の時点で、年金受給が開始する65歳以上の人1人に対して、現役世代がたった2人で支えるという、かなり無理のある構造になってしまっているのですね。

たとえば現在の年金の平均額が約14万円ほどなので、年間に直すと168万円ぐらいになります。

65歳の人が年間で168万円の年金を受け取るのであれば、イメージ的には現役世代は一人84万円ずつ年金保険料を支払わなければなりません。当然全員が払いきれるわけもないので、実際のところは不足分を年金積立金の取り崩しや増税などによってまかなっていくという、かなりカツカツな状態でやりくりしています。20年後とか言わずに、すでに今の時点でけっこうカツカツなのですね。

それで20年後だと現役世代1.2~1.5人が支える感じになり、2060年には現役世代1人で支えなければならなくなります。1人で支えるというのは、高齢者が168万円の年金を受け取るのであれば、現役世代は168万円払わないといけないのですね。仮に60歳までの40年間払ったとしたら、単純計算で40年以上受け取らないとペイできないわけです。65歳から40年ですから、105歳まで生きないといけないのですね。実際少子化の速度は予想よりも早いので、2060年よりさらに前倒しになる可能性があります。

現在の試算では、2056年には1億人割れ、2059年には出生数が50万人を割り込み、2070年には人口が現在の-30%の8700万人まで減少するとされています。

人口構造比で見れば、14歳以下の人口割合は2050年までに10%を下回る一方、65歳以上の人口割合は2070年までには38.7%となり、実に4割近い国民が65歳以上という状態となります。年金受給年齢の65歳以上が4割って、その年金どっから来るねんという話です。

ちなみに社会保障費ですが、2018年度は121兆円、2021年は139兆円とガンガン加速しており、政府の計算では2040年度には190兆円にのぼるとされていますが、かなり甘い計算なので実際はもっと高くなるでしょう。

そんなわけで、これからの現役世代は、払った分すら回収できない可能性が非常に高くなるとは思います。そもそもの年金も、70歳からしか受け取れないみたいになる可能性もあります。そりゃ将来的に65歳以上が4割になったら、少ない年金財源の奪い合いですよ。

そんなわけで、来年から一気に人口減少が加速していきますし、予想を超えて加速度が高くなる可能性もけっこう高いです。奇跡的に人口増えたとか、まずありえませんしね。いま40代であれば、人口分布的に20年後は年金が減る確率の方がきわめて高いとは思います。高齢者1人を現役世代1.2~1.5人が支える形になりますしね。というかすでに年金額は何回も引き下げられていますしね。

そのため60歳で早く受け取るに越したことはないというか、そもそも20年後に十分な額を受け取れるのかという根本的な問題もあるでしょう。

昔、年金の宣伝で、某女優さんが「将来年金がもらえなくなるかもって、言ってたの誰?」みたいにまわりにいる人を問い詰めていくのがありましたが、もらえる・もらえないの問題ではなくて、そもそもじゅうぶんな額をもらえるのかというのが一番の問題とは思います。

もらえるかもらえないかだと、1円でももらえればもらったことになりますし、政府はいっさい嘘はついていませんしね。何歳からもらえるのかもCMではいっさい明言されていなかったので、よく考えてつくっているなとは思いました。少しも嘘はありません。

ちなみにこのころの国民年金保険料を調べてみたところ、1万3300円でした。現在は16,980円です。来年から17,510円になります。どんどん負担は増えていきますね。Q太郎の世代はギリギリ逃げきれそうな感じですが、まだ若い人たちは本当にかわいそうだとは思います。

そんなわけで、60歳に繰り上げて年金を受け取ると-24%になりますが、そもそも65歳でフルで受け取る年金そのものが5年前の-24%以上になっていたらあまり意味がないわけです。5年後にもらえるはず以上の金額を前倒しでもらっていたことになってしまいますしね。

それと繰り上げで年金を受給することでもらえなくなる障碍者年金ですが、1級の場合は年間で約100万円、2級の場合は約81万円と、国民年金を65歳でフルで受け取るのと大差なかったりします。無税にはなりますが、医療費が無料になるわけではないので、本当にこれだけに頼る気であれば生活保護を受けた方がまだいいんじゃないかという気もします。

生活保護の場合、単身でだいたい月13万円なので、年間に直すと156万円ぐらいになります。仮に障碍者年金をもらっている状態で生活保護を取った場合、差額分だけが支払われることになります。たとえば障碍者年金2級の81万円を受け取っていたとして、生活保護を受けると、差額の75万円が支払われるということですね。生活保護の金額を超えることはありません。

さらに付け加えると、近年の世界情勢がキナ臭すぎて、20年後に年金どころか、そもそも日本がどうなっているかもわかりません。いま台湾にいますが、つい先日に中国が周辺で大規模演習をおこなっていましたし、ロシアも日本周辺で軍用機を飛ばしてますし、20年後どうなるかなんて不確定すぎるわけです。

そんなわけで不確定要素が多すぎる世の中ですし、そもそも自分の寿命自体も不確実です。毎年人間ドックを受けて、健康に気を使っても、事故で突然亡くなるみたいなこともありますしね。あまり未来を見すぎても仕方がない部分もあるので、日々を楽しみつつしっかり生きていくことのほうが重要とは思います。自分のやりたいことや楽しみをあまり先送りしない方がいいかなとは思いますね。

コーストFIREに年金を組み込むこと自体はそれぞれの勝手とは思いますが、少子高齢化で高齢者1人を現役世代1人が支える時代があと30年ぐらいでやってくることはほぼほぼ確実になっているので、年金のもらえる額はそこまで期待しない方がいいというのもあります。できれば年金を組み込まずにFIREできた方がいいとは思いますね。

 

まとめ

そんなわけでまとめると、

・2025年(来年)には、国民の約5人に1人が後期高齢者、約3人に1人が65歳以上の高齢者という超高齢化社会。

・2022年の時点で、高齢者1人を現役世代2人が支える形。20年後には現役世代1.2~1.5人が支え、35年後には現役世代1人で支えることになる(前倒しになる可能性大)。

・支える人数がどんどん減るという人口構造的には、年金は減るしかなくなる。

・「年金がもらえない」とは言っていないが、十分な金額かどうか、いつ受け取れるかはまた別問題。(1円でももらえば、もらったことになるし、70歳受け取りになる可能性もある。100年安心は嘘ではない)

・60歳で受け取ると-24%になるが、5年後の65歳に受け取る場合に、そもそもの年金が-24%以上になる可能性もある。

・近年の世界情勢がキナ臭すぎて、20年後に日本自体がどうなっているかわからない。

・不確定要素が多すぎるので、あまり未来ばかりを見るよりも、日々を楽しみつつしっかり生きていくことのほうが重要。自分のやりたいことや楽しみをあまり先送りしない方がいいかと。

となります。

そんなわけで、コーストFIREする場合でも、年金に依存しすぎたライフプランも危険とは思いますので、未来のためにいまを台無しにしないよう、しっかりいまを楽しく生きていった方が良いとは思います。無駄遣いしろという話ではなく、今を犠牲にしすぎないようにという話です。本当にいつ何が起こるかわかりませんしね。