FIRE/退職後、海外移住は円安でわりに合わない?

人生・FIRE関連FIRE

kaigai

新NISA一括投資→即毎月定率取り崩し運用中のQ太郎です。

今回は海外移住について、この円安でわりに合うのかについてです。

本記事をYouTube動画で観たい方はこちらのリンクから。

 

海外移住はわりに合わない?

さて、このようなご質問をいただきました。

「いつも動画を楽しみにしています。今回初めて質問させていただきます。

これまで日本では、退職後に物価の安い海外へ移住をすることで、生活費を節約するという生き方がありました。とくにタイやフィリピンなどが人気だったと聞きます。私の父の友人も、タイに移住した方がいました。

父の時代はいまと違って年金も多く、円高もあって、日本は円高を背景に海外へ遊びに行く人も多かったと言います。

しかしいま現在は円安がひどく、日本人の賃金も上がらないどころか、実質賃金はどんどん下がっています。昔と比べてかなりひどい状況です。

子育て支援金で今後もさらなる増税が待ち受けています。若い人たちは海外へ行くどころか、自分たちの生活につかうお金もない有様です。

年金も期待できず、しかも65歳まで払わなければいけなくなるそうです。労働世代は可処分所得がほとんどなく、ひたすら税金を払い続けるしかなくなっています。

これまであったような「退職後に物価の安い海外へ移住して、ゆうゆう年金生活」のようなライフプランは、いまの日本ではもう無理になったのではないでしょうか。

Q太郎さんは台湾やニュージーランドへよくプチ移住しているとのことですが、台湾はもうすでに日本よりも物価が高くなっていると聞きます。そうなると移住先としてはあまり適していないのではないでしょうか。

現在、海外の物価などはどんな感じでしょうか。また実感として、退職後に物価の安い国への海外移住は現実的なのでしょうか。お答えいただければ幸いです。これからも応援しています」

とのことです。ありがとうございます。

ご質問にあった、年金保険料を65歳まで払わなければならないことですが、最近日本のニュースを見ていなかったので調べてみたところ、あくまでまだ試算段階のようですね。

ただ年金保険料の支払期間がどんどん伸びていくというはこれまでにも何度も言われていたことなので、そろそろ実施の段階かなという気はします。

払う期間が増えれば年金の受取額も増えるとも考えられますが、そもそものベース金額が減っていくと、「支払いが5年伸びて、支払金額はこれまでどおり」みたいな感じにもなりそうですね。

あと受け取りは70歳からみたいにもなりそうです。日本人の健康寿命は男性が72.68歳、女性が75.38歳となっていますので、70歳で年金受け取れるようになって、せいぜい楽しめるのは2~5年ぐらいになりそうです。

平均寿命で考えると、男性が81.05年、女性が87.09年なので、70歳から男性は11年ほど、女性は17年ほど年金生活を楽しめます。楽しめるのかどうかはわかりませんが、まあ、何十年も頑張って働いた結果が、年金70歳から受け取りになってしまうと、10数年の年金生活しかないというのはちょっとどうかなという感じもありますね。健康寿命で考えたら2~5年しかありませんしね。ガチで短いですね。

そのため、老後やFIRE後などを待たずに、やりたいことは早めにやっておいたほうがいいとは思います。人生の時間は短いですし、老後/FIRE後に大きな期待をするよりも、いまの生活を楽しく過ごせる方法を考えたほうがいいでしょう。Q太郎もそうしてきました。

そもそも老後/FIRE後になっても、劇的になにかが変わるわけではなく、いまの日常が続くだけですしね。そのため、未来に期待するより、今の日常を変えていくことが重要とは思います。

期待とは、明日にすがりつき、今日を滅ぼす行為」と2000年以上前のローマの哲学者であるセネカが言っていました。2000年以上前の人間がこのレベルで悟っているのですから、現代の我々も退職後/FIRE後に多大な期待をせず、いまの日常を良くしていくことを考えたほうが建設的でしょう。

子育て支援金

子育て支援のほうもなんかややこしいことになってるようで、当初以上の金額を国民健康保険料に上乗せされるようですね。

それで気になったのですが、国民健康保険料って賦課限度額があって、今年の初めに最大106万円に改正されました。

これによって年収1160万円以上の単身世帯全員が106万円の限度額を収める感じになるのですが、そうなると子育て支援金も限度額までになってしまうとは思います。

たとえば上乗せ分が収入1160万円で3000円だとすると、収入1億円でも10億円でも上限額は3000円になってしまいます。収入との割合で考えると、お金持ちほど有利なため不公平感がある気がするのですが、このあたりどうなっているのかが調べてもよくわかりませんでした。

ただお金持ちはお金持ちで、稼いだ半分ぐらい税金で持っていかれますので、それはそれでいろいろ大変とは思います。

その点イーロン・マスクとかの超富裕層は頭が良くて、現金を使いたいときは自分の持っているテスラ株を担保にしてお金を借りるのですね。帳簿の上では借金なので、利益が出ていないため税金は払う必要はありません。うまくやっているなとは思います。

何にしろ、日本の税金はひたすら重くなっていくと思いますので、ご質問であったとおり、労働者の可処分所得がどんどん減っていくことは予想されます。

若い人たちは増え続ける高齢者層を税金で支えなくてはならなくなるため、海外へ行くどころか、自分たちも生活を支えるのも厳しいという環境に今後もなっていくというのも、ご質問であったとおりになるとは思います。

思いますというか、人口が減り続けるのは、ほぼ確定事項です。今年生まれた子供が、20年後に成人するときの人数は、減ることはあっても増えることはありませんしね。今年30万人生まれたら、その子たちが20歳になったときも30万人かそれ以下です。当たり前の話です。人口分布は決定されてしまっています。

海外移住

それで、「老後に物価の安い国へ海外移住して、ゆうゆう年金生活」ですが、いまの円安ではそれも期待することができません。

うちの父の世代とかは、いまだに日本が経済大国で先進国だと思っている方がけっこう多いのですが、もはやその時代は当の昔に終わっているというのがQ太郎の実感です。

海外から見た日本は、どちらかといえば「物価の安い国」、いうなれば「きれいな東南アジア」といったイメージですね。

昔、日本人が、物価の安いタイやベトナムにいって豪遊していたのを、いまは海外の人たちが物価の安い日本に来て豪遊しているといった感じです。そもそも「観光や通貨の安さで稼ぐ」というのは発展途上国の経済モデルですしね。それをいま日本がしているわけです。

Q太郎はいま台湾にいますが、昔はこちらの1元は×3でざっくり計算できていたのですが、いまはざっくり計算で×5ですね。

20元60円だったのが、いまでは20元100円みたいな感じになっています。そのため物価も高く感じます。というか日常品はすでに日本より高かったりします。スーパーの食料品も日本とおなじか日本より高いかみたいな感じですね。

タイやベトナムも物価が上がってお得感も無くなってしまっていますので、「老後に物価の安い国へ海外移住して、ゆうゆう年金生活」は今後どんどん厳しくなっていくとは思います。東南アジアももはやそこまで安くはないですね。

それと東欧あたりですが、バックパッカーの楽園とも言われていたジョージアですが、ウクライナ侵攻があったことでロシアから避難してくる人が多くなり、家賃が上がっています。食べ物とかはまだまだ安いのですが、これも徐々に上がっていくんじゃないかと思います。

そんなわけで、生活費を抑えたければ、海外へ行くよりも「安い日本」で暮らしたほうがまだいいんじゃないかという気もします。将来的にも日本は「安い国」が継続されると思いますし、お金だけが問題なら日本にいたほうがいいでしょう。

Q太郎もべつにお金を節約するために台湾へいるわけでもなく、むしろ部屋を借りていて、日本にいるときも家賃を払っているので全然お得感はないのですが、暮らしやすいというのがあって台湾にいます。

「お金を節約するために海外へ行く」みたいなのは、現時点ですでにきびしい状況とは思いますし、将来的にもさらにきびしくなるとは思います。

海外へ出稼ぎ

そうなると若い人はもはや海外へ出る機会もなくなるのかといえば、そうともかぎりません。

賃金の安い日本から、高い海外へ出稼ぎに出るということも増えていくんじゃないかと思います。

昔は東南アジアとか中国とかの新興国の方たちが日本へ出稼ぎに来ていましたが、これからは日本から海外へ出稼ぎに行くという方向がメインになってくるとは思います。

よく「海外は賃金が高いけど、生活費も高い」という人がいますが、そもそも賃金が高かったら貯金できる金額も多くなります。

たとえば月の手取りが20万円で20%貯金できれば4万円ですが、月の手取りが50万円なら20%貯金で10万円になります。

ただ言語の壁など海外で働くのはけっこう大変なので、お金よりもモチベーション的な問題が大きいとは思いますね。

出国税

お金持ちが海外へ移住するのを防ぐ手立てとして、2015年から日本は出国税を導入しました。

これは1億円以上の有価証券を持つ個人が海外転出した場合、含み益分の税金をとるという法律です。

ただ5年間の猶予があって、また日本に転入してくれば出国税はなかったことにしてくれるのですが、これも納税管理人を定めたりとかちょっといろいろと面倒くさいです。

ニュージーランドにいる知人は、出国税が適応されるぎりぎり前に日本から転出したのでこれをまぬがれましたが、今後は海外転出もさらにきびしくなるとは思います。

昔は転出・転入がけっこう自由で、1月1日に日本にいなければ住民税を払わなくていいというのがあったので、その日をまたぐように海外転出して、そのあと日本の医療保険を使いたくなったときに日本に転入するみたいなことを繰り返している人もいました。転入届を出せば、その場で保険証を発行してもらえますしね。

竹中平蔵氏もアメリカと日本を行き来することでこれをやっていて、批判されたことがありました。本人はアメリカで住民税払ってるからいいだろと釈明していましたね。

住民税は収入に直接10%近くかかってきますし、そこからさらに健康保険料が算出されますので、お金持ちほどダメージが大きいです。そのため、金持ちほど海外転出をうまく使って住民税と保険料を払わないようにしていたんじゃないかと思いますが、いまは難しくなっていますね。

結局日本が一番か

そんなわけで昔のように、「老後に物価の安い海外へ行って、ゆうゆう年金生活」みたいなことは、円安もあって現時点ですでにきびしくなっています。

そもそも「物価の安い海外」が、いまでは日本のことになってしまっているため、もはや昔の価値観が通用しなくなってしまっています。ノマドの楽園であるショージアですらロシア住民がなだれ込んで物価を押し上げはじめていますしね。

それに海外移住先は物価が安ければいいというものでもなく、安くても治安や衛生環境が悪かったらろくなことはありません。そういうのを総合的に考えると、「安い海外」で一番いい国は、やはり日本になってしまうんじゃないかなとは思います。

現在日本は、コストプッシュ型の悪いインフレになっており、物価自体は上がっているのですが、それに賃金が追いつかない状況になっています。

これに加えて増税なので可処分所得は減る一方で、不動産も家賃を上げづらい状況ですし、スーパーも安く提供することを頑張るしかない状況になっています。それで結局賃金は上がらないという負のループに入ってしまいます。

結局、お金だけで考えると、老後は「ベストオブ安い国」である日本にいるのが一番お得かもしれません。健康保険もありますしね。

身もふたもない結論になってしまいますが、現状は海外に安さを求められる状況ではないとは思います。

 

まとめ

そんなわけでまとめると、

・円安によって、現時点ですでに海外移住はきびしい。東南アジアもジョージアも昔ほどのお得感はない。

・年金のうしろ倒しや賃金の低さにより、そもそもの「悠々自適な老後の時間」は今後どんどん短くなる。(これからは65歳まで年金を払い続け、お金が足りなければ高齢でも働かなければならなくなるのが当たり前の世界になる可能性は高いです。

・平均健康寿命が70歳ちょいなので、年金保険料支払いが65歳までで、受け取りが70歳とかになってしまうと、「悠々自適な老後」は数年しかない。

・そんな「短い老後」に期待するより、いまの日常をよりよくすることに尽力したほうが合理的。

・「期待とは、明日にすがりつき、今日を滅ぼす行為」byセネカ

・治安や衛生面なども考えると、日本が世界最強の「安い国」。

・老後に「安い国」を求めているのなら、日本にいるのが総合的にはお得。

となり、もはや日本は安い国を求める立場ではなく、安い国そのものになってしまっています。そのため、老後の安い国は、現時点では日本が総合的にベストでしょう。

そのため、海外移住は安さを求めるより、その国に住みたいかどうかのモチベーションで選んだ方がいいとは思います。治安・衛生面とか総合的に考えて、「安い国」で日本にかなう国はないんじゃないかなという気がします。

そんなわけで、年金の後ろ倒し政策によって、そもそもの「悠々自適な老後」が短くなってしまう可能性のほうが高いので、というか、そもそもその「悠々自適な老後」が存在しなくなる可能性も高いので、老後に期待するよりも、体力・気力のあるいまのうちに日常をよりよいものにしていったほうが幸せになれるとは思います。

海外に住みたかったら、老後を待たずにいまから移住を考える、仕事も海外でさがすみたいな方向にもっていったほうがいいとは思います。