【新NISA】取り崩し投資で元本を割り込んだらどうするの?
新NISA一括投資→即毎月定率取り崩し運用中のQ太郎です。
今回は取り崩し投資で、元本部分が投資額を割り込んだ時にどうすればいいのかについてです。
本記事をYouTube動画で観たい方はこちらのリンクから。
取り崩し投資で元本を割り込んだらどうするの?
こんなご質問をいただきました。
「取り崩し投資を参考にさせていただいている者です。新NISAを使って、投資信託での0.3%ルールでの取り崩しをおこなっています。
最近円高になってきて、日本も米国も株価が下がってきました。
取り崩し投資は年初からやっているので、含み益はまだけっこうありますが、仮に元本を割り込んだ場合はどうしたらよいのでしょうか?
以前のQ太郎さんの動画では、取り崩し投資は、「上昇中は利益確定、下降中は損切になっている」とおっしゃられていましたが、ここがどうもよくわかりません。
例えば100万円投資して、どんどん下降していって、80万円になってしまった場合、この状態で取り崩しを続けていった場合、投資信託の口数自体は減っていきます。
それで将来回復したとしても、口数が減っているため、回復力も弱くなってしまいます。
私は元本を割った場合、取り崩しを一時中断するのがいいのではないかと考えます。
例えば100万円以下になった場合、自動取り崩し設定をキャンセルして、また100万円以上になったときに再開させるといった手法です。これについてはどうお思いでしょうか。もしくは他に方法はあるでしょうか。」
とのことです。
まず「取り崩し投資」ですが、一応説明しておきますと、インデックスに一括投資をしてから毎月取り崩しをするというものですね。毎月の取り崩しは自動売却機能を使います。たとえば毎月0.3%ずつ取り崩すとかですね。積み立て投資の逆バージョンと言えます。詳しくはこちらを参照してください。
それで上昇中の取り崩しはこまめな利益確定、下落中の取り崩しはこまめな損切という形にはなります。ようはインデックスのボラティリティを下げる行為になっているのですね。
利益を最大化しようと思ったら、一切売却しないのが正解とも言えます。取り崩し投資は、投資した資金を現金化していく作業でもあるので、あくまで資産形成が終わった段階での出口戦略ともいえます。
出口戦略は株式を買うことより難しいですから、元本を損ねない割合で、機械的に毎月売却していくというのが楽とは思います。
ここで定率で売却するか、定額で売却するかですが、現在の毎月の取り崩し実験では楽天証券とSBI証券を使ってどちらもやっています。
ただ生活費を投資に頼る場合は、定額で崩すしかないとは思います。毎月20万円必要であれば、上がろうが下がろうが定額で20万円取り崩すということですね。
この定額取り崩しですが、上昇中はむしろ取り崩し割が減って資産が増えやすくなりますが、下落中は定額ですので逆に資産が減りやすくなるという問題があります。
定額にしろ、定率にしろ、下落中は資産は減りますので、元本部分が投資金額を下回った場合にどうするかについてを考えてみます。
取り崩しをいったんやめる
質問者様の提案ですが、取り崩しをいったんやめるという方法です。これもこれでいいとは思います。
下落しているときに売却しないことで資産の目減りを防ぎ、資産の回復まで待つという方法ですね。
ただFIREや退職しているなどで、生活費を投資に頼っている場合は、取り崩しができなくなるため、バケツ戦略における短期バケツと中期バケツも用意しておかなくてなりません。
これも以前の動画で述べましたが、短期バケツには直近1年分の生活費、中期バケツには5年分の生活費ですね。これを利用して、最大5年ぐらいを株式からの取り崩しなしで乗り越えるという方法です。4年目ぐらいになっても株式市場が戻らない場合は、再就職するなりする時間的猶予もあります。
そのため、バケツ戦略と合わせれば、下落中に取り崩しをやめるというのはありです。ただその間の生活費をどうするかの問題になるので、バケツ戦略と組み合わせたり、投資以外の収入源を確保しておいたりする必要があります。
FIRE後も働くというのも一つの方法でして、生活費は働いて稼いで、貯めたお金はそのまま手をつけないという形ですね。それだったら株式が暴落しようと、生活費を資産に依存しないので、市場回復まで乗り切ることができます。安全性で考えると、やはり働くというのは強いです。給料はインフレヘッジにもなりますしね。
もしくは不動産など別のアセットを持って、そこからのインカムを利用するのもいいでしょう。
何にしろ、取り崩しを止めるということは、その間の生活費を取り崩しに頼ることができなくなるということにもなりますので、バケツ戦略を使うなり、働くなり、別のアセットを持つなりで補っていく必要があります。
個人的にはバケツ戦略しつつ、さらに働くという、石橋をたたきまくる方法がインフレにも対抗できていいんじゃないかとは思います。
そんなわけで、FIREをしている方が下落局面での取り崩しを止めるときは、それとセットで生活費をどうするかも考える必要があると思います。働いているのであれば、生活費は気にしなくていいので、気にせず取り崩しを止めてもいいとは思いますね。
年末に投資する
ただどういう状態で取り崩しをストップするかの判断は難しいとは思います。
たとえば100万円投資して、毎月0.3%で取り崩していくとします。取り崩しても、元本部分というか評価額の部分が100万円以上であれば減っていないので、気にせず取り崩しを続けていけばいいとは思います。
問題は元本部分が100万円を切った場合ですね。たとえば99万円になったので取り崩しをストップしたとします。
しかしそのあとすぐに100万円以上に戻ったので、次の月は取り崩し設定をしたところ、また99万円になってしまったみたいに、設定したり取り消したりが忙しくなるとは思います。
もしやるのでしたら、「100万円を切ったら取り崩しキャンセル」ではなく、たとえば「90万円を切ったらキャンセル。100万円以上になったらまた設定」など、ちょっと幅を入れておけば、取り消したりまた設定したりみたいな手作業を減らすことができます。
ただQ太郎的にはこれが面倒なので、一度取り崩し設定したものは、そのままずっと手をつけないことにしています。
そこで取り崩しをしつつ、年始に補填をするという、元本保証レバナス的な手法を使うのもいいとは思います。
これはどういうことかというと、たとえば100万円を投資して、今年の年末に元本部分が80万円になったとします。そうしたら来年の年初に20万円を追加して元本部分を100万円に戻すというものですね。
この方法のいいところは取り崩しを止めなくていいことと、ルール化することで、下がっているタイミングで資金を投入できるというところです。
投入できる資金があれば、この方法で補填してやるのもいいですね。Q太郎的には、この方法が楽でいいかなとは思います。仮に年末に元本部分が投資額を下回っていたら、翌年の補填も考えてみます。その場合は報告いたします。
まとめ
そんなわけでまとめると、
・投資額以下になったとき、一時的に投資をストップするのも一つの手。
・「投資額から10%以上落ち込んだとき」など、猶予を設けることでひんぱんな切り替え操作を減らすことができる(たとえば投資額が100万円だったら、元本部分が90万円以下になったときに自動売却設定をキャンセルするなどですね)。
・ただし投資から生活費を得ている場合は、バケツ戦略や別のアセット、労働による賃金など、別の手段で生活費を確保する必要がある。
・取り崩しを止めたくない場合、翌年の始めに減った分を補填してする(たとえば投資額100万円で、年末に元本部分が80万円になっていたら、翌年の初めに20万円補填するといった方法ですね)。
となります。
前述したように、個人的には自動取り崩し設定をつけたり消したりは面倒なので、年始に補填する形が一番楽かなとは思います。
現在、株式も落ち込み、ドル円も円高方向なので、年末どうなるかがわかりづらいですね。
とくにトランプ氏が当選した場合にどうなるかが注目どころとは思います。トランプ氏は関税を高くする一方でドル安にするというようなことを言っていますが、現在のインフレ状況で関税を上げたり、金融緩和をしたりすれば、インフレはさらにひどいことになりそうな気はします。
インフレは生活に直結してしまうためわかりやすく、生活苦に陥った支持者が手のひらをかえして反トランプになってしまう展開もあるかもしれません。
ただトランプ氏は選挙中は強いことを言っておいて、選挙後には実行しないということも平気でできる人なので、そこまで世の中大きくは変わらないんじゃないかという気もします。
そんなわけでアメリカの大統領選がどうなるのか、楽しみに見守っていきたいとは思います。