FIREはそもそも人生の成功なのか?【FIRE/老後】
新NISA一括投資→即毎月定率取り崩し運用中のQ太郎です。
今回は、そもそもFIREは人生の成功なのかという根本的な問題についてです。
本記事をYouTube動画で観たい方はこちらのリンクから。
FIREは人生の成功?
こんなご質問をいただきました。
「今年はトランプ関税でのドル・株価・債券のトリプル安などもあり、以前ほどFIREにあこがれを持つ人は少なくなったとは思います。今後はアメリカの衰退なども合わさって、インデックスだけでのFIREは難しくなりそうです。
ホリエモンと山崎さん(補足:山崎元)のお二人による対談本である「決定版! お金の増やし方&稼ぎ方」では、FIREを目指すことへの否定的な意見や危険性について述べています。
ホリエモンの意見としては、FIREするために、つらい労働に何年も耐え続けることがそもそも本末転倒で、お金を貯める間にお金を使わないことが機会損失になってしまうとのことです。
しかもFIREをするには年間生活費の25倍の資金が必要になりますので、貯めるまでに数十年とかかります。これがそもそも予定通りに行くわけがないということです。そしてFIREした後に計画していた生活が本当に楽しいかどうかもわからないわけです。若い内の時間を無駄遣いするだけだというのがその主張です。
昨年亡くなられた山崎さんですが、彼もFIREは意味が無いといっており、貯金や投資をすることによって、自分という資源への投資を怠ってしまうということです。仮にFIREできたとしても、人間として無難で何の能力も魅力なく、単にお金を貯めたという人生にしかならないということです。
お金を使って、能力や経験値を上げることの方が、よっぽどお金が手に入りますし、結果的にはむしろそういう人の方がFIRE(ここではREは不要で、FIの部分、経済的独立を達成するという意味)に近づいていきます。言っていることは結構当たり前の事ばかりなのですが、この当たり前が理解できない人が多くなってきたとは思います。
Q太郎さんにとってFIREは人生の成功と言えるのでしょうか?この辺りの考えをお聞かせください。」
とのことです。
ご質問の中にある、ホリエモンさんの意見の「FIREするために、つらい労働に何年も耐え続けることがそもそも本末転倒で、お金を貯める間にお金を使わないことが機会損失になってしまう」という部分ですが、この機会損失の話は前回の「若者の「新NISA貧乏」が深刻化」の動画で似たことを話しているので、そちらを参照していただければと思います。今回はこの部分については省かせていただきます。
貯金や投資に傾きすぎると、本来得られたはずの経験や時間を無駄にすることになりますので、個人的にも欲しいものまで我慢して限度を超えた貯蓄しすぎはQ太郎的にもあまりおすすめできません。人生が本当に「お金を貯めただけ」みたいになってしまう可能性もありますしね。
Q太郎が掃除機や洗濯機を使わなかったり、サブスクほとんど使わなかったりというのは便利サービスへの依存を減らしたいだけで、お金を節約することが目的ではないのです。水以外の飲料を自腹で買わないのは、単に水が一番おいしいと思っているからです。コーヒーとか刺激のあるものとか甘すぎるものとかが苦手なのですね。結果的にお金を使ってないだけで、お金を使わないためにやっているわけではありません。
それでFIREというのも、これは結果であって、目指すようなものでもないとは思います。そもそも幸せになりたいからFIREするのであれば、それを目指すために切り詰めた生活をするのは本当に幸せなのかということにもなります。
それでお金を苦労して貯めている途中で、なんかあって亡くなってしまったということにでもなれば、たんにお金を貯めるだけで人生が終わったみたいな話になってしまって、後悔してもしきれないんじゃないかとは思います。
山崎氏のいう、FIREをするために貯蓄をすると、自分という資源への投資を怠ってしまうというのも同意します。貯金が増えて、自分の人間的な能力が増えないというのもどうなのかという感じです。
例えば年間300万円を稼ぐのはそんなに難しくありませんが、投資で300万円得ようと思ったら、年間3%で回せた場合でも1億円も必要なわけです。年間300万円稼ぐために1億円も用意しなければならないというのはどうなんだろうという感じです。そんなんだったら自分に投資して、300万円以上稼いだ方が投資効率がいいわけです。
山崎氏のいう「仮にFIREできたとしても、人間として無難で何の能力も魅力なく、単にお金を貯めたという人生にしかならない」という部分についてですが、人生として考えた場合には、お金に振り回され過ぎている人生とも言えます。
株式投資で効率がよくなるのは、十分な元本の大きさがあることです。先ほども言ったように一億円あれば3%で300万円ですが、1000万円ぐらいだと3%でも30万円にしかならないわけです。1000万円あって年間30万円にしかなりませんので、ゲームとして考えれば元本の多い人がどうしても有利なのです。
それでこの莫大な元本をどうやって用意するかといえば、やっぱり働いて稼がないといけないわけです。
そうなると、まずやるべきことは投資ではなくて収入を増やすことで、ある程度収入が大きくなってきたときに投資に移れば効率よく資産を膨らませることができます。
山崎氏は投資商品としてS&P500よりオルカンを進めています。これは今年のトランプ関税の状況とうまく重なった形になり、アメリカも大統領次第ではやらかすというリスクを実際に見せつけてくれたことになります。
ただS&P500ですが、今は回復基調で、年初来では+1.53%とプラテンしていますね。トランプ関税のこの状況でまだプラスが出せるあたりは、アメリカ経済の粘り強さを感じます。
ちなみに世界株式ETFのVTは年初来で+5.44%なので、現時点ではオルカンの方がよいパフォーマンスになっています。まあ、今後アメリカがどうなっていくのか、本当になにがあるかわかりませんね。日本からの投資だと円安バリアの逆の円高逆バリアがかかってしまって、年初来で見れば円換算だとどちらもマイナスにはなっていますね。
話を戻しまして、金融商品への投資をして、自分への投資を怠ることによって、収入自体が少なくなってしまい、結果的に大きな元本を用意するという投資の勝ち方から外れてしまうことになります。そうなると、逆に経済的独立からも遠ざかってしまう結果になりかねません。
それで「FIREは人生の成功」かどうかについてですが、そもそも人生の成功が何かというのは人それぞれなので、やりたいことや欲しい物を我慢してお金を貯めることがその人の人生にとっていいことなのかどうかは、その人にしかわからないとは思います。
お金貯めるのが楽しいとか生きがいという人もいるとは思いますしね。ここは当の本人じゃないとわからないとは思います。
使う必要がなければ使わなくていいですし、Q太郎もそうしてますが、欲しい物とかあるのに我慢しているという状態だと、お金以上に本来得られた経験とかが失われてしまうというリスクもあるとは思います。
それと理想と現実の乖離がありますので、自分が思っていたことと、実際にそうなったときに違ったみたいなケースもありますので、やはりあまり遠い未来に思いを馳せずに、日々を幸せに生きた方が良いとは思います。それで経済的独立ができたらもうけぐらいに考えておけばいいじゃないかという気はします。
まとめ
そんなわけでまとめると、
・FIREするために、つらい労働に何年も耐え続けてお金を貯めることは、機会損失につながることもある。(本来得られたはずの経験や知見を失うことになりますしね)。
・FIREはあくまで「結果」であって、目指すようなものでもないかと。
・頑張ってお金を貯めている途中で亡くなることもあるので、そうなるとお金を貯めただけの人生になりかねない。
・幸せのためにFIREしたいのに、FIREするために苦しむのは本末転倒。
・投資は元本の大きさが重要。十分な元本を用意するには収入を増やした方が効率的。
・金融商品への投資をして、自分への投資を怠ることによって、収入自体が少なくなってしまい、結果的に大きな元本を用意するという投資の勝ち方から外れてしまう可能性。
・何をもって人生の成功とするかは人それぞれ。ただ理想と現実の乖離があるため、あまり遠い未来に思いを馳せずに、日々を幸せに生きた方がよいかと。
となります。
そんなわけで、人生の成功が何かは人それぞれなので何とも言えませんが、自分の頭で考えているバラ色の未来と現実がミスマッチすることもありますので、未来にあまり大きな期待をせずに、日々を楽しく生きた方が良いじゃないかという気がしますね。それで経済的独立ができればもうけぐらいの気軽な感じでいいんじゃないかとは思います。