配当200万円でも非課税世帯可能?確定申告の目安金額について【新NISA/FIRE/老後】
新NISA一括投資→即毎月定率取り崩し運用中のQ太郎です。
今回は、配当と住民税非課税世帯についてです。
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配当200万円でも住民税非課税世帯可能?
こんなご質問をいただきました。
「現在、非課税世帯なのですが、今年から相続で配当収入が年間200万程発生してしまいます。確定申告してもしなくても非課税世帯の資格を失いますか?」
とのことです。これ自体はコメントで解決しているのですが、情報共有ということで取り上げさせていただきます。
結論から言えば、特定口座・源泉徴収ありのあずかりだったら、確定申告しなければ非課税世帯のままです。確定申告してしまうと非課税世帯から外れます。
まず非課税世帯というのは「住民税非課税世帯」のことですが、この住民税には所得に対して一律10%かかる所得割と、所得に関係なくかかってくる均等割があります。所得割の10%は、こまかくいえば「町民税6%、府民税4%」になっています。
一方の均等割りのほうは、全員一律だいたい5000~6000円の間ぐらいなので、そんなに高くはありません。
株式などの売買や配当金で払う金融所得課税だとこの住民税10%が5%、所得税も15%固定なので、所得が高い人ほど確定申告をせずに、特定口座の源泉徴収ありで金融所得課税にした方がお得な金持ち優遇制度なわけです。確定申告しないかぎりは所得として計算されませんしね。
それで住民税非課税世帯の場合、生活保護や障害者などの例を除いた場合の条件ですが、前年中の合計所得が45万円以下の場合に非課税世帯になります。
そのため、収入がなくて、配当が45万円以下というケースであれば、確定申告しても住民税非課税世帯を維持できますので、このケースであれば確定申告したほうがいいでしょう・・・とはならないので注意してください。
住民税非課税だとしても、国民健康保険料は払わないといけません。これの均等割りと平等割りがかなりえぐい金額です。この2つだけで8万円以上かかります。そのため、特定口座のものを下手に確定申告をするとかなりのマイナスを食らう場合があるのですね。
それで国民健康保険料の場合、基礎控除が43万円なので、収入がなくて、配当が43万円以下なら確定申告すれば国民健康保険の所得割が免除されます。
国民健康保険料の均等割りと平等割りについても、基礎控除の43万円以下であれば7割控除が受けられます。
そのため、FIREや老後に収入がない状態で配当金の確定申告をする目安としては、配当金が住民税非課税世帯の45万円ではなく、健康保険料の43万円以下の場合となります。税金をおさえたければ住民税非課税世帯の条件だけでなく、国民健康保険料の基礎控除43万円以下にしておく必要があるのですね。
ちなみに健康保険の43万円を1円でも超えた場合にどうなるかといえば、均等割りと平等割りの7割控除が、一気に5割控除まで減ります。
仮に健康保険料の均等割・平等割の金額が82,000円だった場合、7割控除だと払う金額は24600円なのですが、43万円を1円でも超えると5割控除の41,000円と金額が跳ね上がります。この上に2割控除があって、それを越えたら全額支払いになります。
個人的には、こういう段階的に値段が一気に変わるのはあまりよくない気もするのですが、そんなわけで、住民税非課税世帯の45万円以下ではなく、健康保険料の基礎控除43万円以下で考えないといけないのですね。
そのため、質問者様が源泉徴収で配当の税金を払っているのであれば、確定申告する必要性はないので、制度上は非課税世帯を維持することができます。
もちろん外国税額控除などがある場合、還付される金額次第では、確定申告したほうがお得な場合もあります。このあたりはちゃんと計算したほうがいいでしょう。ざっくりわかるのは43万円以下の場合ですね。
せこい方法としては、配当を43万円以下におさえて確定申告して還付金をもらい、残りは投資信託取り崩しで配当代わりの金額を得るという方法もあります。確定申告が面倒くさくてそこまでする必要がなければ、普通に源泉徴収で税金を払っておけばいいとは思います。
ただ、金融所得課税を確定申告した場合の住民税申告不要制度もなくなりましたし、こういう制度の穴みたいなのはどんどん埋まってくる可能性はあります。
将来的に配当の収入もかならず住民税や健康保険料の計算に入れなければならないとなってくる可能性もあるので、こういう制度は永遠ではないということは肝に銘じておいたほうがいいとは思います。
諸行無常の世の中なので、どんどん制度は変化していきますしね。急に制度が変わったときに、そのときにあわてるようなことにはならないほうがいいでしょう。
「まあ、いつかは変わるよね」ぐらいの気持ちでやったほうがいいとは思います。
まとめ
そんなわけでまとめると、
・住民税非課税世帯の条件は、所得45万円以下。
・ただし国民健康保険の基礎控除は43万円。
・均等割・平等割の負担を上げたくなければ、無収入で配当(源泉徴収有り)がある場合、配当金を確定申告する目安は43万円以下。
・配当を43万円以下におさえて確定申告し、残りは投資信託取り崩しで運用するというせこい手もあるけど、面倒ならばそこまでしなくていいかと。
となります。
そんなわけでまず配当金が源泉徴収されているかどうかを確認して、されていて無収入なら、とくに確定申告する必要はありません。そのまま非課税世帯ライフを送っていただければと思います。
ただ前述したように、金融所得課税を確定申告した場合の住民税申告不要制度もなくなりましたし、こういう制度の穴みたいなのはどんどん埋まってくる可能性はあります。
「物事は変わる」というほうが世の中の常識だと思っておいて、変化に対応できるような生活をしておいたほうがいいとは思います。