「Tracers S&P500ゴールドプラス」でS&P500と金(ゴールド)に分散投資ーメリット・デメリット|ゴルプラ

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gorupura

新NISA一括投資→即毎月定率取り崩し運用中のQ太郎です。

今回はS&P500と金(ゴールド)に同時投資する「Tracers S&P500ゴールドプラス」についてです。

本記事をYouTube動画で観たい方はこちらのリンクから。

Tracers S&P500ゴールドプラスとは?

こんなご質問をいただきました。

取り崩し投資で来年からゴールド投資信託を入れてくれてありがとうございます。丁度興味があったので、来年から楽しみです。

それで最近注目しているのが「Tracers S&P500ゴールドプラス」という投資信託です。S&P500とゴールドに100:100で分散投資するものですが、これについて動画で取り上げてして欲しいです。

目論見書は読んだのですが、正直意味が良くわかりません。先物取引を使った投資信託のようで、単純にS&P500とゴールドを買っているだけではないようです。どうぞよろしくお願い致します。

とのことです。

現在、取り崩し投資ではゴールドを日興アセットマネジメントのゴールドファンド投資信託を100万円分買って、来年から、毎月0.3%での取り崩し予定です。

このTracers S&P500ゴールドプラスも、おなじ日興アセットマネジメントですね。通称はゴルプラというらしいので、ゴルプラと呼びます。

S&P500もゴールドも好きという人には、面倒なく投資できてよさそうな感じですが、とりあえず経費率と純資産総額を見てみましょう。ここがダメだったらこの時点でさよならしてしまってもいいとは思います。

経費率・純資産総額

まず経費率ですが、0.1991%となっています。だいたい0.2%と考えていいですね。ゴールドファンドの経費率が0.407%なので、それを考えると半額なので安いですね。まあ、先物つかってるからですね。

純資産総額は307.58億円と、100億円超えているので安全圏とは言えます。ちなみにゴールドファンドのほうは510.58億円です。

設定日は2022年8月31日なので、まだ2年ちょっとしか経っていませんね。安全圏としては4年ですけど、純資産総額的にはまあ大丈夫かなといったところです。

経費率など、けっこう頑張ってる感じはありますので、よいファンドをつくろうという意気込みは感じられます。

昔の日本の投資信託は買った瞬間に5%とられて年間2~3%とか当たり前、解約するときも5%払ってねみたいなくそみたいなのが多すぎましたしね。しかも証券マンが定期的に乗り換え進めてきたりのコンボが加わって、どこまでむしるねんみたいな状況でした。

客から金奪うことしか考えていなかったときと比べると、いまの投資環境はかなりましになりました。競争原理がやっと働いたといったところですね。

内容

そんなわけで肝心の投資信託の内容を見ていきましょう。

投資信託のコンセプトとしては、S&P500に100%、ゴールドに100%という、ようするにS&P500とゴールドに1:1で投資するというファンドですね。

ゴールドは株や債券とはまた違った動きをするので、S&P500がズドンしたときの下落をゴールドでカバーするというコンセプトです。利益を取りに行くというよりは、株式のリスクをゴールドでヘッジするという考えなので、増やすというよりは守りの投資信託ですね。自分で株式とゴールドのリバランスしなくていいのは便利とは思います。

じっさいゴールドを組み合わせるとどうなるか、S&P500ETFのVOOとゴールドETFのGLDMを使って過去のシミュレーションをしてみます。

VOO GLDM

青色がVOO、緑がGLDMです。真ん中の線がVOOとGLDMの50%:50%の場合ですね。

   年率   ばらつき Sharp Sortino
VOO 17.88%  17.46%    0.90  1.43
GLDM 12.95% 14.11%  0.77    1.46
1:1 15.76% 12.21%  1.07    1.90

ばらつきを見ていただければわかりますが、VOO単体だと17%以上もあるばらつきが、50%:50%だと12%程度に抑えられています。GLDMと比べても年率が高く、ばらつきが低いという結果になっていますね。

リスクリターンをあらわすシャープレシオを見ると、あくまでこの期間内ですが、1を超えるパフォーマンスを出しています。下落耐性のソルティノレシオも1.9とかなりいい結果が出ていますね。

そのため、S&P500とゴールドを1:1で持つという戦略自体は、下落耐性もかなり改善されますので悪くはありません。ゴールド単品で持つよりは安全ですね。

ただこれは為替を無視した結果なので、円高とかが加わるとこのとおりにはならないことに注意してください。あくまでドル換算の話です。

あくまでレバレッジ商品

それでゴルプラですが、S&P500とゴールドにそれぞれ100%投資するというものです。

「あれ?足したら200%じゃん。レバレッジ?」と思った方もいるかもしれませんが、その通りで先物を使ったレバレッジです。純資産総額におよそ2倍のレバをかけてS&P500とゴールドに投資します。

そのためレバレッジ商品ですので、新NISAで買うことはできません。成長投資枠でも買えません。あくまでこれはレバレッジ商品です。2倍レバレッジのレバナスとかの仲間です。2倍レバなので値動きも大きくなります。そこは注意してください。

先物の比率ですが、株式の方は20%が先物、ゴールドは完全に先物となっています。

レバレッジのいいところは少ない資金で投資できるという部分なので、このファンドも0.2%程度の経費率で済んでいるというのがあります。先物じゃないゴールドだと高くなりますしね。

それと先物取引のいいところというかなんというかですが、先物には期限があるので、差金決済するたびに円換算になるので、為替の影響を受けるのは証拠金分に限定されることになります。先物の決済のたびに円転するので、為替の影響が抑えられるといった感じです。といっても、やっぱり証拠金分は為替変動を受けますけどね。気持ち半分ぐらい為替ヘッジみたいな感じだと思ったほうがいいでしょう。

パフォーマンス

それでは現実のパフォーマンスを見ていきましょう。直近1年で比較してみますと、

      年率   ばらつき
ゴルプラ +63.03% 20.96%

eMAXIS Slim S&P500  +38.68% 15.47%
ゴールド・ファンド +39.91% 14.80%

となり、2倍レバだけあって上昇時はやっぱり強いものがありますね。

ただやっぱりばらつきがでかいですね。S&P500やゴールドで15%前後ぐらいに対して、ゴルプラは21%ぐらいあります。このあたりもレバレッジ商品ですね。現物を1:1で持って低ボラ運用という感じの商品ではないので注意してください。このあたりはやはりハイリスクハイリターン商品と言えます。けっこう値動きがありますので、株価の値動きが気になる人にはあまりおすすめできる商品ではありません。

メリット・デメリット

メリット・デメリットを見ていきますと、メリット1はレバレッジによる上昇時の高利益です。今年はこれがうまくはまった形になりましたね。もちろんこれは裏返しのデメリットにもなります。

メリット2は先物決済なので為替の利益をある程度は抑えられる。ただ保証金は為替の影響を受けるので、気持ちちょっと為替ヘッジかかってるかなぐらいに思っておくといいでしょう。

メリット3は、この手の商品にしては経費率が安い。約0.2%ですしね。レバナスとか経費率0.77%あります。

デメリットの方ですが、レバレッジ商品なので日々の動きが大きいことです。上がるときはいいですが、横ばいとか下落とかのときは株価の急落があります。

デメリット2は、新NISAで買えないことです。あくまでレバレッジ商品です。

デメリット3は、レバレッジ商品なのでS&P500とゴールドの1:1の比率がうまく保てない場合があるということです。株式のほうは先物比率が20%程度ですが、ゴールドは完全先物なので、比率がうまくかみ合わない場合があるでしょう。

株価が下がったときにゴールドがヘッジになるというのはあくまで現物の話で、レバレッジの場合、株価暴落のタイミングでだいたいゴールドも暴落することが多いので、一緒に大きくズドンする可能性があります。

たとえば-50%になったとき、2倍にならないともとには戻りません。100万円が50万円になったら、もとに戻すには50万円が2倍にならなければいけないのです。株価暴落時にゴールドも一緒に下がったあとに上がったとしても、ちょい上がりとか横ばいだったら下げの分の方がきつくなるので、普通にS&P500を持っているだけよりもきついことになるかもしれません。

レバレッジ商品で横ばい状況というのは、株価が下がっていくムーブになります。ここは現物と違うので注意してください。

あくまでレバレッジ商品の値動きなので、株式とゴールドに分散投資しているから安全というわけでもないことに注意してください。

 

まとめ

そんなわけでまとめると、

・ゴルプラはS&P500とゴールドに100%:100%で投資するレバレッジ商品。

・経費率は約0.2%と良心的。純資産総額は307.58億円以上。

・S&P500が暴落したときにゴールドがヘッジになる(可能性がある)。ただしレバレッジはその通りの動きにならない可能性があることに注意。

・レバレッジ商品なので値動きは大きくなる。また新NISAで買えない。

・メリットは、レバレッジによる高利益、微妙な為替ヘッジ、低経費率。

・デメリットは、レバレッジなので下げ相場、横ばい相場で大打撃、新NISAで買えない、暴落時にゴールドがヘッジにならない可能性がある。

となります。

あくまでレバレッジ商品なので、一般的なS&P500とゴールドを組み合わせていると考えるよりは、レバナスとかの仲間と考えておいたほうがいいでしょう。もう一度いいますが、これはあくまでレバレッジ商品です。ボラティリティも大きいですし、現物での株:ゴールドの1:1戦略と同じになるとは考えないほうがいいでしょう。

そんなわけで、一般的な投資とはずれた商品になるため、あまり大金を張りすぎるとズドン時に悲惨な目にあうことも合わせて理解しておいた方が良いとは思います。利益だけを考えず、リスクも合わせて考えておいたほうがいいでしょう。

買うのであれば、レバナスを買うような気持で、少額から買ったほうがいいですね。レバナスみたいに10万円買って2%取り崩し実験をしてみるのもいいかもしれません。やることになったら報告します。