iDeCoの方が金銭面で有利になる人の条件とは?

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新NISA一括投資→即毎月定率取り崩し運用中のQ太郎です。

今回はiDeCoの方が金銭面で有利になる人の条件についてです。

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iDeCoの方が金銭面で有利になる人の条件

前回の質問者様の質問の2番目の、iDeCoについてです。

②退職所得控除の話がありiDeCoを見直そうと、future planというアプリを使って自分にとってのNISAとiDeCoの最適額を計算したのですが、退職所得控除なしでも予想以上にiDeCo優位な結果になり驚きました。

iDeCoの方があまり流行っていないせいか情報が少なく、iDeCoの方が金銭面で有利になる人の条件などがあればお教えいただけると嬉しいです。」

とのことです。

iDeCoは流行っていないというか、税制面でのわかりづらさと、60歳までの資金拘束の問題があって、とくに若い人は手を出しにくいというのがありますね。

新NISAは最大1800万円まで非課税ですし、いつでも引き出せるので、Q太郎的には老後に備えてただでさえ少ない資金を拘束されるのはどうかなとは思っています。

ドイツの知人が日本に来たときに、「日本人は40代から老後を心配していてクレイジーだぜ」みたいなことを言っていましたが、日本人は40代どころか20代から心配している人もいるので、世界トップレベルの将来への不安大国とは思います。

老後に楽しむために若い時は苦しんで貯金してというのは、来るかどうかわからない未来のために、今を捨ててせっせとお金を送り続ける行為にもなります。

若い人は税金のこと気にするよりも、まずは新NISAを埋めてから、それでもあまるならiDeCoにすればいいとは思います。なんかあったときにすぐ引き出せますしね。

ちょうどタイムリーに、アメリカのiDeCoである401kの引き出し金額が急増して、過去平均を15-20%上回っているとのニュースがブルームバーグでありました。

アメリカでは現在、高インフレにより自動車ローンや住宅ローンの支払い延滞が相次いでおり、支払いが間に合わずに401kを引き落としてしまうということですね。

アメリカの場合、60歳前に引き出すこともできるのですが、その場合はペナルティとして10%の税金が課される場合があります。とはいっても10%ですから、日本に比べれば全然安いですね。

トランプ関税で輸入品が高くなりますので、さらなるインフレが予想されますし、リセッションが来たら怖くなって引き落としを始める人たちがさらに増える可能性もあります。

そんなわけで、生活資金がしっかり確保されていない状態でのiDeCo投資はあとあと泣きを見る可能性が高く、とくに20代30代とかの若い人は60歳まで何があるかわかったものではないので、よくよく考えたほうがいいとは思います。50代ぐらいだったら先は短いので、NISA埋めてあまったのであればiDeCoはじめてもいいとは思いますね。

個人的には、資金拘束というのは節税以上に問題があると思っていますし、老後に幸せを夢見るぐらいならいまを幸せに生きたほうがいいとは思っているので、若い人はまずNISAから埋めることをおすすめします。

iDeCoで得をする人

それでiDeCoで得をする人ですが、簡単に言えば所得が多い人ですね。

逆にいうと、所得の低い人は節税効果は低く、無収入の方はそもそも税金払っていないので節税効果もありません。

iDeCoの節税は所得税と住民税にかかります。所得税の累進課税では194万9,000円までは5%、3,299,000円までは10%と、所得によってかかってきます。所得なので、給与所得控除や前年の社会保険料やiDeCoの掛け金、基礎控除の48万円などを引いた残りの金額ですね。

年収600万円だといろいろさっぴいて、大雑把に計算してだいたい所得が288万円なので、10%は28.8万円。ここから5%台の控除の97,500円を引くと、所得税は19万円ぐらいになります。

住民税は一律10%ぐらいなので、28.8万円と考えます。

まだ話は終わってなくて、日本の税金がえぐいのは健康保険料です。これは給与控除以外には基礎控除が43万円しかなく、しかも前年の社会保険料やiDeCoによる控除もいっさいできないというかなりえげつないものになっています。

それで年収600万円だと、社会保険料は合わせて軽く90万円近く持っていかれるので、こちらはどうにもならない部分です。所得税や消費税を上げるのが難しいので、日本では社会保険料をじわじわ上げるというスタイルでやっています。子育て支援金の500円もこちらからとっていますね。

そんな感じで、iDeCoが節税できるのは所得税と住民税の部分です。

年収600万円だとせいぜい所得税・住民税が10%なので、仮に毎月2万円をiDeCoに入れた場合、年間24万円なので、節税金額は所得税住民税合わせて10%+10%の20%で考えたとしたら4.8万円ほどになります。

iDeCoの利点というのは、この即時性にあります。つまり将来を待たずして、24万円払えば20%の4.8万円がすぐに手に入るという話ですね。これは新NISAにない利点です。累進課税5%なら住民税の10%と合わせて15%なので、3.6万円になります。

ただ24万円とられたのちの、この節税金額の3.6万円から4.6万円と、60歳までの資金拘束のリスクを天秤にかけてどちらがいいかという話ですね。15%~20%は返すけど、残りは60歳まで返さないという話です。

人間は60歳までかならず生きられるわけではありませんし、とつぜんお金が必要になる場合もあります。

数万程度で、その数倍の金額を長期間資金拘束されて本当にリスクとリターンがあっているのかという点は、よくよく考える必要があります。

iDeCoは投資信託の割引率

ただし、高年収の場合は話が一気に変わってきます。

年収1億円という人であれば、累進課税で40~45%とか取られますので、仮に先ほどとおなじように年間24万円をiDeCoに突っ込んだとすれば、累進課税45%分と、さらに住民税の10%である2.4万円もプラスされて、55%の13.2万円がもどってくるわけです。

つまるところ、24万円分の投資信託を買うのに、55%OFFの10.8万円しか払わなくていいわけです。かなりお得なのがわかるとは思います。

そもそも高年収なので、iDeCo全力しても彼らにとっては大した金額ではありません。

そのためiDeCoは高所得層と低所得層で、拘束されている資金、つまりリスクが全然違うことは理解しておいたほうがいいでしょう。

おなじ24万円を拠出した場合、所得税10%の一般層だと19.2万円で購入している(いいかえれば19.2万円が拘束され、リスクにさらされている)のに対して、高所得層だと45%の13.2万円しか払っていない(いいかえれば13.2万円が拘束され、リスクにさらされている)わけです。

所得が低いほど年間の掛け金をたくさん出してリスクが高くなり、高所得者ほど掛け金が少なくなってリスクが低くなる状態なのですね。おなじものを買っても、高所得者のほうが拘束される資金が少ない=リスクが低いわけです。

そのためiDeCoが得かどうかは、あなたの所得に寄ります。

iDeCoは、購入する投資信託の割引率と考えたほうがいいでしょう。

累進課税40%突破だぜという方はiDeCo全力でいいとは思います。半額以下で投資信託が買えますしね。実際に拘束を受けている資金も50%ほどということです。拘束される資金が少ないということは、リスクが低いということです。

一方、一般層の投資信託の割引率は15%~20%なので、その割引率で投資信託を買って、80%ほどの資金を60歳までの拘束されます。

割引率や60歳まで拘束される金額とリスクを考慮して、どちらがいいか考えればいいとは思います。

それとNISAは割引ありませんので、iDeCoが金銭的に有利なのは計算するまでもないことです。あくまで金額「だけ」で比較し、リスクを考慮しなければといった話です。

ちなみにQ太郎は月1万円だけにしています。年間で12万円ですね。

iDeCoは受取時に、金額によって税金が発生します。

ただ拠出年数の1年につき40万円まで控除できますので、かりに12万が3倍になっても36万なので非課税範囲ですむということです。

このあたりは自分のスタイルと相談してください。

それと出口のほうの税金はルールがころころ変わりますので、というかすでに何回も変わっていますので、そのあたりも覚悟しておくといいでしょう。

まとめ

そんなわけでまとめると、

・iDeCoの問題はわかりづらさと、60歳までの資金拘束。

・来るかどうかわからない未来にお金を送る行為なので、資金の少ない若いうちから今を捨ててまでやる必要があるかはよくよく考えたほうがいい。

・iDeCoは「投資信託の割引率」と考えればいい。

・年収600万円あたりなら、iDeCoによる投資信託の割引率は15%~20%。拘束される資金(=リスク)は8割ほど。

・年収1億円で累進課税45%の高所得者なら、iDeCoによる投資信託の割引率は55%。拘束される資金(=リスク)は5割ほど。

・高所得者であるほど拘束される資金=リスクが低くなる。(そのため、高所得者ほどiDeCoがお得です)

・出口にかかる税金はコロコロ変わる(すでに変わってるし、今後も変わる可能性がある)。

・新NISAは割引率0。金額「だけ」で考えれば、当然割引のあるiDeCo有利。

となります。

そんなわけでiDeCoは投資信託の割引率で考えればいいわけです。

たとえば年収600万円なら、2割引きで投資信託が買えるということですね。ただし60歳までその投資信託は引き出せないということです。8割の資金拘束を食らっているという事ですね。

年収1億円なら5割引きで買えるので、資金拘束は5割だけです。高所得者ほど低リスクでお買い得ということになります。

そんなわけで、自分の収入から投資信託の割引率と拘束リスクを考えつつ、どうするか決めればいいでしょう。