50代、貯金を減らすのが怖い人へ。「破産しない」だけで人生を終えていい?

50代、貯金を減らすのが怖い人へ。「破産しない」だけで人生を終えていい?
「人生の目的は、破産しないことではない。」ドリー・クラークさんの『ロングゲーム』にあるこの言葉から、お金の安全と人生の目的について考えます。イーロン・マスク氏は、PayPal売却で得たおよそ1億8,000万ドルを、SpaceX、Tesla、...

最近、ドリー・クラークさんの『ロングゲーム』を読んでいて、ちょっと手が止まったところがありました。

「人生の目的は、破産しないことではない。」

なかなか刺激的な言葉ですよね。

お金の本や投資の本では、たいてい逆のことを教えられます。大きく増やす前に、まず退場しないこと。集中投資を避けること。生活防衛資金を確保すること。相場から一発で消えるような賭けをしないこと。

どれも正しいと思います。

Q太郎も、破産をおすすめするつもりは、もちろんありません。破産しないに越したことはないんですね。Q太郎自身もかなり慎重派です。

ただ、お金を失わないことだけを人生の最優先にしたら、その先には何が残るんだろう、とも思いました。

絶対に損をしない。絶対に失敗しない。絶対に恥をかかない。そうやって全部の危険を避けていけば、かなり安全な人生にはなるかもしれません。

でも、それは自分が送りたかった人生なんでしょうか。

そんなわけで、ようこそ、Q太郎のお金の哲学へ。お金に飲み込まれないための生存戦略を独自の視点で解説します。

今回は「人生の目的は破産しないことではない」を深掘りしていきます。

・全財産を賭けたイーロン・マスク

この話を考えるとき、どうしても思い浮かぶ人がいます。

イーロン・マスク氏です。

以前も動画で取り上げましたが、マスク氏は、PayPalの売却によって、税引き後でおよそ1億8,000万ドルを手にしました。普通なら、もう何もしなくても一生どころか、何世代にもわたって暮らせる金額です。

ところがマスク氏は、そのうち1億ドルをスペースXに、7,000万ドルをテスラに、1,000万ドルをソーラーシティに投じたと、自身のインタビューで話しています。

足すと、ちょうど1億8,000万ドルです。

ほぼ全部ですね。

しかもマスク氏は、家賃を払うためにお金を借りるほどだったとも話しています。当初からきれいに計画して全額を賭けたわけではなく、必要な資金が想定の倍ほどに膨らみ、結果としてそこまで追い込まれたそうです。

スペースXはロケットの打ち上げに何度も失敗しました。テスラも資金繰りが厳しくなり、どちらも会社が消えてもおかしくないところまで行った。

それでも最後には、スペースXのロケットが飛び、テスラの電気自動車が世界中を走るようになりました。

こうして結果だけを見ると、全財産を賭けた天才が未来を切り開いた、という非常に美しい物語になります。

映画にするなら、ここで音楽が流れるところです。

ただ、慎重派のQ太郎としては、この話をそのまま人生のお手本にする気にはなれません。

・成功者だけが雑誌の表紙になる

マスク氏と同じように、自分の財産をほぼ全部、新しい会社や新しい技術に賭けた人は、ほかにも大勢いたはずです。

ところが、その人たちの多くは、会社と一緒に消えていきました。

ロケットは飛ばなかった。商品は売れなかった。資金が尽きた。共同経営者と揉めた。技術は優れていたけれど、世の中に出る時期が早すぎた。

失敗の理由はいくらでもあります。

そういう人たちの人生は、雑誌の表紙にはなりません。「全財産を賭けて、普通に全部失いました」という人の特集記事を、何ページにもわたって読みたい人はあまりいませんよね。

だから、私たちの目に入るのは、賭けに勝った人ばかりになります。

そして、勝った人の話だけを並べて、

「大きく成功したければ、大きく賭けなければならない。」

「やり切った人だけが夢をつかめる。」

「退路を断ったから成功できた。」

そんな教訓や美談を作ります。

でも、これは順番が逆かもしれません。

退路を断ったから成功したのではなく、退路を断った人の中で、たまたま成功した人だけが、私たちの前に残っている。

これが生存者バイアスなんですね。

成功した現在から過去を振り返ると、途中の無謀な判断まで、すべて成功に必要な伏線だったように見えてしまいます。

マスク氏が全財産を賭けたことと、マスク氏が成功したことは事実です。

ただし、全財産を賭ければ成功できる、という意味ではありません。

大きなリスクは、大きなリターンを約束してくれません。約束してくれるのは、「大きく失う可能性もある」ということだけです。

・それでも安全だけでいいのか

では、マスク氏と反対のことをすれば正解なのか。

できるだけ安全な仕事を選ぶ。預金や債券のように値動きの小さい資産だけを持つ。新しいことには手を出さない。今の生活が壊れる可能性があるなら、やりたいことも諦める。

それで破産する可能性は下がると思います。

でも、ここで最初の言葉に戻ります。

人生の目的は、破産しないことではありません。

たとえば、100歳まで生きられるほどのお金を残して、99歳で亡くなったとします。お金の計画としては完璧です。一度も資金が尽きず、最後まで安全に逃げ切りました。

ただ、そのために、行きたかった場所へ行かず、会いたかった人にも会わず、やりたかった仕事にも挑戦しなかったとしたら、それを人生の成功と呼べるのか。

Q太郎には、よく分かりません。

これは債券が悪いとか、預金が悪いという話ではないんですね。来年使うお金や、失ったら生活に困るお金を、安全な場所へ置いておくのは当然です。

問題は、生活を守るための安全が、いつの間にか人生そのものの目的に変わってしまうことです。

損をしないために貯める。貯めたお金を減らさないために使わない。使わないまま、さらに安全のために貯め続ける。

こうなると、お金は人生を守る道具ではなく、人生を止める道具になります。

破産しなかった。

失敗もしなかった。

でも、何にも賭けなかった。

この状態にも、数字には表れない損失があるんじゃないかと思います。

・ガードレールは目的地ではない

Q太郎は、お金の安全性を、道路のガードレールのようなものだと考えています。

ガードレールは必要です。

山道でハンドル操作を間違えたとき、ガードレールがなければ、そのまま崖の下へ落ちてしまいます。人生でも、生活防衛資金や分散投資、保険、安定した収入は、失敗したときに崖から落ちないためのガードレールになります。

ただ、ドライブの目的は、ガードレールにぶつからないことではありません。

行きたい場所があるから、車を走らせるわけです。

ガードレールだけを眺めながら、時速10キロで走り続けても、目的地にはなかなか着きません。事故には遭わないかもしれませんが、景色を見る前に日が暮れてしまいます。

ここで分けたいのが、失敗するリスクと、破滅するリスクです。

新しい仕事を始めて、思ったほど稼げない。動画を作って、ほとんど見られない。本を書いて、まったく売れない。人に笑われる。

こういう失敗は痛いですが、人生そのものが終わるとは限りません。失敗から学んで、もう一度やり直すこともできます。

一方、生活費まで全部賭ける。返せない借金をする。家族の暮らしまで巻き込む。失敗したら二度と立ち上がれない。

これは失敗のリスクではなく、破滅のリスクです。

Q太郎が避けたいのは、失敗ではありません。次の挑戦ができなくなることです。

だから、マスク氏のように全財産を賭ける戦略は、成功したからといって、誰にでも勧められるものではありません。

ただし、マスク氏の反対側へ行きすぎて、何一つ失敗しないことを人生の目的にするのも違う。

ガードレールの内側で、どこまでアクセルを踏むのか。

何なら失敗しても、もう一度やり直せるのか。

そして、自分は何のためなら、その失敗を引き受けたいのか。

人生で考えるべきリスクは、そこなんじゃないかと思います。

・安全は土台であって目的地ではない

お金を守ることには、分かりやすい達成感があります。

貯金が増えた。借金が減った。資産が目標額に届いた。数字で確認できるので、安心できます。

一方、意義のある人生というのは、数字で測りにくいんですね。

やりたかったことに挑戦した。大切な人と時間を過ごした。自分なりに納得できる仕事をした。結果は出なかったけれど、やってよかったと思えた。

こういうものは、証券口座の残高には表示されません。

だから私たちは、測りやすい安全ばかりを増やして、測りにくい意味を後回しにしがちです。

でも、お金を守るのは、そのお金を使って自分の人生を守るためです。

安全は人生の土台です。

土台がなければ、家は建ちません。

ただ、土台だけを立派にして、最後まで家を建てなかったら、何のための土台だったのか分からなくなります。

Q太郎は、破産しないことを軽く考えているわけではありません。むしろ、何度でも挑戦できるように、破産は避けたほうがいいと思っています。

でも、安全を確保したあとは、その安全を何に使うのかも考えたい。

失敗しても立ち直れる範囲で、自分が意義を感じることに何かを賭ける。

お金かもしれません。時間かもしれません。肩書きかもしれません。人からどう見られるかという評判かもしれません。

何も賭けなければ、何も失わずに済みます。

その代わり、最初から持っていなかったものを手に入れることも、難しくなります。

では、マスク氏のように全財産を賭けることなく、大きな可能性を残す方法はないのか。

『ロングゲーム』では、その一つとして「20%ルール」という考え方が紹介されています。これもなかなか面白い考え方なんですが、説明を始めると別の話になりますので、20%ルールについては、また次回以降に深掘りしたいと思います。

・まとめ

そんなわけでまとめると、マスク氏はPayPalの売却で得たお金を、スペースX、テスラ、ソーラーシティへほぼすべて投じ、成功しました。ただ、その成功だけを見て、全財産を賭ける戦略まで正しかったと考えると、同じ賭けで消えていった人たちを見落とします。

だからといって、何も失わないことだけを人生の目的にすればよいわけでもありません。

安全は人生の土台であって、目的地ではない。

皆さんには、お金や生活を守ることを優先して、先送りしていることがありますか。反対に、失敗しても一度は挑戦したいことはありますか。よければコメントで教えてください。全部読ませていただいています。

数字を味方に。そして、誰の欲望でもない自分の人生を、自分の手で耕していきましょう。

ではまた、Q太郎でした。この動画を気に入っていただけましたら、高評価・チャンネル登録をよろしくお願いいたします。

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