森永卓郎氏のオルカン暴落論は本当?

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新NISA一括投資→即毎月定率取り崩し運用中のQ太郎です。

今回は森永卓郎氏の「オルカンが暴落するからさっさと売れ」という話についてです。

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オルカン暴落

こんなご質問をいただきました。

「いろいろと問題発言の多い森永卓郎氏ですが、アメリカの株価暴落と円高リスクが重なってオルカンが暴落するからさっさと売るように呼び掛けたりしています。-90%になるそうです。本当でしょうか???私には全く信じられません。Q太郎さんのご意見をお聞きしたいです」

とのことです。

オルカンが暴落するかどうかについてですが、結論から言えば「わかりません」というか「わかるわけがありません」。いや、どう考えてもわかるわけないじゃん。株価や為替は国家情勢でいくらでも変化しますので、かならずこうなるなどと言い切れるわけがないのですね。

そもそもすべての株式には暴落する可能性はありますが、問題はそれが「いつ」かということです。うさんくさい宗教家とか予言者のよくやっている「大きな地震が起こる」とか「大きな災害が起こる」とか「世界が滅亡する」とかレベルの予言みたいなものです。時間を指定していないので、何十年後だろうが何百年後だろうが、いつかそれが発生すれば当たったことになります。

50億年後ぐらいには太陽が膨張して赤色巨星になって地球を飲み込んで、地球は物理的に滅亡しますので、まあそのときはオルカンは大暴落して価値は0円になるとは思います。そこまで人類が生きているか知りませんが、50億年後までには暴落することは確実なので、それまでにオルカンを処分しておくことをおすすめします

そんなわけで暴落するかしないかの話であれば、50億年後までにはしますので、森永氏の言っていることには間違いはないとは思います。-90%どころか、-100%のズドンですね。地球もズドンしてますけどね

そんなわけで、もし本当に暴落することに自信があれば、いますぐ空売りを仕掛けることをおすすめします。というか、こういうことを言う人たちって、なんで空売りしないんでしょうね。そこまで自信があるなら空売りすればいいだけなんですけどね。

リーマンショックのとき、金融トレーダーのマイケル・バーリらはいち早くサブプライムローンの欠陥を見抜いて空売りを仕掛け、4000億円以上もの大金を手にしました。このことは『マネーショート』という映画にもなりましたね。本当に自信があるならこういう行動に出てもいいわけですが、どうもそういうことはしないようです。

ちなみに近年のマイケル・バーリ氏の動向ですが、昨年にNASDAQ100ETFのQQQとS&P500ETFのSPYに空売りというかプットオプションを購入していましたが、これは失敗してポジションを解消しました。あと半導体セクターETFのSOXXのプットオプションも買っていましたが、AI関連で半導体の調子がいいので、これも失敗したものと思われます。

あとはキャシー・ウッド氏のARKKや債券ETFのTLT、テスラ株にも昨年9月ごろにショートを仕掛けていますが、うまくいっている感じはありません。最近はゴールドを買い始めたりなど、急に手堅くなっています。

そんなわけで、空売りもそうそううまくいくわけではないので、けっきょくこういうのは「わからない」わけです。たまに当たることもありますが、ぶっちゃけ上がるか下がるかの2択なので、どっちかに賭ければ当たることにはなるでしょう。

本当に暴落することがわかると思い込んでいるのであれば、しかもそれを人に言いふらすレベルで思い込んでいるのであれば、自腹を切って空売りして証明していただくのが一番とは思います。ノーリスクで「暴落暴落」いうのはちょっとずるいかなとは思いますね。

少なくともちゃんと該当のものにショートを仕掛けているバーリ氏の方が、結果はどうあれ、森永氏よりはまだ潔い感じがします。ちゃんとリスクを負ってやってますしね。

いちおう森永氏の暴落の根拠ですが、まず世界がバブル状態になっていることと、現在の円安が行き過ぎていることで、株安円安のダブルパンチで大きな痛手を負うという話です。この話自体は、可能性としては全然ありえますが、かといってリスク資産を持たないで現金だけにしておくとインフレに勝てなくなるというリスクもその一方であります。

そのため、これも何度も言っていることですが、どう転んでもいいように、株だけ・現金だけみたいな形にせずに、株も現金もバランスよく持てばいいだけの話です。森永氏の主張は完全に0か100かみたいな極端な話になってしまっているため、現金だけしかないリスクが考慮されていません。

仮に日本円しか持たない状態で円安がさらに進んでいった場合、資産の価値は落ちていることになります。これは言ってみれば、日本円に集中投資してズドンを食らっているような状態ですね。

ただいちおう森永氏は、若い人は時間があるので、暴落しても30年40年の時間があれば取り返せるとしています。さすがに時間のある若い人の投資にまでは文句を言っていないようですね。

それで現金をどれだけ持つかという話ですが、自分の年齢や経済状況で考えていくといいでしょう。

たとえばもう70歳80歳とかであれば、子供に残すとかそういう理由がなければ、リスク資産は少なくして、資産全体の変動を低くしたほうがいいですね。よく言われるのは、年齢=無リスク資産比率というやつです。70歳なら現金70%:株30%ぐらいで、無リスク資産の割合を増やすことで、資産全体のボラティリティを抑えることができます。

20歳だったら逆に現金20%:株式80%でもいいということですね。働いてますから失敗しても怖くないですし、そもそも資産自体もそんなにありませんのでいくらでも取り返せます。

ただ高齢者は資産が大きいうえに、働いて取り返すのも困難なので、リスク資産に突っ込みすぎるのも考えものです。そのため、資産全体に占めるリスク資産の割合はちゃんと考えておいたほうがいいでしょう。

それと日本はインフレをあまり経験したことがないので、「現金で大丈夫」みたいな発想になってしまいますが、イギリスとかアメリカとかインフレの激しい国だと、株式や不動産を持たないと逆に危険みたいな発想になります。お金の価値がどんどん落ちていくので、貯金するよりなにかべつのものに変えておかないといけないのですね。

アメリカは資産に占める現金・預金の比率は平均13.4%で、株式や投資信託などリスク資産は52.4%と、資産の半分以上がリスク資産になっているわけです。これは、金融教育が進んでいるというわけではなく、こうでもしないとインフレについていけないからです。あくまでインフレ対策のリスク分散なのですね。買っているものもVTIとかですし、別に株で儲けてやろうとしてやっているわけではありません。あくまで生活防衛です。

日本はインフレ下での生活をこれまで経験していないので、現金でOKという話になってしまいますし、これまでのデフレ下ではそれで本当にOKだったわけです。ただこれからはどうかということなので、100%現金もけっこうリスクがあるんじゃないかとは思っています。余っているお金をそのまま銀行においても、インフレで価値がどんどん目減りしてしまいますしね。

ただ将来的に日本のインフレが続くのであれば、アメリカみたいにみんなが自然にリスク資産を持つようになるとは思います。これまでは生活上、リスク資産の必要がない環境だったということでもありますね。

 

まとめ

そんなわけでまとめると、

・オルカンが暴落するかどうかは「わかるわけがない」。(株や為替は政治的要因でいくらでも変化します。そんなものを短期的に予測するなど困難です)

・ただ50億年後には物理的に地球はズドンするので、それまでにオルカンもズドンすることは確実。(いつかは暴落しますが、「いつ」という部分の抜けている予言はあまり意味がないですね。数十年後でも数百年後でもいいわけですから)

・本当に暴落すると思うなら、マイケル・バーリ氏のように空売りすればいい。(それだけ強く主張しているのにリスクを取らないのはずるい気もします)

・森永氏は、若い人の株式投資についてはそれほど否定はしていない模様。時間があれば取り返せるから。

・インフレによって、現金の価値は下がる。日本円への集中投資もリスク。

・年齢や経済状況に合わせて、リスク資産と無リスク資産のバランスを考える必要がある。

・インフレが当たり前の社会になれば、リスク資産を持つことも当たり前の社会になる可能性はある。

となります。

そんなわけで、これまでのデフレ社会だと現金を持っていればリスクがないという環境でしたが、インフレになれば現金を持つだけというのもリスクになっていきます。

どう転んでもいいように、自分の年齢も考えつつ、バランスよくリスク資産と無リスク資産を持つのがいいですね。とにかく0か100や1点掛けみたいな考え方はリスクが高いとは思います。