関経連が年金停止を要請ーコーストFIREに向けた貯蓄は必要?
新NISA一括投資→即毎月定率取り崩し運用中のQ太郎です。
今回は、16日に関西経済連合会が年金停止要請をおこなったことについてです。
本記事をYouTube動画で観たい方はこちらのリンクから。
関西経済連合会が年金停止要請
年金受給自体がだんだん怪しくなっており、少しでも早く受け取らないと損するのではないかという空気感が漂ってきている昨今、このようなご質問をいただきました。
「いつも動画をありがとうございます。FIRE後の年金受給年齢の動画を観ましたが、さっそく関経連(関西経済連合会)の常陰均副会長が年金停止を要請したというニュースがありましたね。(この動画ですね)
日本の現役世代の人口減少からして、将来的に年金はどんどん減額していくことはほぼ間違いないです。ただでさえ貧乏な現役世代1人で1人の老人を支えるというのは無茶な行為です。
特に今の老人は年金もらいすぎ、今の若者は可処分所得無さすぎで、そんな貧乏な若者から老人がお金を取るという構造は不公平感があります。現在は1人の老人を2人の現役世代が支えている形ですが、毎月14万円もらっている老人を支えるために現役世代は毎月一人7万円払わなければなりません。無茶苦茶過ぎます。
これが35年後に老人1人を現役世代1人が支える世の中になれば、年金を極端に減額するか廃止するかの道しかありません。
そのため動画で言っていたような60歳の繰り上げ受給では-24%に減額されるながらも、65歳でフルに受け取る段階で-24%以上減っていれば意味がないというのが現実味を帯びてきています。5年後だと世の中が大きく変化してしまい、ルールも変わってしまいます。
関経連の提案について高齢層からは反発が出ているようですが、Q太郎さんの考えをお聞かせください。私は年金に頼らず、コーストFIREの資金を貯めたいと思っています」
とのことです。
この関経連の年金廃止提案のニュースについては詳しい部分までは知らないので調べてみました。
内容としては、全員が対象ではなく、年金以外の所得が多い高齢者が対象になります。これもけっこう曖昧な言い方なので、「年金以外の所得が多い高齢者」の範囲がどこまでなのかが不明ですね。
それで支給停止、もしくは減額の対象になるのは国民年金です。厚生年金には手を付けないようですね。
記者会見をしたのは関経連の常陰均(つねかげひとし)副会長で、「現行の社会保障制度を維持するのは困難で、一部に痛みを伴う改革が必要だ」と指摘していました。
言っていることはけっこうまっとうで、日本の家計金融資産のうち、60代以上の保有比率が6割を超えているという現状を踏まえてのことです。老人がお金を持っているので、若者のために何とかしてほしいということですね。
それで年金を減らすべき所得ですが、「一定以上の所得」と言っているだけで、具体的な話は何もしていません。2025年の年金制度改正に向けて、政府・与党に働きかけるとの予定です。
年金自体は、来年から国民年金保険料の値上げがあります。現在は一か月16,980円ですが、来年からは17,510円と500以上値上げしますね。
現在の国民年金受給の平均は1か月5万6,479円なので、高齢者1人を現役世代2人が支える現状だと、超単純計算で17,510円×2=35020円となり、21000円ほど足りないことになります。この足りない分は年金積立金や増税でまかなう形です。
厚生省の財政検証で示されたシミュレーションでは、最悪のケースで年金積立金は2059年に枯渇するとされています。2060年には高齢者1人を現役世代1人が支える時代になるとされているため、だいたいそのころに枯渇するという資産ですね。政府の計算はいつも甘めですので、実際はもっと前倒しになる可能性もあります。
そんなわけで、常識的に考えても、高齢者1人の年金を労働世代1人が払うというのは無茶ぶりすぎるので、本当に何とかしないときびしいことになるとは思います。
関経連の記者会見には年金以外にも、国民健康保険の歳出削減について述べていました。
軽度な風邪の場合は医療費の窓口負担を増やすことや、疾患の重篤度や発生確率に応じて負担割合を変えることなどが盛り込まれています。ちょっとしたことでも病院へ行く人が多いので、軽い風邪ぐらいは負担大きくするのもありかなとは思いますね。あと湿布で済む程度のケガも負担大きくしてもいいかなとは思います。医者はやたらと大量に湿布くれたがったりしますしね。
それと延命治療についても、アンケートを取ると「延命治療は行わず、自然にまかせてほしい」が91.1%なので、どちらかと言えば患者の要望というよりは、病院がサブスク的に毎月毎月安定収入でお金稼ぎできる状況になっているのが問題とは思います。
そんなわけで、関経連の提案自体はまっとうなのですが、問題としてはどの程度の所得があると年金廃止、もしくは年金減額になるかという部分です。この「一定の所得」のラインによっては、反発する人数が変わってくるでしょう。このあたりの調整が難しいとは思いますね。
何にしろ、すでに高齢者1人を2人で支えている状態にありますし、来年から団塊世代が一気に後期高齢者になることで社会保障費の増加が加速することになるため、年金が無くなることはないにせよ、十分な金額がもらえない可能性は非常に高いとは思います。
以前の動画でも言ったように、もらえる・もらえないの話だと、1円でももらえればもらったことにはなってしまいますしね。必要なのは十分な金額が受け取れるかどうかです。
高齢者が多くなって、現役世代が少なくなれば、年金を払う人が減ってしまうし受け取れる人が多くなるので、足りなくなるのはわかりきったことなので、年金改革は必要になるとは思います。
ただ選挙は高齢者票が強いので、たぶんこのままだらだらと現状が維持されて、年金保険料の増額と年金の減額が続いていき、未来には十分な年金が受け取れない状態になる可能性も高いとは思います。そのため、コーストFIREまでいかずとも、貯金は持って年金への依存度を下げておいたほうが安全とは思います。
まとめ
そんなわけでまとめると、
・関経連の年金廃止案はあくまで「一定の所得の人」を対象にしたもの。ただこの「一定の所得」がどれぐらいかは不明。
・関経連の言っていること自体はまっとうであり、すでに高齢者を現役世代が支え切れていない状態。
・来年からは団塊世代が後期高齢者となるため、高齢化社会問題が一気に加速し始める。年金保険料も来年から500円以上の増額になる。
・試算では2059年には年金積立金が枯渇し、2060年には高齢者1人を現役世代1人が支えることになる。前倒しになる可能性は高い。
・年金がもらえなくなることはないと思うが、十分な金額を受け取れない可能性は高い(1円でも払えば年金を払ったことになりますしね。もらえる・もらえないの問題ではないわけです)。
・高齢者票を意識して、政治家も年金改革には手をつけにくい。このままだらだらと年金保険料の増額と年金の減額が続いていくかと。
・コーストFIREまでいかなくても、貯金はしておいて、年金への依存度を下げておいたほうが安全。
となります。
正直、年金制度は設計自体に問題があるので、今後もどんどん年金保険料が上がって、年金が下がるという状態が続いていくとは思います。
そこまで頼れるものでもなくなってきたので、貯金はそこそこあったほうがいいですね。あとは体力や気力があれば、老後も働くみたいな形でインフレヘッジしておくのもいいとは思います。
そんなわけで年金に対してはあまり大きな期待をせずに、貯金や投資もしつつ、日々を楽しんでいくのがいいとは思います。