
こんなコメントいただきました。
「高い物を買う事の問題は、それが思ったよりも満足できなかったときのダメージが、安い物に比べて大きいことですね。だから私は極力安い物を買う事にしています。」
とのことです。ありがとうございます。
いわゆる出費の苦痛というやつですね。出費が大きいと、消費する時の罪悪感も大きくなるというものです。
Q太郎もよくあります。
3,000円のゲームを買って、さっそく遊んでみます。
面白くないわけではありません。ただ、3,000円の価値があるかと聞かれると、ちょっと微妙です。
すると、遊んでいる最中にも、3,000円という数字が頭に残ります。
この内容で3,000円か。もう少し安くなってから買えばよかった。
ゲームの内容に加えて、払ったお金まで気になり、素直に楽しめなくなるのですね。つまらないわけではないので、たぶん1,000円で買っていたら、それなりに楽しめたとは思います。おなじゲームでも、出費額による罪悪感で、満足度が変わってしまうのですね。
ところが人間にはもう一つ面白い性質があって、出費した時期と消費している時期の時間が大きいと、罪悪感が薄れますというのがあります。
たとえば、先ほどのゲームの代金3,000円を、半年前に予約して払っていたらどうでしょうか。
発売日に届いたゲームを遊ぶとき、支払った直後ほどは、3,000円を意識しないかもしれません。たぶん値段のことは気にせずに、普通に楽しんでいると思います。時間によって、出費の苦痛が薄れているのですね。
もっと極端に、10年前に予約して3000円を払い、払ったことまで忘れたころに届いたらどうでしょう。
クソゲーだなとは思っても、3,000円も払ったのに、という苦痛はあまり感じないでしょう。10年前に払った3,000円なんてどうでもいいと思うはずです。そもそも払った記憶もあやふやですしね。
実際の支出は、どれも同じ3,000円です。財布から出ているお金はおなじなわけです。
しかし、払う時間と遊ぶ時間の距離によって、楽しむときの感覚や罪悪感が変わります。
今回は、この時間差を、お金の使い方へどう利用するかという話です。
そんなわけで、ようこそ、Q太郎のお金の哲学へ。お金に飲み込まれないための生存戦略を独自の視点で解説します。
今回は「出費と消費の痛みの使い分け」を深掘りしていきます。
・三つの話
今日は大きく三つ話します。
一つ目、お金を払う痛みが楽しさへ入り込むこと。
二つ目、前払いと後払いで何が変わるのか。
三つ目、ハレとケで払い方を使い分けることです。
最後に、お金の使い方を洗練させるとはどういうことか、Q太郎なりの見立てを置いて終わります。
・一つ目・楽しみながら値段を採点する
それでは一つ目、お金を払う痛みが楽しさへ入り込むことです。
以前紹介した、ダン・アリエリーさんとジェフ・クライスラーさんの著書「無料より安いものもある お金の行動経済学」を、今回ももとにします。
お金を払うとき、我々は、手元のお金がなくなることに抵抗を感じます。
出費の痛みですね。
これは比喩ではなく、購入判断を調べた脳画像の研究でも、高すぎると感じる価格を見たとき、不快感や損失の予期などに関わる脳の部位の活動が見られているわけです。お金を払うことには、実際に気持ちの上での負担があるわけです。
そして、その負担は、払う瞬間だけで終わるとはかぎりません。
食事をしながら、これで何千円かと思う。ゲームをしながら、払った金額に見合うかと考える。
そうなると、食事やゲームを楽しむ時間に、支出の評価が入り込みます。
今回は、この引っかかりや罪悪感を、「消費の痛み」として考えます。出費の痛みと、それを消費するときに起こる、罪悪感や損したという気持ちによる消費の痛みですね。
罪悪感だけでなく、元を取らなければという義務感や、こんなに払わなければよかったという後悔もあるでしょう。
たとえば、食べ物を一口食べるたびにお金を払う仕組みだったら、食べるたびに、次の一口へ払うかどうかを考えることになります。
出費は意識しやすいですし、お金が貯まるかもしれませんが、食事へ集中するのは難しそうです。食事の満足度は下がってしまうのですね。
Q太郎はこの前、京都のお祭りを見てきたのですが、並んでいる屋台はどこもこれも値段が高くて、「これを買ったら、食べているときに消費の痛みを感じるだろうな」と思って買いませんでした。棒に刺したきゅうり一本400円って、Q太郎的には正直意味がわからないです。仮においしかったとしても、400円が頭から離れないので、消費の苦痛によって満足度はそこまで高くならないでしょう。
一方、前もって代金を払った食べ放題なら、食事中に一皿ずつ支払いを判断しなくて済みます。
そのぶん、気軽に食べられます。
ただ、気軽に食べられるということは、消費するたびのブレーキも弱くなるということです。
楽しみやすさと、使いすぎないための判断は、同じ方向を向いているとはかぎらないのですね。
またこの手の食べ放題は、バラバラで注文するよりも高くついたりします。食べ放題はだいたい2000円や3000円かかります。定食だったら1000円ちょいぐらいが多いですし、お金の面で見たら定食を頼んだほうがいいわけです。食べ放題は食材が安い物ばかりと言う場合もありますしね。
それでも、多めに払っても食べ放題を選びたい人は結構いるのですね。食べている最中の、消費の苦痛を減らしたいわけです。
・二つ目・前へ払うか後ろへ送るか
それでは二つ目、前払いと後払いで何が変わるのかです。
先に1,000円をプリペイドカードへ入れていると、そこから800円を使うのは、財布から現金を取り出して800円払うより気軽に感じることがあります。
もう払ってあるのだから、使ってもいいだろうという気分になります。
もちろん、その残高もお金です。他の買い物にも使えます。
しかし、財布からお金が離れる判断を先に済ませているため、使うときには、その感覚が弱くなるわけです。出費の苦痛はもうすませているのですね。
そして出費してから、消費を始めるまでの時間が空けば空くほど、消費をしているときに罪悪感を感じにくくなり、素直に消費を楽しみやすくなります。
プリペイドカードやクレジットカードもこの仕組みですね。支払いと、実際の消費の時期をずらすことで、気兼ねなく物を買って、消費することができるわけです。
ゲームのシーズンパスも、これに似ています。
先に代金を払えば、その後、新しいDLCが届くたびに追加の支払いをしなくて済みます。
なんとなく、無料でDLCがもらえたような気分にもなります。
まあ、無料ではないんですけどね。先に払ってあるだけです。
仮に、いまひとつのDLCが来ても、その都度お金を払ったときのような、これにこの値段を払ったのかという引っかかりや罪悪感は弱くなりやすい。
作品の質が上がるわけではありませんが、支払いへの不満や罪悪感が重なりにくくなります。
デメリットとしては、個別に内容を見て買えば避けられた出費まで、前払いで支払うことになります。ただ、DLCを買うたびに、「これは値段分の価値があるのか」と判断しつづけるのも、さすがに疲れます。ゲームを遊んでいても、頭にお金の事しかないのですね。
そんなわけで、どちらがよいというわけではなく、支出を厳選することと、罪悪感を気にせずにそのゲームをがっつり楽しむことの、どちらを優先したいかですね。
そして、支払いを消費から離す方法には、後払いもあります。
クレジットカードが巧妙なのは、買い物の場面と、口座からお金が出る場面を離していることです。
商品を受け取った瞬間には、財布のお金は減りません。
そのため、出費の苦痛が弱まり、現金なら迷った買い物も、そのまま進めやすくなります。
しかし、出費そのものが消えたわけではありません。
後日、まとめて請求を見て、こんなに使ったのかと驚くことがあります。
買ったときには気分がよかったのに、楽しんだあとで、支出を後悔するわけです。
前払いは、出費の苦痛を先に済ませてから楽しむ。
後払いは、出費の苦痛を後ろへ残した状態で楽しむ。
どちらも時間差を作りますが、気持ちの流れは同じではありません。
Q太郎は、決めた予算で思い切り楽しみたいなら、あとから支払いを気にするより、先に済ませておくほうが、気持ちよく楽しみやすいと思っています。
・三つ目・ケにはブレーキ、ハレには楽しさ
それでは三つ目、ハレとケで払い方を使い分けることです。
ここで、前払いがよい、都度払いはよくない、と決める必要はありません。
何を優先したいかで、使い分ければいいと思います。
普段の日常、ケの支出なら、都度払いのほうがいいでしょう。使うたびに判断する機会を残す。
飲み物を一本買うときも、お菓子を追加するときも、今これにお金を払っていいのかを考えます。
少し面倒ですが、その面倒が日々のブレーキになります。塵も積もれば山となりますしね。
反対に、旅行や温泉、楽しみにしていたゲームなど、ハレの体験なら、予算を決めて先に払う。
たとえば、旅行先のアクティビティ代を早めに払っておけば、現地で、また何千円も払うのかと迷う場面を減らせます。
財布の中のお金は、早めに減ります。その都度払うより、出費自体は多くなる場合もあるでしょう。
ただ、旅先へ行くころには、支払いの感覚から距離ができ、目の前の体験へ集中しやすくなります。
旅行へ行ってからも、「これはいくら、あれはいくら」と、ずっと値段と満足度を採点していたら、せっかくの時間も楽しめません。
ゲームを早めに予約して、支払いまで済ませておく場合も同じです。
発売日に5,000円を払って買って、家に持って帰って遊んでみて、「面白くないわけじゃないけど、これで5,000円か」と、プレイしながらずっと5,000円の値段が頭に残るわけです。あまり楽しめないわけです。
その5,000円を三ヶ月前に払っていたとしたら、プレイしながら5,000円を意識しなくていいので、楽しみやすくはなります。
予約だけして、実際の決済は発売日という場合もありますので、ここで大切なのは予約という行為より、「支払いを済ませた時期」ですね。
出費と消費の時間の距離を離せば、利用するときに支出が意識へ上りにくくなる。
それを、自分が大切にしたい楽しみへ使うわけです。
前払いにしても、いつまでも支払額を思い返していれば、痛みは残るでしょう。
誰でも必ず満足度が上がるという話ではありませんが、楽しさを邪魔するものを一つ減らす工夫にはなります。
・まとめ・Q太郎の見立て
最後に、お金の使い方を洗練させるとはどういうことか、Q太郎なりの見立てを置いて終わります。
我々は、お金の使い方を考えるとき、何をいくらで買うかへ目を向けます。
しかし、いつ払うかも、その体験を変えます。
その都度払いでは、そのたびに支出を判断するので、消費を抑えやすい。その代わり、使うときには値段が頭にちらつきます。値段が高ければ高いほど、その使用する時の苦痛や罪悪感は大きくなるでしょう。
前払いでは、実際に使うまでの時間の差が大きければ大きいほど、使うときの痛みが弱まります。その代わり、前払いですので、その都度払いに比べて支出が増えることがあります。
クレジットカードのような後払いでは、買うときの痛みは弱まりますが、あとから請求や後悔が追いついてくることがあります。
どれかが、すべての場面で正解になるわけではありません。
節約したい日常には、その都度払いでお金を使うブレーキを残す。
思い切り楽しみたい体験には、前払いを選択する。
基本的に後払いは、できるだけ避けた方が良い気はしますね。ようするに後払いは借金ですしね。クレジットカードも一種の借金です。
Q太郎は、この出費と消費の時間差を、自分の目的に合わせてコントロールすることが、お金の使い方の肝になると思っています。
支払いの痛みに、その場その場で動かされるだけではなく、痛みを残したい場面と、先に済ませたい場面を自分で選ぶ。
お金の使い方がうまくなるとは、いつでも安く済ませることではありません。
自分が得たいものに合わせて、お金を払う時間まで選べるようになることです。
支出を減らしたいか、満足度を上げたいか。それをコントロールすることですね。
皆さんには、先に払っておいて、気兼ねなく楽しめた体験がありますか。
反対に、あとから請求を見て驚いた経験もあるでしょうか。
よろしければコメント欄で教えてください。全部読ませていただいています。
数字を味方に。そして、誰の欲望でもない自分の人生を、自分の手で耕していきましょう。
ではまた、Q太郎でした。この動画を気に入っていただけましたら、高評価・チャンネル登録をよろしくお願いいたします。
