【新NISA】これからはアクティブファンドの時代?
新NISA一括投資→即毎月定率取り崩し運用中のQ太郎です。
今回は、これからはインデックスファンドよりアクティブファンドの時代になるかどうかについてです。
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インデックスよりアクティブファンド?
こんなご質問をいただきました。
「ネット記事でさわかみ投信の澤上氏の記事があって、澤上氏はこれからはアクティブファンドの時代と言っています。
インデックスファンドはダメな企業もすべてまとめて購入するため、世界経済が衰退するこれからは、優秀な企業を集中的に買うアクティブファンドの方がこれからの時代は有利になるとの事です。今後下落相場になれば、ダメ企業の含まれるインデックスファンドは目も当てられない状態になるとおっしゃっていました。
一般的にはインデックスファンドの方が手数料は安いですし、ほとんどのアクティブファンドがインデックスファンドに負けてしまっているため、澤上氏の言うことに疑問が残ります。ただ澤上氏の投資哲学自体は悪くないと思います。
これからの時代はアクティブファンドが強いということはあり得るのでしょうか。よろしくお願いします。」
とのことです。
長期投資を主体に置いたさわかみ投信は人気がありますね。ただ人気があることや投資哲学と、実際のパフォーマンスは別物なので、これは分けて考えた方がいいとは思います。投資は客観性が必要です。
一般的には、皆さんもさんざん聞かされていると思いますが、S&P500などのコストの安いインデックスに投資して、長期ホールドするのが一番効率が良いと言われています。
かと言って、その一方でウォーレン・バフェット氏みたいにアクティブ投資で年率20%とか稼いでいる偉大なお方もいるため、一概にアクティブ投資が悪いとは言えません。
中・短期的な期間によってはアクティブ投資がインデックス投資を上回ることもありますので、結局のところ自分がどういう投資をしたいかにかかってきますね。
投資家によっては「インデックスなど邪道。自分で株を選んだ方が確実」と考える人もいるでしょう。このあたりは投資スタイルによりますが、少なくとも企業決算を読む気もないみたいな人だったら、アクティブ投信の運用レポートを読む気も無さそうなので、インデックスを選んだ方が面倒は無いとは思います。
インデックス投資の利点
インデックス投資の利点ですが、これは以前にも言いましたが、「藁の中から針を探す行為」を自動的にしてくれることですね。
オルカンやS&P500などのインデックス投資は、各会社に均等に投資しているわけではなく、時価総額加重平均で、それぞれの企業の時価総額の大きさで投資量を決めています。
たとえば市場に3つの会社しかなくて、A社の時価総額が5兆円、B社が3兆円、C社が2兆円なら、5:3:2の市場そのままの割合で株式を買うのですね。市場そのものを買うことになります。
株式市場には何千という会社がありますが、その中で株式市場をけん引している会社はごく少数です。投資で利益を出すためには、まさに藁の中から針を見つけ出さなくてはなりません。そのため時価総額加重平均で藁も針も全部買ってしまえば、針を自動的に多く買うことができます。
「GAFAMを抜いたS&P495は、日経平均のパフォーマンスと大して変わらない」というようなことを言った人がいますが、そもそもインデックス投資の目的はそのGAFAMのような市場をけん引する「針」を見つけることが目的です。むしろ日本市場に1本の針もなかったことの方が問題です。
個別株やアクティブ投資の場合は、この藁の中の針を自力で見つけないといけません。もし針を適切に見つけられるのであれば、それこそ藁がないぶんパフォーマンスは良くなるでしょう。
ただ実際のところは針の入れ替わりもありますし、いつまでホールドしないといけないのか、いつ入れ替えないといけないのかなど、いろいろな問題が出てきます。それなら市場をそのまま買う方が効率はいいので、自分でいろいろ調べたりしたくなければインデックス投資にしておいた方が楽と言えば楽です。
アクティブ投資
それならアクティブ投資はどういうときに買ったらいいのかと言えば、ご質問の中で書いているようにそのファンド運営者の哲学とか理念とかに共感した場合ですね。
「だめな企業は買わない」「社会にとって害のある企業は買わない」「特定のテーマを買いたい」とかですね。
例えばたばこは世の中に害があると思う人は、たばこ会社の株を買わないとか、ブラック企業の株式は買わないとかですね。
ちなみにQ太郎も、アップルとテスラの株はトップがちょっとアレなので買っていません。インデックスに混ざってるので間接的には買っていますが、直接的には買わないことにしています。軍事産業のロッキード・マーチンも直接は買いませんね。これは個人個人が判断すればいいことです。中国が嫌いな人は、それが混じっているオルカンも買わないという人もいます。
そんな感じであくまで哲学や理念として買う買わないを決めている場合、それを目的にアクティブ投信を買ってもいいとは思います。さわかみ投信が自分の理念とあっているのであれば、購入してもいいでしょう。
ただ先ほども言いましたが、あくまで哲学や理念と実際のパフォーマンスは別物です。ここは客観的に考えてください。
たとえばさわかみファンドと日経平均の比較ですが、ピンクが日経、青がさわかみです。コロナショック前から現在までの5年間で比べますと、ほぼ日経平均と変わらないようなパフォーマンスになっています。微妙に日経平均の方が上回っていますが、基本的にはそこまで大きく変わらないと言ってもいいでしょう。
さらにスパンを2倍の10年に延ばしてみます。ピンクが日経平均、青がさわかみですが、やはり期間が長くなっていくとインデックスが有利になっていくというのが視覚的にわかるとは思います。ただ動き的にはそこまで大きく変わるものでもありません。
これはなんでかと言えば、最近のアクティブファンドにありがちなことですが、いわゆる市場平均であるベータに近い形にポートフォリオが組まれているからです。
ようするに銘柄選びや投資比率などがインデックスに近い形になってしまっているのですね。
なんでそうなるかと言えば、アクティブファンドはつねに市場平均と比較され、それより高いパフォーマンスを出しているかどうかを問われるからです。
市場平均からあまりに大きく乖離した場合、しかも市場平均に比べて大きくパフォーマンスを落としてしまった場合、ポートフォリオマネージャーが責められます。
それならある程度インデックスに近い形でポートフォリオを組みつつ、オリジナリティをちょっと出しておくぐらいでとどめておけば、インデックスからは大きく乖離はしませんので、極端に大きく負けるということも無いのですね。
ある意味かしこいやり方というか、「それなら手数料やすいインデックス買えばよくね?」みたいな話になってきますが、そこはまあ大人の事情というかポートフォリオマネージャーの事情というか手数料稼ぎたい的なアレというか、そんな感じのいろいろな事情がありますので、察していただければと思います。インデックスで証券会社や銀行の腹は膨れないのです。
ちなみに三井住友銀行でランキング1位の、日経平均に追随する日経225投資信託ですが、購入手数料がだいたい1.1%、解約時で0.08%、毎年の信託報酬0.66%ほどと、100万円購入するだけで1.1万円取られる商品ですが、アクティブ投信がぶいぶい言わせていた昔と比べたらかなり良心的な価格になっております。
ただランキング2位の世界厳選株式オープンとかは、購入手数料3.3%、解約手数料0.3%、毎年の信託報酬1.9%と、厳選しただけあっていい感じなお値段になっています。毎年2%近く元本がガリガリ削られます。これをオルカンと勘違いして購入した人がいるのかどうかはわかりませんが、これでも昔と比べればリーズナブルなほうです。昔は購入5%、解約5%、毎年3~5%みたいなのがのさばっていましたしね。しかも償還期限付きで、逃げる気満々な感じです。
アクティブファンドの時代は来るのか?
最後に、アクティブファンドの時代が来るのかどうかについてですが、短期・中期的にアクティブファンドがインデックスを上回ることが全然ありえますので、可能性があるかないかと言えば、可能性はあります。あくまで「可能性がある」という話で、かならずそうなるかはまた別の話です。
先ほども述べたように市場平均の動きに近いものが、市場平均を上回ったり下回ったりの変動は普通にありえるので、その程度の動きだったら「市場平均を買った方がよくない?」という話にもなってきます。手数料も安いですしね。
もしQ太郎がアクティブファンドを運営するなら、市場平均よりちょっとボラティリティを低めにしたポートフォリオを設定しますね。そうすれば暴落時の下落率が抑えられますので、「インデックスに比べて下落に強い」と宣伝できます。単にボラが低いだけなので、上昇時はインデックスの方が上がりますけどね。
まとめ
そんなわけでまとめると、
・アクティブ投信の運用レポートを読む気も無いのであれば、S&P500やオルカンなど王道なインデックス投資をした方が面倒が無い。
・インデックス投資は時価総額加重平均によって「藁の中から針を探す」を効率的に行える。
・アクティブ投資は自力で針を探さなければならない。(つまりコストがかかるということです)
・アクティブ投信はその理念や哲学に共感すれば買ってもいい(例えば世の中の役に立つ企業にだけ投資したいとか、SDGsに投資したい場合ですね)。
・ただ理念と実際のパフォーマンスとは別モノ。そこは客観的に考える。(現実問題、長期的手にはやはりインデックスが強いです)
・現在の多くのアクティブ投信は、市場平均から大きく乖離しないように作られている(だったらインデックス買えばという話にもなります)。
・Q太郎がアクティブ投信を作るなら、市場平均よりちょっとボラティリティを小さくして、「下落に強い」と宣伝して売る。
となります。
そんなわけで最近のアクティブ投信は市場平均から大きく乖離しないよう、市場平均に近い形で運用されていますので、「だったらインデックスでよくね?」という話になってしまう場合も多いです。
最終的にはパフォーマンスより、そのファンドマネージャーを応援したいみたいな話になってくるので、そのあたりは自由にやればいいかなとは思います。Q太郎は基本的にインデックスです。