複数の証券会社の特定口座、一つだけを確定申告は可能?
新NISA一括投資→即毎月定率取り崩し運用中のQ太郎です。
今回は、前回の話題と関連して、複数の証券会社で特定口座を持っている場合に、そのうちの一つだけを確定申告できるかどうかについてです。前回の補足的な内容になります。
本記事をYouTube動画で観たい方はこちらのリンクから。
複数の証券口座のうち、一つだけを確定申告
さて、前回は特定口座・源泉徴収ありで、配当利益のみや、譲渡益のみだけを確定申告できる話と、その注意点について述べました。詳しくは前回を参照してください。
質問で「米国株だけ確定申告は可能か」というのがありましたが、米国株であろうと日本株であろうと中国株であろうと個別株になるので、個別株ごとの申請は無理です。そもそも米国株の利益も特定口座で日本株や中国株など他の株と混ぜて計算されています。どの国だろうと関係ありません。テスラ株も日本たばこも全部おなじ個別株なのです。特定口座では一緒に計算します。
米国株専用の特定口座があるわけではありませんので、あくまで口座全体の配当利益や譲渡益を申告しなければなりません。米国株というジャンルが存在するわけではありません。それをしたら個別株の申告になってしまいます。
基本的にこういう節税は、投資収入しかないFIRE後とかに利用できるとは思います。投資以外の収入がなくて、国民健康保険料の基礎控除43万円以下であれば国民健康保険料の上乗せもありませんので、申告しておいたほうがお得といえばお得でしょう。
ただ、やはり国民健康保険料がえげつないので、本当に確定申告してお得かどうかはその都度チェックする必要があるとは思います。そこまで労力使いたくない人は、特定口座・源泉徴収ありのまま、なにもしないほうがいいかもしれませんね。
それで今回ですが、以前からいくつか同様の質問があったのですが、SBI証券や楽天証券など、複数の証券口座を持っている場合、そのうちの一つだけを確定申告できるかどうかについてです。
結論から言えば、これもできます。たとえばSBI証券だけ確定申告とか、楽天証券だけ確定申告ですね。
これも国税庁の確定申告作成サイトに記載されていますので、確認しておくといいでしょう。
具体的に何が書かれているかですが、
「特定口座(源泉徴収あり)における上場株式等の譲渡による所得又はその源泉徴収口座に受け入れた上場株式等の配当等に係る配当所得等を申告するかどうかは口座ごとに選択できます」
とあります。口座ごとに選択できますので、楽天証券だけみたいなことができるのですね。
使い方としては、たとえば収入がまったくなくて、楽天証券の配当利益が100万円あって、SBI証券の配当利益が40万円だとすると、SBI証券の配当だけを確定申告すれば国民健康保険料の基礎控除43万円以下なので、国民健康保険料を増やさずに節税することができます。日本株で配当控除を使えば、もうちょっと利益が多くても大丈夫ですね。
ただこういうのも、いつまで使えるかというのがありますね。
たとえば以前の動画で述べたように、特定口座・源泉徴収有りで何億円も利益を出していたとしても、FIREして収入がなければ、確定申告上は収入0円の住民税非課税世帯になれてしまうため、国民健康保険料が安くなるうえに、給付金の3万円とかもらえたりして、なんだかなーという部分もあったりします。
たとえば国民健康保険料には収入にかかわらず、払わなければならない均等割額や平等割額があります。この均等割については自治体ごとに違いますが、以前紹介した江戸川区の均等割りの51600円になっています。
ただし軽減措置というのがありまして、一人世帯で国民健康保険料の基礎控除43万円以下だと、確定申告をすることで均等割りが7割減になるのですね。51,600円が15,480円になるわけです。
43万円をちょっと超えていても、5割減とか3割減とか、いろいろ軽減措置があるわけです。このあたりは自分の自治体のサイトを調べてみてください。なんにしろ確定申告することで、自治体でこの軽減措置が受けられます。
特定口座・源泉徴収有りで何億円も利益を出している人でも、収入がなければこの非課税世帯の恩恵にあずかれてしまえるので、そのうちこのあたりも埋められてしまうのかなという気がします。昨年で確定申告の住民税申告不要制度が無くなってしまいましたし、こういう税金の穴みたいなのはどんどん埋められそうですね。
まあ、何億も稼いでる人だったら、数万円増えたところで誤差レベルとは思いますが、収入がなくてリーンFIREしている人とかには死活問題とは思います。
ちなみに一時話題になった鳩山由紀夫氏の母親ですが、ブリヂストン創業者の長女なので、ブリヂストン株を1200万株もっており、その配当だけで当時で年間3億円ぐらい入ってきます。そんな状況でも、特定口座・源泉徴収有りで働いていなければ非課税世帯になれるのですね。
それでその鳩山氏の母親ですが、お金を鳩山氏に直接渡すと贈与税がかかりますが、鳩山由紀夫氏の政治団体に寄付という形で渡せば無税にできてしまうのですね。個人的にはこの法律がいちばんむちゃくちゃだとは思います。
まあ、これは法律上、やろうと思えば誰でもできます。
やり方としては、まず自分が公職の候補者になって、資金管理団体を設立します。すると公職の候補者は、自分の指定した資金管理団体へ年間1,000万円まで無税で寄附することが可能になります。
さらに子供にも資金管理団体や政治団体を設立させれば、団体間での資金の移動は5000万円以下なら無税なので、毎年5000万円ずつ資金を移動させれば相続税を無税にできるのですね。お金がありあまってしょうがいない人は、この方法で子供に資産を移すといいでしょう。金持ちが政治家をやりたがるのも、まあそういうわけなのです。
そんなわけで税金は庶民にはきついですが、政治家にはゆるいですし、制度の穴も埋まることはなさそうなので、お金がある人は政治活動をやって節税したほうがいいかもしれません。
まとめ
そんなわけでまとめると、
・特定口座ではどの国の株であろうとまとめて計算されるので、米国株だけ抜き出しての確定申告はできない。あくまで特定口座全体で申告します。(株は株なので、どこの国の株とかは関係ないのですね。全部対等な個別株です)
・複数の証券会社で特定口座(源泉有)を持っている場合に、そのうちの一つだけを確定申告することは可能。
・確定申告すると国民健康保険料がかかる場合があるので、本当にお得かどうかは計算する必要がある(基礎控除43万円以内に収められればやってもいいとは思いますが、まあとにかく計算は必要ですね)。
・お金があって相続を考えている人は、政治家をめざすと税金的に幸せになれる。
となります。
そんなわけで、税金の穴はどんどん埋められていきますが、政治家方面の税金の穴は、そもそも法律をつくってるのは政治家なので、そうかんたんには埋まらないと思いますので、お金があって相続とかも考えている人はぜひ政治家を目指していただければと思います。