安倍元首相襲撃事件後に一時円高もーアベノミクスで日本経済はどう変わったのか

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QYLD全力太郎ことQ太郎です。

昨日は安倍元首相銃撃事件の話題で持ちきりでした。

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襲撃事件後に、一時大きく円高の方向に動き、135円台前半まで動きましたが、そのあとはまたドルが買われ始め、136円台まで一気に戻していきました。

なぜこのような動きをするかと言えば、アベノミクスによる円安・金融緩和を推し進めてきた主要人物であったことから、日本経済がまた変わっていくのではないかという予測があったかと思われます。

アベノミクスは、言葉としてはよく聞きますが、多くの人は漠然としか理解していないのではないかと思います。

今回はアベノミクスの内容と、日本経済にもたらした影響などを見ていきます。

 

アベノミクスとは?

さて、アベノミクスについてです。

言葉としてはよく聞きますが、具体的にどういう内容なのかは漠然としか把握していない人も多いとは思いますので、わかりやすく解説していきます。

安倍首相は体調悪化によって一時辞任し、2012年に復帰を果たしました。この時期は、日本経済には6つの苦難がありました。

円高、厳しい労働・解雇規制、厳しい温暖化ガス削減目標、高い法人税率、経済連携協定の遅れ、電力不足の6つですね。

これにメスを入れ、日本経済を活性化させるというのが安倍首相の狙いでした。

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2012年当時の円高がどこまでヤバかったと言えば、ここですね。100円どころか、80円台が当たり前というレベルでした。

まあ、年金受給者にとっては天国みたいな状況だったかもしれませんね。海外旅行に安く行けますしね。

ただ産業にとっては、この円高はかなりヤバイレベルなので、これを是正する必要がありました。

異次元の金融緩和

そこでアベノミクスの「第一の矢」としておこなわれたのが、日銀の「異次元の金融緩和」です。

とにかくお金をジャブジャブと市場に流すことで円の価値を低くし、相対的に円安を推し進めてきました。

また企業にとっても資金調達が容易になるので、投資しやすい環境ができあがっていたかと思います。

これを受けて、ドル円は急激に円安方向に進みました。

NIKKEI

日経平均も、横這いの時代から抜けて出して、大きく上昇していきます。

チャートで見ると、けっこうすごい効果があったことがわかりますね。

よく「経済はよくないのに、株価だけが上がる」と言われますが、株価は未来を織り込むものです。現在、経済が最悪の状況でも、悪材料が出尽くせば、下げる材料が無いので上がるしかなくなります。また金利が下がれば、バリエーション的に株価は上がっていきます。

安倍首相の在任中、過去最高益を叩き出す企業は相次ぎ、日経平均は2倍以上にもなりました。

低迷した状態から抜け出すことはできたのですね。

財政出動

次に「第2の矢」として、財政出動がおこなわれます。10兆円規模の経済対策予算によって、政府自らが率先して需要を生み出すというものですね。

実際、景気拡大は果たされ、戦後で2番目に長い71カ月の景気拡大となりました。ただこのあとは続きませんでした。戦後最大の「いざなみ景気」が73カ月だったので、それに届かなかった状況ですね。

いざなみ景気との大きな違いですが、GDPの成長率ですね。

いざなみ景気では年平均11.5%とすさまじい成長をとげましたが、アベノミクスの期間では1.1%とほぼ成長していないような状況でした。そのため、「株価が上がっているのに、成長が実感しづらい」という状況でしたね。消費が伸びていなかったのです。

規制緩和と成長戦略

そして「三本目の矢」ですが、異次元の金融緩和と財政出動を背景に、民間企業の投資拡大と成長を目指すというものです。

直接的な批判を受けているのは、この三本目の矢ですね。

着手したのは、労働と解雇の規制緩和です。

2015年に労働者派遣法が緩和され、無期限に働くことができた専門職の派遣期間の上限が3年になりました。

そこで企業側はこの制度を利用というか悪用し、3年でとりあえず切り捨てる策略をつかいます。

労働力をつかいやすくなったというか、つかいすてることができるようになったので、雇用自体は増えたのですが、非正規雇用の割合は安倍政権下で増えることになります。

教育・医療の非正規は4割、卸売・小売りの5割、宿泊・飲食・サービス業は7割以上が非正規になっています。

さらに「一億総活躍」という名目で、「時間外労働の上限緩和」や「高度プロフェッショナル制度」が導入されていきます。「一定の年収要件を満たし、年間104日以上の休日確保や健康管理が行われていれば労働基準法で定められている労働時間、休憩、休日や深夜の割増賃金を適用しない」という、要約すると「一定以上の年収の高プロには残業代払わなくていい制度」です。

それでこの「高プロ」の要件には、第一次安倍内閣時に、「年収400万円以上のサラリーマン」というレベルにまで適用する見通しだということが露呈してしまったことがあり、「定額で働かせ放題」ということから批判され、一時見送られたというのがあります。

氷河期世代への支援

今回の銃撃事件の犯人は40代の男性ということで、「氷河期世代による犯罪」という論調も見られます。

「無敵の人」による「自殺をするにしても、自分を傷つけてきた社会に復讐してから自殺をする」というものですね。

今回の事件の背景がそのようなものなのかはまだ不明ですが、無差別殺傷事件が増えていること自体は事実としてあります。

「自己責任」「自業自得」と社会から切り離してきたことにより、「おまえらがそういう態度なら、こちらにも考えがある。どうせ死ぬなら」と社会に復讐をするのですね。

「作用・反作用」で、こちらが悪意を投げかければ、向こうからも悪意はもどってきます。

そのレベルまで行かなくても、「社会的弱者にとっては、犯罪をするほうがメリットがある」という社会になりつつあります。

定職があって、それなりに稼いでいれば、犯罪することはデメリットになるのですが、収入も家族も人とのつながりもないという人にとっては、犯罪はメリットになってしまいます。

犯罪を犯すことで世間的に報道されますので承認欲求が満たされますし、刑務所に入れば食事も冷暖房もあります。生活の心配をする必要がなくなりますし、人とのつながりもあります。

これまでに比べると、プラス方向に働いてしまうわけです。

今後日本が警察力を強くする方向に向かうのか、弱者を救済する方向に向かうのかはわかりませんが、経済成長に支えられた日本の安全神話もだいぶ崩れてきたとは思います。

それでアベノミクス下での氷河期世代に対する支援ですが、実際はやっていることは、人手不足の運輸、建設、農業などへのマッチングでしかなく、ぶっちゃけ安月給で働いてくれる外国人労働者頼みの産業に氷河期世代を押し付ける形になっていました。

雇用は拡大しているのですが、企業が欲しいのは非正規なのですね。氷河期世代はこの規制緩和に巻き込まれる形で非正規雇用にならざるを得なくなっていました。

 

まとめとQ太郎の見解

結局のところ、一本目、二本目の矢である「異次元の金融緩和」と「財政出動」自体は、円安・株高という企業にとってはよい結果になりました。

しかしそれがトリクルダウンとして、一般労働者に恩恵があったかといえば、微妙なところです。

そもそも賃金がほとんど上がっていませんし、これだけの金融緩和をしているにもかかわらず、GDP成長は年間1%と先進国ではかなりの低さです。

けっきょくのところ、客観的な結果だけいえば「円安・株高は成功したけど、GDPはほとんど成長せず」という結果になりました。

ぶっちゃけ、「金融緩和でゾンビ企業を生かし続けたけど、企業自体に成長戦略は無く、貯まったお金は投資では無くて内部留保でため込んでしまう状態。社員の給料も上がらない」みたいな状況に陥っていたと思います。

ゾンビ企業は得したけど、労働者は別に得していないといったところですね。

日本の株価が上がり続けたのも、年金による買い支えでドーピングを続けていたからとも言えます。

ある意味、成長を諦め、国からの支援金でなんとかする社会主義国家のていにはなってきていると思います。日本は世界で一番成功している社会主義国家とも言われていますしね。

金融緩和の柱となった安倍元首相が亡くなったことで、今後日本が引き締めに進むかといえば、いまさら金融緩和は止めようもない状態になっています。

いま金利を上げてしまえば、企業がバタバタ潰れていくとは思います。

人口も減っていますし、政府は金融緩和と増税を継続しつつ、今後はダラダラと衰退していくのではないかと思います。

企業の内部留保も別に悪いことではないのですけどね。日本は将来的に人口減でマーケットが小さくなっていくのですから、そんなところに投資してもお金の無駄にしかなりませんしね。

とにかく社会全体が保守的になって、国民も将来のことを考えて貯金を重視し、消費もしなくなっていますしね。そりゃGDPもあがらないというものです。Q太郎も消費していませんね。詳しくはこちらを参照してください。

そんなわけで、日本経済のかじ取りをして、円安・株高に導いた安倍元首相ですが、経済・GDP成長という面では達成しえなかったとは思います。

しかし、良い悪いはともかくとして、無難に物事をすまそうとする日本の政治家の中においては、大胆な経済改革をした点については評価できるとは思います。ある意味、MMTの実験にもなっていましたしね。

低迷していた日本株を上昇させた点も、事実として一つの功績になるとは思います。

そうでないと、いまだに低迷を続けていたかもしれませんしね。

全員が納得する改革というのは難しいですが、日本経済が少しでもいい方向に進んでくれればと思います。

最後に安倍元首相のご冥福をお祈りします