【新NISA】日経平均とTOPIX、どっちの投資信託がいい?【eMAXIS Slim】
新NISA一括投資→即毎月定率取り崩し運用中のQ太郎です。
今回は日経平均とTOPIXの投資信託のどちらがいいかという話です。
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eMAXIS Slim 日経平均&TOPIX
さて、こんなご質問をいただきました。
「eMAXIS Slimで発売されている日経平均とTOPIXのどちらかを新NISAで買おうと迷っています。S&P500とオルカンはすでに今年投資しました。日本株も少し持っておきたいという考えです。
正直、日経平均とTOPIXの違いが余り良くわかっていません。しかも日経225とか日経300とかあって混乱してしまいます。一般的に言われている日経平均とは日経225のことでよろしいでしょうか。
私の認識だと日経平均=ダウ、TOPIX=S&P500のような感じなのですが、実際のところどちらの指数が良いのでしょうか。このとおりであれば、TOPIXのほうがいいような気がします。
一般的にテレビとかで報道される場合は日経平均ばかりで、TOPIXの話はあまり出てきません。なぜTOPIXはあまり一般的ではないのでしょうか。
Q太郎さんの考えで良いので、この辺りについて解説してください。よろしくお願い致します。」
とのことです。
日経平均とTOPIXの違い
まず日経平均とTOPIXの違いについて解説していきます。
日経平均はニュースとかでも良く出てきますから、投資しない人でも良く知っている言葉とは思います。
その歴史は古く、戦後間もなくの東証が再開した1949年5月16日から始まっています。この当時は227銘柄を単純に平均しただけの株価平均でしたが、翌年1950年には出来高の多く、業種もばらけるようにして選んだ225銘柄の修正平均株価をとるようになりました。
このころは東証が管理していたので、名前はまだ日経ではなくて「東証第1部修正平均株価」という名前でした。
日経になったのは1970年からですね。東証が平均株価の算出を打ち切ったので、日経こと日本経済新聞社がそのあとを継いだ形になります。
最初は「NSB(日本短波放送)225種平均株価」という名称でしたが、その後1975年に「日経ダウ平均株価」になり、さらに1985年に現在の「日経平均株価」という名称になりました。
日経平均は、つぶれたり合併したりという理由がないかぎりは、ほとんど銘柄の入れ替えがおこなわれませんでした。1990年代後半にはインターネットも登場しますし、そうするとやはりどんどん時代についていけなくなるのですね。
それでネットバブルの2000年になってから30銘柄を一気に入れ替えるという、いま考えればかなりの暴挙に出ます。
それで30銘柄を一気に入れ替えたらどうなったか言えば、その30銘柄が一気に売り込まれたのですね。それで新しい30銘柄が買いこまれました。
しかも入れ替え発表してから実際に入れ替えるまで一週間ぐらいの間があったので、売り買いする時間がたっぷりあるわけで、そりゃそうなるわけです。本当に馬鹿じゃないかと。この仕事の遅さが日本っぽい感じです。
さらに日経連動の投資信託が新規の30銘柄をそろえる金がなくて、すべての株を均等に売って資金捻出するような真似をしていたので、日経平均自体が10%以上ズドンしたのですね。
この2000年を境に、2000年前と2000年後に日経平均の連続性が無くなっていると言われています。2000年以降は別物ということですね。このとき投資信託をやっていた人は10%以上の損、個別株やって30銘柄買ってた人は大儲けみたいな感じになりました。
それで一気に入れ替えたその反省からか、翌年2001年以降は毎年1~3銘柄程度の入れ替えにしようという感じになりました。
それで日経平均の計算式ですが、S&P500のような加重平均型ではなくて、大雑把に言うと「全銘柄の株価の合計÷225」というものです。分割があった場合や、突出した株価があった場合は重みをつけて修正したりします。ルールも良く変わりますし、けっこう人為的にわちゃわちゃ算出されている部分がありますね。投資信託でいうとアクティブ型な感じです。
ちなみに日経225という言い方は、海外では日経平均を「Nikkei 225」と表記するからです。
それでTOPIXの方ですが、こちらはTOkyo stock Price IndeX、ようするに東証株価指数のことですね。対象は東証一部、今のプライム・スタンダード市場の全上場銘柄2000社以上を対象にした指数です。
こちらはS&P500のような時価総額加重型なので、日経=ダウ、TOPIX=S&P500というイメージは間違ってはいないとは思います。日経がアクティブだとすれば、TOPIXはいわゆるパッシブ型です。
ただ、日本の誇る文化である大企業同士の持ち合い株などを混ぜると無意味に時価総額を引き上げてしまうため、「浮動株のみ」というルールを設けています。あくまで市場に出ている株のみでの計算ですね。
1968年1月4日の時点を100として、そこから指数を計算していくという形になります。日経平均の単位は「円」ですが、TOPIXは「円」ではないので気を付けてください。S&P500とおなじようにポイントです。
日経平均が日常的に使われやすいのは、歴史があることと、「円」換算なのでなじみやすいというのもありますね。
日経平均とTOPIXの比較
それで日経平均とTOPIXどちらがいいのかについてですが、2020年のコロナショック直前からのチャートを比較してみましょう。青が日経で、黄色がTOPIXです。日経のほうがボラティリティが高めなので、落ちるときは日経のほうがズドンする感じですが、上昇時は日経の方が強くなりますね。
日経平均の問題点としては、時価総額じゃなくて、あくまで株価の平均をとっているのですね。
例えばユニクロのファーストリテイリングですが、時価総額は16.78兆円でトヨタの43.03兆円をはるかに下回るのに、現在株価は5万2000円ぐらいあります。
一方の時価総額日本1位のトヨタですが、株価は現在2700円ぐらいです。
ところが日経平均の計算だと、225企業の株価を足して平均をとるので、5万円を超えるファーストリテイリングの影響力が2700円のトヨタよりも10数倍も大きくなるという謎現象が起こるわけです。ふつうに考えて意味わかりませんが、日経平均はそういう非合理なところがあります。
「いや、普通に考えて時価総額で影響力を並べろよ」と考える人はTOPIXを選んだ方が精神衛生上いいでしょう。
TOPIXの欠点は値動きのない小型株まで含めてしまっているため、日経平均に比べて上昇が弱いというのがあります。ただ来年からあまりにも値動きのない小型株を排除し、約1700程度まで絞られる予定です。最終的に1200銘柄まで絞る予定なので、このあたりの欠点もだんだん解消されるとは思います。
ただ現状は、先ほどの理由により日経のほうがパフォーマンスがよろしいです。パフォーマンス取りたかったら、現時点では日経を選んだ方が良いでしょう。
それでQ太郎がどちらを選ぶかと言えば、長期投資を考えると、やはり精神衛生上よろしいTOPIXのほうがいいかなとは思います。日経のアクティブな計算の仕方がどうなのかなみたいな部分もありますしね。企業規模無視して株価を平均するってそもそもどうなのみたいな部分もありますし。まさに株価の高いファーストリテイリング有利なユニクロ指数なわけですしね。TOPIXの小型株問題も来年以降から徐々に改善されていく予定ですしね。
ただ資金に余裕があれば、どちらも買ってしまっていいんじゃないかとは思います。日経は日経で、ニュースとかと連動していますのでわかりやすいというのもいいですね。
投資信託なら100円単位で買えますので、100万円投資するなら50万円ずつでもいいとは思いますね。
eMAXIS Slimなら日経平均もTOPIXも経費率0.143%です。純資産総額は、日経平均が1379億円(楽天買付ランキング35位)、TOPIXが2426億円(楽天買付ランキング13位)で、TOPIXのほうが人気がありますね。ただどちらも1000億円以上なので早期償還の危険性はないとは思います。
まとめ
そんなわけでまとめると、
・日経平均(日経225)は225社の株価の平均を取るもの。時価総額ではなく株価で影響力が決まるため、トヨタより「株価」は大きいファーストリテイリングの方が影響力が強い(別名「ユニクロ指数」)。単位は「円」。
・TOPIXはプライム・スタンダード上場銘柄を対象にした浮動株時価総額加重型の指数。単位は「ポイント」。こちらの方が市場を正確に表している。ただ値動きの無い小型株も含めてしまうため、パフォーマンスは日経に劣後する。来年以降から銘柄絞りを1700銘柄までにし、最終的には1200銘柄まで絞る予定。
・現状はパフォーマンスを取るなら日経平均。時価総額で並べないと変だと思うのであれば、精神衛生上はTOPIX。
・eMAXIS Slimは日経平均もTOPIXも経費率0.143%。純資産総額は、日経平均が1379億円、TOPIXが2426億円で、TOPIXの方が人気がある。
とのことです。
TOPIX自体は来年以降からパフォーマンスの悪い小型株の排除で改善が進みそうなのと、やはり日経平均の計算上、ユニクロ指数になってしまうのはどうなんだろうということもあって、Q太郎がどちらかを選ぶんだったら、気分的にはTOPIXがいいかなとは思いますね。
ただ日経平均自体はパフォーマンスは悪くないですし、ニュースと連動してますので、TOPIXよくわからんという人は日経平均にした方がわかりやすいとは思います。
まあ、投資信託は100円から買えますので、どっちも買っておくというのもいいですね。そのほうがいろいろ勉強になるとは思いますね。