高配当投資は老後に不利ー取り崩し投資のすすめ【米国株投資】
新NISA一括投資→即毎月定率取り崩し運用中のQ太郎です。
「現在はインデックス投資をやって、老後に高配当投資に切り替える」という考えの方がけっこういるように思われます。
Q太郎的にこれは危険というか、そもそも切り替え時に損失を出すことにもなりますし、現在の日本の税制上、高配当投資は相当不利です。
とくに米国株や米国ETFは今年からかなり不利な状況になりますし、将来的にもさらに厳しくなる可能性があります。
今回は高配当投資、とくに米国株や米国ETFの高配当投資がもはや過去の産物になってしまったのではないかという話題です。
本記事をYouTube動画で観たい方はこちらのリンクから。
高配当投資は時代遅れ
さて、高配当投資はもはや現在の日本の投資環境に適していないのではないかという話についてです。
とくに老後にインデックス投資から高配当投資に切り替えようと思っている人は、まずQ太郎の話を聞いて、冷静に現在の投資環境を見なおしてみてほしいと思います。
まず最初に言っておきますが、Q太郎は高配当投資が好きです。
現在、取り崩し投資チャンネルになっていますが、その前は高配当投資チャンネルをやっていました。
高配当投資のよいところは、やはり定期的にキャッシュフローを発生させられるところですね。
インデックス投資は資産を膨らませるにはよいのですが、Q太郎のようにすでにFIREしたり、退職年齢が来て老後に入って取り崩しの時期に入った人にとっては、その膨らませた利益を、じっさいのキャッシュフローに変えていく作業が必要になってきます。
一般的に「出口戦略」と呼ばれるものですが、これがけっこうやっかいだったりします。とくにいっさい取り崩さずにインデックスを積み上げてきた人には、取り崩しが相当なストレスになるでしょう。自分が苦労して積み上げてきたものなのですから、それを取り崩すのは心理的には厳しいものがありますね。それはよく理解できます。
ただインデックス投資で2倍・3倍になったとしても、含み益はあくまで含み益です。じっさいの利益ではありません。それをお金に変えないかぎりは数字上の幻想でしかありません。その含み益はファンタジーです。ファイナルファンタジーです。
ちなみにファイナルファンタジーは10以降ほとんどついていけなくなったあたり、年をとったと思います。でもFF13はわけわからないながら最後までクリアしました。
とにかくそのファイナルファンタジーなインデックスの含み益をリアルマネーに変えなければ、利益を出せたとはいえないわけです。含み益たっぷりだったのに、老後にズドンしてマイナスになったみたいな事態もありえないわけではありません。
インデックス投資は長期的には右肩上がりとはいえ、あなたが生きている間にそれが保証されているかどうかはまた話は別です。人間の寿命にはかぎりがありますし、老後に入ったタイミングで株式市場が「失われた30年」に突入する可能性もあります。
そして自分が死んだあとで。インデックスが不死鳥のように上昇するみたいなケースもありえなくはないのです。
つまり「インデックスは長期的に右肩上がりだけど、あなたが生きているあいだの期間が右肩上がりとはかぎらないよね」ということです。株式市場は本当に恐ろしいところです。
そんな不確定な状況の中、投資を長くやっている人ほど、定期的にキャッシュフローを発生させる高配当投資に魅力を感じるのも無理はないでしょう。Q太郎もファイナルファンタジー16(絶賛発売中、遊んだことないけど、PS5も持ってないけど)な含み益よりも、現実にお金の入るキャッシュフロー重視の投資に魅力を感じます。
高配当投資と取り崩し投資
ただ高配当投資の配当ですが、どこからともなくお金が湧いてきているわけではありません。
1000円の株から50円の配当が出れば、その株価は配当落ちで950円になります。株価は配当で支払われた分、しっかり落ちます。
そのため、配当は「他人に取り崩してもらう投資」とも言えます。
やっていること自体はインデックス投資信託を自分で取り崩すのとなんら変わりがありません。
「でも自分で取り崩すと減る感じがあってなんか嫌」と思うかもしれませんが、それは感覚的な問題であって、客観的な事実ではありません。
株式の時価評価額は、株価と株数の掛け算できまります。
たとえば1000円の株を1000枚持っていれば、時価評価額は100万円です。
ここから仮に50円の配当が出たばあい、株価は配当落ちで950円になります。時価評価額は95万円になりますね。配当で5万円を得たということです。
取り崩しの場合、5万円を得るためには、1000円の株を50枚取り崩すことになります。
つまり、
950円×1000枚=95万円(配当)
1000円×950枚=95万円(取り崩し)
となり、どちらもおなじことなのですね。どちらの方法でも5万円がゲットできており、時価評価額もおなじです。
取り崩しは感覚的に損している感じがするだけで、じっさいのところ数字的にはおなじなのです。株価を削るか、株数を削るかの違いでしかありません。
税金について
ただ配当も取り崩しも得られる金額はおなじなのですが、ここで大きく違うものはあります。
それは税金です。
配当の場合、受け取った配当全額に20.315%かかります。たとえ元本のほうが含み損であろうと、かならず20.315%とられます。
さらにいえば、米国株や米国ETFは外国税の10%も取られます。10%取られたあとに、さらに20.315%とられます。為替手数料とかも考えると、だいたい30%取られると思ったほうがいいでしょう。
「外国税は確定申告の外国税額控除で取り戻せる」と考える方もいますが、残念ながら今年からそれも厳しくなります。
そもそも確定申告をすることで税金が増える可能性が高いです。
というのも、今年から確定申告で住民税の申告不要制度が使えなくなります。
以前までは確定申告で住民税の申告不要をすることによって、国民健康保険を免除することができました。ところが今年からは、これができなくなります。
国民健康保険はだいたい利益の10%かかってくると思ったほうがいいでしょう。払う税金に、さらに+10%ですね。
米国株や米国ETFは配当控除も使えませんし、確定申告をすることでよけいに税金を払ってしまう可能性はかなり高いと思ったほうがいいです。
さらに今後、新NISAがあるかわりに、金融所得課税が30%になる可能性もあります。旧NISAが登場したときには、金融所得課税10%が20%になったので、今後30%になっても不思議でまったくありません。政府は飴を用意すれば鞭を用意するものです。
そうなると外国税と合わせて40%近くの税金です。半分近く持っていかれます。
しかも確定申告をするとよけいに税が増えたりするので、外国税額控除もろくに使えません。源泉徴収で40%近くとられたほうがまだましみたいな状況になります。
老後の収入を、このような高額課税の米国株や米国ETFの配当金に頼るのは危険といえます。
取り崩しの税金
取り崩しの税金はどうかと言えば、まず外国税がかかりません。これだけでもかなり有利です。
そして取り崩した場合、利益分にしか税金がかかりません。
たとえば1000円の株が1100円になったとき、利益は+10%です。
ここから110円を取り崩したとしたら、この10円部分にだけ税金がかかります。つまり10円の20.315%なので、2円ですね。受け取れる金額は108円です。
仮に110円を配当で受け取ってしまったら、まず外国税の10%を払って残り99円、ここからさらに20.315%を払って残り79円です。
つまりおなじ110円を受け取るばあいでも、
取り崩し:108円(税2円)
配当:79円(税31円)
と大きな差になってしまいます。
しかも配当のばあい、元本が含み損でもしっかり税金は取られます。取り崩しだと、元本が含み損なら税金は払わなくてもOK。しかも損失として計上できます。
税金的にはあきらかに取り崩しのほうが有利なのですね。
とくにアメリカ人ならまだしも、日本からの米国株・米国ETF相手の投資は、金融所得課税の重さに加えて外国税もあり、さらに確定申告しても不利になるという3重苦が待ち構えていますので、正直なところろくなことがありません。
ここがQ太郎が取り崩し投資に移った理由でもあります。
とくに今後は金融所得課税が30%になることは時間の問題だと思っているので、老後を高配当投資に頼ることにはかなり不安があります。そのため取り崩し投資に移りました。
取り崩し投資
取り崩し投資とは、インデックス投資信託に一括投資したあと、即毎月取り崩しする方法です。先ほどもいったように、株価を減らすか株数を減らすかの違いだけなので、合理的にキャッシュを受け取りたい方は取り崩しをしたほうがよいでしょう。具体的な取り崩しについては前回の動画を参照してください。
とくに高配当株やETFはトータルリターンの弱さがあるので、だったら最初からトータルリターンの強いインデックスで運用し、好きな割合を取り崩せばいいというのが合理的とも言えます。
老後資金は、毎月10万円必要ならなにがあろうと10万円を取り崩さないといけないので、相手の都合で増配・減配される配当に頼るのは心もとないといえます。取り崩しでしたら、こちらの自由で取り崩し量を決めることができます。
インデックスから高配当へのスイッチング
老後にインデックスから高配当へのスイッチングをするという方もいますが、ここでも税金を考えてみましょう。
まずインデックスをすべて売却したときに、20.315%の税金が取られます。その減った状態の資金で高配当株やETFを買うとしたら、いきなり大きな損失を抱えることになります。
新NISAならこのあたりは軽減されますが、特定口座ではやらないほうがいいでしょう。税金分損した状態からのスタートになってしまいます。
まとめ
そんなわけでまとめると、
・配当は他人による取り崩し。
・米国株・ETFの配当は、「高額の金融所得課税・外国税・配当控除使えない・今年から確定申告での住民税の申告不要が使えない」の4重苦。日本からの投資は税金的に不利すぎる。
・どの程度配当が出るかも相手任せ。FIRE後・老後の取り崩しに使いづらい。
・トータルリターンが悪い。
・インデックスから高配当へのスイッチングは、特定口座だと税金分損した状態ではじめないといけない。
といったところです。
ここで最近思うことですが、言葉は悪いし反論があることは認めますが、高配当投資はもはや過去の遺物になってきたのではないかということです。
というのも、Q太郎が投資を始めたころは、取り崩し投資は現実的ではありませんでした。
ろくな投資信託がありませんでしたし、そもそも投資信託が高額なもので、購入で3%、解約でも3~5%、毎年の経費率が1%以上とかが当たり前の世界でした。
こんなので毎月定率取り崩しなどをしていたら、手数料でどんどんお金が減ります。取り崩し投資が現実的ではなかったのですね。
これの代替手段として、定期的に取り崩しが無料でおこなわれる高配当投資を利用するというのは合理的でした。
ただ近年になって、低コスト、購入・売却も無料という質の高いインデックス投資信託が出てくるようになって話が変わりました。
高配当投資で他人に取り崩してもらうのではなく、インデックス投資信託で無料で自分で取り崩せる時代になったのです。
少子化での人口減少に加えて、高齢者が増えることで社会保障費が増えていきますので、構造的に今後日本はひたすら増税する道を歩み続けるしかなくなるとは思います。金融所得課税増税は、将来的には避けられないのではないかと考えています。
新NISAだと配当を無税で運用できるので、高配当投資をするのであれば新NISAを使うことをおすすめします。外国税は取り戻せませんが、どちらにしろいまの確定申告の制度だと、そもそも取り返せるどころか税金増やされる可能性のほうが高いのでそこは割り切ってしまったほうがいいとは思います。
特定口座は分配金を出さないインデックスにして、配当が欲しければ取り崩しをすればいいでしょう。
新NISAで高配当投資と取り崩し投資、どちらがお得かについてはこちらの動画を参照してください。