オルカンはアメリカ6割だからインド・中国を別で買う?

一般ETF投資お役立ち情報

all country

新NISA一括投資→即毎月定率取り崩し運用中のQ太郎です。

今回はオルカンこと全世界株式インデックス投資についてです。

本記事をYouTube動画で観たい方はこちらのリンクから。

オルカン投資について

このようなご質問をいただきました。

いつも面白い視点の動画を楽しみにしております。

たまにどこかの評論家がオルカンはアメリカが6割なのでインドや中国の株が上がると思う人はそちらの株を買って分散した方が良いというような事を仰ってますが、オルカンも四半期で銘柄の入れ替えを行なっているので、インドや中国が伸びるのであればそちらの比率が高くなるわけで、どこぞの評論家の意見には納得が出来ません。

分散するなら債券やゴールドに振り分ける方がいいんじゃないかと思うのですがQ太郎さんのご意見も伺いたいです。

とのことです。

評論家の方は「インドや中国の株が上がると思う人は」との前提条件を付けているようなので、ようはインドや中国がこれから上がると考えているなら、コアサテライト戦略として、インド・中国を別に持っておけばいいぐらいの話ではないかと思います。

コアにオルカンを持ってきて、それ以外に買いたい人はサテライト的にインド・中国を買うという話ですね。分散ではなくて、単にコアサテライト戦略とは思います。S&P500を買いつつ、アップルやAmazonの株を個別に買っているのとやっていることは同じです。

インドや中国の今後に期待ができるのであれば、それらをサテライト的に買うこと自体はありとは思います。人によっては人口の増えているインドネシアに投資したいという方もいるでしょう。オルカンは時価総額加重平均なので、やはりトップクラスの大企業のそろう米国が中心になります。新興国は比率が低いため、集中投資したければ個別で買った方がいいのは間違いないとは思います。

一方で、インド・中国が上がると思わなければ、それらに集中投資をする必要はないので、普通にオルカンだけでいいとは思います。どれが増えるのかわかりませんので、自分で選ぶよりオルカンに任せておいた方が楽ですね。

アメリカが6割は危険という考え方

この質問は単にコアサテライトの話なので良いですが、「オルカンはアメリカが6割だから危ない」みたいな論調もあったります。

これは完全に原因と結果が逆になっており、そもそもの加重平均型インデックスは強いものが伸びる構造になっているのが利点だからです。

以前、S&P500の動画で、「GAFAMを抜かしたS&P495のパフォーマンスは日本株と変わらない」みたいなことで、GAFAMが無ければ米国株は大したことがないのような話をする人がいたそうですが、そもそもインデックス投資は藁の中から数本の針を探し出すために、藁も針も全部買うという投資方法です。

株式市場にはたくさんの企業がありますが、実際に株式市場をけん引しているのは数社しかありません。その数社という針を発見するために、藁ごとぜんぶ買うのです。時価総額加重平均なので、時価総額の大きな企業が浮き出てくるようになるので、自動的に針が手に入るわけです。

「GAFAMを抜かしたS&P495のパフォーマンスは日本株と変わらない」というのも、日本市場では一本の針も出てこなかったということであって、むしろまずいんじゃないのといった状況です。

これを世界市場に拡大した場合、別に国ごとの比率があるわけではなくて、あくまで世界市場という中で針となる企業を探し出す作業をしているわけです。あくまで探しているのは企業であって、その企業がどの国から出ようがかまわないわけです。

単にアメリカに強い企業がそろっているから結果的にアメリカの比率が大きくなるだけであって、実際やっていることは各企業ごとの時価総額を組み込んでいるだけです。どこの国とかは関係ないわけです。

ちなみに先月の世界の企業の時価総額ランキングですが、上位のほとんどをアメリカ企業が占めてしまっていますね。

1位Apple、2位マイクロソフト、3位エヌビディア、4位アルファベットことグーグル、5位Amazonと、TOP5は完全にアメリカ企業が占めてしまっています。

6位にはサウジアラビアの石油会社「サウジアラコム」がランクインしていますが、7位メタ、8位バークシャーハサウェー、9位イーライリリー、10位テスラと、やっぱりアメリカ企業が占めてしまっているわけです。

ついでなので11位以下も見ていくと、11位にブロードコム、12位に台湾半導体企業のTSMC、13位にウォルマート、14位にJPモルガン・チェース、15位に中国のテンセントと、やっぱりアメリカ企業が強いわけです。

ちなみに韓国のサムスンが30位、日本企業は50位にトヨタがギリギリ入ります。下位は変動が激しいのでランクがころころ変わりまして、トヨタは今年初めごろに40位以上まで上がっていましたが、そのあとまた落ちた形です。トヨタ以外の日本企業はランクインしていませんね。日本企業で時価総額2位は、現在は三菱UFJですが、時価総額はトヨタの半分ぐらいしかないのでランクインはしませんね。その次に日立で、その次がファーストリテイリングですね。

ちなみに世界ランキング49位にインド最大のコングロマリットであるリライアンス・インダストリーズが入ってきます。インドもこれ以外の企業は50位以内にランクインしていませんね。

そんなわけで「アメリカが6割だから危険」ではなくて、企業を並べて時価総額加重平均にすると、結果的にアメリカ企業が多くを占めてしまうという「結果」が出ているだけです。日本もインドも50位以内に1社しか入らないような状況なので、50位のうち30社もランクインするアメリカ企業の時価総額合計に追いつくのがどれだけ大変かはわかるかと思います。

そんなわけでインドの成長だけを最大限に取ろうと思えば、オルカンだけだとインド企業や中国企業の時価総額合計は全体の2%ぐらいしかないので、仮に時価総額が倍になっても4%ぐらいなわけで、現状は大きな影響をあたえにくいわけです。

そのため、インドや中国に期待しているのであれば、オルカンを買うよりそれぞれをべつに買ったほうが、短期で利益を取りやすいのは間違いありません。もちろん損する可能性もありますが、どう投資するかは個人の自由です。

ただ「オルカンはアメリカが6割だから危険。インドや中国を買って分散しておく必要がある」となると、これは完全に「藁の中から針を探す」というインデックス投資の基本を間違えています。というか、インドや中国を買った場合、それらの国の比率が一気に上がりますので、むしろリスク自体は増える方向になります。

リスク分散にはなりませんので、インドや中国への投資は、あくまでコアサテライト投資の一環としてやった方が良いでしょう。こういうのは安全のためのヘッジではなくて、あえてリスクを取って利益を伸ばす方向の、攻めの投資なのですね。

別のアセットに分散

質問者様の「分散するなら債券やゴールドに振り分ける方がいいんじゃないか」という部分ですが、株式の中でいくら分散してもしょせんは株式なので、基本的には似たような動きをします。

ぶっちゃけオルカンもS&P500もボラティリティが違うだけで、動き自体は似たようなものです。

本当に分散したければ、株式とは違った動きをするアセットに投資した方がいいですね。

たとえばゴールドや債券、不動産はもちろん、現金を持つことも株式に対する分散になります。とにかく株式と違う動きをするものを持っておくことで、株式に何かあったときの保険にすることができます。

これから株式投資を始める人は、一番簡単な分散はやはり現金ですね。流動性が高いですし、株式がズドンしたときに買い足したりできます。

債券は、日本国債だと利回りが低いし使い勝手が悪いので、いざというときにすぐ動ける現金の方が分散には向いていると考える人も多いとは思います。

不動産やゴールドも流動性が低いので、買ったら置きっぱなしみたいな形での運用にはなりますね。とくに不動産はけっこう知識がいるので難しさはあります。素人が手を出すと、ワンルームマンション投資みたいな詐欺にあったりしますし、売るのも大変ですしね。

まあ、不動産あたりは資金が十分にないと難しいので、資金が少ないうちは現金でバランスをとるのがいちばん楽かとは思います。

 

まとめ

そんなわけでまとめると、

・オルカンのインド・中国比率は2%程度と低いので、これらの上昇分を最大限に取ろうとすれば個別投資する必要がある。

・ただこれはあくまでコアサテライト戦略の一環で、積極的にリスクを取りに行くことでリターンを得る攻めの投資。リスクを減らす分散投資にはならない(ヘッジになっていませんので、むしろリスクは上がります)。

・インド・中国に興味がなければ普通にオルカンを買うだけでいい。

・そもそも時価総額加重平均型のインデックスは、藁の中から針を探すために、藁も針も買うという行為。強い銘柄が大きく伸びることで大きなリターンを得られる。(GAFAMが大部分を占めている、アメリカが6割だからというのはあくまで結果であって、そうならないと針を自動的に見つけ出して利益を取るインデックス投資の意味がない。日本市場では針が1本も出てこなかった)。

・オルカンの対象は、国ではなくあくまで企業。現状は時価総額上位の多くをアメリカ企業が占めているので、結果的にアメリカが6割になる。(アメリカにガンガン投資しているというイメージではなくて、結果的にアメリカ企業の時価総額合計が多いというだけの話。あくまで投資は企業が対象)。

・分散をしたければ株式以外のアセット(株式と違う動きをするアセット)を持つ必要がある。現金が一番お手軽。

となります。

そんなわけでアメリカが6割で危険なのではなくて、結果的に企業の時価総額を合計するとアメリカ企業が6割を占めてしまうという話です。そうでないと、藁から針を探すというインデックスの意味がないですしね。

今後インドが伸びる可能性もありますが、あくまで企業の時価総額の合計なので、リライアンス・インダストリーズ以外にも強い企業がどんどん出てきていただかないと、オルカンの中ではしばらくは厳しいとは思います。

日本は大企業が多いので、オルカンの中だと5%ぐらい占めており、アメリカの6割に次いで多くなっています。ただ国がETFを買って大企業を支えている部分もあり、今後どうなるかは不明なところがあります。

なんだかんだで、他国に比べれば正常なルールで運営されている株式市場と、正常な競争原理にさらされているアメリカはやはり強いのですね。

そんなわけで、コアサテライト戦略をしたければオルカン以外にインドや中国を買うのもありですが、あくまで分散ではなく、リスクを負って利益を積極的に取りに行く行為ということは理解しておいたほうがいいでしょう。